この記事の要点

  • 固定資産税評価額は原則として3年に1度(基準年度)に見直され(評価替え)、残りの2年間(据置年度)は同じ価格が据え置かれる
  • 据置年度中でも、地目の変換や家屋の増改築など特別の事情があれば例外的に価格が修正されるほか、土地には地価が下落した場合に対応する修正の仕組みもある
  • 相続や売買で登記名義が変わっても評価額や税額がすぐには動かないことがあるのは、評価替えの周期と「賦課期日」という別のルールが関係している

「去年の固定資産税の納税通知書と、今年届いた通知書を見比べたら、評価額の欄がまったく同じ数字だった」というお話や、逆に「特に何もしていないのに評価額が上がっていた」というお話を伺うことがあります。実はどちらも、固定資産税評価額が3年に1度まとめて見直される、という制度の仕組みによるものです。なお、本記事は評価替え・据置年度の一般的なしくみをご説明するものであり、個々の土地・家屋について評価額がどう計算されるか、具体的な税額がいくらになるかといった試算は行いません。あらかじめご了承ください。

地方税法は、固定資産税評価額を見直す年度を「基準年度」と呼び(341条6号)、原則として3年に1度、この基準年度に土地・家屋の評価替えが行われます。基準年度の翌年度・翌々年度は「第二年度」「第三年度」と呼ばれ、実務ではこの2年間をまとめて「据置年度」と呼びます(総務省の解説等で用いられる呼び方です)。据置年度の間は、原則として基準年度に決まった価格がそのまま据え置かれ、新たに評価をやり直すことはありません(349条2項・3項)。固定資産税評価額は毎年の固定資産税だけでなく登録免許税の計算にも使われる価格ですが、この「3年サイクル」で動く点は共通しています。なお、直近の基準年度は令和6年度(2024年度)、次の基準年度は令和9年度(2027年度)の予定であり、執筆時点の令和8年度(2026年度)は据置年度(第三年度)にあたります。

ただし、据置年度だからといって、価格が一切変わらないわけではありません。地方税法349条2項ただし書(第三年度については同条3項ただし書)は、土地の地目の変換や、家屋の改築・損壊など特別の事情があるために、基準年度の価格をそのまま用いることが不適当であるか、または課税上著しく均衡を失すると市町村長が認める場合には、その年度の課税標準(税額計算のもとになる価格)は、類似の土地・家屋の基準年度の価格に比準する価格で台帳に登録されたものとする、と定めています。ここは条文の書き方が「修正することができる」ではなく「〜とする」である点が大切で、修正するかどうかが市町村長の自由な選択に委ねられているわけではありません。判断の余地があるのは、そうした事情にあたるかどうかを認定する場面のほうであり、要件にあたると認められれば、比準した価格によることになります。たとえば、据置年度の間に田や畑を宅地に転用した場合や、増築・大規模なリフォームをした場合には、次の基準年度を待たずに評価額が見直されることがあります。

加えて、土地についてはもう一つ、地価の下落に対応する仕組みがあります。地方税法附則17条の2は、市町村の区域内で類似の利用価値があると認められる地域の地価が下落し、据え置かれた価格をそのまま用いることが課税上著しく均衡を失すると市町村長が認める場合には、総務大臣が定める基準(修正基準)によって修正した価格を土地課税台帳等に登録するものと定めています。据置年度のはずなのに土地の評価額が下がっていた、ということが起こり得るのは、この規定によるものです。ただし、この特例は対象となる年度を区切って設けられており、現行の規定が対象としているのは令和7年度分・令和8年度分の固定資産税です(条見出しも「令和七年度又は令和八年度における土地の価格の特例」となっています)。次の基準年度以降どのように扱われるかは、その都度の税制改正で定められます。なお、この修正の対象は土地に限られ、家屋は含まれていません。

「相続や売買で名義が変わったのに、なぜか評価額や納税通知書の宛先がすぐには変わらなかった」という疑問もよく伺います。これは評価替えの周期そのものというより、固定資産税が毎年1月1日(賦課期日)時点の所有者に課税されるという、また別のルールが関係している場合が多いためです。相続登記を済ませても、その内容が課税に反映されるのは、登記の後に最初に迎える1月1日を賦課期日とする年度からになります。加えて、評価額そのものは前述の3年サイクルで動くため、名義変更のタイミングと評価替えのタイミングは基本的に無関係です。二つの仕組みが重なって「思ったとおりにすぐ変わらない」という体感につながっている、と理解しておくと整理しやすくなります。

執筆時点(2026年08月)の制度に基づく一般的な解説です。もし届いた評価額そのものに疑問がある場合、固定資産税には固定資産評価審査委員会への「審査申出」という不服申立ての制度が用意されています(地方税法432条1項。申出には期限が定められています)。

ただし、据置年度については、この審査申出に条文上の限定が置かれている点に注意が必要です。据置年度は、基準年度の価格が土地課税台帳等・家屋課税台帳等に登録されたものとみなされる扱いになっており(411条3項)、このみなし登録の価格については、前に触れた地目の変換・家屋の改築や損壊といった事情があるため価格を修正すべきだ、という趣旨を申し立てる場合を除き、審査の申出をすることができないとされています(432条1項ただし書)。もっとも、令和7年度分・令和8年度分の固定資産税については、その土地が前述の地価下落に対応する修正(附則17条の2第1項)を受けるべきものであることを申し立てる場合にも申出ができるよう、読替えの規定が置かれています(同条9項)。

なお、審査申出をすべきかどうかの当否判断は、個々の評価額の内容や事情によるため、本記事では行いません。ご自身の場合に申出ができるかどうかも含めて、お住まいの市区町村の窓口にご確認ください。

まとめ

固定資産税評価額は、原則として3年に1度の基準年度に評価替えが行われ、残りの2年間(据置年度)は同じ価格が据え置かれるのが原則です。地目の変換や家屋の増改築など特別の事情があれば、据置年度中でも価格が修正されることがあり、土地については地価が下落した場合に対応する修正の仕組みも設けられています。届いた評価額に疑問がある場合は、まずお住まいの市区町村の資産税課にご相談ください。評価額そのものへの不服申立てとして固定資産評価審査委員会への審査申出の制度もありますが、据置年度については申出ができる場合が条文上限られています。審査申出をすべきかどうかの当否判断や、申出書の作成代行は本記事では行っておりません。相続登記など不動産の名義変更に関するご相談は、お近くの司法書士へどうぞ。

参考資料

この記事は、次の資料を参照して内容を確認しています(確認日:2026年08月)。

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