財産目録の作り方──パソコン作成OKになったルールと記載例

この記事の要点 自筆証書遺言に添付する財産目録は、2019年1月13日以降、パソコン作成や通帳のコピー添付が可能になった ただし目録の各ページ(両面に記載があれば両面とも)に遺言者本人の署名と押印が必要 財産目録に書き間違いがあった場合の訂正方法にも、本文と同じ厳格なルールがある 不動産・預貯金・株式の記載例と、記載時に気をつけたいポイントを紹介 「遺言書は手書きじゃないといけないから、財産が多いと大変」——そう思っている方は少なくありません。しかし、遺言に添付する財産目録については、2019年(平成31年)1月13日から自書(手書き)が不要になりました。パソコンで一覧表を作ったり、不動産の登記事項証明書や預金通帳のコピーをそのまま添付したりできるようになっています。 ...

2026年8月10日 · ひぐらしさとし

帰省したら親と話したい「実家の話」──相続の話し合いの始め方

この記事の要点 お盆で家族が顔をそろえるこの時期は、実家の将来を話し合う数少ない機会 いきなり「相続」と切り出さなくてよい。「実家、この先どうする?」くらいの軽い一言で十分 話し合いを先延ばしにすると、判断能力の低下や急な入院で身動きが取れなくなることがある 今回のゴールは結論を出すことではなく、「家族で話す場を持てたこと」でよい お盆で実家に帰省し、親やきょうだいと顔を合わせる機会があるなら、それは実家の将来や相続について話し合いを始める貴重なタイミングです。とはいえ「相続の話」と聞くと身構えてしまう方も多いはず。結論から言えば、最初から結論を出す必要はありません。まずは「実家、この先どうする?」というくらいの軽い一言から始めれば十分です。 ...

2026年8月10日 · ひぐらしさとし

再転相続の熟慮期間はいつから?──相続放棄を決める前に相続人が亡くなったときの特別ルール

この記事の要点 相続放棄をするか承認するかを決める「3か月」の期間中に相続人本人が亡くなると、その選ぶ権利は亡くなった人の相続人へ引き継がれます(再転相続) 引き継いだ人の3か月は、最初の相続が起きたことを知った時からではなく、自分がその選ぶ権利を引き継いだ事実を知った時から数え直します(最高裁令和元年8月9日判決) 遺産分割が終わらないまま相続が重なる「数次相続」とは異なる、より限定された場面を指す言葉です 「再転相続」とは何か 相続人は、自己のために相続の開始があったことを知った時から原則3か月以内に、相続を承認するか放棄するかを決めなければなりません(民法915条1項、熟慮期間)。ところが、この3か月の途中で、相続人本人が承認も放棄もしないまま亡くなってしまうことがあります。 ...

2026年8月9日 · ひぐらしさとし

分籍とは?──自分の意思で戸籍を分けると、相続の戸籍集めはどう変わるか

この記事の要点 分籍とは、成年に達した人が自分の意思で届け出て、それまでの戸籍から抜けて新しい戸籍を単独で作ること 分籍をすると、転籍や改製のときと同じく「戸籍が区切られる」。新しい戸籍に、それ以前の戸籍の記載がそのまま引き継がれるわけではない 被相続人が生前に分籍していた場合、死亡時の戸籍だけでは兄弟姉妹の有無が分からず、分籍前の戸籍まで遡って集める必要がある 本文 分籍をしたことがある方が亡くなった場合、相続の戸籍集めでは死亡時の戸籍だけでは足りません。分籍する前の戸籍まで、さらに遡って取り寄せる必要があります。 ...

2026年8月9日 · ひぐらしさとし

エンディングノートと遺言はどう違う?──法的効力の線引き

この記事の要点 エンディングノートには法的な効力がなく、遺言だけが民法で定められた方式に従うことで法的効力を持つ 遺言でなければ実現できないこと(相続分の指定・遺贈など)をエンディングノートに書いても、法律上の効果は生まれない 財産の分け方を法的に確定させたいなら遺言、情報や気持ちを書き残したいならエンディングノートが向いている どちらを使うか迷ったら、お近くの司法書士にご相談ください 結論から言うと、エンディングノートには法的な効力がありません。法的な効力を持つのは、民法で定められた方式に従って作成された遺言だけです。どちらも「将来に備えて書いておくもの」という点では似ていますが、法律上の扱いはまったく別のものです。 ...

2026年8月9日 · ひぐらしさとし

『全財産を妻に』の遺言と二次相続──次の相続で誰が相続人になるか

この記事の要点 「全財産を妻に」という遺言は有効ですが、その財産は妻が亡くなったときの相続(二次相続)で、今度は妻の相続人へ引き継がれます 夫婦に子がいない場合、二次相続の相続人は妻の親、または妻の兄弟姉妹・甥姪になり、もともと夫の側にあった不動産がその系統へ移っていくことがあります 相続人の顔ぶれが変われば、遺産分割協議の相手も変わります。名義を放置すると数次相続になり、協議の相手はさらに増えます 相続登記は、自己のために相続の開始があったことを知り、かつ所有権を取得したことを知った日から3年以内に申請する義務があります(不動産登記法76条の2第1項) 二次相続まで見据えた選択肢には、予備的遺言、配偶者以外への配分、遺言の書き直しなどがあります。どれを選ぶかは家庭の事情によるため、お近くの司法書士にご相談ください 「財産は全部、妻に渡したい」。遺言のご相談で最もよく聞かれる希望のひとつです。 ...

2026年8月7日 · ひぐらしさとし

空き家を取り壊すと土地の固定資産税が上がるのはなぜ?──住宅用地の特例のしくみ

この記事の要点 建物が建っている土地は「住宅用地の特例」によって固定資産税の課税標準(税率をかける前の土台になる金額)が下げられている。建物を取り壊すとこの特例から外れるため、土地の固定資産税が上がることがある 軽減の割合は、200平方メートル以下の部分が価格の6分の1、それを超える部分が3分の1(地方税法349条の3の2第1項・第2項)。都市計画税にも同様の特例があるが割合は3分の1・3分の2で異なる(同法702条の3) 「更地にすると6倍になる」という言い方は正確とはいえない。負担調整措置があり、評価額も取扱いも土地ごと・市町村ごとに違うため、実際の金額はその不動産のある市町村の窓口で確かめる必要がある 結論から書きます。建物を取り壊すと土地の固定資産税が上がることがあるのは、「住宅用地の特例」という税負担を軽くする仕組みが、その土地が住宅の敷地として使われていることを前提にしているからです。建物がなくなれば前提が失われ、原則として特例の適用から外れます。 ...

2026年8月6日 · ひぐらしさとし

予備的遺言とは──「先に相手が亡くなったら」に備える条項

この記事の要点 予備的遺言(補充遺言)とは、「もし○○が私より先に亡くなっていたときは、△△に相続させる」というように、次の受け取り手をあらかじめ書いておく条項のこと 遺贈は、受け取る人が遺言者より先に亡くなると効力を生じない(民法994条1項)。その財産は原則として相続人に帰属する(民法995条) 「相続させる」と書いた場合も、その相続人が先に亡くなったときは、原則としてその子(代襲者)が代わりに受け取ることにはならない(最高裁平成23年2月22日第三小法廷判決) 予備的な条項がないと、その部分だけ遺言の効力がなくなり、結局その財産について遺産分割の話し合いが必要になる 予備的遺言は遺言書の作り直しではなく、最初から一文を足しておくだけで備えられる。作成を考えるときはお近くの司法書士にご相談ください 遺言で財産を渡すと決めた相手が、自分より先に亡くなることがあります。このとき、その部分の遺言は原則として効力を生じません。そして日本の民法には、「その人が先に亡くなっていたら、遺言者が次に望んだであろう人へ自動的に」という補充のルールは用意されていません。だからこそ、遺言のなかにあらかじめ「そのときは誰に渡すか」を書いておく必要があります。これが予備的遺言(補充遺言と呼ばれることもあります)です。 ...

2026年8月6日 · ひぐらしさとし

相続放棄の「3か月」に間に合わないときは?──家庭裁判所への期間伸長の申立て

この記事の要点 相続放棄・限定承認を選ぶための3か月の熟慮期間は、家庭裁判所に申し立てれば伸ばせる場合があります(民法915条1項ただし書) 申立てができるのは利害関係人(相続人を含む)と検察官(民法915条1項ただし書)、申立先は被相続人の最後の住所地の家庭裁判所です(家事事件手続法201条1項) 「期間を伸ばす」ための申立ても、もとの3か月が満了する前に済ませておく必要があります 「3か月」は動かせない期限ではない 相続が始まると、相続人は単純承認・限定承認・相続放棄のいずれかを、自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内に選ばなければならないとされています(民法915条1項本文)。この3か月は「熟慮期間」と呼ばれ、いつから数えるかという起算点の考え方はこちらの記事で整理しています。 ...

2026年8月5日 · ひぐらしさとし

「除籍謄本」とは?──戸籍謄本との違いと、相続登記で必要になる理由

この記事の要点 除籍謄本とは、記載されていた人が全員その戸籍から抜けて閉鎖された戸籍の写し 「今も誰かが在籍している戸籍」の写しである戸籍謄本とは別の書類で、保存の仕方も呼び方も異なる 相続登記では、被相続人の死亡から出生までを切れ目なくたどる必要があり、その過程で除籍謄本や改製原戸籍が必要になる 本文 相続の手続きを進めていると、市区町村の窓口や案内文で「戸籍謄本」だけでなく「除籍謄本」という言葉に出会います。結論から言うと、除籍謄本とは、記載されていた人が全員その戸籍から抜けて、戸籍としての役目を終えたものの写しです。 ...

2026年8月5日 · ひぐらしさとし