「さかのぼって効力を生ずる」とは──遺産分割・相続放棄・取消しの条文で読む遡及効

この記事の要点 「〜の時にさかのぼってその効力を生ずる」「初めから〜とみなす」は、あとから起きた出来事の効力を、過去の時点から生じていたものとして扱う定め(遡及効〔そきゅうこう〕) 民法909条(遺産分割)は「相続開始の時にさかのぼって」、939条(相続放棄)は「初めから相続人とならなかったものとみなす」、121条(取消し)は「初めから無効であったものとみなす」と、それぞれ書き方が違う さかのぼるといっても万能ではなく、909条のように「第三者の権利を害することはできない」というただし書で限界が置かれている条文がある 執筆時点(2026年9月)の条文に基づく一般的な解説です。 ...

2026年9月28日 · ひぐらしさとし

通路や水道管のための「地役権」は登記簿のどこに載る?──承役地・要役地の登記の見方

この記事の要点 地役権の登記は、負担を負う土地(承役地)の登記記録の乙区にされます。便益を受ける土地(要役地)の側にも、登記官が職権で記録します(不動産登記法80条4項)。 承役地の乙区には、要役地や地役権設定の目的・範囲などが載りますが、地役権者の氏名・住所は登記しなくてよいとされています(同条1項・2項)。 範囲が土地の一部のときは、登記の末尾に地役権図面番号が記録されます。地役権図面は、誰でも写しの交付を請求できる図面の一つです(不動産登記規則160条、不動産登記法121条1項)。 隣の土地を通路として通らせてもらう、水道管を通させてもらう。こうした関係を、当事者が「地役権」として設定し、登記していることがあります。地役権は、設定行為で定めた目的に従い、他人の土地を自分の土地の便益に使う権利です(民法280条)。結論から言うと、登記簿で探す場所は使われる側の土地の乙区で、使う側の土地にも対になる記録があります。 ...

2026年9月28日 · ひぐらしさとし

自分でできる登記・専門家に頼んだほうがいい登記──難易度マップ

この記事の要点 登記は、制度上は本人が自分で申請できます。難しさを分けるのは主に「書類が定型か」「相手方や関係者が多いか」「税金・測量・争いが絡むか」の3点です 自分でも取り組みやすい目安は、住宅ローン完済後の抵当権抹消、住所・氏名の変更登記、相続人申告登記など。専門家向きの目安は、売買の決済、住宅ローンの設定、財産分与、休眠担保権の抹消、家族信託など 建物の滅失・表題登記・分筆・地積更正などの「表示に関する登記」は土地家屋調査士の業務です。人に頼むときの依頼先は土地家屋調査士になります ここでの難易度はあくまで一般的な目安で、同じ種類の登記でも個別の事情で大きく変わります。まずは下の一覧で自分の登記の位置を確かめ、詳しい記事へ進んでください 「この登記、自分でできるだろうか」と迷ったときに、どの登記が比較的取り組みやすく、どの登記に専門知識や段取りが必要になりやすいのかを一覧にしたのがこの記事です。制度の説明はそれぞれの詳しい記事に任せ、ここでは「どの記事を読めばよいか」の目次に徹します。 ...

2026年9月28日 · ひぐらしさとし

相続手続きの全体マップ──「何から始めるか」をこの1本から辿れる総目次

この記事の要点 相続の手続きは「亡くなった直後/相続人を確かめる/財産を調べる/分け方を決める/名義を変える/税金/もめたとき/生前対策」の8つの段階に分けると、いま自分がどこにいるかが見えやすくなる 期限のある手続きがあるので、最初に確かめたいのは「相続放棄をするかどうか(原則3か月)」と「相続登記(原則3年)」の2つ 下の段階別の目次から、いまの自分に当てはまる段階の記事を読んでください 税額の計算は税理士、相続人どうしで争いになっているときは弁護士が相談先です 相続の手続きで「何から始めればいいのか」と迷ったときは、まず自分がいまどの段階にいるかを決め、その段階の記事から読むのが近道です。この記事は、相続に関する解説記事をまとめて案内する総目次です。制度のしくみは個別の記事にゆずり、ここでは「どの段階で、どの記事を読めばよいか」だけを並べます。本記事は、執筆時点(2026年09月)の法令に基づく一般的な解説です。 ...

2026年9月28日 · ひぐらしさとし

司法書士への相談予約、電話やメールで何を伝えればいい?──当日を有効に使うための事前連絡

この記事の要点 予約の段階では、相談の目的をひとことで、不動産のおおよその所在地、亡くなった方との関係、期限が迫っている事情の有無、同席する人を伝えておくと、当日の話が早く進む 相手方や他の相続人の名前を聞かれることがある理由の一つとして、利益相反(すでに相手側の相談・依頼を受けていないか)の確認が考えられる 予約の時点で細かな個人情報まで伝える必要はないことが多い。詳しい事情は当日の面談で話せばよい 司法書士事務所に相談を予約するときは、「何の相談か」と「急ぐ事情があるか」の2点を中心に、いくつかの情報を短く伝えておくと、当日の時間を有効に使えます。予約の電話やメールは事情を詳しく説明する場ではありません。事務所の側が当日の準備をするための、最低限の手がかりを渡す場だと考えると気が楽になります。 ...

2026年9月27日 · ひぐらしさとし

相続税の2割加算とは──対象になる人・ならない人(孫・孫養子・兄弟姉妹・甥姪)

この記事の要点 相続や遺贈で財産を取得した人が、亡くなった方の配偶者・一親等の血族(父母・子)のいずれでもないときは、その人の相続税額に2割が加算される(相続税法18条1項) 孫は原則として対象だが、親(亡くなった方の子)の死亡などにより代襲相続人となった孫は対象外。孫養子は、代襲相続人でもある場合を除いて対象になる(同条2項) 兄弟姉妹、甥・姪(代襲相続人として相続する場合を含む)、遺言で財産を受け取った知人など配偶者・一親等の血族以外の人は対象になる。分かれ目は相続人かどうかではなく続柄 相続税には、財産を受け取った人と亡くなった方(被相続人)との続柄によって、税額が2割増しになる仕組みがあります。「相続税額の2割加算」と呼ばれるもので、相続税法18条に定められています。 ...

2026年9月27日 · ひぐらしさとし

相続と税金の入口まとめ──税目別に見る、司法書士が答えられる範囲と税理士に聞くこと

この記事の要点 相続にかかわる税金は「相続税」だけではない。亡くなった方の所得税(準確定申告)、生前の贈与税、相続した不動産を持ち続ける・売る・名義を変えるときの税金など、場面ごとに別々の税目が関係してくる 期限がある申告の代表は、準確定申告(原則として相続の開始があったことを知った日の翌日から4か月以内)と相続税の申告(同じく10か月以内) 税金がかかるかどうか、申告が必要かどうか、税額がいくらになるかは、個別の事情によって変わるため税理士に確認する 相続の場面で司法書士が登記手続きの一環として税額を計算して案内できるのは、登記を受けるときにかかる「登録免許税」だけ 下の一覧表で自分の状況に近い行を探し、詳しくはそれぞれの記事へ進んでください 相続のあとに「どんな税金がかかるのか」を考えるときは、まず「どの場面の税金か」を一つ決めて、その税目の記事から読むのが近道です。相続の税金というと相続税が思い浮かびますが、実際には、亡くなった方のその年の所得、生前に受けた贈与、相続した不動産の保有・売却・名義変更など、場面ごとにかかわる税目が違います。 ...

2026年9月27日 · ひぐらしさとし

家族構成別・相続の目次──子なし夫婦・おひとりさま・再婚・海外、あなたのケースはどれ?

この記事の要点 誰が相続人になるかは、家族構成によって民法のルールで決まる。配偶者は常に相続人で、それ以外の家族は「子→親(親がいなければ祖父母)→兄弟姉妹」の順番で相続人になる 子のいない夫婦・おひとりさま・再婚家庭・内縁・子が先に亡くなっている場合・相続人が海外にいる場合など、ケースによって相続人の顔ぶれと注意点が変わる 下の一覧表で自分の家族構成に近い行を探し、詳しくはそれぞれの記事へ進んでください 最終的に相続人を確定するのは、亡くなった方の戸籍です。家族の認識と戸籍の内容が違うこともあります 「自分の家の場合、相続人は誰になるのか」を知りたいときは、まず自分の家族構成がどのケースに当たるかを決め、そのケースを扱った記事から読むのが近道です。相続人の範囲は民法で決まっており、家族構成が同じなら、相続人になる人の顔ぶれもおおむね同じ型になります。 ...

2026年9月27日 · ひぐらしさとし

法務局に預けた遺言書は何年保管される?──原本は死亡から50年、画像などのデータは150年

この記事の要点 法務局に預けた遺言書の原本は遺言者の死亡の日から50年、遺言書の画像などを記録したデータは150年が経過した後に、廃棄・消去できると定められている その間、相続人などは遺言書情報証明書の交付や閲覧を請求でき、保管されているかどうかは遺言書保管事実証明書で確かめられる 保管期間が長いからといって、相続登記の申請義務(3年以内)などの期限が延びるわけではない 法務局(遺言書保管所)に預けた自筆証書遺言は、遺言者が亡くなったあとも長く残ります。法律と政令は、原本については遺言者の死亡の日から50年、画像などを記録したデータについては150年が経過した後は、廃棄・消去できると定めています。 ...

2026年9月26日 · ひぐらしさとし

離縁した養子は相続人になる?──戸籍の離縁の記載の見方と、養子の子の代襲相続

この記事の要点 離縁すると、養子(その配偶者や子・孫を含む)と養親側との親族関係は終わる(民法729条)。離縁した後に養親が亡くなっても、元養子は相続人にならない。一方、離縁より前に養親が亡くなっていれば、その相続では相続人になっている 離縁は養親と養子の双方の身分事項欄に記載される(戸籍法施行規則35条3号)。戸籍では「離縁の日付」と「養親の死亡の日付」の前後を読み比べる 養子の子が代襲相続人になるのは、原則として、縁組の後に生まれ、かつ離縁がされていない場合(縁組の前に生まれた子は代襲相続人にならない。民法887条2項ただし書) 結論から言うと、離縁した元養子が養親の相続人になるかどうかは、離縁と養親の死亡のどちらが先に起きたかで決まります。 ...

2026年9月26日 · ひぐらしさとし