遠方や海外に住む人が不動産を相続したら──固定資産税の『納税管理人』とは

この記事の要点 固定資産税を納める人が、その不動産のある市区町村に住所・居所・事務所・事業所をもたない場合、納税の手続きを代わりに処理する「納税管理人」を定めることが、地方税法355条1項で求められている 定め方は、条例で決められた地域内の人を選んで市区町村長に「申告」する方法と、地域外の人を選ぶことについて「申請」して承認を受ける方法の2通り。税金の徴収に支障がないと市区町村長の「認定」を受ければ、定めなくてよい(同条2項) 相続人の中から書類の受取人を決める「相続人代表者指定届」とは別の制度。国税(相続税など)の納税管理人も、固定資産税とは別の法律の別の制度 結論から言うと、相続で不動産を引き継いだ人が、その不動産のある市区町村の外に住んでいる場合には、固定資産税について「納税管理人」を定めるか、定めなくてよいという認定を受けるかを、その市区町村に確認しておく必要があります。海外に住んでいる場合だけの話ではない点に注意が必要です。 ...

2026年10月9日 · ひぐらしさとし

固定資産評価証明書の取り方──相続人が請求するときの書類と、課税明細書で足りるかの確かめ方

この記事の要点 固定資産評価証明書は、不動産がある市区町村(東京23区は都税事務所)で請求する 所有者が亡くなっている場合、相続人も請求できる扱いの自治体がある。亡くなったことと相続人であることを示す戸籍などを用意する 手数料は自治体ごとに条例で決められていて、金額は一律ではない 相続登記で使うのは「申請する日の年度」の価格。4月1日をまたぐと、必要な年度が切り替わる 毎年届く課税明細書で足りるかどうかは、管轄の法務局に確認してから動くと二度手間を防げる 相続登記の準備で「固定資産評価証明書を用意してください」と言われたら、まずは不動産がある市区町村の固定資産税の担当窓口に請求するのが基本です。所有者が亡くなっている場合でも、相続人が戸籍などで相続人であることを示せば請求できる扱いの自治体があります。ただ、その前に、手元にある固定資産税の課税明細書で用が足りないかを、登記を申請する法務局に確かめておくと、取らなくて済む場合もあります。以下は、執筆時点(2026年10月)の制度と公開資料に基づく一般的な解説です。 ...

2026年10月9日 · ひぐらしさとし

相続人が未成年のとき、相続放棄の「3か月」はいつから?──親(法定代理人)が知った時から数えるルール

この記事の要点 相続人が未成年者のとき、相続を承認するか放棄するかを決める「3か月」は、子ども本人ではなく法定代理人(通常は親権を行う親)が、子どものために相続の開始があったことを知った時から数えます(民法917条) 家庭裁判所への相続放棄の申述(しんじゅつ:家庭裁判所への申出)も、未成年者本人ではなく法定代理人が代理して行います 親と子どもがともに相続人で子どもだけが放棄する場合(親が先に申述している場合を除く)などは、その子どもについて特別代理人の選任が必要とされています 結論:数え始めの基準は「法定代理人が知った時」 相続人は、自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内に、相続を承認するか放棄するかを決めなければなりません(民法915条1項)。この3か月を「熟慮期間(じゅくりょきかん)」といいます。 ...

2026年10月8日 · ひぐらしさとし

戸籍の上では生きている超高齢の人がいたら?──「高齢者消除」の意味と、相続人から外せない理由

この記事の要点 いわゆる「高齢者消除」は、戸籍上の整理をするための行政上の措置で、これによって死亡の効果が直ちに生じるものではないと、法務省の資料で説明されている そのため、高齢者消除だけを理由に、その人の相続が始まったと扱ったり、ほかの人の相続で相続人から外したりすることはできない 相続の手続きを進めるには、失踪宣告や不在者財産管理人の選任など、家庭裁判所の手続きが必要になる場合がある 戸籍に残る「生きているはずのない年齢」の人 相続人を確定するために戸籍をさかのぼっていくと、生まれた年から数えるとかなりの高齢になるのに、死亡の記載がないまま戸籍に残っている人が見つかることがあります。死亡届が出されないまま年月が過ぎると、戸籍の上では生きている状態が続くためです。 ...

2026年10月8日 · ひぐらしさとし

相続登記の登録免許税を自分で計算する──評価証明書のどの数字を使う?千円未満切り捨て・共有持分の計算

この記事の要点 計算に使うのは、固定資産評価証明書(または固定資産課税明細書)の「価格」(評価額)の欄です。「課税標準額」の欄ではありません。 計算の順番は「各不動産の価格(持分なら価格×持分)を出す → 免税になる土地を除いて合計する → 1,000円未満を切り捨てる → 1000分の4を掛ける → 100円未満を切り捨てる(1,000円に満たなければ1,000円)」です。 亡くなった方が持分で持っていた不動産は「価格×持分の割合」で計算し、100万円以下の免税もこの持分の価額で判定するよう法務局は案内しています。 100万円以下の土地の免税は、建物には使えず、2027年3月31日までの間に受ける登記が対象で、申請書に根拠の条項を書かないと受けられません。 相続登記の登録免許税は、手順さえ押さえれば電卓で計算できます。結論から言うと、ポイントは「どの数字を使うか」と「どこで端数を切り捨てるか」の2つです。 ...

2026年10月8日 · ひぐらしさとし

相続放棄した人がいるときの相続登記──申請書の書き方と必要書類、受理証明書と受理通知書の扱い

この記事の要点 家庭裁判所で相続放棄をした人は、初めから相続人でなかったものとみなされます(民法939条)。そのため、相続登記の申請書の相続人欄には書きません。 申請書の添付情報欄に、相続放棄のための特別な項目はありません。2026年10月5日以降の様式どおり「登記原因証明情報 住所証明情報 国籍等を証する情報」と書き、放棄があったことを示す書面を、相続を証明する書類と一緒に添付します。 放棄を示す書面として、法務局の案内が入手を求めているのは「相続放棄申述受理証明書」です。受理通知書で代えられるかを明示した法務局・法務省の公開資料は、今回確認した範囲では見つかりませんでした。通知書で済ませたいときは、申請前に管轄の法務局へ確認してください。 法定相続情報一覧図には、放棄した人も載ります。一覧図を使う場合でも、受理証明書は別に必要です。 放棄によって次の順位の人が相続人になると、申請書に書く人も、集める戸籍も変わります。迷ったときは、お近くの司法書士にご相談ください。 相続人の中に、家庭裁判所で相続放棄をした人がいる場合の相続登記について、申請書の書き方に絞って説明します。相続放棄の手続きそのものは相続放棄の基本で、申請書の各欄の一般的な書き方(原因の日付、課税価格、不動産の表示など)は相続登記申請書の書き方で説明していますので、ここでは繰り返しません。 ...

2026年10月7日 · ひぐらしさとし

数次相続の登記申請書の書き方──祖父名義のまま父も亡くなったとき「中間省略」で1件にできる場合・できない場合

この記事の要点 祖父名義の不動産について、相続登記をしないうちに父も亡くなった場合でも、途中の相続(祖父から父への相続)で取得した人が1人に決まっていれば、父名義の登記を省いて、1件の申請で最終の相続人名義にできます(いわゆる中間省略)。 途中の相続で2人以上が取得している場合は、1件にはできず、「祖父から相続人たちへ」「父の持分を父の相続人へ」の2件に分けて申請します。 1件で申請するときは、原因欄に「祖父が亡くなった日と父の氏名」「父が亡くなった日」の2つの相続を併記します。 2026年10月5日以降の申請は、「国籍等」の欄などが加わった新しい様式を使います。 1件にできるかどうかは家族関係と書類しだいで決まります。当てはめに迷ったら、お近くの司法書士にご相談ください。 この記事は、祖父(または祖母)名義のままの不動産について、ご自身で相続登記の申請書を作ろうとしている方に向けて、数次相続(すうじそうぞく)のときの申請書の組み立て方に絞って説明します。数次相続とはどういう状態で、放置すると何が厄介になるのかは、数次相続の落とし穴で解説しています。また、申請書の各欄(登記の目的・課税価格・不動産の表示など)の基本的な書き方は、相続登記申請書の書き方で説明していますので、ここでは繰り返しません。 ...

2026年10月6日 · ひぐらしさとし

相続税の未成年者控除・障害者控除とは──相続人が18歳未満や障害のある人のときに、税額から差し引かれる仕組み

この記事の要点 相続人が18歳未満のときは「未成年者控除」、85歳未満の障害者のときは「障害者控除」として、その人の相続税額から一定額が差し引かれる(相続税法19条の3・19条の4) 控除額は、18歳または85歳に達するまでの年数1年につき10万円(特別障害者は20万円)で決まり、本人の税額から引ききれない分は扶養義務者の税額から差し引ける 以前の相続ですでに控除を受けている人は、今回差し引ける額が制限される 相続税には、財産を受け取った人の年齢や障害の有無に着目して、税額を軽くする仕組みがあります。相続人が未成年の場合の「未成年者控除」と、障害のある場合の「障害者控除」です。 ...

2026年10月5日 · ひぐらしさとし

相続登記の「不動産の表示」の書き方──登記事項証明書のどこを写す?持分・敷地権・私道の落とし穴

この記事の要点 申請書の「不動産の表示」は、登記事項証明書の表題部を、下線の引かれていない最新の記載のとおりに写す欄です。ふだんの住所(住居表示)や固定資産税の通知書から写すのではありません。 亡くなった方が持分(共有の割合)だけを持っていた場合でも、不動産の表示には土地全体の所在・地番・地目・地積を書きます。持分は、登記の目的や相続人の欄など、別の欄で表します。 建物の附属建物(物置・車庫など)、マンションの敷地権、家の前の私道は、書き漏れが起きやすい三大ポイントです。 書き終えたら、登記事項証明書・遺産分割協議書と1か所ずつ突き合わせます。判断に迷う点は、お近くの司法書士にご相談ください。 相続登記の申請書で、いちばん「写し間違い」と「書き漏れ」が起きやすいのが「不動産の表示」の欄です。結論からいうと、この欄は自分で考えて書く欄ではなく、登記事項証明書の表題部を、そのまま写し取る欄です。迷いが生じるのは、どの欄をどこへ写すのか、持分や私道はどう扱うのか、という対応関係が見えにくいためです。 ...

2026年10月5日 · ひぐらしさとし

家族が亡くなったら健康保険の届出は14日以内?──国保・後期高齢者医療・介護保険の手続きと保険証・資格確認書の扱い

この記事の要点 亡くなった方が国民健康保険に入っていた場合、世帯主が14日以内に市区町村へ資格喪失の届出をするのが基本です(国民健康保険法9条、同法施行規則12条・13条)。 後期高齢者医療と介護保険にも省令に「14日以内」の定めがありますが、亡くなった場合の運用は自治体ごとに違い、「死亡届で足りる」とする案内も、被保険者証などの返却を求める案内もあります。 従来の健康保険証は2025年12月1日で有効期限が終わっており、手元に残っている可能性があるのは資格確認書などです。返却のしかたは自治体の案内に従います。会社の健康保険に入っていた場合は、窓口が市区町村ではありません。 本記事は執筆時点(2026年10月)の制度に基づく一般的な解説です。期限や必要書類は、制度や自治体によって異なります。 ...

2026年10月4日 · ひぐらしさとし