名義預金とは──子や孫名義の口座が「相続財産」と扱われるとき

この記事の要点 「名義預金」とは、口座の名義人(子や孫など)と、実際にお金を出して管理していた人(多くは親や祖父母)が食い違っている預金のことです。 名義が家族でも、実質的な持ち主が亡くなった方だと判断されれば、その預金は亡くなった方の財産(相続財産)としてあつかわれることがあります。 どの預金がこれに当たるかという課税上の判断や税額の計算は税理士の分野です。財産を洗い出して名義変更や遺産分割につなげる登記の手続きは、司法書士がお手伝いできます。 「亡くなった父が、孫の名前で通帳をつくって毎年お金を入れていた」「母が、私に知らせないまま私名義の口座で貯金していた」——相続が起きたあとに、こうした通帳が出てくることは珍しくありません。 ...

2026年7月15日 · ひぐらしさとし

家族信託と任意後見はどう違う?──認知症対策の2つの制度を比較

この記事の要点 家族信託は「財産を柔軟に活用・承継する」ため、任意後見は「財産管理と生活・療養の手続きを幅広く任せる」ための制度で、目的が違う どちらも本人が元気なうち(判断能力があるうち)に準備する必要があり、判断能力が下がってからでは間に合わない 両方を組み合わせて使うこともできる。自分の状況にどちらが合うかは、お近くの司法書士や公証役場に相談しながら決めるのが安心 「親が認知症になったら、家のことやお金のことは誰がどう管理するのか」——その備えとしてよく比べられるのが、家族信託とはと任意後見契約とはの2つです。結論から言うと、両者は「認知症に備える」という目的こそ重なりますが、得意なことも仕組みもかなり違います。この記事では、それぞれの深い解説は上の2記事にゆずり、「何がどう違うのか」を一般的な内容として並べて整理します。 ...

2026年7月15日 · ひぐらしさとし

「善意」と「悪意」は良い悪いではない──法律用語としての意味をやさしく解説

この記事の要点 法律でいう「善意」「悪意」は、良い心・悪い心のことではない 「善意」=ある事情を知らないこと、「悪意」=ある事情を知っていること 不動産や取引のトラブルでは、この「知っていたか・知らなかったか」で結論が変わる場面がある 法律の条文や司法書士・弁護士の説明に、「善意の第三者」「悪意の占有者」といった言葉が出てくることがあります。日常の感覚では、善意は「親切な気持ち」、悪意は「悪だくみ」を思い浮かべますが、法律の世界での意味はまったく違います。結論から言うと、善意=ある事情を知らないこと、悪意=ある事情を知っていることを指します。良い・悪いという道徳の話ではなく、「知っていたかどうか」という事実の問題です。 ...

2026年7月14日 · ひぐらしさとし

『登記識別情報』と『登記完了証』はどう違う?──登記後に届く書類の見分け方

この記事の要点 登記が終わると複数の書類が返ってくるが、なかでも「登記識別情報通知」と「登記完了証」は役割がまったく違う 登記識別情報通知は昔の「権利証」にあたるもので、新しく名義人になった人だけに通知される12桁の符号 登記完了証は「登記が終わりました」というお知らせで、権利を証明する書類ではない 不動産の登記(名義の書き換えなど)が完了すると、法務局からいくつかの書類が返ってきます。このとき混同されやすいのが「登記識別情報通知(とうきしきべつじょうほうつうち)」と「登記完了証(とうきかんりょうしょう)」です。結論から言えば、大切に保管すべきは登記識別情報通知のほうで、登記完了証は手続きが終わったことのお知らせにあたります。 ...

2026年7月14日 · ひぐらしさとし

贈与契約書の作り方──口約束の贈与が後で揉める理由

この記事の要点 贈与は口約束でも成立するが、書面のない贈与は原則としていつでも解除(撤回)できるため、後で「言った・言わない」の争いになりやすい 贈与契約書を作っておくと、贈与の意思と時期がはっきり残り、相続が起きたときの家族間のトラブルを防ぎやすくなる 契約書には「誰が・誰に・何を・いつ贈るか」を正確に書き、贈与する物が不動産なら登記の名義変更もあわせて必要になる 具体的な贈与税がいくらになるか、どの制度が有利かは税理士に相談する 「孫に100万円あげると約束したのに、後から他の家族ともめてしまった」。生前贈与でこうした行き違いが起きる大きな原因は、贈与を口約束だけで済ませてしまうことにあります。結論から言えば、贈与契約書を1枚作っておくだけで、後々のトラブルの多くは防げます。 ...

2026年7月14日 · ひぐらしさとし

任意後見契約とは──元気なうちに「将来の後見人」を自分で選ぶ

この記事の要点 任意後見契約(にんいこうけんけいやく)は、判断能力があるうちに、将来判断能力が低下したときに備えて「誰に・何を任せるか」を自分で決めておく契約 家庭裁判所が後見人を選ぶ「法定後見」と違い、支援する人(任意後見人)と任せる内容を自分で選べるのが最大の特徴 契約は必ず公証役場で公正証書として作成し、実際に効力が生じるのは判断能力が低下して家庭裁判所が「任意後見監督人」を選んだ時点から 将来、認知症などで判断能力が下がったとき、財産の管理や契約を誰に任せるか——それを、元気なうちに自分の意思で決めておけるのが「任意後見契約」です。判断能力が下がってから家庭裁判所が支援者を選ぶ法定後見の3類型(後見・保佐・補助)とは、支援者を「誰が選ぶか」という点で大きく異なります。この記事では、任意後見契約とは何か、どんな流れで使われるのかを一般的な内容として整理します。 ...

2026年7月14日 · ひぐらしさとし

相続の初回相談、家族の誰と行けばいい?──代表者だけ・全員同席の考え方

この記事の要点 初回相談に誰と行くかに決まりはなく、代表者だけでも、相続人全員でもかまわない 他の相続人が同席すると、かえって本音や不安を話しにくくなることがある 迷ったら、まず代表者が個別に相談し、聞いた内容を他の相続人へ共有する流れが無難なことが多い 相続の相談に行くとき、「自分ひとりで行っていいのか」「相続人全員を連れて行くべきか」と迷う方は少なくありません。実は、初回相談に誰と行くかについて決まったルールはありません。どちらの形でも相談自体は可能です。 ...

2026年7月13日 · ひぐらしさとし

不動産取得税とは──売買・贈与の登記後に届く『納税通知書』の正体

この記事の要点 不動産取得税は売買・贈与・新築などで不動産を取得したときにかかる都道府県税 相続で取得した場合は原則として課税されない(遺産分割協議による取得も含む) 登記の際にその場で徴収されるものではなく、数か月後に納税通知書が届く 不動産の名義変更登記をしたあと、しばらくしてから都道府県の税事務所から「不動産取得税」の納税通知書が届き、驚く方がいます。結論から言うと、これは登記の手続きとは別に、不動産を取得した事実そのものに対して課される都道府県税です。登記が終わったからといって完了するものではなく、法務局から都道府県への通知を経て、後日あらためて課税されるという流れになっています。 ...

2026年7月13日 · ひぐらしさとし

暦年贈与と相続時精算課税──2024年改正後の選び方の入口(計算は税理士へ)

この記事の要点 生前贈与には「暦年贈与」と「相続時精算課税」という2つの制度があり、2024年1月の改正で仕組みが大きく変わった 暦年贈与は死亡前の「加算期間」が3年から7年に延長され、相続時精算課税には新たに年110万円の基礎控除が新設された どちらが向いているかは年齢・財産の状況・贈与の目的によって変わるため、一般的な仕組みはこの記事で押さえつつ、具体的な有利選択や税額計算は税理士に相談するのが安心 不動産を贈与する場合は、税務の選択とあわせて名義変更登記の準備も必要になる 「子や孫に、元気なうちに財産を渡しておきたい」。そう考えたとき、多くの方が耳にするのが「暦年贈与」と「相続時精算課税」という2つの制度です。どちらも生前に財産を贈る際の贈与税のしくみですが、2024年1月の税制改正で内容が大きく変わり、以前の知識のままだと判断を誤りかねません。 ...

2026年7月13日 · ひぐらしさとし

認知症になると預金は凍結される?──本人と家族が「できなくなること」

この記事の要点 認知症そのものではなく、「判断能力が低下したと金融機関が認識すること」が引き金になって、預金の引き出しなどが制限されることがあります 制限がかかると、家族であっても本人名義の口座から自由にお金を引き出せなくなる場合があります 対策には、判断能力があるうちに結ぶ「家族信託」や「任意後見契約」などがあります 判断能力が低下したあとは、家庭裁判所が関与する「法定後見」という制度で財産管理を支える仕組みがあります 制度の使い分けは個別事情によって変わるため、早めにお近くの司法書士にご相談ください 認知症になると、なぜ預金が引き出せなくなるのか 結論から言うと、預金口座は「認知症と診断された瞬間」に自動的に凍結されるわけではありません。実際に制限がかかるのは、窓口でのやり取りなどを通じて金融機関が「本人の判断能力が低下している可能性がある」と気づいたときです。 ...

2026年7月13日 · ひぐらしさとし