問題:
次のアからオまでの記述のうち、土地の地目又は地積に関する変更の登記に関する記述として正しいものはいくつあるか。
ア. 土地の地目又は地積について変更があったときは、表題部所有者又は所有権の登記名義人は、その変更があった日から1か月以内に、地目又は地積に関する変更の登記を申請しなければならない。
イ. 地目又は地積に関する変更の登記の申請は、当該土地の表題部所有者又は所有権の登記名義人が2人以上あるときは、その全員が共同してしなければならず、その1人から申請することはできない。
ウ. 地目又は地積に関する変更の登記の申請は、書面を登記所の窓口に提出する方法によってのみすることができ、電子情報処理組織を使用する方法によってすることはできない。
エ. 表題部所有者又は所有権の登記名義人が地目又は地積に関する変更の登記の申請を怠ったときは、10万円以下の過料に処せられることがある。
オ. 登記官は、地目又は地積に関する変更の登記がされていないことを発見しても、表題部所有者又は所有権の登記名義人に代わって職権でその変更の登記をすることはできない。
答え:
正しいものは、ア・エの2つである。
解説:
ア 正しい。不動産登記法37条1項は、地目又は地積について変更があったときは、表題部所有者又は所有権の登記名義人は、その変更があった日から1月以内に、地目又は地積に関する変更の登記を申請しなければならないと定めている。
イ 誤りである。不動産登記法37条1項は、表題部所有者又は所有権の登記名義人が申請しなければならないと定めるのみで、これらの者が2人以上あるときに全員が共同すべき旨の限定を置いていない。地目又は地積に関する変更の登記は、土地の現況を登記記録に正しく反映させるための登記であって、共有者の持分そのものを処分するものではないことから、これらの者が2人以上あるときであっても、その1人から申請することができると解されている。全員が共同して申請しなければならないとする本肢は誤りである。もっとも、1人から申請することができる旨を直接定めた明文の規定はなく、理由づけの説明も一様ではない。共有物の保存行為(民法252条5項)に準じるものとみる説明と、表示に関する登記は登記官が職権ですることができる(不動産登記法28条)から申請は職権発動の端緒にとどまるとみる説明とがあり、いずれによるかは解釈・実務の取扱いに委ねられている。試験対策としては結論を押さえたうえで、明文の根拠を欠く論点である点に留意されたい。
ウ 誤りである。不動産登記法18条は、申請情報の提供方法として、1号に電子情報処理組織を使用する方法、2号に申請情報を記載した書面を提出する方法を掲げており、地目又は地積に関する変更の登記の申請も、この2つの方法のいずれによってもすることができる。書面提出の方法に限られるとする本肢は誤りである。
エ 正しい。不動産登記法164条1項は、37条1項の規定による申請をすべき義務がある者が正当な理由がないのにその申請を怠ったときは、10万円以下の過料に処すると定めている。正当な理由があるときは過料に処せられないから、「過料に処せられることがある」とする本肢は正しい。なお、同項には、相続登記の申請義務(76条の2第1項・2項)及び相続人申告登記の申出をした者に関する76条の3第4項の申請義務の違反も掲げられており、住所等変更登記の申請義務(76条の5)の違反については同条2項が5万円以下の過料を定めている。
オ 誤りである。不動産登記法28条は、表示に関する登記は、登記官が、職権ですることができると定めている。地目又は地積に関する変更の登記も表示に関する登記であるから、登記官が職権でこれをすることは妨げられない。同法29条1項も、登記官が28条の規定により職権で登記しようとする場合に不動産の表示に関する事項を調査することができる旨を定め、職権による表示に関する登記があり得ることを前提としている。登記官の職権による変更の登記が一切認められないとする本肢は誤りである。
問題:
土地家屋調査士に対する懲戒に関する次のアからオまでの記述のうち、誤っているものはいくつあるか。
ア. 土地家屋調査士に対する懲戒は、戒告、2年以内の業務の停止及び業務の禁止の3種とする。
イ. 土地家屋調査士に対する懲戒処分は、当該調査士の事務所の所在地を管轄する法務局又は地方法務局の長が行う。
ウ. 何人も、土地家屋調査士に懲戒の事由があると思料するときは、法務大臣に対し、その事実を通知し、適当な措置をとるべきことを求めることができる。
エ. 法務大臣は、業務の禁止の処分をしようとするときは、行政手続法の定めるところにより聴聞を行わなければならない。
オ. 法務大臣は、土地家屋調査士に対し懲戒処分をしたときは、遅滞なく、その旨を官報をもって公告しなければならない。
答え:
誤っているものは、イの1つである。
解説:
ア 正しい。土地家屋調査士法42条は、調査士がこの法律又はこの法律に基づく命令に違反したときに法務大臣がすることができる処分として、1号に戒告、2号に2年以内の業務の停止、3号に業務の禁止の3つを掲げている。調査士に対する懲戒処分はこの3種である。
イ 誤りである。前記42条のとおり、調査士に対する懲戒処分を行う権限は法務大臣に属する。もっとも、懲戒権者は従来は事務所の所在地を管轄する法務局又は地方法務局の長であり、令和元年法律第29号による改正(令和2年8月1日施行)によって法務大臣に改められたものであるから、改正前の枠組みと混同しないよう注意を要する。なお、調査士の登録事務を行うのも法務局又は地方法務局の長ではなく調査士会連合会であり(同法8条2項)、登録の申請は、事務所を設けようとする地を管轄する法務局又は地方法務局の管轄区域内に設立された調査士会を経由して、調査士会連合会に対してする(同法9条1項)。
ウ 正しい。土地家屋調査士法44条1項は、何人も、調査士又は調査士法人にこの法律又はこの法律に基づく命令に違反する事実があると思料するときは、法務大臣に対し、当該事実を通知し、適当な措置をとることを求めることができると定めている。同条2項は、この通知があったときは法務大臣が必要な調査をしなければならないとしている。
エ 正しい。業務の禁止(土地家屋調査士法42条3号)は、名あて人の資格又は地位を直接にはく奪する不利益処分に当たるから、行政手続法13条1項1号ロにより、法務大臣はこれをしようとするときは聴聞を行わなければならない。なお、土地家屋調査士法44条3項は、42条1号(戒告)及び2号(2年以内の業務の停止)についても、行政手続法13条1項の規定による意見陳述のための手続の区分にかかわらず聴聞を行わなければならない旨の特則を置いており、同条4項は、これらの処分及び業務の禁止の処分に係る行政手続法15条1項の通知を聴聞の期日の1週間前までにしなければならないと定めている。
オ 正しい。土地家屋調査士法46条は、法務大臣は、42条又は43条1項の規定により処分をしたときは、遅滞なく、その旨を官報をもって公告しなければならないと定めている。
問題:
民法における隣地使用権に関する次のアからオまでの記述のうち、正しいものはいくつあるか。
ア. 土地の所有者は、境界又はその付近における障壁、建物その他の工作物の築造、収去又は修繕のために必要な範囲内で、隣地を使用することができる。
イ. 土地の所有者は、境界標の調査又は境界に関する測量のために必要な範囲内で、隣地を使用することができる。
ウ. 土地の所有者が隣地を使用するに当たっては、あらかじめ、その目的、日時、場所及び方法を隣地の所有者及び隣地を現に使用している者に通知しなければならないが、あらかじめの通知が困難なときは、使用を開始した後、遅滞なく通知すれば足りる。
エ. 隣地にある住家については、その居住者の承諾がなくても、境界標の調査又は境界に関する測量のためであれば、当然に立ち入ることができる。
オ. 隣地の使用によって隣地の所有者又は隣地使用者に損害が生じたときは、その者は、隣地を使用した者に対し、償金を請求することができる。
答え:
正しいものは、ア・イ・ウ・オの4つである。
解説:
ア 正しい。民法209条1項1号は、土地の所有者は、境界又はその付近における障壁、建物その他の工作物の築造、収去又は修繕のために必要な範囲内で、隣地を使用することができると定めている。なお、同条は令和3年法律第24号による改正(令和5年4月1日施行)で全面的に改められた規定であり、改正前の同条1項が隣地の「使用を請求することができる」と定めていたのに対し、改正後は列挙された目的のため必要な範囲内で「隣地を使用することができる」とされた点が実務上も試験上も重要である。
イ 正しい。同項2号は、境界標の調査又は境界に関する測量のために必要な範囲内での隣地使用も、隣地使用権の対象として掲げている。これは上記改正により使用目的として明記されたものであり、同項は、ほかに3号として233条3項の規定による枝の切取りを掲げている。
ウ 正しい。同条3項は、隣地を使用する者は、あらかじめ、その目的、日時、場所及び方法を隣地の所有者及び隣地使用者に通知しなければならないと定めるとともに、あらかじめの通知が困難なときは、使用を開始した後、遅滞なく通知すれば足りるとしている。
エ 誤りである。同条1項ただし書は、住家については、その居住者の承諾がなければ、立ち入ることはできないと定めている。境界標の調査又は境界に関する測量のためであっても、このただし書の適用を免れず、居住者の承諾を要する。
オ 正しい。同条4項は、隣地の使用により隣地の所有者又は隣地使用者に損害が生じたときは、その者は、隣地を使用した者に対し、償金を請求することができると定めている。
問題:
測量法における用語の定義に関する次のアからオまでの記述のうち、正しいものはいくつあるか。
ア. 「測量成果」とは、当該測量において最終の目的として得た結果をいう。
イ. 「測量記録」とは、測量成果を得る過程において得た作業記録をいう。
ウ. 「基本測量」とは、すべての測量の基礎となる測量であって、国土交通省の特別の機関である国土地理院が行うものをいう。
エ. 「公共測量」に該当するためには、国又は地方公共団体が当該測量の費用の全部を負担することが必要であり、費用の一部のみを負担し、又は補助して実施する測量は「公共測量」に当たらない。
オ. 測量法にいう「測量」とは土地の測量をいい、地図の調製及び測量用写真の撮影は、これに含まれない。
答え:
正しいものは、ア・イ・ウの3つである。
解説:
ア 正しい。測量法9条は、この法律において「測量成果」とは、当該測量において最終の目的として得た結果をいうと定めている。なお、測量法2条は他の法律との関係を定める規定であり、本問で問われた用語の定義は3条(測量)、4条(基本測量)、5条(公共測量)、9条(測量成果及び測量記録)にそれぞれ置かれている。このほか、6条(基本測量及び公共測量以外の測量)、7条(測量計画機関)、8条(測量作業機関)にも定義規定が置かれている。
イ 正しい。同条は、「測量記録」とは、測量成果を得る過程において得た作業記録をいうと定めている。最終の目的として得た結果が「測量成果」、それを得る過程で得た作業記録が「測量記録」であり、両者の区別を押さえておきたい。
ウ 正しい。測量法4条は、この法律において「基本測量」とは、すべての測量の基礎となる測量で、国土地理院の行うものをいうと定めている。なお、国土地理院が国土交通省の特別の機関であることは国土交通省設置法の定めるところであり(同法第3章第3節「特別の機関」に置かれた27条1項が本省に国土地理院を置く旨を定め、同条2項が「前項に定めるもののほか」として他の特別の機関を掲げている)、測量法の条文上の文言ではない。もっとも、本肢のこの部分は国土地理院の位置付けを正しく述べたものであって、測量法の文言にない記述を含むことをもって本肢が誤りとなるものではない。
エ 誤りである。測量法5条は、「公共測量」とは基本測量以外の測量で同条各号に掲げるものをいうと定め、その1号に「その実施に要する費用の全部又は一部を国又は公共団体が負担し、又は補助して実施する測量」を掲げている。費用の全部を負担する場合に限られるとする本肢は誤りであり、一部を負担し、又は補助して実施する測量も「公共測量」に含まれる。なお、同条は、建物に関する測量その他の局地的測量又は小縮尺図の調製その他の高度の精度を必要としない測量で政令で定めるものを「公共測量」から除いており、この除外規定も併せて押さえておきたい。
オ 誤りである。測量法3条は、この法律において「測量」とは、土地の測量をいい、地図の調製及び測量用写真の撮影を含むものとすると定めている。地図の調製及び測量用写真の撮影が「測量」に含まれないとする本肢は誤りである。なお、本肢の正誤は測量法3条の文言のみで判断することができる。関連して、水路業務法2条1項は、「水路測量」とは水域の測量及びこれに伴う土地の測量並びにその成果を航海に利用させるための地磁気の測量をいうと定めたうえで、同条2項において、前項の規定は土地の測量について測量法の適用を妨げるものと解釈してはならないと定めており、水路測量に伴う土地の測量について測量法の適用が排除されるわけではない点を押さえておきたい。
問題:
表題部所有者又は所有権の登記名義人について相続その他の一般承継があった場合の表示に関する登記の申請に関する次のアからオまでの記述のうち、正しいものはいくつあるか。
ア. 表題部所有者について相続があったときは、その相続人は、被相続人がすべき表示に関する登記を、自己の名において申請することができる。
イ. 表題部所有者について相続人が数人あるときは、その全員が共同して申請しなければならず、相続人の1人から申請することはできない。
ウ. 表題部所有者である法人が合併により消滅したときは、合併後存続し、又は合併により設立された法人は、消滅した法人がすべき表示に関する登記を申請することができる。
エ. 相続その他の一般承継人が表示に関する登記を申請する場合には、相続その他の一般承継があったことを証する市町村長、登記官その他の公務員が職務上作成した情報又はこれに代わるべき情報を添付情報として提供しなければならない。
オ. 相続その他の一般承継人による表示に関する登記の申請の制度は土地についてのみ認められており、建物の表示に関する登記の申請には適用されない。
答え:
正しいものは、ア・ウ・エの3つである。
解説:
ア 正しい。不動産登記法30条は、表題部所有者又は所有権の登記名義人が表示に関する登記の申請人となることができる場合において、当該表題部所有者又は登記名義人について相続その他の一般承継があったときは、相続人その他の一般承継人は、当該表示に関する登記を申請することができると定めている。相続人は、被相続人がすべき表示に関する登記を自己の名において申請することができる。なお、権利に関する登記について一般承継人が申請することができる旨は、同法62条が別に定めている。
イ 誤りである。不動産登記法30条は、相続人その他の一般承継人は当該表示に関する登記を申請することができると定めるのみで、相続人が数人あるときに全員が共同すべき旨の限定を置いていない。表題部所有者について相続人が数人ある場合であっても、その1人から被相続人がすべき表示に関する登記を申請することができると解されており、全員が共同してしなければならないとする本肢は誤りである。もっとも、この点についても、相続人の1人から申請することができる旨を直接定めた明文の規定はない。理由づけの説明が共有物の保存行為に準じるものとみる構成と表示に関する登記の職権主義(同法28条)から説明する構成とに分かれる点を含め、第1問イと同様である。なお、法務局が公表している地目変更の登記の申請案内(熊本地方法務局・長野地方法務局等)には、「相続人が数人いても、その内の一人だけが地目変更の申請人になれます」と明示されており、相続人の一人からの申請が所管庁の取扱いとして確立していることは確認できる。
ウ 正しい。会社法750条1項は吸収合併存続株式会社が効力発生日に吸収合併消滅会社の権利義務を承継する旨を、同法754条1項は新設合併設立株式会社がその成立の日に新設合併消滅会社の権利義務を承継する旨を、それぞれ明文で定めている。合併によって消滅会社の権利義務が個別の移転行為を要せずに一括して移転することはこれらの規定から読み取ることができ、合併は不動産登記法30条にいう「相続その他の一般承継」に当たるものとして取り扱われている。したがって、合併後存続し、又は合併により設立された法人は、消滅した法人がすべき表示に関する登記を申請することができる。
エ 正しい。不動産登記令7条1項4号は、不動産登記法30条の規定により表示に関する登記を申請するときは、相続その他の一般承継があったことを証する市町村長、登記官その他の公務員が職務上作成した情報を申請情報と併せて提供しなければならないと定めている。公務員が職務上作成した情報がない場合には、これに代わるべき情報を提供することになる。
オ 誤りである。不動産登記法30条は表示に関する登記一般について規定するものであり、土地についてのみ認められるものではなく、建物の表示に関する登記の申請にも適用される。
出題分野の振り分け
| 問 | 分野 | 主な論点 | 主な根拠条文 |
|---|---|---|---|
| 第1問 | 不動産登記法(表示に関する登記) | 地目又は地積に関する変更の登記の申請義務(変更があった日から1か月以内)、申請適格者が複数あるときの1人からの申請、申請方法(書面・電子情報処理組織)、過料、登記官の職権による変更の登記 | 不動産登記法18条、28条、29条1項、37条1項、164条1項(参照:民法252条5項) |
| 第2問 | 土地家屋調査士法(懲戒) | 懲戒の種類(戒告・2年以内の業務停止・業務禁止の3種)、懲戒権者が法務大臣であること(令和元年改正・令和2年8月1日施行)、何人でもできる懲戒事由の通知、業務禁止処分における聴聞、懲戒処分の官報公告 | 土地家屋調査士法42条、44条、46条、行政手続法13条1項1号ロ |
| 第3問 | 民法(相隣関係・隣地使用権) | 隣地使用権の目的(工作物の築造等・境界標の調査又は境界に関する測量)、使用に当たっての事前通知と事後通知の許容、住家への立入りに関する居住者の承諾、損害発生時の償金請求、令和3年改正(令和5年4月1日施行)による請求権構成から使用権構成への変更 | 民法209条1項・3項・4項 |
| 第4問 | 測量法(用語の定義) | 「測量成果」「測量記録」「基本測量」「公共測量」の定義、「測量」の定義(地図の調製及び測量用写真の撮影を含むこと)、水路業務法にいう水路測量と測量法の適用関係 | 測量法3条、4条、5条、9条、水路業務法2条 |
| 第5問 | 不動産登記法(表示に関する登記の申請人) | 相続その他の一般承継人による表示に関する登記の申請、相続人が数人あるときの1人からの申請の可否、法人の合併と一般承継、添付情報(一般承継を証する情報)、土地・建物いずれにも適用されること | 不動産登記法30条、不動産登記令7条1項4号、会社法750条1項・754条1項 |