永代供養・樹木葬・散骨の法律知識──「お墓を持たない」という選択肢

この記事の要点 永代供養は「契約の中身」、樹木葬は「墓地としての許可」、散骨は「明文の禁止はないが規制あり」と、それぞれ法律上の注意点が異なります 樹木葬は「墓地、埋葬等に関する法律」上の許可を得た区画かどうかで扱いが大きく変わるため、契約前の確認が欠かせません どの方法を選ぶ場合も、契約や手続きで疑問があれば早めに専門家へ相談することが手戻りを防ぎます 「お墓を持たない」という供養の形を選ぶ方が増えています。継承者がいない、子どもに管理の負担をかけたくない、自然に還りたいといった理由から、永代供養・樹木葬・散骨という3つの選択肢が注目されていますが、契約さえすれば安心というわけではなく、永代供養・樹木葬・散骨では「確認すべきポイント」がそれぞれ異なるという点を、まず押さえておく必要があります。 ...

2026年9月17日 · ひぐらしさとし

お墓の名義変更──墓地使用権の承継手続き

この記事の要点 お墓の名義変更で引き継ぐのは土地の所有権ではなく、「永代使用権」という墓地を使う権利です 手続きの窓口・必要書類は、公営墓地・寺院墓地・民営霊園のどれかによって異なります 一般的には「使用許可証」と「承継者であることが分かる戸籍」が必要になりますが、詳細は管理者ごとの確認が欠かせません 承継者が決まらないときは、最終的に家庭裁判所が関わる仕組みもあります お墓の名義を変更する手続きは、不動産の相続登記とは性質が異なります。土地や建物の相続登記が「所有権」の移転を登記するのに対し、お墓の名義変更で引き継ぐのは、多くの場合「永代使用権(えいたいしようけん)」と呼ばれる、墓地を使わせてもらう権利です。この違いを押さえておくと、手続き先や必要書類の見当がつきやすくなります。 ...

2026年9月16日 · ひぐらしさとし

相続税の『連帯納付義務』とは──自分の分を払っても、他の相続人の分の責任が残ることがある仕組み

この記事の要点 同じ被相続人から相続・遺贈で財産を取得した人は全員、自分が受け取った財産の価額を限度に、互いに他の相続人の相続税を連帯して納付する責任を負う(相続税法34条1項) 自分の申告・納税を済ませても、他の相続人が滞納すれば、この連帯納付義務にもとづいて税務署から納付を求められることがある ただし無期限の責任ではなく、申告期限から5年を経過する日までに税務署長から納付通知書による通知が発せられていなければ、その相続税については連帯納付義務が及ばなくなる(平成24年度税制改正) 相続人が複数いる相続では、「自分に割り当てられた相続税を、自分の申告期限までに納めれば、それで自分の責任は終わり」と考えている方が少なくありません。しかし相続税法には、これとは別に「連帯納付義務」という仕組みがあります。 ...

2026年9月15日 · ひぐらしさとし

相続税の申告期限『10か月』──何を、いつまでに済ませておく必要があるか

この記事の要点 相続税の申告が必要になる場合、その申告・納付期限は「相続の開始があったことを知った日の翌日から10か月以内」(申告期限は相続税法27条1項、納付期限は同法33条) 10か月は申告書を作成するための期間ではなく、財産調査・遺産分割協議・申告書作成という性質の異なる工程を配分すべき期間 相続放棄(3か月)・準確定申告(4か月)と時期が重なるため、単独の期限として捉えず全体の時系列の中に位置づける必要がある 本文 相続税の申告が必要になる場合、その申告・納付期限は「相続の開始があったことを知った日の翌日から10か月以内」と定められています(申告期限は相続税法27条1項、納付期限は同法33条)。起算点が死亡日そのものではなく「相続の開始があったことを知った日」を基準にしている点は、相続放棄の3か月や準確定申告の4か月と共通する考え方です。 ...

2026年9月14日 · ひぐらしさとし

数次相続が起きると戸籍はどこまで増える?──亡くなった相続人にも『出生から死亡まで』が必要になる理由

この記事の要点 数次相続とは、一次相続の遺産分割が終わらないうちに相続人の一人が亡くなり、二次相続が発生している状態 亡くなったその相続人についても、本来の被相続人と同じく「出生から死亡まで」の戸籍一式を追加で集める必要がある 理由は、その人自身の相続人(二次相続人)が誰であるかを確定するため。亡くなった人数が増えるほど、収集範囲は大きく膨らむ 令和6年3月1日から始まった戸籍証明書等の「広域交付」は、直系にあたらない方の戸籍・コンピュータ化されていない戸籍・代理人による請求には使えないため、数次相続では負担の軽減が限定的 本文 相続登記や遺産分割協議のために戸籍を集めるとき、子が相続人になる一般的なケースであれば、亡くなった方(被相続人)の「出生から死亡まで」の戸籍一式をひとそろい集めるのが基本の範囲になります(相続人が兄弟姉妹になる場合など、被相続人の分だけでは足りないケースもあります)。ところが数次相続が絡むと、この「ひとそろい」が何セットにも増えていきます。今回は、その増え方の仕組みを戸籍収集の実務という切り口から整理します。 ...

2026年9月14日 · ひぐらしさとし

墓じまいの手続き──「改葬許可」の流れと必要書類

この記事の要点 墓じまい(改葬)をするときは、「墓地、埋葬等に関する法律」に基づき、市区町村長の許可(改葬許可)を受ける行政手続きが必要です 許可の申請先は、これから移す先ではなく「現在お墓がある市区町村」です 必要書類は「受入証明書」「埋蔵(埋葬)証明書」「改葬許可申請書」が基本的な組み合わせです 詳しい様式や必要な部数は市区町村ごとに異なるため、着手前に窓口へ確認しておくと手戻りを防げます 「墓じまい」をするとき、お墓の引っ越し先を決めるだけでは手続きは終わりません。今のお墓に納められているご遺骨を別の場所(新しいお墓や納骨堂、樹木葬など)に移すには、「墓地、埋葬等に関する法律」(以下「墓埋法」)に基づいて、市区町村長の許可(改葬許可)を受ける必要があります。これは家族や寺院・霊園との話し合いだけで完結するものではなく、公的な許可を要する行政手続きです。 ...

2026年9月14日 · ひぐらしさとし

司法書士に頼めること全リスト──登記だけではない業務の全体像

この記事の要点 司法書士の業務は司法書士法第3条で定められており、登記・供託の代理だけでなく、裁判所提出書類の作成や、140万円以下の簡易裁判所での訴訟代理(認定司法書士)まで含まれる 成年後見についても、申立書類の作成に関わったり、家庭裁判所から選任されて後見人等に就任したりする形で関わる制度がある 相談先を迷ったときは、まず「何を頼みたいか」を整理し、お近くの司法書士に確認するのが近道 「司法書士って、名義変更(登記)をお願いする人でしょう?」というイメージを持っている方は多いのではないでしょうか。たしかに不動産や会社の登記は司法書士の代表的な業務ですが、司法書士法が定める業務範囲は、実はそれだけにとどまりません。 ...

2026年9月13日 · ひぐらしさとし

市区町村の無料法律相談の使い方──時間を無駄にしない準備

この記事の要点 市区町村の無料法律相談は、多くが予約制・1回20〜30分程度という時間の制約がある制度です その日担当する専門職(弁護士・司法書士・行政書士など)は自治体側の日程で決まっており、相談者側が選べないことが多いです 同じ相談を何度も継続して受けられるとは限らず、1回で聞きたいことを整理しておく準備が効果を左右します 持ち物や書類の詳細な準備は別記事にゆずり、この記事では「制度としてどう使うか」に絞って解説します 相続や家族間のトラブルで「誰かに相談したい」と思ったとき、まず思い浮かぶ窓口のひとつが市区町村(お住まいの自治体)が開いている無料法律相談です。この制度は「予約制」「1回20〜30分程度」「担当する専門職を選べない」「同じ相談を何度も続けて受けられるとは限らない」という共通の特徴を持っていることが多く、この仕組みを知らずに行くと、聞きたいことの半分も聞けないまま時間切れになってしまうことがあります。 ...

2026年9月12日 · ひぐらしさとし

相続の相談後に「やることリスト」を作る──聞いた話を行動に変える4つの区分と書き方

この記事の要点 初回相談で聞いた話は、帰宅後その日のうちに「①期限があること ②自分で集める書類 ③家族と決めること ④次に相談する日までに確認すること」の4区分でメモに書き分けると、行動に変わります 各項目に「誰が」「いつまでに」を添え、分からないことは空欄にせず「分からない」と書き残します このリストを2回目の相談に持っていくと、前回の説明をなぞり直す時間が減り、話が早く進みます 相続の初回相談を終えて帰宅すると、「いろいろ聞いたけれど、結局まず何をすればいいのか」がぼんやりしている、ということがよくあります。相談で聞いた内容は、そのままでは「情報」であって「行動」ではありません。この記事では、聞いた話を帰宅後に行動の形へ整理する、ごく一般的なメモの作り方を紹介します。同席しなかった家族への伝え方は聞いた話を同席しなかった家族にどう伝える?で扱っていますので、この記事は「自分たちが次に動くためのリスト」に絞ります。 ...

2026年9月11日 · ひぐらしさとし

相続でもらった財産に所得税はかからない?──非課税の理由(所得税法9条)と、それでも所得税が関係する3つの場面

この記事の要点 相続や遺贈で財産を取得しても、その取得自体に所得税はかからない(所得税法9条1項17号)。代わりに相続税の枠組みで扱われる ただし「亡くなった方のその年の所得」「相続した財産を売ったとき」「相続した後に生まれる収入」の3つの場面では、所得税が関係する 具体的な税額や申告の要否は税理士へ、相続した不動産の名義変更(相続登記)はお近くの司法書士へ 結論から言うと、相続や遺贈(遺言で財産をもらうこと)で財産を取得したこと自体に、所得税はかかりません。所得税法9条1項17号は、「相続、遺贈又は個人からの贈与により取得するもの」を非課税所得(所得税を課さない所得)として定めています。もらった財産が現金でも不動産でも株式でも、この点は同じです。 ...

2026年9月11日 · ひぐらしさとし