株主総会議事録の作り方──登記で使える議事録の要件と記載例

この記事の要点 株主総会の議事録は、会社が自分で作る社内の文書です。作成に資格は要りません。 何を書くかは法律で決まっています。会社法318条1項が作成義務を定め、具体的な記載事項は会社法施行規則72条3項が6つ挙げています。 登記の場面では、登記すべき事項について株主総会の決議が必要なとき、申請書に議事録を添付します(商業登記法46条2項)。 議事録だけでは足りず、株主リストなど別の書面も必要になる場合があります。 議事録は株主総会の日から10年間、本店に備え置く義務があります(会社法318条2項)。 次の一歩:①決議の内容と定款を確認 → ②6つの記載事項を漏れなく書く → ③その登記に必要な添付書面をあわせて確認する。 この記事が扱う範囲 株主総会の議事録には、いろいろな役割があります。社内の記録として残す、株主や取引先に説明する、後から決議の内容を確認する——どれも大切ですが、この記事は「登記の添付書面として使えるか」という一点に絞って、書き方を整理します。 ...

2026年8月8日 · ひぐらしさとし

種類株式とは──「拒否権付株式(黄金株)」を事業承継で使うときの基本と注意点

この記事の要点 種類株式とは、剰余金の配当や議決権など「権利の内容が違う株式」を、1つの会社の中で複数のタイプ発行できるしくみです。 事業承継の場面では、重要事項に「待った」をかけられる拒否権付株式(通称・黄金株)や、議決権のない株式がよく話題になります。 導入するには定款を変更する必要があり、原則として株主総会の特別決議と、2週間以内の変更登記が必要です。 拒否権付株式には、持っている人の判断能力が下がったときや、相続で株式が分散したときに、会社の意思決定が止まってしまうという裏側のリスクがあります。 どの種類株式をどう組み合わせるかは会社ごとの事情で大きく変わります。検討する段階で、お近くの司法書士にご相談ください。 種類株式とは──「権利の中身が違う株式」を作れる制度 種類株式とは、権利の内容が異なる2つ以上のタイプの株式を発行できるしくみのことです。 ...

2026年8月6日 · ひぐらしさとし

NPO法人と登記──設立の流れと、『資産の総額』登記廃止後に注意したい変更登記

この記事の要点 NPO法人(特定非営利活動法人)は、所轄庁の設立認証を受けたあと、法務局で設立の登記をすることによって法人として成立します(特定非営利活動促進法13条1項)。 認証申請に必要な定款・設立趣旨書・事業計画書等の書類作成の代行は行政書士の業務です。司法書士が担うのは、認証を受けたあとの設立登記・変更登記の手続です。 「資産の総額」はかつてNPO法人の登記事項で、忘れず変更登記をする必要がありましたが、2018年10月1日から登記事項ではなくなり、現在は毎年の貸借対照表の公告義務に置き換わっています。 設立登記の登録免許税は非課税(0円)です。ただし代表者の氏名・住所変更などの変更登記は、変更が生じてから2週間以内に必要です。 認証手続そのものについてのご相談は、所轄庁または行政書士へ。 「NPOを立ち上げたいが、認証と登記でどこまでが司法書士の仕事なのか分からない」という声をよく耳にします。結論から言うと、NPO法人の設立は「所轄庁による設立の認証」と「法務局での設立の登記」という2つの手続きからなり、司法書士が担うのは後者(登記)です。この記事では、NPO法人の設立登記までの流れと業務の境界線、そして「かつて忘れやすいと言われていた資産の総額の変更登記」が現在どうなっているかを整理します。 ...

2026年8月4日 · ひぐらしさとし

一般社団法人の設立登記──株式会社との違いと使いどころ

この記事の要点 一般社団法人も、株式会社と同じく「設立の登記」をすることで法人として成立します。根拠になる法律は会社法ではなく「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律」(一般法人法)です。 株式会社の「株主」「株主総会」「取締役」にあたるのが、一般社団法人では「社員」「社員総会」「理事」です。理事は必ず置きますが、理事会・監事・会計監査人は定款で任意に設置できます。 定款に社員への利益(剰余金)の分配を認める定めを置いても無効とされる点が、株式会社との最大の制度上の違いです。 出資・資本金の払込みという手続きがなく、設立登記の登録免許税は定額6万円です。 この記事は登記手続き・機関設計の違いという制度面の整理にとどめます。税務上どちらが有利かという比較や、事業判断としてどちらを選ぶべきかの助言は範囲外です。 「一般社団法人」という名前を目にする機会が増えたと感じる方も多いのではないでしょうか。業界団体や同窓会、地域の任意団体などが、法人格を持つために一般社団法人を選ぶ例が増えています。 ...

2026年8月2日 · ひぐらしさとし

「廃業しかない」と決める前に──M&A・事業譲渡という選択肢と、動く登記・動かない登記

この記事の要点 会社の出口は「たたむ(解散・清算)」だけではなく、株式譲渡・事業譲渡・合併・会社分割という第三者への引き継ぎ方がある 型によって登記の動き方がまったく違う。事業譲渡そのものは登記事項ではなく、会社の登記簿に「事業を譲渡した」とは記録されない 吸収合併・吸収分割は効力が生じた日から2週間以内、解散後の清算結了も承認の日から2週間以内と、登記に期限がある(会社法921条・923条・929条) 相手方探し・価格・条件交渉は弁護士やM&A支援機関、税金は税理士、登記は司法書士と、聞く相手が分かれる 「後継者がいない。もう会社をたたむしかないだろうか」 ...

2026年8月1日 · ひぐらしさとし

会社の実印(代表者印)と印鑑届は今も必要?──オンライン申請時代の取り扱いを整理

「会社の実印(代表者印)って、もう作らなくていいんですか」——起業を考えている方から、こう聞かれることが増えています。結論からいうと、登記所(法務局)への印鑑の届出(印鑑届)は、オンライン申請であれば任意になりました。ただし、書面申請では今も届出が必要で、融資や不動産取引などの場面では印鑑証明書そのものが実務上求められることが多く、「もう不要」と単純に言い切れる話ではありません。この記事では、制度の変遷と、現時点で会社の実印・印鑑届をどう考えればよいかを整理します。 ...

2026年7月26日 · ひぐらしさとし

資本金はいくらにする?──1円起業の現実と登記・信用への影響

この記事の要点 会社法上、株式会社の資本金は1円でも設立できる(最低資本金制度は廃止済み) ただし実際には運転資金・信用力の観点から、多くの会社が数十万円〜数百万円で設立している 資本金額は登記事項証明書(登記簿謄本)に記載され、取引先や金融機関から見える数字になる 税負担への具体的な影響は税理士へ相談を 「資本金1円で会社が作れる」は本当か 会社設立を検討する方から、よくこんな質問をいただきます。 ...

2026年7月25日 · ひぐらしさとし

個人事業から会社にする「法人成り」──設立登記の段取りと落とし穴

この記事の要点 「法人成り」とは、個人事業主が新たに会社を設立して事業を法人に引き継ぐことで、登記の手続きとしては通常の会社設立登記と同じ 資本金は現金だけでなく、車両・什器・在庫など事業用の財産を「現物出資」として組み込むこともできる 屋号をそのまま会社の商号にすることはできるが、契約・許認可・口座などの名義は別途ひとつずつ切り替える必要がある 会社の成立日は原則として「法務局が登記の申請を受け付けた日」。事業年度の初日や許認可の切替えタイミングとのズレが、思わぬ手続き漏れにつながる 税務上の損得(消費税・法人税の取扱いなど)は司法書士の業務範囲外。税理士にご相談ください 「個人事業を会社にしたい」と考えたとき、最後の仕上げになるのが会社の設立登記です。結論から言うと、法人成りの登記手続き自体は、これから起業する人がゼロから会社をつくるときの設立登記と変わりません。ただし、個人事業からの移行だからこそ気をつけたい論点──資産の引継ぎ方や名義の切替えなど──があります。ここでは、その段取りと見落としやすい点を整理します。 ...

2026年7月24日 · ひぐらしさとし

「株主リスト」とは──登記のたびに求められる書類と株主名簿との違い

「増資の登記なのに、なぜ株主全員の一覧のような書類を出すのですか」──商業登記の相談で、経営者からよくいただく疑問です。実はこの書類、会社が備え置く株主名簿そのものではなく「株主リスト」という、登記の添付書面としてまったく別の役割を持つ書類です。株主リストは、株主総会の決議や株主全員の同意が適法に成立したことを法務局に示すための証明書類であり、日常的に備え置く株主名簿とは作成目的も記載範囲も異なります。 ...

2026年7月23日 · ひぐらしさとし

監査役の任期は4年──取締役と違う任期ルールと変更登記

この記事の要点 監査役の任期は原則4年(取締役は原則2年)。任期の数え方は「選任後4年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時まで」(会社法336条1項) 非公開会社(株式譲渡制限会社)は、定款の定めによって監査役の任期を最長10年まで伸長できる(会社法336条2項) 監査等委員会設置会社・指名委員会等設置会社は、そもそも監査役を置くことができない(会社法327条4項) 同じ人がそのまま監査役を続ける場合も、任期満了のたびに「重任」の変更登記が必要 変更登記は変更が生じてから2週間以内(会社法915条1項)。放置すると過料の対象になり得る(会社法976条1号) 「監査役は特にすることがないから、任期も取締役と同じでいいだろう」——中小企業の経営の現場では、こうした思い込みをよく見かけます。しかし会社法上、監査役の任期は取締役の任期とは別のルールで決まっており、任期の長さも計算方法も異なります。取締役の任期管理はできていても、監査役の任期だけがうっかり見落とされ、登記懈怠(けたい=申請を怠ること)につながるケースは少なくありません。 ...

2026年7月22日 · ひぐらしさとし