会社の登記簿の取り方──法務局・オンライン・登記情報提供サービス、会社法人等番号の調べ方

この記事の要点 会社の登記簿の取り方は、法務局の窓口、郵送、オンライン請求、登記情報提供サービスの4つです。前の3つは法務局が証明した「登記事項証明書」、最後の1つは証明のない「閲覧用のデータ」です 手数料は、書面(窓口・郵送)が1通600円、オンライン請求が520円(郵送受取)または490円(窓口受取)、登記情報提供サービスが330円です(2026年10月1日確認。1通が50枚を超えると、50枚までごとに100円加算) 何を取るかは「何に使うか」で決まります。履歴事項証明書・現在事項証明書・閉鎖事項証明書・代表者事項証明書の4種類があり、提出先が種類を指定していれば、その指定に従います 会社を特定するには、商号(会社名)と本店を使う方法と、登記簿に載る12桁の会社法人等番号を使う方法があります。国税庁の法人番号(13桁)は、この12桁の前に1桁を付けたものです(外国会社は別の番号体系です) 会社の登記事項証明書は、会社の関係者でなくても請求できます 取引先の確認や、融資・入札の書類、自社の手続のために「会社の登記簿を取ってきてください」と言われたとき、どの種類を、どこで、いくらで取ればよいのか迷う方は少なくありません。この記事では、取り方に絞って、種類の選び方、4つの方法の比較、会社法人等番号の調べ方、請求書の書き方を順に整理します。 ...

2026年10月2日 · ひぐらしさとし

会社の登記簿(履歴事項全部証明書)の読み方──「下線」は何を意味する?

この記事の要点 会社の登記簿(履歴事項全部証明書)は、会社の基本情報(商号・本店・目的など)→株式と資本金→役員→登記記録、というおおまかな順に欄が並んでいます 下線は「変更・抹消されて、いまは効力がない記録」の印です。下線のない記載が現在の内容で、下線があること自体は問題を意味しません 履歴事項全部証明書に載る過去の記録は、原則として、請求した日の3年前の年の1月1日以降に抹消されたものまでです(商業登記規則30条1項2号。1つ前の商号・本店はそれより前でも載ります) 役員欄の右側には「就任(重任)した日」と「登記した日」の2つの日付が並びます 代表取締役の住所が市区町村までしか書かれていないのは、2024年10月1日に始まった住所非表示の措置によるものと考えられます 取引先の確認、融資の申込み、入札参加の書類などで「履歴事項全部証明書」を求められ、初めて手にしたという方に向けて、この記事ではどの欄に何が書いてあるかと、下線や日付の読み方に絞って説明します。結論から言うと、下線のない記載だけを拾えば登記上の「いまの会社の姿」が、下線のある記載まで見れば「最近どこが変わったか」がわかります。 ...

2026年10月1日 · ひぐらしさとし

会社の登記の全体マップ──設立から解散まで、種類別の登記一覧

この記事の要点 会社の登記は、設立・役員・本店と支店・商号と目的・資本金と株式・機関設計・組織再編・解散と清算、といった種類に分かれます。この記事は、種類ごとに「どの記事を読めばよいか」を並べた目次です 登記している内容が変わったら、原則として変更から2週間以内に変更の登記が必要です(会社法915条1項)。怠ると代表者個人が100万円以下の過料の対象になりえます(会社法976条1号) 株式会社は、最後の登記から12年たつと、休眠会社として解散したものとみなされることがあります(会社法472条) 自分の会社に当てはまる種類を下の一覧で見つけたら、リンク先の詳しい記事へ進んでください 会社の登記にはたくさんの種類がありますが、登記簿(登記事項証明書)に載っている項目ごとに、出てくる登記はほぼ決まっています。この記事は、会社の登記に関する解説記事をまとめて案内する種類別の目次です。制度のしくみはそれぞれの記事にゆずり、ここでは「どんなときに、どの種類の登記が出てきて、どの記事を読めばよいか」だけを並べます。本記事は、執筆時点(2026年09月)の法令に基づく一般的な解説です。 ...

2026年9月30日 · ひぐらしさとし

経営者の登記カレンダー──設立から承継・万一のときまで、節目ごとの一覧

この記事の要点 会社の登記は「設立したら終わり」ではなく、役員の任期満了・増資・本店移転・事業承継・社長の死亡・解散など、経営の節目ごとに必要になる 登記の内容に変更が生じたら、原則として2週間以内に変更登記をする(会社法915条1項)。怠ると代表者個人が100万円以下の過料の対象になりうる(会社法976条1号) 株式会社は、最後の登記から12年たつと「休眠会社」として解散したものとみなされることがある(会社法472条) この記事は節目ごとの一覧(目次)です。各手続きの中身は、リンク先の個別記事で確認してください 会社の登記は、会社の一生のあいだに何度も必要になります。設立のときに1回だけ行うものではなく、役員の任期が切れたとき、資本金や本店を変えたとき、社長が交代したとき、そして会社をたたむときまで、節目ごとに「その時点の会社の姿」を登記簿に反映させる仕組みです。 ...

2026年9月26日 · ひぐらしさとし

会社名義の不動産も対象──法人の住所・名称変更登記の義務化

この記事の要点 会社などの法人も、不動産の所有者(所有権の登記名義人)として登記されている住所(本店)や名称(商号)が変わったら、変更の日から2年以内に不動産の登記を変更する義務があります(2026年4月1日から) 商業登記(会社の登記)で本店移転・商号変更をしても、それとは別の登記簿である不動産の登記が当然に書き換わるわけではありません 不動産の登記に「会社法人等番号」が記録されていれば、法務局が職権で変更登記をする仕組み(スマート変更登記)が用意されています。番号が記録されていない場合は、申出や申請が必要です 2026年4月より前の変更で未登記のものも対象で、期限は2028年3月31日です まずは会社名義の不動産の登記事項証明書を取り、名義の住所・名称と会社法人等番号の記録を確かめましょう 結論からお伝えすると、会社名義の不動産も、住所・名称変更登記の義務化の対象です。本店を移した、商号を変えたという会社が不動産を持っている場合、会社の登記(商業登記)とは別に、不動産の登記に載っている会社の住所・名称も最新にしておく必要があります。 ...

2026年9月23日 · ひぐらしさとし

後継者を決めないまま亡くなると何が起きるか──株式分散の実例と生前にできること

この記事の要点 会社に後継者がいないまま経営者が死亡すると、株式が複数の相続人に分散し、取締役の選任すら決議できなくなることがある 一人会社では取締役がゼロになり、経営者保証・役員貸付金・死亡退職金といった「お金」の整理も同時に降りかかる 生前にできる備えとして、遺言での株式承継先の指定・計画的な生前贈与・種類株式の活用があり、事業承継税制という税の優遇制度も存在する(適用可否は税理士へ) 株式分散の実例は一般化した典型パターンの紹介にとどめる。個別の紛争解決は専門家への相談が必要 「後継者を決めないまま社長に万一のことがあったら、会社はどうなるのか」──多くの中小企業経営者が漠然と抱えながら、後回しにしがちな問いです。 ...

2026年8月30日 · ひぐらしさとし

一人会社の社長が亡くなったら──後継者がいない会社はどうなる?

この記事の要点 取締役1名・株主1名の「一人会社」で社長が亡くなると、会社には取締役も代表者も誰もいない状態が生じる 緊急の対応策として、裁判所に一時取締役・一時代表取締役の選任を申し立てる方法がある(会社法346条2項・351条2項)。申立ての代理は弁護士、裁判所へ提出する書類の作成は司法書士という役割分担がある 株式は相続人に引き継がれるため、相続人が株主として新しい取締役を選ぶ道筋もある 誰も引き継がない場合は解散・清算という選択肢になるが、清算人も自動的には決まらない点に注意が必要 放置すると役員変更登記の懈怠で過料の対象になり、最終的には休眠会社として強制的に解散させられることもある 「社長がすべてを兼ねている」会社は、中小企業では珍しくありません。取締役が1人だけで、その人がほぼ全部の株式も持っている──いわゆる一人会社です。効率的に経営できる反面、その1人に万一のことがあったとき、会社の意思決定を担う人が文字どおり誰もいなくなるという弱点を抱えています。 ...

2026年8月26日 · ひぐらしさとし

自社株の相続と議決権──株式が分散すると会社が動かなくなる理由

この記事の要点 経営者が亡くなって自社株が複数の相続人に分散すると、普通決議(過半数)・特別決議(3分の2以上)の数字が揃わず、役員選任や定款変更が進められなくなることがある 遺産分割がまとまるまでの株式は相続人全員の準共有(共同で持ち合う状態)となり、権利行使者を1人定めて会社に通知しなければ、原則として議決権を行使できない(会社法106条) 会社側の対応策として「相続人等に対する売渡請求」(会社法174条)があるが、定款の定め・特別決議・1年の期限・価格の協議という条件と限界がある 最も確実なのは、経営者が元気なうちに株式を後継者へ集約しておくこと 中小企業の経営者が亡くなったとき、会社にとって最も深刻な影響のひとつが、自社株(経営者が持っていた自社の株式)の分散です。株式が複数の相続人に分かれて承継されると、株主総会で必要な賛成の数が揃わなくなり、役員の選任すら決められない──つまり「会社が動かなくなる」事態が現実に起こりえます。 ...

2026年8月25日 · ひぐらしさとし

代表取締役が亡くなったときの登記──会社が最初にすべき手続きの順番

この記事の要点 代表取締役が亡くなったときは、「登記の書類をそろえる」より先に後任を決められる状態をつくることが出発点になる 後任の決め方は機関設計(取締役会があるか)で変わり、取締役の人数が足りなくなった場合は裁判所に一時取締役・一時代表取締役の選任を申し立てる方法がある(会社法346条2項・351条2項) 亡くなった方が株主でもあった場合、その株式について議決権を行使してもらうには、原則として相続人側で権利を行使する人を決めてもらう必要がある 登記に必要な書類と2週間の期限は別記事にまとめてあるので、この記事は順番と段取りに絞る 代表取締役が亡くなると、会社には「登記」と「日々の意思決定」の二つの課題が同時に降ってきます。ただ、実際に困るのは書類の名前ではなく、何から手をつけるのかという順番のほうです。 ...

2026年8月24日 · ひぐらしさとし

商業登記を放置するとどうなるか──「過料」の根拠条文(会社法976条)を確認する

この記事の要点 商業登記の懈怠に対する過料の根拠条文は会社法976条で、同条は第1号から第35号まで過料事由を列挙する包括規定であり、「登記を怠ったとき」は第1号に規定されている 過料の対象は「登記を怠ったとき」全般であり、商号変更・本店移転・目的変更・役員変更など、会社法915条1項が定める変更登記義務(原則2週間以内)を怠れば、いずれもこの条文の対象になり得る 過料の上限は百万円で、刑事罰ではなく行政上の秩序罰。対象になるのは会社そのものではなく、発起人・取締役・清算人など登記義務を負う個人 「役員変更登記を怠ると過料になる」という話は聞いたことがあっても、その根拠条文が何かまで意識する機会は少ないかもしれません。実はこの過料は役員変更に限った規定ではなく、商業登記全般にかかわる一本の条文(会社法976条)に根拠があります。今回は、条文の構造そのものを確認します。 ...

2026年8月15日 · ひぐらしさとし