遺体が見つからなくても戸籍に「死亡」と載る?──認定死亡のしくみと、失踪宣告との違い

この記事の要点 水難・火災その他の事変で亡くなった人がいる場合、取り調べをした官庁・公署が市町村長に死亡の報告をし、その報告に基づいて戸籍に死亡が記載される(戸籍法89条・15条)。一般に「認定死亡」と呼ばれる 失踪宣告は、家庭裁判所が利害関係人の請求で行うもので、法律上「死亡したものとみなす」(民法30条・31条)。認定死亡は、官公署の報告に基づく戸籍の記載であり、しくみも効果も異なる 相続人確定では、どちらも戸籍に記載された死亡の日(失踪宣告では死亡とみなされる時)が基準になる。特に失踪宣告は、宣告の日ではなく期間満了時・危難が去った時に死亡とみなされる点に注意する 報告によって戸籍に死亡が記載されるしくみ 結論から言うと、ご遺体が見つからない場合でも、戸籍に死亡が記載されることがあります。その根拠となるのが戸籍法89条です。 ...

2026年9月22日 · ひぐらしさとし

戸籍の「再製」とは?──作り直された戸籍に、前の記載が載らないことがある理由

この記事の要点 戸籍の「再製」には、滅失したとき・滅失のおそれがあるときの再製(戸籍法11条)と、本人の申出による再製(同法11条の2)の2種類がある 申出による再製では、訂正された事項の記載のない戸籍が作られるため、再製後の戸籍を見ても、そこに何が記載され、どう訂正されたのかは読み取れない 相続人を確定するときは、戸籍事項欄の再製の記載(戸籍法施行規則34条6号)を確認し、その戸籍だけで完結しない前提で出生まで遡る 「再製」は戸籍を作り直す手続き──2つの種類がある 戸籍の「再製」とは、すでにある戸籍を作り直す手続きのことです。戸籍法は、次の2つの場面を定めています。 ...

2026年9月18日 · ひぐらしさとし

数次相続が起きると戸籍はどこまで増える?──亡くなった相続人にも『出生から死亡まで』が必要になる理由

この記事の要点 数次相続とは、一次相続の遺産分割が終わらないうちに相続人の一人が亡くなり、二次相続が発生している状態 亡くなったその相続人についても、本来の被相続人と同じく「出生から死亡まで」の戸籍一式を追加で集める必要がある 理由は、その人自身の相続人(二次相続人)が誰であるかを確定するため。亡くなった人数が増えるほど、収集範囲は大きく膨らむ 令和6年3月1日から始まった戸籍証明書等の「広域交付」は、直系にあたらない方の戸籍・コンピュータ化されていない戸籍・代理人による請求には使えないため、数次相続では負担の軽減が限定的 本文 相続登記や遺産分割協議のために戸籍を集めるとき、子が相続人になる一般的なケースであれば、亡くなった方(被相続人)の「出生から死亡まで」の戸籍一式をひとそろい集めるのが基本の範囲になります(相続人が兄弟姉妹になる場合など、被相続人の分だけでは足りないケースもあります)。ところが数次相続が絡むと、この「ひとそろい」が何セットにも増えていきます。今回は、その増え方の仕組みを戸籍収集の実務という切り口から整理します。 ...

2026年9月14日 · ひぐらしさとし

代襲相続の原因、戸籍でどこまでわかる?──死亡・廃除は載るが、放棄・欠格は載らない

この記事の要点 代襲相続が起こる原因は「死亡・相続欠格・廃除」の3つで、相続放棄は原因に含まれない 死亡と廃除は戸籍の身分事項欄に記載されるため戸籍で確認できるが、相続欠格と相続放棄は戸籍に記載が残らない 「戸籍を見ても代襲相続が起きているかどうか判断できない」ケースがあり、その場合は証明書や家庭裁判所への照会など戸籍以外の資料で確認する必要がある 戸籍を読み進めていると、「この人は代襲相続の対象になっているのだろうか」と立ち止まる場面があります。結論から言うと、戸籍だけを見れば代襲相続の有無がすべてわかる、というわけではありません。代襲相続の原因のうち、戸籍に記載が残るものと、まったく記載が残らないものがあるためです。 ...

2026年9月10日 · ひぐらしさとし

離婚すると戸籍はどうなる?──復氏・新戸籍編製と、子の戸籍が残る理由

この記事の要点 離婚をして婚姻前の氏に戻る人(復氏する人)は、婚姻前の戸籍がまだ残っていればその戸籍に戻るが、その戸籍がすでに除かれているとき、または本人が新戸籍編製の申出をしたときは、新しい戸籍が編製される 子がいても、その子が未成年か成年かにかかわらず、離婚だけで子の氏や戸籍は当然には変わらない。子を親の戸籍に移すには、別途、家庭裁判所の許可を得て入籍の届出をする必要がある(令和8年4月1日施行の改正民法で離婚後の共同親権が選べるようになった後も同じ) 相続人調査では、離婚歴のある被相続人の戸籍を婚姻前・婚姻中・離婚後とたどり、子がどちらの戸籍に残っているかを追いかける視点が欠かせない 結論から言うと、離婚をすると、婚姻によって氏を改めた側の戸籍は動きますが、その動き方には「婚姻前の戸籍に戻る」パターンと「新しい戸籍が編製される」パターンの二通りがあり、しかも子がいる場合、その子の戸籍は離婚だけでは動きません。相続人を確定する作業でこの分かれ方を知らずにいると、被相続人の戸籍を遡っていく途中で、子の存在を見落としたり、逆に戸籍が変わった理由がわからず手が止まったりすることがあります。 ...

2026年9月6日 · ひぐらしさとし

戸籍に出てくる「戸主」とは?──家督相続と、いまの相続との違い

この記事の要点 古い戸籍には「戸主」「前戸主」という記載が出てくることがあり、これは家制度のもとで一家の代表者とされた人を指す かつては「家督相続」という制度があり、戸主の地位や財産は、原則として一人の相続人に単独で引き継がれる仕組みだった 家督相続は、昭和22年(1947年)5月3日=日本国憲法の施行日以降に開始した相続には適用されなくなっており、相続がいつ開始したかによって適用される制度が変わる(ただし、切り替わりの前後については経過規定による例外も置かれている) 本文 数次相続が絡む案件で、被相続人の出生まで戸籍を遡っていくと、明治・大正・昭和初期に編製された戸籍にたどり着くことがあります。そこに記載されている「戸主(こしゅ)」「前戸主」という文字を見て、いまの戸籍にはない言葉に戸惑う方は少なくありません。この記事では、戸主とは何か、そして戸主制度と結びついていた「家督相続」という古い相続の仕組みについて整理します。 ...

2026年9月2日 · ひぐらしさとし

戸籍の旧字体・異体字とは?──相続登記で氏名の字が戸籍ごとに違うときの考え方

この記事の要点 明治・大正期の手書き戸籍には、旧字体や異体字で書かれた氏名が数多く残っている 相続で複数世代の戸籍をつなげていくと、同じ人物なのに戸籍ごとに氏名の字体が違って見えることがある 字体の違いだけで別人・誤記と決めつけず、生年月日・父母の氏名・本籍の変遷など他の記載事項を突き合わせて同一人物かどうかを確認する 相続の手続きでは、亡くなった方の戸籍を死亡時から出生時までさかのぼって集める必要があります。何代分もの戸籍を並べていくと、同じ人物のはずなのに、戸籍ごとに氏名の漢字の形が違って見えることがあります。「高橋」の「高」が古い戸籍では「髙」(はしごだか)になっている、「澤田」が後の戸籍では「沢田」になっている――このような食い違いに気づいたとき、誤記や別人ではないかと不安になる方は少なくありません。 ...

2026年8月29日 · ひぐらしさとし

戸籍の「筆頭者」とは?──亡くなっても変わらない理由と、戸籍を請求するときの使い方

この記事の要点 筆頭者とは、戸籍の最初に記載される人のことで、その戸籍を特定するための「見出し(索引)」の役割を持ちます 筆頭者が亡くなっても筆頭者は変わりません。戸籍から除かれた後も、見出しとしてそのまま使われ続けます(戸籍法9条) 戸籍を請求するときは「本籍地+筆頭者の氏名」のセットで戸籍を特定します。相続の戸籍集めでは、この2つを押さえることが出発点になります 相続の手続きで戸籍を集めようとすると、請求書に「筆頭者」という欄があって手が止まる──よくあるつまずきです。結論からいうと、筆頭者とは戸籍のいちばん最初に記載されている人のことで、その戸籍を探し当てるための「見出し」にすぎません。世帯主のような役割でも、家族の代表でもありません。 ...

2026年8月25日 · ひぐらしさとし

戸籍謄本と戸籍抄本の違い──相続の手続きで「抄本では足りない」と言われる理由

この記事の要点 戸籍謄本は「その戸籍に載っている全員分の写し」、戸籍抄本は「その戸籍のうち一部の人だけの写し」です 相続の手続きでは、誰が相続人かを戸籍全体で確認する必要があるため、原則として謄本(全部事項証明書)が必要です コンピュータ化後の正式名称は「全部事項証明書」「個人事項証明書」ですが、窓口では今も「謄本」「抄本」で通じます 結論からいうと、相続の手続きで使う戸籍は、原則として謄本(全部事項証明書)をそろえます。抄本を取ってしまい、あとで取り直しになるのはよくあるつまずきです。なお、本記事は執筆時点(2026年8月)の制度に基づく一般的な解説です。 ...

2026年8月21日 · ひぐらしさとし

本籍地がわからないときの調べ方──相続の戸籍集めで最初につまずいたら

この記事の要点 本籍地がわからないときは、まず「本籍地の記載を希望した」住民票の写し(または除票)を取り寄せる 自分の本籍地は自分の住民票、亡くなった方の本籍地はその方の最後の住所地の住民票の除票からたどれる 除票の保存期間は延長されているが、古い除票はすでに廃棄されている場合もある 本文 戸籍を集めようとして最初につまずくのが、「そもそも本籍地がどこかわからない」という壁です。結論から言うと、本籍地を調べる最も確実な方法は、本籍地の記載を希望した住民票の写し(亡くなった方の場合は住民票の除票)を取り寄せることです。 ...

2026年8月17日 · ひぐらしさとし