経営者の登記カレンダー──設立から承継・万一のときまで、節目ごとの一覧

この記事の要点 会社の登記は「設立したら終わり」ではなく、役員の任期満了・増資・本店移転・事業承継・社長の死亡・解散など、経営の節目ごとに必要になる 登記の内容に変更が生じたら、原則として2週間以内に変更登記をする(会社法915条1項)。怠ると代表者個人が100万円以下の過料の対象になりうる(会社法976条1号) 株式会社は、最後の登記から12年たつと「休眠会社」として解散したものとみなされることがある(会社法472条) この記事は節目ごとの一覧(目次)です。各手続きの中身は、リンク先の個別記事で確認してください 会社の登記は、会社の一生のあいだに何度も必要になります。設立のときに1回だけ行うものではなく、役員の任期が切れたとき、資本金や本店を変えたとき、社長が交代したとき、そして会社をたたむときまで、節目ごとに「その時点の会社の姿」を登記簿に反映させる仕組みです。 ...

2026年9月26日 · ひぐらしさとし

生前対策は何から始める?──遺言・贈与・家族信託・後見の全体マップ

この記事の要点 生前対策は「制度」から選ぶのではなく、「何が心配か・何をしたいか」から入ると迷いにくい 財産の行き先を決めたいなら遺言、元気なうちに渡したいなら生前贈与、判断能力が下がったときの備えなら任意後見・家族信託、体が弱ったときや亡くなった後の事務なら見守り契約・財産管理委任契約・死後事務委任契約が入口になる 遺言・任意後見・家族信託などは、本人に判断能力があるうちでなければ準備できない。生前対策そのものに法律上の期限はないが、「元気なうち」が実質的な期限になる 制度は組み合わせて使うこともできるが、どう組み合わせるかは家族構成や財産の内容によって変わるため、一律の正解はない 下の一覧表で自分の心配ごとに近い行を探し、詳しくはそれぞれの記事へ進んでください 「生前対策をしたほうがいいとは聞くけれど、何から始めればいいのか分からない」──そう感じたときは、まず「何が心配か」を一つ決めて、その心配に対応する制度の記事から読むのが近道です。遺言・生前贈与・家族信託・任意後見といった制度は、それぞれ得意な場面が違うため、心配ごとが決まれば読むべき記事もおのずと絞られます。 ...

2026年9月26日 · ひぐらしさとし

任意後見契約はやめられる?──効力が生じる前と後で違う解除の方法

この記事の要点 任意後見監督人が選ばれる前なら、本人・任意後見受任者のどちらからでも、公証人の認証を受けた書面によって、いつでも解除できる(任意後見契約に関する法律9条1項) 任意後見監督人が選ばれた後は、本人・任意後見人のどちらからの解除も、正当な事由がある場合に限り、家庭裁判所の許可を得て行う(同条2項) 家庭裁判所が任意後見人をやめさせる「解任」(同法8条)は、当事者の意思で契約をやめる「解除」とは別の仕組み 任意後見契約は、結んだあとでもやめる(解除する)ことができます。ただし、その方法は、家庭裁判所が「任意後見監督人」を選任する前か後かで大きく変わります。選任の前は比較的簡単な手続きで解除できますが、選任の後は家庭裁判所の許可が必要になります。本記事は、執筆時点(2026年9月)の制度に基づく一般的な解説です。 ...

2026年9月25日 · ひぐらしさとし

簡易裁判所の「司法委員」とは|民事裁判に市民が関わる仕組みと、和解の場面での役割

この記事の要点 司法委員は、簡易裁判所の民事訴訟で、裁判所が必要と認めるときに、和解を試みる場面での補助や、審理に立ち会って意見を述べる役割を担う(民事訴訟法279条1項) 司法委員は裁判官ではなく、述べる意見はあくまで参考意見。判断をするのは裁判官で、和解に応じるかどうかを決めるのは当事者 毎年あらかじめ地方裁判所が選任しておいた人の中から、事件ごとに裁判所が指定する仕組みで、法律の専門資格は求められていない 簡易裁判所の民事訴訟では、裁判官と当事者のほかに「司法委員」と呼ばれる人が手続きに加わることがあります。結論からいうと、司法委員は法律の専門家に限らず広く市民の中から選ばれ、和解の話し合いの補助や審理への立会いを通じて裁判官を助ける立場の人で、裁判官そのものではありません。この記事では、その仕組みを条文に沿って整理します。 ...

2026年9月25日 · ひぐらしさとし

登記簿に「死亡」の符号が付く──所有者が亡くなったことを法務局が表示する新しい仕組み

この記事の要点 不動産の名義人(登記名義人)が亡くなったことを、法務局の登記官が職権で登記簿に「符号」で表示できる制度ができた(不動産登記法76条の4・2026年4月1日施行) 符号は、登記簿の名義人の氏名の横に付く「◇」の記号。付くのは個人の名義人だけで、会社などの法人は対象外 符号が付いても、相続人の相続登記の申請義務(相続を知った日などから3年以内)はそのまま残る。符号は相続登記の代わりにはならない 法務局が実際に符号の表示を始める時期は、執筆時点では法務省から案内されていない。いずれにしても申請義務の期限は符号の有無と関係なく進むので、符号が付くのを待たずに、相続登記(または相続人申告登記)を進めるのが基本 結論からお伝えします。2026年4月1日施行の法改正で、不動産の名義人(登記簿に所有者として記録されている人。「登記名義人」といいます)が亡くなったことを、法務局の登記官が自分の判断で(職権で)登記簿に表示できる仕組みが設けられました(不動産登記法76条の4)。表示されるのは「◇」という記号で、名義人の氏名の横に付きます。 ...

2026年9月25日 · ひぐらしさとし

登記事項証明書はどこで・誰が取れる?──管轄に関係なく全国の法務局で、本人以外でも取れる理由

この記事の要点 登記事項証明書(いわゆる登記簿謄本)は、不動産の所在地を管轄する法務局でなくても、全国どこの法務局でも請求できる(不動産登記法119条5項) 所有者本人でなくても、誰でも請求できる(同法119条1項「何人も」)。請求する人が自分の名前で請求するので、所有者からの委任状は要らない 手数料は窓口・郵送で1通600円、オンライン請求は490円(窓口受取)または520円(郵送受取)。いずれも1通50枚を超えると加算あり ただし、コンピュータ化される前の紙の閉鎖登記簿の謄本は119条5項の対象外で、法務局の案内では、保管している法務局への窓口・郵送請求となっている。登記の申請書などの附属書類の閲覧にも別の要件がある 取った証明書を手続きにどう使うか迷ったら、お近くの司法書士へ 「実家の土地は遠方にあるけれど、近くの法務局で登記簿を取れますか」「親の家の登記簿を、子どもの私が取っても大丈夫ですか」。どちらも、よくある疑問です。 ...

2026年9月25日 · ひぐらしさとし

「以前・以後」と「前・後」の違い──その日を含むかどうかで読み分ける【民法・不動産登記法の条文で解説】

この記事の要点 「以前」「以後」は、基準となる日(時点)そのものを含む 「前」「後」は、基準となる日を含まない 「以降」も意味は「以後」と同じくその日を含むが、法令の条文では「以後」が基本形 法律の条文には、「〜以前」「〜以後」「〜前」「〜後」といった時間の区切りがよく出てきます。日常会話では「以前」も「前」もほとんど同じ意味で使いますが、条文では基準となる日や時点そのものを含むかどうかが、きっちり書き分けられています。結論から言うと、「以前」「以後」は基準の日を含み、「前」「後」は含みません。 ...

2026年9月24日 · ひぐらしさとし

登記の「住所証明情報」とは?──新しく名義人になる人の住民票・印鑑証明書と、住民票コードで省略できる場合

この記事の要点 住所証明情報とは、売買や相続などで新しく不動産の名義人になる人の住所を証明する書類です。個人なら住民票の写しや戸籍の附票の写しで、印鑑証明書に記載された住所を使うこともできると法務局は案内しています。 申請書に住民票コード(11桁の番号)を書くと、住民票の写しの提出を省略できます(不動産登記令9条・不動産登記規則36条4項)。住民票の写しを出す場合は、マイナンバー(個人番号)の記載がないものを使います。なお、不動産登記令・不動産登記規則は、住所証明情報に印鑑証明書のような「作成後3か月以内」の定めを置いていません(ただし、取った後に引っ越した場合、その書類では今の住所を証明できません)。 2026年10月5日以降に申請する所有権の保存・移転などの登記では、新しく名義人になる個人(その登記の申請人になる人)について、申請書に国籍等を書き、原則としてそれを証する書類も添付することになります(改正後の不動産登記規則158条の39)。日本国籍の方は、本籍地が記載された住民票の写しで住所証明情報と兼ねられると法務省は案内しています。 売買や相続で不動産の名義を変える手続きを調べると、必要書類の欄に「住所証明情報」という言葉が出てきます。結論から言えば、これは新しく名義人になる人の住所を証明する書類のことで、個人の場合は住民票の写しが代表例です。そして、申請書に住民票コードを書けば、その住民票の写しを出さずに済みます。 ...

2026年9月24日 · ひぐらしさとし

相続土地国庫帰属制度の運用状況──帰属した土地・却下と不承認の理由に見る「引き取られる土地」

この記事の要点 法務省の統計(2026年8月31日現在・速報値)では、申請件数5,997件に対し、国に帰属した件数は3,119件。却下は85件、不承認は100件、取下げは1,139件です 却下の理由で最も多いのは「添付書類の提出がなかった」(37件)。土地そのものに関する理由では、境界が明らかでない土地(23件)、現に通路として使われている土地(22件)が続きます 不承認の理由で最も多いのは、管理や処分の妨げになる樹木・工作物・車両などが地上にある土地(46件)。次いで、国による追加の整備が必要な森林(37件)です 取下げのうち586件は、自治体や国の機関による活用、隣接地の所有者からの引き受けの申出など「有効活用の見込みが生じた」もの。405件は「却下・不承認であることが判明した」ものです 申請できるのは所有者本人か法定代理人だけで、専門家に申請を代理してもらうことはできません。申請書類の作成を仕事として代行できるのは、弁護士・司法書士・行政書士に限られます 相続した土地を、一定の要件のもとで国に引き取ってもらう「相続土地国庫帰属制度」は、2023年(令和5年)4月27日に始まりました。根拠となる法律は「相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律」(以下「国庫帰属法」)です。対象になる人や費用、手続きの流れといった制度の基本は、相続で「いらない土地」が出てきたら──国に引き取ってもらう制度の基本で解説しています。この記事では、法務省が公表している統計をもとに、実際にどんな土地が国に帰属し、どんな理由で却下・不承認・取下げになっているのかを見ていきます。 ...

2026年9月24日 · ひぐらしさとし

登記情報提供サービスの使い方──登記事項証明書との違い・料金・一時利用と登録利用

この記事の要点 登記情報提供サービスで取得できるのは、登記官の認証文や職印が付かない閲覧用のデータ(PDF)です。登記事項証明書(いわゆる登記簿謄本)の代わりに提出することはできません 料金は1件あたり、不動産の全部事項330円・所有者事項140円・地図や図面360円(2026年9月確認) 使い方は、登録せずにクレジットカードで使う「一時利用」(請求できるのは初回ログインの当日中のみ)と、事前に申し込む「登録利用」(個人は最初のログイン時に登録費用300円)の2通り 不動産は住所(住居表示)ではなく「地番」「家屋番号」で指定する。取得したPDFを表示・保存できる期間は短いので、取ったらすぐ保存する 提出用の証明書が必要なときは、窓口・郵送・オンライン申請で登記事項証明書を取る 登記情報提供サービスは、法務局(登記所)が持っている登記の情報を、インターネットを使って自宅のパソコンやスマートフォンの画面で確認できる有料サービスです。不動産の所有者や担保の登記を、法務局へ出向かずにその場で確かめられます。 ...

2026年9月24日 · ひぐらしさとし