一人会社の社長が亡くなったら──後継者がいない会社はどうなる?

この記事の要点 取締役1名・株主1名の「一人会社」で社長が亡くなると、会社には取締役も代表者も誰もいない状態が生じる 緊急の対応策として、裁判所に一時取締役・一時代表取締役の選任を申し立てる方法がある(会社法346条2項・351条2項)。申立ての代理は弁護士、裁判所へ提出する書類の作成は司法書士という役割分担がある 株式は相続人に引き継がれるため、相続人が株主として新しい取締役を選ぶ道筋もある 誰も引き継がない場合は解散・清算という選択肢になるが、清算人も自動的には決まらない点に注意が必要 放置すると役員変更登記の懈怠で過料の対象になり、最終的には休眠会社として強制的に解散させられることもある 「社長がすべてを兼ねている」会社は、中小企業では珍しくありません。取締役が1人だけで、その人がほぼ全部の株式も持っている──いわゆる一人会社です。効率的に経営できる反面、その1人に万一のことがあったとき、会社の意思決定を担う人が文字どおり誰もいなくなるという弱点を抱えています。 ...

2026年8月26日 · ひぐらしさとし

代表取締役が亡くなったときの登記──会社が最初にすべき手続きの順番

この記事の要点 代表取締役が亡くなったときは、「登記の書類をそろえる」より先に後任を決められる状態をつくることが出発点になる 後任の決め方は機関設計(取締役会があるか)で変わり、取締役の人数が足りなくなった場合は裁判所に一時取締役・一時代表取締役の選任を申し立てる方法がある(会社法346条2項・351条2項) 亡くなった方が株主でもあった場合、その株式について議決権を行使してもらうには、原則として相続人側で権利を行使する人を決めてもらう必要がある 登記に必要な書類と2週間の期限は別記事にまとめてあるので、この記事は順番と段取りに絞る 代表取締役が亡くなると、会社には「登記」と「日々の意思決定」の二つの課題が同時に降ってきます。ただ、実際に困るのは書類の名前ではなく、何から手をつけるのかという順番のほうです。 ...

2026年8月24日 · ひぐらしさとし

監査役の任期は4年──取締役と違う任期ルールと変更登記

この記事の要点 監査役の任期は原則4年(取締役は原則2年)。任期の数え方は「選任後4年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時まで」(会社法336条1項) 非公開会社(株式譲渡制限会社)は、定款の定めによって監査役の任期を最長10年まで伸長できる(会社法336条2項) 監査等委員会設置会社・指名委員会等設置会社は、そもそも監査役を置くことができない(会社法327条4項) 同じ人がそのまま監査役を続ける場合も、任期満了のたびに「重任」の変更登記が必要 変更登記は変更が生じてから2週間以内(会社法915条1項)。放置すると過料の対象になり得る(会社法976条1号) 「監査役は特にすることがないから、任期も取締役と同じでいいだろう」——中小企業の経営の現場では、こうした思い込みをよく見かけます。しかし会社法上、監査役の任期は取締役の任期とは別のルールで決まっており、任期の長さも計算方法も異なります。取締役の任期管理はできていても、監査役の任期だけがうっかり見落とされ、登記懈怠(けたい=申請を怠ること)につながるケースは少なくありません。 ...

2026年7月22日 · ひぐらしさとし

取締役の辞任・解任の登記──辞めたのに登記簿に残ったままのリスクと必要書類

「取締役を辞めたはずなのに、登記簿を見るとまだ名前が載っている」——こうした相談は珍しくありません。取締役が辞任したり、株主総会で解任されたりしても、それだけでは登記簿の記載は自動的に変わりません。別途、法務局へ変更登記を申請して初めて、登記簿の記載も実態に追いつくのです。 ...

2026年7月21日 · ひぐらしさとし

代表取締役の交代の登記──就任・退任のパターン別 必要書類

「社長を交代することになったが、登記に何を用意すればいいのか分からない」——代表取締役の交代は、単に取締役を1人選ぶときとは必要書類の組み合わせが変わります。すでに取締役を新しく選んだときの添付書類については、取締役を新しく選んだときの登記──就任承諾書・本人確認証明書・印鑑証明書はどれが必要?で整理しました。この記事では、そこからさらに一歩進めて、代表取締役が交代する場面に絞り、辞任・任期満了・死亡というパターンごとに必要書類がどう変わるかを整理します。 ...

2026年7月20日 · ひぐらしさとし

役員変更の登記は「同じ人が続けるとき」も必要──任期満了と『重任』のはなし

「役員は前と同じ顔ぶれだから、登記は何もしなくていい」──これは誤解です。 取締役や監査役には任期があり、任期が満了するたびに、たとえ同じ人がそのまま続投する場合でも「重任(じゅうにん)」という役員変更の登記が必要になります。この登記は変更が生じてから2週間以内に行わなければならず(会社法915条1項)、怠ると過料(100万円以下)の対象になることがあります(会社法976条1号)。さらに長期間放置すると、会社が強制的に解散させられる「みなし解散」につながることもあります。 ...

2026年7月1日 · ひぐらしさとし

取締役を新しく選んだときの登記──就任承諾書・本人確認証明書・印鑑証明書はどれが必要?

「新しく取締役を1人増やすことになった」「家族や役員候補を取締役に迎えたい」——会社を続けていると、こうした場面は意外とよく訪れます。 取締役を新しく選んだら、就任から2週間以内に法務局へ「役員変更の登記」を申請するのが会社法のルールです(会社法915条1項)。このとき多くの方が戸惑うのが、**「結局どの書類を付ければいいの?」**という点です。 ...

2026年6月28日 · ひぐらしさとし

「会社が勝手に解散させられていた」――登記の放置と『会社の継続』で元に戻す手続き

この記事の要点 最後の登記から12年が経過すると、官報公告後2か月以内に届出・登記をしなければ「みなし解散」となる 解散したとみなされた時から3年以内なら、株主総会の特別決議+役員選任+登記で「会社の継続」ができる 継続の登録免許税は3万円(役員変更等をあわせて行う場合は別途加算)。3年を過ぎると継続はできない 「久しぶりに会社の登記簿(登記事項証明書)を取ってみたら、『解散』と書かれていた」――そんな相談は、決して珍しいものではありません。会社をたたんだ覚えはないのに、いつのまにか解散したことになっている。これは多くの場合、登記を長く放置していたために、国の手続きで解散したものと扱われてしまったケースです。 ...

2026年6月19日 · ひぐらしさとし

取締役会・監査役は、いまの会社に本当に必要?──機関設計を見直すときの登記手続き

この記事の要点 取締役会・監査役を置くかどうかは定款で決まり、後から見直せる 取締役会を廃止すると、取締役の人数・監査役の要否・代表取締役の選び方・株式の譲渡承認機関が連動して変わる 手続きは株主総会の特別決議→2週間以内の登記が基本。登録免許税は登記事項の区分ごとに一件3万円で、区分が異なれば合算される(役員変更が伴うとさらに加算) 会社を設立したとき、なんとなく「取締役会」を置き、「監査役」も選んだ──。中小企業ではよくある形です。 ...

2026年6月10日 · ひぐらしさとし

取締役の任期、いつ満了か言えますか──役員変更登記の懈怠と過料の話

「取締役の任期? 最初に決めたきりで、正直あまり意識していません」──中小企業の経営の現場では、こうした声がよく聞かれます。 ところがある日突然、裁判所から白い封筒が届きます。中身は「過料決定」の通知。金額は数万円から数十万円。理由は「役員変更登記を期限内にしなかったこと」。 ...

2026年5月29日 · ひぐらしさとし