ペットに財産は残せる?──負担付遺贈とペット信託の入口

この記事の要点 ペットは法律上「物」として扱われ、相続人にも受遺者(遺贈を受ける人)にもなれない ペットの世話をお願いしながら財産を渡す方法には、負担付遺贈・負担付死因贈与・ペット信託の3つがある どの方法も「元気なうちに」お世話をお願いする人・団体と話し合い、書面で内容を確定しておくことが前提になる 結論から言うと、ペットに直接財産を残すことはできません。ペットは法律上「物(動産)」として扱われ、財産を受け取る権利の主体にはなれないためです。もっとも、「自分が亡くなった後もペットの世話を続けてほしい」という希望をかなえる仕組み自体は複数用意されています。ここでは代表的な3つの方法を紹介します。 ...

2026年8月16日 · ひぐらしさとし

相次相続控除の入口──10年以内に相続が続いたとき(詳細は税理士へ)

この記事の要点 相次相続控除とは、10年以内に二回目の相続が起きたとき、二回目の相続税の負担を調整する制度(相続税法20条) 対象になるかどうか、実際にいくら軽くなるかは個々の事情で変わり、税理士でなければ正確に判断できない 相続登記の場面でよく出てくる「数次相続」とは視点が異なる、税務上の制度 司法書士が担うのは相続登記・戸籍収集などの手続き面。税額の計算・申告は税理士の領分 心当たりがあれば、早めに税理士やお近くの司法書士へ相談を 祖父が亡くなり、その相続の手続きが終わらないうちに父も亡くなった——このように、短い間隔で相続が二回続くと、相続税の負担が二重にのしかかるのではと心配になる方は少なくありません。 ...

2026年8月15日 · ひぐらしさとし

未支給年金とは?亡くなった月の年金は誰が受け取れる――遺族の範囲と相続財産との違い

この記事の要点 亡くなった月分などまだ支払われていない年金は「未支給年金」として、一定範囲の遺族が請求できます(国民年金法19条1項、厚生年金保険法37条1項)。 未支給年金は遺産分割の対象になる相続財産ではなく、条文上「自己の名で」請求する、受け取る遺族固有の権利とされています。 亡くなった後は、市区町村への死亡届とあわせて年金の手続きが必要です。日本年金機構にマイナンバーが収録されている場合、年金側の死亡届(報告書)は原則として提出不要ですが、未支給年金の請求は別に必要です。請求書の書き方や必要書類など具体的な手続きは、年金事務所・街角の年金相談センターが窓口です。 年金を受け取っていた方が亡くなると、「亡くなった月の年金はどうなるのか」という疑問が必ず出てきます。結論から言うと、年金は後払いの仕組みのため、亡くなった時点でまだ振り込まれていない分がほとんどの場合残ります。これが未支給年金です。相続財産に含めて遺産分割で分けるものではなく、一定範囲の遺族が請求すれば受け取れるお金として、法律上別枠で扱われています。 ...

2026年8月14日 · ひぐらしさとし

法定相続情報一覧図の保管期間は5年──写しの再交付が無料でできる期限を確認する

この記事の要点 法定相続情報一覧図は、保管の申出をした日の翌年から起算して5年間、登記所(法務局)に保管される 保管期間内であれば、当初の申出書に申出人として名前を記載した人が、無料で写しの再交付を受けられる 5年を過ぎると再交付ができなくなるため、複数の手続きにまたがって使う予定がある案件ほど、期限を意識した管理が必要になる 法定相続情報一覧図は、戸籍の束を1枚にまとめて法務局の認証を受ける書類で、相続登記や預貯金の解約など複数の手続きに使い回せる点が便利です。ただしこの一覧図、登記所に「ずっと」保管されているわけではありません。保管期間には期限があります。 ...

2026年8月13日 · ひぐらしさとし

養子縁組があると戸籍はどう動く?──相続で実方の戸籍までさかのぼる理由

この記事の要点 養子縁組をすると、養子は原則として養親の戸籍に入り(戸籍法18条3項)、それまでいた実父母の戸籍からは除籍される 被相続人の戸籍を死亡から出生までさかのぼる作業で「養子」の記載に行き当たったら、その戸籍だけでは足りず、縁組前に在籍していた実方の戸籍も別途取得する必要がある 普通養子縁組は実方との親族関係が続くため実方の血族も相続人になりうるが、特別養子縁組では原則として実方との親族関係が終了し、相続人の範囲が変わる(連れ子を特別養子とした場合の例外あり) 結論から言うと、養子縁組があると戸籍は「乗り換え」が起きます。養子は養親の戸籍に入るのが原則で(戸籍法18条3項「養子は、養親の戸籍に入る。」)、氏も養親の氏を称します(民法810条本文)。戸籍は一人につき一つの籍に在籍する仕組みですから、養親の戸籍に入るということは、それまで在籍していた実父母の戸籍からは除籍される、ということでもあります。なお、これには例外があり、婚姻によって氏を改めた人は、婚姻の際に定めた氏を称すべき間は養親の氏を称しません(民法810条ただし書)。戸籍はもともと、同じ氏を称する夫婦とその子を単位として編製される仕組みですから、縁組をしても氏が変わらないのであれば、養親の戸籍に入ることにもなりません。たとえば妻の氏を称して婚姻した夫が妻の父母の養子となる、いわゆる婿養子の縁組では、夫婦の戸籍に在籍したままとなり、縁組の事実はその戸籍の身分事項欄に記載されるだけで、戸籍の「乗り換え」は起きません。 ...

2026年8月13日 · ひぐらしさとし

亡くなった方の銀行口座を解約するには──凍結から相続手続き完了までの流れ

この記事の要点 銀行は名義人の死亡を知った時点で口座を凍結し、以後は相続人であっても自由に出金できなくなる 解約・払い戻しには戸籍一式や遺産分割協議書など複数の書類が必要で、金融機関への連絡から完了まで数週間から数か月かかることが多い 口座数が多い場合は法定相続情報証明制度を使うと、戸籍の束を出し直す手間を減らせる 銀行口座の名義人が亡くなると、口座は解約や払い戻しの手続きを経て初めて相続人が受け取れる状態になります。それまでの間、口座は「凍結」され、家族であっても自由に引き出すことはできません。ここでは、凍結が始まるタイミングから解約完了までの一般的な流れを整理します。 ...

2026年8月13日 · ひぐらしさとし

準確定申告とは──誰が、どこの税務署へ出すのか(亡くなった方の所得税・詳細は税理士へ)

この記事の要点 準確定申告とは、亡くなった方(被相続人)のその年の所得税について、相続人が代わりに行う確定申告のことです 申告する義務を負うのは相続人で、包括受遺者(遺言で遺産の全部または割合で財産を受け取る人)も同じ立場に立ちます 相続人が2人以上いるときは、付表を添えて全員が連署した1通を出すのが原則で、他の相続人の氏名を付記して各別に出すこともできます 提出先は「被相続人の死亡当時の納税地」を所轄する税務署です。相続人自身の住所地の税務署ではありません 相続放棄をした人は、民法939条により初めから相続人でなかったものとみなされるため、相続人としての申告義務を負いません 申告が必要かどうかの判断・税額の計算・申告書の作成は税理士の専門分野です。具体的な内容は税理士にご相談ください 結論から言うと、準確定申告で最初につまずきやすいのは「4か月」という期限そのものよりも、誰が申告する立場なのかとどこの税務署に出すのかという2点です。とくに提出先は、相続人が住んでいる場所の税務署ではなく、亡くなった方が亡くなった当時の納税地を所轄する税務署になります。ここを取り違えると、期限を意識していても手続きが空回りしてしまいます。 ...

2026年8月12日 · ひぐらしさとし

遺言書保管制度の「通知」を使いこなす──関係遺言書保管通知と指定者通知のちがい

この記事の要点 法務局に預けた遺言書についての通知は2種類。「関係遺言書保管通知」と「指定者通知(遺言者が指定した方への通知)」で、届くきっかけがまったく違う 関係遺言書保管通知は、相続人などの誰か1人が閲覧や証明書の取得をしたときに、ほかの関係者へ届く。特別な申込みは不要 指定者通知は、遺言者が生前にあらかじめ指定した人へ届く。執筆時点(2026年8月)で3名まで指定でき、遺言者が希望した場合にだけ実施される どちらの通知にも、遺言書の「中身」は書かれていない。届いたら遺言書保管所で閲覧か遺言書情報証明書の請求をする 誰も動かなければ関係遺言書保管通知は届かない。だからこそ、保管申請のときに指定者通知を申し込んでおく意味がある 法務局に遺言書を預けたあと、その遺言書の存在は家族にどうやって伝わるのでしょうか。答えは「2種類の通知」です。ひとつは相続人などの誰かが動いたときに届くもの、もうひとつは遺言者が生前に指名した人へ届くもの。この2つは、届くきっかけも、事前の手続の要否もまったく違います。 ...

2026年8月11日 · ひぐらしさとし

相続した実家が借地権だった──慌てないための手続きと地主への対応

この記事の要点 借地権(土地を借りて建物を建てる権利)は相続財産として当然に引き継がれ、地主の承諾は不要。承諾料(名義書換料)を支払う法律上の義務もない 土地の名義変更は不要だが、建物の相続登記は必要。相続で取得を知った日から3年以内の申請が義務(怠ると10万円以下の過料の対象) 地代の支払いはそのまま相続人が引き継ぐ。滞納すると契約解除のリスクがあるので、支払方法の確認を最優先に 借地契約書を探して、契約の種類(普通借地権か定期借地権か)と特約を確認する 売却や建て替えなど「次の一手」には地主の承諾が必要になる場面がある。もめたときの交渉・紛争対応は弁護士の分野 親が亡くなり、実家の登記簿(登記事項証明書)を取ってみたら、土地の所有者欄に知らない人の名前が載っていた——。実は、実家は「借地」の上に建っていた、というケースは珍しくありません。 ...

2026年8月10日 · ひぐらしさとし

相続で共有名義にした不動産の固定資産税、誰が払う?──連帯納税義務と『代表者』のしくみ

この記事の要点 共有名義の不動産の固定資産税は、持分の割合にかかわらず共有者全員が全額について連帯して納める義務を負う(地方税法10条の2) 納税義務者は毎年1月1日(賦課期日)時点の所有者(同法343条1項・2項、359条)。登記簿や課税台帳上の所有者が賦課期日より前に亡くなっているときは、相続登記が済んでいなくても、その日に不動産を現に所有している相続人が納税義務者とされる(同法343条2項後段) 実務上は共有者の中から「代表者」が定められ、その代表者あてに納税通知書がまとめて送られるが、代表者だけが法的な納税義務を負うわけではない 相続で不動産を兄弟姉妹などと共有名義にすると、「持分に応じて、それぞれ別々に納税通知書が届いて、自分の持分の分だけ払えばいい」と考えている方が少なくありません。しかし、固定資産税に関する限り、この理解は正確ではありません。 ...

2026年8月10日 · ひぐらしさとし