遺言執行者──選任から、銀行・登記・税務まで「何ができるのか」

この記事の要点 遺言執行者は「遺言の内容を実現する人」で、就任には承諾が必要、就任後は相続人への通知・財産目録の作成・執行・報告の義務を負う 認知や推定相続人の廃除は遺言執行者でなければできない手続き(遺贈の履行も、執行者がいる場合は執行者のみが行う) 遺留分の対応や訴訟は弁護士、相続税の申告は税理士と、専門領域が分かれる 遺言を書いた、あるいは書いてもらった。ところが、いざ亡くなったあとに「これ、誰がどう動かすの?」と立ち止まる方が少なくありません。預金を解約するのは誰か。不動産の名義を変えるのは誰か。相続人全員でいちいち印鑑をもらわなければいけないのか。 ...

2026年5月30日 · ひぐらしさとし

取締役の任期、いつ満了か言えますか──役員変更登記の懈怠と過料の話

「取締役の任期? 最初に決めたきりで、正直あまり意識していません」──中小企業の経営の現場では、こうした声がよく聞かれます。 ところがある日突然、裁判所から白い封筒が届きます。中身は「過料決定」の通知。金額は数万円から数十万円。理由は「役員変更登記を期限内にしなかったこと」。 ...

2026年5月29日 · ひぐらしさとし

不動産の名義変更──売買・贈与・相続・財産分与で必要書類と登録免許税はどう変わる

この記事の要点 不動産の名義変更は「売買・贈与・相続・財産分与」の4類型で、登録免許税・必要書類・申請方法が別物になる 登録免許税は相続がいちばん安く1000分の4、売買は土地が(軽減)1000分の15、贈与・財産分与は1000分の20 相続だけ単独申請、それ以外は相手方との共同申請が必要 「家や土地の名義を変えたい」──そう一言でいっても、その「理由」によって手続きの中身は大きく変わります。家を売却して買主に引き渡した、子どもに贈与した、親が亡くなって受け継いだ、離婚で財産分与を受けた。どれも登記簿上は「所有権移転登記」ですが、必要な書類も、税金も、進め方も別物です。 ...

2026年5月28日 · ひぐらしさとし

代襲相続──親より先に亡くなった子の権利は誰が引き継ぐのか

この記事の要点 代襲相続が起こる原因は「死亡・相続欠格・相続廃除」の3つだけで、相続放棄は含まれない 子の系統(直系卑属)は孫・ひ孫と再代襲が続くが、兄弟姉妹の系統は甥・姪までの一代限り 代襲相続人にも相続登記の申請義務があり、起算点は「自分が代襲相続人として不動産を取得したと知った日」 「父より先に兄が亡くなっていた。兄の子(つまり私の甥)は、父の遺産を相続できるのか?」「兄弟姉妹だけが相続人だったが、その兄弟姉妹も先に亡くなっていた。甥や姪は相続できる?その子(甥の子)は?」 ...

2026年5月27日 · ひぐらしさとし

会社名を変えたいとき──商号変更の登記の流れと、銀行・許認可・印鑑への波及で気をつけたい5つのこと

この記事の要点 商号変更は、株主総会の特別決議で定款を変更し、2週間以内に登記すれば完了する 登録免許税は一律3万円(登録免許税法別表第一第24号(一)ツ) 登記後は銀行口座・契約書・印鑑・許認可・税務署等への名義変更が別途必要になる 事業承継のタイミングで先代から受け継いだ社名を一新したい、事業内容が当初と大きく変わったので会社のイメージを新しくしたい、グループ会社で名称をそろえたい──中小企業から「社名(商号)を変えたい」というご相談は意外と多くあります。 ...

2026年5月26日 · ひぐらしさとし

「地番」と「住居表示」はどう違う?登記簿の住所と日常の住所の話

この記事の要点 登記簿に載っているのは「地番」であり、日常の住所である「住居表示」とは別物 不動産の登記手続き(相続・売買・抵当権設定・住所変更登記など)はすべて地番ベースで動く 自分の不動産の地番は、登記事項証明書・固定資産税の納税通知書・権利証などで確認できる 家を持っているかた、相続でこれから手続きをするかたなら、一度は「あれ?うちの登記簿に書いてある住所、いつも使っている住所と違う」と思ったことがあるかもしれません。 ...

2026年5月25日 · ひぐらしさとし

遺産分割協議書の作り方と落とし穴──全員署名・印鑑証明書・複数原本のポイント

この記事の要点 遺産分割協議書は相続人「全員」の署名・実印・印鑑証明書がそろって初めて使える書類。1人でも欠けると無効 不動産は登記事項証明書のとおりの表記で書かないと相続登記に使えない 相続登記の申請義務(3年以内)と遺産分割の10年ルールという2つの期限が迫っているため、後回しにしない 被相続人(亡くなった方)の財産を相続人が話し合って分けるときに作る書面が「遺産分割協議書」です。法律で書式が決まった用紙があるわけではなく、相続人が自分たちで作る私文書ですが、これ1枚で不動産の名義変更も、預貯金の解約も、相続税の申告書類も動きます。それだけ大事な書面なのに、「全員の署名がそろわない」「印鑑証明書の有効期限を勘違いしていた」「後から財産が出てきて作り直すはめになった」──そんな落とし穴で、せっかく書いた協議書が使えなくなるケースが少なくありません。 ...

2026年5月24日 · ひぐらしさとし

増資(募集株式の発行)の登記──新しく株式を発行して資本金を増やすときの流れと費用

この記事の要点 中小企業でよく使われるのは、新株を発行して払込みを受ける「募集株式の発行」 非公開会社では原則として株主総会の特別決議が必要で、払込み後、効力発生日から2週間以内に変更登記 登録免許税は増加した資本金の額の1,000分の7(最低3万円) 「資本金を増やしたい」と思ったとき 会社を経営していると、ふとした場面で次のような話題が出てくることがあります。 ...

2026年5月23日 · ひぐらしさとし

相続した土地に古い抵当権が残っていたら──「休眠担保権」の抹消という手続き

この記事の要点 完済しても抹消登記をしなければ、抵当権は登記簿に残り続ける 相手(抵当権者)と連絡が取れなくても、供託・公示催告・解散会社向けの特別ルートで単独抹消できる まずは登記事項証明書で抵当権の内容(弁済期・抵当権者の種類)を確認するところから 相続で土地を引き継いだとき、登記簿(登記事項証明書)を見て驚くことがあります。「親の代、いや祖父母の代よりさらに前に設定された、見たこともない古い抵当権が残っていた」――そんなケースです。中には、明治時代や大正時代に設定されたものが、そのまま100年近く残っていることもあります。 ...

2026年5月22日 · ひぐらしさとし

相続させたくない相続人がいるとき──相続欠格と相続廃除のしくみ

この記事の要点 相続欠格は法律で定めた重大な行為があれば手続なしで当然に相続権を失う 相続廃除は虐待・重大な侮辱・著しい非行がある場合に家庭裁判所へ請求する必要がある どちらも代襲相続は起きる(子には相続権が移る)ため、相続放棄とは扱いが異なる 「長年、親に暴力をふるってきた子がいる」「介護を押しつけて寄りつかなかった相続人に財産を渡したくない」——相続の相談では、こうした「特定の相続人に相続させたくない」という声を聞くことがあります。 ...

2026年5月21日 · ひぐらしさとし