孫に財産を渡す方法──贈与・遺贈・養子縁組の違いと注意点

この記事の要点 孫は、親(祖父母から見た子)が先に亡くなっている場合の代襲相続を除き、そもそも法定相続人ではない 孫に財産を渡す方法は主に「生前贈与」「遺言による遺贈」「養子縁組(相続人化)」の3つで、渡すタイミングや確実性、家族関係への影響がそれぞれ異なる とくに養子縁組は他の相続人の取り分にも影響する重い制度で、税務上も孫養子には固有の取り扱いがある 制度の違いはこの記事で押さえつつ、具体的な税額や「どれが得か」の判断は税理士に、手続きの進め方はお近くの司法書士にご相談ください 「かわいい孫に、生きているうちから何か残してやりたい」「子だけでなく孫にも財産を分けたい」。相続の相談では、こうした声をよく耳にします。ただ、孫は多くの場合、法律上の相続人ではありません。子が健在であれば、祖父母の相続が発生しても、孫は自動的には財産を受け取れないのです。 ...

2026年7月19日 · ひぐらしさとし

おひとりさまの相続準備──相続人がいないと財産はどこへ行く?

この記事の要点 相続人が一人もいなくても、財産がすぐ全額国庫に入るわけではない。まず特別縁故者への財産分与の余地があり、それでも残った分だけが最終的に国庫に帰属する(民法959条) 特別縁故者への分与は家庭裁判所の裁量判断であり、身近な人が自動的に財産を受け取れる保証はない 相続土地国庫帰属法(自分から土地を手放す制度)とは別の制度なので混同しない 生前に遺言書で渡したい相手・団体を指定しておけば、相続人不存在の手続きを経ずに希望どおり財産を渡せる 遺言執行者の指定、死後事務委任契約、任意後見契約を組み合わせると、判断能力の低下から死後の事務まで一貫して備えられる 生涯未婚率の上昇や少子化を背景に、「自分が亡くなったとき、法律上の相続人が一人もいない」という、いわゆるおひとりさまが増えています。配偶者も子もおらず、親や兄弟姉妹もすでに他界している、あるいは疎遠──そうした場合、亡くなった後の財産はどこへ行くのでしょうか。 ...

2026年7月19日 · ひぐらしさとし

「又は」と「若しくは」、「及び」と「並びに」の違い──条文の接続詞は階層で読み分ける

この記事の要点 「又は」と「若しくは」はどちらも「〜か〜か」の選択。大きいくくりが「又は」、その内側の小さいくくりが「若しくは」 「及び」と「並びに」はどちらも「〜と〜」の並列。小さいくくりが「及び」、大きいくくりが「並びに」 選択は「又は」が基本形、並列は「及び」が基本形。組み合わせの向きが逆なので注意 法律の条文では、「又は」と「若しくは」、「及び」と「並びに」がはっきり使い分けられています。日常の文章ではどれも同じように使いますが、条文では言葉のかかり方の階層(大きいくくりか、小さいくくりか)を示す記号として働きます。結論から言うと、選択(〜か〜か)では大きいくくりが「又は」・小さいくくりが「若しくは」、並列(〜と〜)では小さいくくりが「及び」・大きいくくりが「並びに」です。 ...

2026年7月18日 · ひぐらしさとし

相続登記で出した戸籍は返してもらえる?──原本還付という一手間

この記事の要点 相続登記で提出した戸籍・遺産分割協議書・印鑑証明書などの原本は、原本還付(げんぽんかんぷ)という手続きをとれば、登記完了後に返してもらえる 具体的には、原本のコピーを添えて、そのコピーに「原本と相違ありません」と記して申請人が記名・押印しておく、という一手間が必要 ただし、その登記のためだけに作った委任状などは、原則として返してもらえない 「相続登記のために集めた戸籍一式を法務局に出したら、そのまま取られてしまうのだろうか」——よくあるご心配です。結論から言うと、原本還付という手続きをとれば、提出した原本は登記が終わったあとに返してもらえます。戸籍は銀行の相続手続きなど他の場面でも使うことが多いので、実務ではほぼ必ずこの手続きを使います。 ...

2026年7月18日 · ひぐらしさとし

負担付贈与とは──「介護してくれたら家をあげる」の落とし穴

この記事の要点 「介護してくれたら家をあげる」といった条件付きの贈与は「負担付贈与」と呼ばれ、もらう側にも一定の義務が生じる特殊な贈与である 約束した負担(介護など)が果たされない場合、贈与した側が契約を解除できる可能性がある 負担の内容が曖昧なまま口約束にしておくと、「ちゃんとやった/やっていない」で後々深刻なトラブルになりやすい 「介護をしてくれたら、この家をあげる」。家族の間でこうした約束が交わされることは珍しくありません。しかし、この約束は法律上「負担付贈与(ふたんつきぞうよ)」と呼ばれる特殊な贈与にあたり、通常の贈与とは異なるルールが適用されます。約束した介護が実現しなかった場合にどうなるのか、口約束のままにしておくとどんな危険があるのか、あらかじめ知っておくことが重要です。 ...

2026年7月18日 · ひぐらしさとし

子どものいない夫婦の相続──配偶者が全部もらえるわけではない

この記事の要点 子どもがいない夫婦では、配偶者だけでなく亡くなった人の親や兄弟姉妹が相続人になることがある 配偶者と親(直系尊属)が相続人のときは配偶者3分の2・親3分の1、配偶者と兄弟姉妹が相続人のときは配偶者4分の3・兄弟姉妹4分の1が目安の割合 配偶者にすべて残したいなら、生前の遺言が最も確実な備え 「子どもがいないから、財産は全部配偶者のものになる」——そう思い込んでいる方は少なくありません。ですが、これは正確ではありません。子どもがいない夫婦の一方が亡くなったとき、亡くなった人の親(存命であれば)や兄弟姉妹も、配偶者と一緒に相続人になる場合があります。 ...

2026年7月18日 · ひぐらしさとし

高齢の家族と司法書士に相談に行くとき、聞き取りやすさで気をつけたいこと

この記事の要点 高齢の家族が同席する相談では、時間を区切り休憩をはさむだけで負担が大きく変わる 「もう一度、別の言い方で説明してほしい」と伝えてよいと事前に共有しておく 疲れや聞き取りにくさのサインに気づいたら、その場で無理に結論を出さない 相続の相談に、高齢の親やご家族を連れて行くことになったとき、「長時間座っていて疲れないか」「専門的な説明についていけるか」と気になる方は少なくありません。誰と相談に行くかを決めたあとに、実際に同席してもらう際の配慮も合わせて考えておくと安心です。 ...

2026年7月17日 · ひぐらしさとし

固定資産税の『精算金』は税金なのか──決済日に買主・売主で分け合うお金の正体

この記事の要点 固定資産税は「毎年1月1日時点の登記簿上の所有者」に対して1年分課税される 年の途中で売買しても納税義務者は変わらないため、決済時に日割りで精算するのは商慣習であり、法律上の税金の分割ではない 精算金の法的性質は「売買代金の一部」と理解されており、税額そのものを分けているわけではない 不動産の売買決済の場では、固定資産税・都市計画税を「所有していた期間に応じて」買主と売主で日割り計算し、買主が売主へ精算金を支払う商慣習があります。この精算金を、税金そのものが分割されていると誤解している方が少なくありません。 ...

2026年7月17日 · ひぐらしさとし

生前贈与と遺言、どちらで渡す?──確実さ・費用・撤回のしやすさ比較

この記事の要点 「今すぐ確実に渡したい」なら生前贈与、「亡くなるまで気持ちが変わる可能性がある」なら遺言が入口の目安 生前贈与は原則やり直しがきかず、遺言は何度でも書き直せる(ただし公正証書遺言は作り直しのたびに費用がかかる) 具体的な税額の有利不利は制度の性質だけでは決まらないため、最終判断は税理士へ確認したうえで進める 「子どもに財産を渡したい」と考えたとき、多くの方が最初に迷うのが「生前贈与にするか、遺言にするか」という選択です。どちらも「自分の財産を特定の人に渡す」という点は同じですが、法律上の位置づけはまったく違います。この記事では、税額の有利不利には立ち入らず、確実さ・撤回のしやすさ・手続きの重さ・費用感という「制度の性質」だけを比較します。具体的な税額の有利不利は税理士にご確認ください。 ...

2026年7月17日 · ひぐらしさとし

見守り契約・財産管理委任・死後事務委任──「後見の手前」を支える3つの契約

この記事の要点 見守り契約は「定期的な連絡・訪問で本人の状況を確認する」契約、財産管理委任契約は「判断能力はあるが体が不自由なときに財産管理などの事務を代わってもらう」契約 どちらも判断能力が低下する前から使え、判断能力が低下した後に備える任意後見契約、死亡後に備える死後事務委任契約と組み合わせることで、生前から死後まで切れ目のない備えになる 4つの契約は役割が異なるため、まずは自分がどの時期・どの場面の備えを必要としているかを整理することが第一歩 「まだ判断能力はしっかりしているが、足腰が弱って銀行や役所に出向くのが難しくなってきた」「ひとり暮らしで、何かあったときにすぐ気づいてもらえるか不安」――こうした声から検討されることが多いのが、見守り契約と財産管理委任契約です。判断能力が低下した後の備えである任意後見契約や、死亡後の備えである死後事務委任契約とは対象となる時期が異なり、いわば「後見の手前」の期間を支える仕組みといえます。この記事では、見守り契約・財産管理委任契約を中心に、死後事務委任契約・任意後見契約との役割分担を整理します。 ...

2026年7月17日 · ひぐらしさとし