司法書士の見積書の読み方──報酬と実費の違い、受け取ったら確認したい点

この記事の要点 見積書は大きく「報酬(司法書士の手数料)」と「実費(登録免許税・証明書の手数料・郵送費など)」に分かれる。まずこの2つを分けて読む 報酬は各司法書士が依頼者との合意で決めるもので、全国一律の報酬基準はない 受け取ったら「どの手続きが含まれるか」「書類取得の代行は含まれるか」「追加費用が出るのはどんなときか」「登録免許税は確定額か概算か」を確認する 司法書士に相続登記などを頼もうとすると、依頼の前に見積書を受け取ることがあります。ただ、項目がいくつも並んでいて、どこをどう読めばよいのか戸惑う方も少なくありません。この記事では、見積書の内訳の読み方と、受け取ったときに確認しておきたい点を整理します。執筆時点(2026年9月)の一般的な解説です。 ...

2026年9月23日 · ひぐらしさとし

マンションを相続したときの登記──敷地権付き区分建物は何が違う?

この記事の要点 敷地権付きのマンションは、お部屋(専有部分)について相続登記を申請すれば、土地の権利(敷地権)にもその登記の効力が及ぶ。土地について別に申請する必要は原則としてない 申請書の「不動産の表示」は、一棟の建物・専有部分の建物・敷地権の3つを書く三段構え。登記事項証明書の表題部を写し取るのが基本 登録免許税は、建物の評価額と「土地全体の評価額×敷地権の割合」を足した金額に税率0.4%をかけて計算する 敷地権のない古いマンションでは、建物とは別に土地の共有持分についても相続登記を申請する必要がある 必要書類(戸籍・住民票・遺産分割協議書など)は一戸建ての相続登記と同じ。期限は取得を知った日から3年以内 結論:建物の相続登記を申請すれば、土地の持分も一緒に動く 親が住んでいたマンションを相続した方から、「建物だけでなく、土地の持分の登記も別にしなければならないのか」という疑問がよく聞かれます。 ...

2026年9月11日 · ひぐらしさとし

司法書士と税理士の役割分担──相続で「登記の人」と「税金の人」

この記事の要点 相続の手続きでは、不動産の名義変更(相続登記)は司法書士、相続税の申告・税額相談は税理士と、法律で担当する業務が分かれている 相続の場面で司法書士が案内できる税金は、登記を受けるためにかかる「登録免許税」に限られるという例外がある 相続税がかかるかどうか、いくらになるかという個別の税務相談・申告代理は税理士の業務であり、司法書士は扱えない どちらに相談すればよいか迷ったときは、まず窓口となった専門家に聞けば、必要に応じてもう一方につないでもらえる 相続の手続きを進めていると、「この件は司法書士と税理士のどちらに聞けばよいのか」と迷う場面が出てきます。結論から言うと、相続の場面では大きく分けて「登記の人(司法書士)」と「税金の人(税理士)」に役割が分かれており、それぞれが法律で担当できる業務の範囲を定められています。この記事では、その役割分担の考え方を整理します。 ...

2026年9月9日 · ひぐらしさとし

住宅用家屋証明書とは──登録免許税が軽くなる書類の基礎(誰が・どこで・いつ取る)

この記事の要点 住宅用家屋証明書は、マイホームの登記にかかる登録免許税を軽い税率にするために、登記申請書に添付する書類です 発行するのは税務署でも法務局でもなく、その家屋がある市区町村(役所の資産税課・税務課など)です 軽減は自動では受けられません。登記を申請する前に証明書を用意しておく必要があります マイホームを新築したり買ったりすると、所有権の登記や住宅ローンの抵当権の登記をすることになり、国に**登録免許税(とうろくめんきょぜい)を納めます。一定の要件を満たす「自分が住むための家」については、この税率が本来より軽くなる仕組みがあり、その軽減を受けるための入場券にあたるのが住宅用家屋証明書(じゅうたくようかおくしょうめいしょ)**です。 ...

2026年9月3日 · ひぐらしさとし

登録免許税は収入印紙で納める?──法律上は現金納付が原則というきまりと、印紙に消印をしない理由

この記事の要点 登録免許税の納め方には、現金納付・収入印紙・電子納付があり、法律にはこのほかに「納付受託者」に納付を委託する方法(クレジットカード納付など)も置かれている 法律上の原則は現金納付で、収入印紙による納付は税額が3万円以下の場合など一定の場合に認められた方法として定められている 申請書につづる収入印紙には、割印や消印をしないよう法務局の記載例が案内している 登記の名義変更をするときには、登録免許税という国の税金がかかります。窓口では収入印紙を貼って納める場面をよく見かけるため、「登録免許税は印紙で納めるもの」と思われがちですが、条文のつくりは逆です。結論から言うと、法律上の原則は現金で納めることで、収入印紙による納付は一定の場合に認められた方法として定められています。 ...

2026年8月31日 · ひぐらしさとし

親子間売買はなぜ住宅ローンが通りにくい?──売買・贈与・相続の分かれ道

この記事の要点 親子間の不動産売買は、金融機関の住宅ローン審査で慎重に扱われる傾向があるとされている 売買・贈与・相続は、登記の原因も必要書類も登録免許税の税率もそれぞれ異なる 時価に比べて著しく低い価格での売買は、その差額部分が「贈与」とみなされる可能性があるため、価格の決め方には注意が必要 税額の計算や個別の判断は税理士へ相談するのが基本 親から子へ、あるいは子から親へ不動産を譲るとき、「売買にするか、贈与にするか、それとも将来の相続まで待つか」で迷う方は少なくありません。とくに売買を選んだ場合、「住宅ローンを組もうとしたら金融機関から難色を示された」という声を聞くことがあります。この記事では、親子間売買で住宅ローンが通りにくいと言われる一般的な背景と、売買・贈与・相続で登記や税金の扱いがどう変わるのかを整理します。 ...

2026年8月29日 · ひぐらしさとし

登録免許税はなぜ『固定資産税評価額』で計算されるの?──条文上の原則は『時価』という話

この記事の要点 登録免許税法10条1項は、課税標準を「登記の時における不動産等の価額」と定めており、この価額は一般に時価(その時点の客観的な価値)を指すと理解されている 附則7条の「当分の間」の特例により、実務では原則として固定資産課税台帳に登録された価格(固定資産税評価額)が用いられている 相続税評価額や実勢価格とは基準が異なるため、混同すると見積りや税額の見込みがずれる 相続登記や不動産の売買登記を依頼すると、司法書士から「固定資産税評価額を教えてください」と聞かれることがあります。実際に売買した金額(実勢価格)を伝えているのに、なぜ別の評価額を使うのか、疑問に思われる方は少なくありません。 ...

2026年8月14日 · ひぐらしさとし

個人事業から会社にする「法人成り」──設立登記の段取りと落とし穴

この記事の要点 「法人成り」とは、個人事業主が新たに会社を設立して事業を法人に引き継ぐことで、登記の手続きとしては通常の会社設立登記と同じ 資本金は現金だけでなく、車両・什器・在庫など事業用の財産を「現物出資」として組み込むこともできる 屋号をそのまま会社の商号にすることはできるが、契約・許認可・口座などの名義は別途ひとつずつ切り替える必要がある 会社の成立日は原則として「法務局が登記の申請を受け付けた日」。事業年度の初日や許認可の切替えタイミングとのズレが、思わぬ手続き漏れにつながる 税務上の損得(消費税・法人税の取扱いなど)は司法書士の業務範囲外。税理士にご相談ください 「個人事業を会社にしたい」と考えたとき、最後の仕上げになるのが会社の設立登記です。結論から言うと、法人成りの登記手続き自体は、これから起業する人がゼロから会社をつくるときの設立登記と変わりません。ただし、個人事業からの移行だからこそ気をつけたい論点──資産の引継ぎ方や名義の切替えなど──があります。ここでは、その段取りと見落としやすい点を整理します。 ...

2026年7月24日 · ひぐらしさとし

登録免許税は誰に相談する税金?──税理士ではなく司法書士が案内できる理由

この記事の要点 登録免許税は登記を受けるために納める国税で、司法書士が登記手続きの一環として計算・案内できる税金 所得税や相続税のような「申告」を前提とする税金とは仕組みが異なる ただし相続税・贈与税・不動産取得税など、他の税金の具体的な税額計算は税理士の業務範囲 不動産の名義変更や抵当権設定の登記を依頼した際、司法書士から登録免許税の金額を案内されて「なぜ税理士ではなく司法書士が税金の話をするのか」と疑問に思われる方がいます。結論から言うと、登録免許税は登記を受けるために納める国税であり、その計算・案内は登記手続きの一環として司法書士が行うことができる税金です。 ...

2026年7月21日 · ひぐらしさとし

家を新築したときの「所有権保存登記」──表題登記との違い・費用・自分でできるかをやさしく解説

この記事の要点 新築した建物の登記は2段階。「どんな建物か」を記録する表題登記(土地家屋調査士の担当)と、「誰のものか」を記録する所有権保存登記(司法書士の担当)に分かれます。 表題登記は所有権を取得した日(通常は建物の完成日)から1か月以内に申請する義務があります(不動産登記法47条)。所有権保存登記は義務ではありませんが、住宅ローンの抵当権をつけるにも売るにも必要です。 所有権保存登記の登録免許税は原則0.4%。新築住宅は0.15%などに軽減される特例があります(期限つき。適用は最新の要件確認を)。 どこまで自分でできるか迷ったら、お近くの司法書士・土地家屋調査士にご相談ください。 念願の家を新築したら、避けて通れないのが「登記」です。ただ、新築建物の登記は2つの登記が組み合わさっているため、少しわかりにくいところがあります。 ...

2026年7月7日 · ひぐらしさとし