農地を相続したら登記だけでは終わらない?農業委員会への届出期限

この記事の要点 農地を相続すると、法務局への相続登記とは別に、農業委員会への届出という手続きが控えている 届出の期限は「農地の権利を取得したことを知った日からおおむね10か月以内」が目安とされている 登記と届出は別々の制度なので、どちらか一方をやれば足りるわけではなく、両方の期限を並行して管理する必要がある 本文 結論から言うと、相続した不動産に農地(田・畑など)が含まれる場合、法務局での相続登記だけでなく、その農地がある市区町村の農業委員会への届出も必要になります。この二つは根拠となる法律も窓口も別の手続きです。 ...

2026年7月16日 · ひぐらしさとし

改製原戸籍とは?相続登記で必要になる「コンピュータ化前の戸籍」の基礎知識

この記事の要点 改製原戸籍とは、戸籍の様式が変わる前の「古い戸籍」のこと 相続登記では、被相続人の出生から死亡までの戸籍をすべて集める必要があり、現在の戸籍だけでは足りないことが多い 改製の前後で戸籍に記載される人が変わるため、改製原戸籍を確認しないと相続人を見落とすおそれがある 本文 相続登記のために戸籍を集めていると、市区町村の窓口で「改製原戸籍もいりますか」と聞かれて戸惑う方が少なくありません。結論から言うと、相続登記では改製原戸籍もほぼ必ず必要になります。 ...

2026年7月16日 · ひぐらしさとし

おしどり贈与──婚姻20年の夫婦の自宅贈与と持戻し免除・登記

この記事の要点 「おしどり贈与」は、婚姻20年以上の夫婦間で自宅などを贈与したときに贈与税を軽くできる制度の通称(贈与税の配偶者控除) 名前が似た民法の「持戻し免除の意思表示の推定」(民法903条4項)は、婚姻20年以上・居住用不動産という要件は共通するが、目的も効果もまったく別の制度 贈与税の具体的な軽減額や適用できるかどうかの判断は税理士の専門領域で、この記事では制度が存在することの紹介にとどめる 自宅を贈与する場合は、税務の検討とあわせて名義変更登記の準備も必要になる 「長年連れ添った夫婦の間で、自宅を贈与するとお得になる制度があるらしい」——そんな話を耳にしたことがある方は多いのではないでしょうか。俗に「おしどり贈与」と呼ばれるこの話、実は中身をよく聞くと2つの別々の制度が混ざって語られていることがよくあります。 ...

2026年7月16日 · ひぐらしさとし

家族信託と不動産登記──信託すると登記簿はどうなる?

この記事の要点 不動産を家族信託の対象にすると、名義を受託者に移す登記と、信託の内容を公示する「信託目録」の登記が同時に必要になる 登記事項証明書を見ると、権利部(甲区)に受託者の名義、信託目録に委託者・受託者・受益者や信託の目的が記載される 名義が受託者に移っても、信託目録によって「これは信託財産であり、受託者が自由に処分できる財産ではない」ことが公示される 信託が終了すると、信託登記の抹消と、あらためて所有権移転登記(帰属権利者への名義変更)が必要になる 家族信託で不動産を信託財産にすると、登記簿(登記事項証明書)にはどのような変化が生じるのでしょうか。結論から言うと、名義が委託者から受託者に移るとともに、「この不動産は信託財産である」ということを示す信託目録が新たに登記されます。単なる名義変更とは異なり、登記簿を見ただけで信託財産であることが分かる仕組みになっています。 ...

2026年7月16日 · ひぐらしさとし

成年後見人が『できないこと』とは──医療同意・身元保証・自宅の売却で知っておきたい限界

この記事の要点 成年後見人は本人の財産管理や契約を広く代理できるが、「何でもできる」わけではなく、法律上できないことがある 医療への同意、本人の身元保証、婚姻などの身分行為は、後見人が本人に代わって行うことはできない 本人が住む自宅の売却など、影響の大きい行為には家庭裁判所の許可が必要 「成年後見人になれば、本人のことは何でも代わりに決められる」——そう思われがちですが、実際には後見人にも「できないこと」があります。本記事は、執筆時点(2026年07月)の制度に基づく一般的な解説です。後見・保佐・補助の違いについては、法定後見の3類型『後見・保佐・補助』はどう違う?もあわせてご覧ください。 ...

2026年7月15日 · ひぐらしさとし

貸したお金や未払い代金には時効がある|何年で消える? 時効を止める方法

この記事の要点 貸したお金や未払い代金は、一定期間放っておくと「消滅時効」で相手に支払いを断られることがある 多くの債権は、原則として「知った時から5年」または「行使できる時から10年」で時効になる(民法166条1項) 時効は、相手の承認・裁判上の請求・催告といった方法で止められるが、口頭で催促しただけでは確実には止まらない 友人に貸したお金や、取引先の未払い代金――「そのうち払ってくれるだろう」と待っているうちに、法律上は回収しにくくなってしまうことがあります。これが「消滅時効(しょうめつじこう)」です。この記事では、時効の期間と、進行を止める方法の枠組みを一般向けに整理します。 ...

2026年7月15日 · ひぐらしさとし

名義預金とは──子や孫名義の口座が「相続財産」と扱われるとき

この記事の要点 「名義預金」とは、口座の名義人(子や孫など)と、実際にお金を出して管理していた人(多くは親や祖父母)が食い違っている預金のことです。 名義が家族でも、実質的な持ち主が亡くなった方だと判断されれば、その預金は亡くなった方の財産(相続財産)としてあつかわれることがあります。 どの預金がこれに当たるかという課税上の判断や税額の計算は税理士の分野です。財産を洗い出して名義変更や遺産分割につなげる登記の手続きは、司法書士がお手伝いできます。 「亡くなった父が、孫の名前で通帳をつくって毎年お金を入れていた」「母が、私に知らせないまま私名義の口座で貯金していた」——相続が起きたあとに、こうした通帳が出てくることは珍しくありません。 ...

2026年7月15日 · ひぐらしさとし

家族信託と任意後見はどう違う?──認知症対策の2つの制度を比較

この記事の要点 家族信託は「財産を柔軟に活用・承継する」ため、任意後見は「財産管理と生活・療養の手続きを幅広く任せる」ための制度で、目的が違う どちらも本人が元気なうち(判断能力があるうち)に準備する必要があり、判断能力が下がってからでは間に合わない 両方を組み合わせて使うこともできる。自分の状況にどちらが合うかは、お近くの司法書士や公証役場に相談しながら決めるのが安心 「親が認知症になったら、家のことやお金のことは誰がどう管理するのか」——その備えとしてよく比べられるのが、家族信託とはと任意後見契約とはの2つです。結論から言うと、両者は「認知症に備える」という目的こそ重なりますが、得意なことも仕組みもかなり違います。この記事では、それぞれの深い解説は上の2記事にゆずり、「何がどう違うのか」を一般的な内容として並べて整理します。 ...

2026年7月15日 · ひぐらしさとし

「善意」と「悪意」は良い悪いではない──法律用語としての意味をやさしく解説

この記事の要点 法律でいう「善意」「悪意」は、良い心・悪い心のことではない 「善意」=ある事情を知らないこと、「悪意」=ある事情を知っていること 不動産や取引のトラブルでは、この「知っていたか・知らなかったか」で結論が変わる場面がある 法律の条文や司法書士・弁護士の説明に、「善意の第三者」「悪意の占有者」といった言葉が出てくることがあります。日常の感覚では、善意は「親切な気持ち」、悪意は「悪だくみ」を思い浮かべますが、法律の世界での意味はまったく違います。結論から言うと、善意=ある事情を知らないこと、悪意=ある事情を知っていることを指します。良い・悪いという道徳の話ではなく、「知っていたかどうか」という事実の問題です。 ...

2026年7月14日 · ひぐらしさとし

『登記識別情報』と『登記完了証』はどう違う?──登記後に届く書類の見分け方

この記事の要点 登記が終わると複数の書類が返ってくるが、なかでも「登記識別情報通知」と「登記完了証」は役割がまったく違う 登記識別情報通知は昔の「権利証」にあたるもので、新しく名義人になった人だけに通知される12桁の符号 登記完了証は「登記が終わりました」というお知らせで、権利を証明する書類ではない 不動産の登記(名義の書き換えなど)が完了すると、法務局からいくつかの書類が返ってきます。このとき混同されやすいのが「登記識別情報通知(とうきしきべつじょうほうつうち)」と「登記完了証(とうきかんりょうしょう)」です。結論から言えば、大切に保管すべきは登記識別情報通知のほうで、登記完了証は手続きが終わったことのお知らせにあたります。 ...

2026年7月14日 · ひぐらしさとし