相続登記で出した戸籍は返してもらえる?──原本還付という一手間

この記事の要点 相続登記で提出した戸籍・遺産分割協議書・印鑑証明書などの原本は、原本還付(げんぽんかんぷ)という手続きをとれば、登記完了後に返してもらえる 具体的には、原本のコピーを添えて、そのコピーに「原本と相違ありません」と記して申請人が記名・押印しておく、という一手間が必要 ただし、その登記のためだけに作った委任状などは、原則として返してもらえない 「相続登記のために集めた戸籍一式を法務局に出したら、そのまま取られてしまうのだろうか」——よくあるご心配です。結論から言うと、原本還付という手続きをとれば、提出した原本は登記が終わったあとに返してもらえます。戸籍は銀行の相続手続きなど他の場面でも使うことが多いので、実務ではほぼ必ずこの手続きを使います。 ...

2026年7月18日 · ひぐらしさとし

負担付贈与とは──「介護してくれたら家をあげる」の落とし穴

この記事の要点 「介護してくれたら家をあげる」といった条件付きの贈与は「負担付贈与」と呼ばれ、もらう側にも一定の義務が生じる特殊な贈与である 約束した負担(介護など)が果たされない場合、贈与した側が契約を解除できる可能性がある 負担の内容が曖昧なまま口約束にしておくと、「ちゃんとやった/やっていない」で後々深刻なトラブルになりやすい 「介護をしてくれたら、この家をあげる」。家族の間でこうした約束が交わされることは珍しくありません。しかし、この約束は法律上「負担付贈与(ふたんつきぞうよ)」と呼ばれる特殊な贈与にあたり、通常の贈与とは異なるルールが適用されます。約束した介護が実現しなかった場合にどうなるのか、口約束のままにしておくとどんな危険があるのか、あらかじめ知っておくことが重要です。 ...

2026年7月18日 · ひぐらしさとし

子どものいない夫婦の相続──配偶者が全部もらえるわけではない

この記事の要点 子どもがいない夫婦では、配偶者だけでなく亡くなった人の親や兄弟姉妹が相続人になることがある 配偶者と親(直系尊属)が相続人のときは配偶者3分の2・親3分の1、配偶者と兄弟姉妹が相続人のときは配偶者4分の3・兄弟姉妹4分の1が目安の割合 配偶者にすべて残したいなら、生前の遺言が最も確実な備え 「子どもがいないから、財産は全部配偶者のものになる」——そう思い込んでいる方は少なくありません。ですが、これは正確ではありません。子どもがいない夫婦の一方が亡くなったとき、亡くなった人の親(存命であれば)や兄弟姉妹も、配偶者と一緒に相続人になる場合があります。 ...

2026年7月18日 · ひぐらしさとし

生前贈与と遺言、どちらで渡す?──確実さ・費用・撤回のしやすさ比較

この記事の要点 「今すぐ確実に渡したい」なら生前贈与、「亡くなるまで気持ちが変わる可能性がある」なら遺言が入口の目安 生前贈与は原則やり直しがきかず、遺言は何度でも書き直せる(ただし公正証書遺言は作り直しのたびに費用がかかる) 具体的な税額の有利不利は制度の性質だけでは決まらないため、最終判断は税理士へ確認したうえで進める 「子どもに財産を渡したい」と考えたとき、多くの方が最初に迷うのが「生前贈与にするか、遺言にするか」という選択です。どちらも「自分の財産を特定の人に渡す」という点は同じですが、法律上の位置づけはまったく違います。この記事では、税額の有利不利には立ち入らず、確実さ・撤回のしやすさ・手続きの重さ・費用感という「制度の性質」だけを比較します。具体的な税額の有利不利は税理士にご確認ください。 ...

2026年7月17日 · ひぐらしさとし

見守り契約・財産管理委任・死後事務委任──「後見の手前」を支える3つの契約

この記事の要点 見守り契約は「定期的な連絡・訪問で本人の状況を確認する」契約、財産管理委任契約は「判断能力はあるが体が不自由なときに財産管理などの事務を代わってもらう」契約 どちらも判断能力が低下する前から使え、判断能力が低下した後に備える任意後見契約、死亡後に備える死後事務委任契約と組み合わせることで、生前から死後まで切れ目のない備えになる 4つの契約は役割が異なるため、まずは自分がどの時期・どの場面の備えを必要としているかを整理することが第一歩 「まだ判断能力はしっかりしているが、足腰が弱って銀行や役所に出向くのが難しくなってきた」「ひとり暮らしで、何かあったときにすぐ気づいてもらえるか不安」――こうした声から検討されることが多いのが、見守り契約と財産管理委任契約です。判断能力が低下した後の備えである任意後見契約や、死亡後の備えである死後事務委任契約とは対象となる時期が異なり、いわば「後見の手前」の期間を支える仕組みといえます。この記事では、見守り契約・財産管理委任契約を中心に、死後事務委任契約・任意後見契約との役割分担を整理します。 ...

2026年7月17日 · ひぐらしさとし

農地を相続したら登記だけでは終わらない?農業委員会への届出期限

この記事の要点 農地を相続すると、法務局への相続登記とは別に、農業委員会への届出という手続きが控えている 届出の期限は「農地の権利を取得したことを知った日からおおむね10か月以内」が目安とされている 登記と届出は別々の制度なので、どちらか一方をやれば足りるわけではなく、両方の期限を並行して管理する必要がある 本文 結論から言うと、相続した不動産に農地(田・畑など)が含まれる場合、法務局での相続登記だけでなく、その農地がある市区町村の農業委員会への届出も必要になります。この二つは根拠となる法律も窓口も別の手続きです。 ...

2026年7月16日 · ひぐらしさとし

改製原戸籍とは?相続登記で必要になる「コンピュータ化前の戸籍」の基礎知識

この記事の要点 改製原戸籍とは、戸籍の様式が変わる前の「古い戸籍」のこと 相続登記では、被相続人の出生から死亡までの戸籍をすべて集める必要があり、現在の戸籍だけでは足りないことが多い 改製の前後で戸籍に記載される人が変わるため、改製原戸籍を確認しないと相続人を見落とすおそれがある 本文 相続登記のために戸籍を集めていると、市区町村の窓口で「改製原戸籍もいりますか」と聞かれて戸惑う方が少なくありません。結論から言うと、相続登記では改製原戸籍もほぼ必ず必要になります。 ...

2026年7月16日 · ひぐらしさとし

おしどり贈与──婚姻20年の夫婦の自宅贈与と持戻し免除・登記

この記事の要点 「おしどり贈与」は、婚姻20年以上の夫婦間で自宅などを贈与したときに贈与税を軽くできる制度の通称(贈与税の配偶者控除) 名前が似た民法の「持戻し免除の意思表示の推定」(民法903条4項)は、婚姻20年以上・居住用不動産という要件は共通するが、目的も効果もまったく別の制度 贈与税の具体的な軽減額や適用できるかどうかの判断は税理士の専門領域で、この記事では制度が存在することの紹介にとどめる 自宅を贈与する場合は、税務の検討とあわせて名義変更登記の準備も必要になる 「長年連れ添った夫婦の間で、自宅を贈与するとお得になる制度があるらしい」——そんな話を耳にしたことがある方は多いのではないでしょうか。俗に「おしどり贈与」と呼ばれるこの話、実は中身をよく聞くと2つの別々の制度が混ざって語られていることがよくあります。 ...

2026年7月16日 · ひぐらしさとし

名義預金とは──子や孫名義の口座が「相続財産」と扱われるとき

この記事の要点 「名義預金」とは、口座の名義人(子や孫など)と、実際にお金を出して管理していた人(多くは親や祖父母)が食い違っている預金のことです。 名義が家族でも、実質的な持ち主が亡くなった方だと判断されれば、その預金は亡くなった方の財産(相続財産)としてあつかわれることがあります。 どの預金がこれに当たるかという課税上の判断や税額の計算は税理士の分野です。財産を洗い出して名義変更や遺産分割につなげる登記の手続きは、司法書士がお手伝いできます。 「亡くなった父が、孫の名前で通帳をつくって毎年お金を入れていた」「母が、私に知らせないまま私名義の口座で貯金していた」——相続が起きたあとに、こうした通帳が出てくることは珍しくありません。 ...

2026年7月15日 · ひぐらしさとし

家族信託と任意後見はどう違う?──認知症対策の2つの制度を比較

この記事の要点 家族信託は「財産を柔軟に活用・承継する」ため、任意後見は「財産管理と生活・療養の手続きを幅広く任せる」ための制度で、目的が違う どちらも本人が元気なうち(判断能力があるうち)に準備する必要があり、判断能力が下がってからでは間に合わない 両方を組み合わせて使うこともできる。自分の状況にどちらが合うかは、お近くの司法書士や公証役場に相談しながら決めるのが安心 「親が認知症になったら、家のことやお金のことは誰がどう管理するのか」——その備えとしてよく比べられるのが、家族信託とはと任意後見契約とはの2つです。結論から言うと、両者は「認知症に備える」という目的こそ重なりますが、得意なことも仕組みもかなり違います。この記事では、それぞれの深い解説は上の2記事にゆずり、「何がどう違うのか」を一般的な内容として並べて整理します。 ...

2026年7月15日 · ひぐらしさとし