相続関係説明図の書き方──法定相続情報一覧図との違いと、戸籍を返してもらう仕組み

この記事の要点 相続関係説明図は、相続登記の申請書に添えて出す図です。これを出しておくと、一緒に提出した戸籍・除籍の原本を、登記の調査が終わった後に返してもらえると法務局が案内しています 法定相続情報一覧図は、法務局に申し出て登記官の認証文が付いた写しを無料で交付してもらう証明書です。戸籍の束そのものの代わりとして、他の法務局・金融機関・年金の手続にも使えます ひとことで言うと、相続関係説明図=戸籍を返してもらうための添え物/法定相続情報一覧図=戸籍の束の代わりになる証明です。似た形の図ですが、位置づけがまったく違います 相続関係説明図には決まった様式はなく、法務局が相続登記の申請書の記載例のなかで見本を公表しています(被相続人は住所・死亡年月日、相続人は住所・出生年月日を書く形) 一覧図そのものの書き方(様式・記載例・不備で戻される例)は法定相続情報一覧図の作り方にまとめています。**この記事は「2つの図の役割の違い」と「相続関係説明図の書き方」**を扱います 相続登記を自分で進めようとすると、「相続関係説明図」と「法定相続情報一覧図」という、名前も見た目も似た2つの図が出てきます。どちらも家系図のような形をしていて、亡くなった方と相続人を線でつないだものです。 ...

2026年8月1日 · ひぐらしさとし

外国籍になった相続人がいるとき──宣誓供述書と必要書類

この記事の要点 相続人が日本国籍を失って外国籍になっていても、相続人としての地位は失われません。変わるのは、そろえる書類の中身です 日本人が外国籍を取得して日本国籍を失うことは「国籍喪失」(国籍法11条1項)または「国籍離脱」(同13条)と呼びます。「帰化」は逆方向、つまり外国人が日本国籍を取得する場合の言葉です(同4条) 在外公館(大使館・総領事館)の署名証明(サイン証明)・在留証明は、日本国籍を有する方向けの制度です。外国籍になった方は原則として発給の対象外とされています 印鑑証明書の代わりとして、現地の公証人などが認証した**宣誓供述書(せんせいきょうじゅつしょ/affidavit)**の提出を求められることがあります 求められる書類・記載事項は提出先によって違います。着手前に管轄の法務局へ事前照会するのが確実です 相続人が日本国籍を失って外国籍になっていても、その方が相続人であることは変わりません。 「相続人の一人が、何年も前に外国の国籍を取得していて、いまは日本国籍ではない」というケースで、まず押さえておきたいのがこの点です。手続きで変わるのは、本人であることや住所をどう証明するか、つまり「そろえる書類」の中身だけです。 ...

2026年7月31日 · ひぐらしさとし

法定相続情報一覧図の作り方──書式・記載例・やり直しになりやすい例

この記事の要点 一覧図に必ず書くのは「亡くなった方の氏名・生年月日・最後の住所・死亡年月日」と「相続開始のときの同順位の相続人の氏名・生年月日・続柄」(不動産登記規則247条1項1号・2号。このほか作成の年月日と記名が必要)。相続人の住所や被相続人の最後の本籍は、任意で記載できる項目です(ただし住民票の除票が市区町村で廃棄されていて最後の住所を確認できないときは、住所に代えて最後の本籍を記載します) 様式は法務局が公表しているひな型から、相続人の組み合わせに合うものを選べばよい(配偶者と子/子のみ/配偶者と父母/配偶者と兄弟姉妹/代襲相続/旧民法下の相続/養子を含む場合/列挙形式) 相続分や遺産分割の結論は記載事項に入っていないので、書き込まない やり直しになりやすいのは「戸籍が出生時までそろっていない」「続柄を『子』とだけ書いた」「住所を書いたのに住所を証する書面を付けていない」の3つ 制度そのもののしくみ・申出先・メリットは法定相続情報証明制度をやさしく解説にまとめています。この記事は「図を実際にどう書くか」の実践編です 法定相続情報一覧図は、書く項目が法令で決まっている書面です。家系図のように見えますが、自由に情報を足していい図ではありません。不動産登記規則247条1項各号に挙げられた項目を正確に書き、そこに挙げられていない事情(相続分や遺産分割の結論)は足さないのが基本です。相続人の住所や被相続人の最後の本籍、作成者の住所のように、法務局の様式・記載例が記載を認めている(または求めている)項目は別です。各号の項目を外すと、登記官から直すよう求められて出し直しになります。 ...

2026年7月31日 · ひぐらしさとし

改製原戸籍の読み方──「はらこせき」で手が止まったら見るポイント

この記事の要点 改製原戸籍は「戸籍事項欄 → 筆頭者・戸主 → 各人の身分事項欄」の順に見ると読みやすくなります。最初に見るのは名前ではなく日付です。 線が引かれて消してある記載こそ読んでください。 その線は「この人はこの戸籍から抜けました」という印で、消された内容自体は有効な情報です。 改製のときに新しい戸籍へ書き写されるのは、決められた事項だけです。すでに終わった婚姻・養子縁組などは書き写されません(戸籍法施行規則39条1項)。だから改製原戸籍を見ないと相続人が漏れます。 手数料の標準額は改製原戸籍謄本1通750円(実際の額は各市区町村の条例によります)。 読めない、つながっているか分からない、と感じたらお近くの司法書士にご相談ください。 この記事は「読み方」の話です 結論から書きます。改製原戸籍(かいせいげんこせき)は、上から順に読もうとすると必ず迷子になります。見る順序を決めて、日付から入るのが早道です。 ...

2026年7月30日 · ひぐらしさとし

転籍があると戸籍の記載は引き継がれない──相続で古い戸籍まで必要になる理由

この記事の要点 転籍とは本籍地を移すことで、他の市町村に移すと転籍先で新しい戸籍が作られる 新しい戸籍には、すでにその戸籍から抜けている人(除籍された人)の記載が引き継がれない そのため、転籍後の戸籍だけを見ても相続人が分からず、出生まで遡って戸籍を集める必要がある 本文 他の市町村へ転籍すると、その戸籍からすでに抜けた人の記載は、新しく作られる戸籍に引き継がれません。相続手続きで「いま手元にある戸籍だけでは足りない」と言われるのは、これが理由のひとつです。 ...

2026年7月28日 · ひぐらしさとし

戸籍の広域交付とは──本籍地に行かずに最寄りの窓口で戸籍をまとめて集める

この記事の要点 令和6年3月1日から、本籍地でない市区町村の窓口でも戸籍証明書を請求できる「広域交付」が始まりました(戸籍法120条の2)。 請求できるのは本人・配偶者・直系尊属(父母、祖父母など)・直系卑属(子、孫など)に限られ、兄弟姉妹の戸籍は広域交付では請求できません。 郵送での請求も、代理人による請求もできません。 請求できる方ご本人が市区町村の戸籍担当窓口に出向き、顔写真付きの本人確認書類を示す必要があります。 コンピュータ化されていない一部の戸籍・除籍は広域交付では出てきません。 「これで全部そろう」とは限らない点が最大の注意点です。 司法書士などが職務上請求で戸籍を集める場面では、広域交付は使えません。ご自身で集める場合と専門家に依頼する場合とで、たどる道筋が違います。 本籍地に行かなくても、戸籍がまとめて取れるようになりました 結論から書きます。令和6年3月1日から、本籍地が遠方でも、お住まいや勤務先の最寄りの市区町村の窓口で、戸籍証明書をまとめて請求できるようになりました。これを「広域交付」と呼びます。根拠は戸籍法120条の2で、令和元年法律第17号による改正が同日に施行されたものです(法務省民事局「戸籍法の一部を改正する法律について(令和6年3月1日施行)」)。 ...

2026年7月28日 · ひぐらしさとし

戸籍の「続柄」欄の読み方──実子と養子の記載の違い、相続人確定での注意点

この記事の要点 戸籍の「続柄」欄には、その人が戸籍の筆頭者・父母から見てどのような続き柄にあたるかが記載される 実子は生まれた順に「長男」「二男」等と記載され、普通養子縁組による養子は「養子」「養女」と記載されて区別できる(特別養子は実子と同じ記載になる) 戸籍が作られた時期によって続柄欄の記載ルール自体が変わっている箇所があり、古い戸籍を読むときは注意が必要 本文 結論から言うと、戸籍の「続柄」欄は、その戸籍に記載されている人が戸籍の筆頭者や父母との関係でどの続き柄にあたるかを示す欄で、相続人を確定する作業では「誰が実子で、誰が養子か」を読み分ける手がかりになります。ただし、続柄欄の記載ルールは戸籍が作られた時期によって変わっている部分があるため、古い戸籍を読むときは表面上の記載だけで判断しないことが大切です。 ...

2026年7月24日 · ひぐらしさとし

甥・姪が相続人になったときの手続き──代襲相続で戸籍集めと遺産分割協議が大変な理由

この記事の要点 甥・姪が代襲相続人になると、被代襲者(先に亡くなった伯父・伯母の子である自分の親)の出生から死亡までの戸籍も必要になり、通常の相続より戸籍収集の通数が増えやすい 被相続人や他の相続人(いとこにあたる人など)と面識がないことが多く、連絡先の特定や協議への参加そのものにハードルがある 相続登記の申請義務は甥・姪にも及ぶ(3年以内・起算点は「自分が相続人として不動産を取得したことを知った日」) 相続財産に負債がある可能性が見える場合は、相続放棄の期限(3か月)にも注意が必要 手続きの負担が大きいと感じたら、早い段階でお近くの司法書士に相談するのが安全 「伯父(叔父)が亡くなったが、子どももおらず、両親もすでに他界していた。兄弟姉妹である自分の親(伯父の弟や妹)も先に亡くなっているため、自分(甥・姪)が代わりに相続人になった」──こうした連絡を受けて戸惑う方は少なくありません。 ...

2026年7月21日 · ひぐらしさとし

認知された子の相続分は?──嫡出子との違いの歴史と戸籍での読み取り方

この記事の要点 婚姻関係にない父母の間に生まれた子でも、父から認知を受ければ法律上の子として相続人になる かつては嫡出子の2分の1とされていた相続分は、最高裁の判断と法改正により嫡出子と同じ扱いになっている 認知の記載は本人の戸籍だけでなく親の戸籍にも残るため、相続人を確定する際は出生まで遡って確認する必要がある 本文 結論から言うと、婚姻関係にない父母の間に生まれた子であっても、父に認知された子は法律上の子として相続人になり、相続分も嫡出子(婚姻関係にある父母の間に生まれた子)と同じです。 ...

2026年7月20日 · ひぐらしさとし

兄弟姉妹が相続人になるとき──戸籍集めが倍になる理由・遺留分がない話

この記事の要点 兄弟姉妹が相続人になるのは「子も親(祖父母等の直系尊属)もいない」場合に限られ、被相続人の父母の代から戸籍を集める必要があるため、戸籍集めの範囲が子や親が相続人の場合より大きく広がる 兄弟姉妹には遺留分(最低限保障された取り分)がないため、遺言があればその内容がそのまま実現しやすい 兄弟姉妹の代襲相続は甥・姪の代までで打ち切られ、それ以上は再代襲しない 亡くなった方に子も親(祖父母等の直系尊属)もいない場合、相続人になるのは兄弟姉妹です。この「家族構成が兄弟姉妹相続人になるケース」には、子や親が相続人になる場合とは異なる特有の注意点が2つあります。戸籍を集める範囲が大きく広がること、そして兄弟姉妹には遺留分がないことです。 ...

2026年7月20日 · ひぐらしさとし