贈与契約書の作り方──口約束の贈与が後で揉める理由

この記事の要点 贈与は口約束でも成立するが、書面のない贈与は原則としていつでも解除(撤回)できるため、後で「言った・言わない」の争いになりやすい 贈与契約書を作っておくと、贈与の意思と時期がはっきり残り、相続が起きたときの家族間のトラブルを防ぎやすくなる 契約書には「誰が・誰に・何を・いつ贈るか」を正確に書き、贈与する物が不動産なら登記の名義変更もあわせて必要になる 具体的な贈与税がいくらになるか、どの制度が有利かは税理士に相談する 「孫に100万円あげると約束したのに、後から他の家族ともめてしまった」。生前贈与でこうした行き違いが起きる大きな原因は、贈与を口約束だけで済ませてしまうことにあります。結論から言えば、贈与契約書を1枚作っておくだけで、後々のトラブルの多くは防げます。 ...

2026年7月14日 · ひぐらしさとし

任意後見契約とは──元気なうちに「将来の後見人」を自分で選ぶ

この記事の要点 任意後見契約(にんいこうけんけいやく)は、判断能力があるうちに、将来判断能力が低下したときに備えて「誰に・何を任せるか」を自分で決めておく契約 家庭裁判所が後見人を選ぶ「法定後見」と違い、支援する人(任意後見人)と任せる内容を自分で選べるのが最大の特徴 契約は必ず公証役場で公正証書として作成し、実際に効力が生じるのは判断能力が低下して家庭裁判所が「任意後見監督人」を選んだ時点から 将来、認知症などで判断能力が下がったとき、財産の管理や契約を誰に任せるか——それを、元気なうちに自分の意思で決めておけるのが「任意後見契約」です。判断能力が下がってから家庭裁判所が支援者を選ぶ法定後見の3類型(後見・保佐・補助)とは、支援者を「誰が選ぶか」という点で大きく異なります。この記事では、任意後見契約とは何か、どんな流れで使われるのかを一般的な内容として整理します。 ...

2026年7月14日 · ひぐらしさとし

暦年贈与と相続時精算課税──2024年改正後の選び方の入口(計算は税理士へ)

この記事の要点 生前贈与には「暦年贈与」と「相続時精算課税」という2つの制度があり、2024年1月の改正で仕組みが大きく変わった 暦年贈与は死亡前の「加算期間」が3年から7年に延長され、相続時精算課税には新たに年110万円の基礎控除が新設された どちらが向いているかは年齢・財産の状況・贈与の目的によって変わるため、一般的な仕組みはこの記事で押さえつつ、具体的な有利選択や税額計算は税理士に相談するのが安心 不動産を贈与する場合は、税務の選択とあわせて名義変更登記の準備も必要になる 「子や孫に、元気なうちに財産を渡しておきたい」。そう考えたとき、多くの方が耳にするのが「暦年贈与」と「相続時精算課税」という2つの制度です。どちらも生前に財産を贈る際の贈与税のしくみですが、2024年1月の税制改正で内容が大きく変わり、以前の知識のままだと判断を誤りかねません。 ...

2026年7月13日 · ひぐらしさとし

認知症になると預金は凍結される?──本人と家族が「できなくなること」

この記事の要点 認知症そのものではなく、「判断能力が低下したと金融機関が認識すること」が引き金になって、預金の引き出しなどが制限されることがあります 制限がかかると、家族であっても本人名義の口座から自由にお金を引き出せなくなる場合があります 対策には、判断能力があるうちに結ぶ「家族信託」や「任意後見契約」などがあります 判断能力が低下したあとは、家庭裁判所が関与する「法定後見」という制度で財産管理を支える仕組みがあります 制度の使い分けは個別事情によって変わるため、早めにお近くの司法書士にご相談ください 認知症になると、なぜ預金が引き出せなくなるのか 結論から言うと、預金口座は「認知症と診断された瞬間」に自動的に凍結されるわけではありません。実際に制限がかかるのは、窓口でのやり取りなどを通じて金融機関が「本人の判断能力が低下している可能性がある」と気づいたときです。 ...

2026年7月13日 · ひぐらしさとし

相続が始まったら何から?期限のある手続きの優先順位の整理

この記事の要点 相続には「3か月」「4か月」「10か月」「1年」「3年」など、複数の期限がある手続きが並行して存在する どれから手をつけるかは、期限が短いものから確認するのが一般的な考え方 具体的な優先順位は各家庭の事情で変わるため、あくまで確認の目安として使う 本文 身近な人が亡くなったあと、相続にかかわる手続きにはいくつもの期限があります。どれも「知らなかった」では済まされないものばかりですが、期限が短いものから順に確認していくのが基本です。ここでは代表的な期限を整理します。 ...

2026年7月12日 · ひぐらしさとし

戸籍の附票とは?相続登記で「亡くなった方の住所」を証明する書類の基礎

この記事の要点 戸籍の附票は、本籍地の市区町村が管理する「住所の履歴を記録した書類」 相続登記では、登記簿上の住所と戸籍の記載だけでは「同一人物」と確認できないときに附票が必要になる 附票が取得できない場合も、権利証など別の書類で対応できることがある 本文 相続登記の相談で必ずといっていいほど出てくる書類のひとつが「戸籍の附票」です。戸籍謄本と混同されがちですが、役割はまったく違います。 ...

2026年7月12日 · ひぐらしさとし

『親の預金が使われていた気がする』──相続で疑われる使い込み(使途不明金)への対応の流れ

この記事の要点 使い込みが疑われても、まずは通帳の取引履歴を確認し、事実関係を整理することが出発点 相続人全員が合意すれば、遺産分割の中で使途不明金を「取り込んで」計算し直せる(亡くなった後に処分された分については民法906条の2という仕組みがある) 合意できず解決しない場合は、返還を求める法的手段もあるが、その先は弁護士の領域 相続の場面で、「親の預金が、亡くなる前後に大きく減っていた」「同居していたきょうだいが勝手に引き出していたのでは」という疑いが持ち上がることがあります。結論から言うと、こうした使い込み(使途不明金)の疑いに対しては、①事実関係を確認する、②相続人全員の合意があれば遺産分割の中で調整する、③合意できなければ返還を求める法的手段を検討する、という段階を踏んで対応します。以下、それぞれを順番に整理します。 ...

2026年7月12日 · ひぐらしさとし

相続放棄の基本|3か月の期限はいつから?手続きの流れと注意点

この記事の要点 相続放棄とは、家庭裁判所に申し出て「はじめから相続人でなかったこと」にする手続きです。借金などのマイナスの財産を引き継がずに済みます。 期限は「自己のために相続の開始があったことを知った時」から3か月です。亡くなった日そのものからではありません。 他の相続人に「放棄します」と口で伝えるだけ、遺産分割で何も受け取らないだけでは、法律上の相続放棄にはなりません。 放棄を考えているなら、遺産(預金の引き出しや不動産・車の名義変更など)に手を付けないことが大切です。 まずは相続財産の全体像を早めに把握し、迷ったらお近くの司法書士にご相談ください。 「相続放棄」とは、家庭裁判所でする手続きのこと 結論から言うと、相続放棄は「家庭裁判所に申し出る(申述する)」正式な手続きです(民法938条)。これをすると、その人ははじめから相続人ではなかったものとして扱われます(民法939条)。プラスの財産(預金や不動産)もマイナスの財産(借金や連帯保証など)も、いっさい引き継ぎません。 ...

2026年7月11日 · ひぐらしさとし

家族信託(民事信託)とは──認知症に備えて財産の管理を家族に託すしくみ

この記事の要点 家族信託は、元気なうちに「財産の管理を任せる人(受託者)」を家族の中から決めておく契約 認知症などで判断能力が低下した後も、受託者が信託契約で決めた範囲内で財産を管理・処分できる 契約内容は自由度が高い分、設計を誤ると後々のトラブルにつながるため、契約書の作成は専門家の関与を得て進めるのが安全 家族信託(民事信託)とは、自分の財産の管理を、元気なうちに家族の誰かに託しておく契約の仕組みです。結論から言うと、「本人が認知症などで判断能力を失う前に、あらかじめ財産管理の担当者と管理方法を決めておく」ための制度です。 ...

2026年7月10日 · ひぐらしさとし

相続の話し合いを切り出すタイミングと伝え方──家族に『重い話』と思わせないために

この記事の要点 相続の話は「元気なうち」に切り出すほうが、選択肢が広く落ち着いて話し合える 「相続の話」ではなく「もしものときの備え」として持ち出すと、身構えられにくい 一度にすべてを決めようとせず、少しずつ共有していく姿勢が実際には受け入れられやすい 「うちはまだ早い」「縁起でもない」──相続や財産の話を家族に切り出そうとすると、こうした反応が返ってくることは珍しくありません。しかし、話し合いを先延ばしにするほど、選べる備え(遺言書の作成や、財産の整理など)の幅は狭くなっていきます。 ...

2026年7月9日 · ひぐらしさとし