貸金庫の相続──相続人の一人だけでは開けられない理由

この記事の要点 貸金庫の開扉には、銀行実務上、原則として相続人全員の同意(または遺言執行者の権限)が求められる 中身が分からないと遺産分割協議書に書けないジレンマがあり、公証人の事実実験公正証書で内容を記録する方法がある 遺言書を貸金庫に保管していると、開扉に手間取り遺言の実行が遅れるおそれがある 亡くなった方が銀行の貸金庫(貸金庫室・セーフティボックスとも呼ばれます)を借りていた場合、相続人の一人が「自分だけで開けて中を確認したい」と思っても、それは基本的にできません。銀行は名義人の死亡を確認すると口座と同じように貸金庫の利用も止め、相続人全員の同意がそろうまで開扉に応じないのが一般的な取扱いだからです。 ...

2026年8月22日 · ひぐらしさとし

亡くなった方の預金を放置すると「休眠預金」に?──10年ルールと相続手続きの段取り

この記事の要点 2009年1月1日以降の取引を最後に、10年以上「異動」のない預金は「休眠預金」として預金保険機構に移管されることがあります 移管後も、取引のあった金融機関の窓口で払戻しを請求でき、相続人も請求できます(お金を受け取れなくなるわけではありません) ただし窓口での手続きに時間と書類が余計にかかるため、相続では早めに口座を洗い出し、解約まで進めておくのが段取りの基本です 亡くなった方の預金口座を長く放置していても、預金が没収されてしまうわけではありません。ただし、10年以上取引のない預金は「休眠預金」として預金保険機構に移管されることがあり、払い戻すために窓口での手続きが必要になるなど、手間と時間が余計にかかるようになります。相続手続きの段取りとしては、口座を早めに洗い出して解約まで済ませておくことが大切です。 ...

2026年8月21日 · ひぐらしさとし

戸籍謄本と戸籍抄本の違い──相続の手続きで「抄本では足りない」と言われる理由

この記事の要点 戸籍謄本は「その戸籍に載っている全員分の写し」、戸籍抄本は「その戸籍のうち一部の人だけの写し」です 相続の手続きでは、誰が相続人かを戸籍全体で確認する必要があるため、原則として謄本(全部事項証明書)が必要です コンピュータ化後の正式名称は「全部事項証明書」「個人事項証明書」ですが、窓口では今も「謄本」「抄本」で通じます 結論からいうと、相続の手続きで使う戸籍は、原則として謄本(全部事項証明書)をそろえます。抄本を取ってしまい、あとで取り直しになるのはよくあるつまずきです。なお、本記事は執筆時点(2026年8月)の制度に基づく一般的な解説です。 ...

2026年8月21日 · ひぐらしさとし

信用金庫・農協の「出資金」も相続財産です──見落としやすい小口財産

この記事の要点 信用金庫・信用組合・農協(JA)・生協の「出資金」は、預金とは別建ての財産で、相続財産に含まれる 出資金には通帳がないため見落とされやすい。毎年届く「配当金のお知らせ」や決算関係の通知、出資証券が手がかりになる 相続時の選択肢は大きく二つ。持分の払戻しを請求するか、名義書換(組合員資格の承継)をするか 名義書換には組合員資格の要件(地区内に住んでいる・事業を営んでいる等)があり、詳細は各組合の定款によって異なる 具体的な手続きは各金融機関・組合の窓口で、相続全体の段取りはお近くの司法書士に確認するのが安心 亡くなった方が信用金庫や農協(JA)と取引していた場合、預金のほかに「出資金」という財産が残っていることがあります。出資金は預金とは別建ての財産で、相続財産に含まれます。金額は数千円から数万円程度の小口であることが多いのですが、通帳がないため相続手続きから漏れやすい財産の代表格です。 ...

2026年8月21日 · ひぐらしさとし

死亡届と死亡診断書のきほん──コピーを取っておくべき理由

ご家族が亡くなったとき、最初に行う役所の手続きが「死亡届」の提出です。結論から言うと、死亡届は「死亡の事実を知った日から7日以内」に提出しなければならず、提出の前に「死亡診断書のコピーを必ず取っておく」ことが、その後の手続きをスムーズに進めるポイントになります。 ...

2026年8月21日 · ひぐらしさとし

ゴルフ会員権・リゾート会員権の相続──引き継ぐ?退会する?

この記事の要点 ゴルフ会員権・リゾート会員権は原則として相続財産に含まれるが、多くのクラブの会則では死亡により会員資格が当然に消滅すると定められており、相続人が引き継ぐには改めて名義書換の手続きが必要になることが多い 引き継がず退会する場合は預託金の返還を請求できることがあるが、据置期間の定めやクラブの経営状況によって、すぐに全額が戻るとは限らない リゾート会員権のうち、施設の不動産について共有持分を持つタイプのものは、相続登記の対象にもなる 会則の内容はクラブ・施設ごとに異なるため、まずは運営会社に会則と亡くなった方の会員資格の状況を確認するのが出発点 ゴルフ会員権やリゾートクラブの会員権は、預貯金や不動産のように扱いが一律に決まっているわけではありません。結論から言うと、会員権を相続財産としてどう扱うかは、クラブ・施設ごとの会則(規約)次第という部分が大きく、まずは亡くなった方が持っていた会員権の種類と、そのクラブの会則を確認することが最初の一歩になります。 ...

2026年8月20日 · ひぐらしさとし

遺品整理はいつから?──相続放棄を考えているなら「処分」に要注意

この記事の要点 相続放棄を考えているなら、遺品を勝手に処分すると「相続を認めた」とみなされ、放棄できなくなるおそれがある(法定単純承認) 経済的価値のない形見を分ける程度は一般的に問題にならないとされるが、高価な遺品の処分・換金は避ける 賃貸物件の明け渡しを急かされても、遺品はまず保管し、処分は先延ばしにする 遺品整理業者と契約する場合、契約の当事者や作業範囲を慎重に見極める必要がある 個別の判断が難しい場合は、遺品を処分する前にお近くの司法書士にご相談ください 親が亡くなり、賃貸アパートの明け渡しや実家の片付けに追われる中で、「遺品整理は早く終わらせたい」と考えるのは自然なことです。しかし、相続放棄を検討している場合、遺品の扱い方を誤ると、放棄そのものができなくなることがあります。 ...

2026年8月20日 · ひぐらしさとし

自動車の相続手続き――普通車と軽自動車で違う名義変更

この記事の要点 亡くなった方名義の自動車は、名義変更(移転登録)をしないと、廃車も売却もできません 普通車は運輸支局、軽自動車は軽自動車検査協会と、手続きの窓口が異なります 遺産分割協議書のほか、価額100万円以下の自動車には「遺産分割協議成立申立書」という簡易な書式が使えることがあります 名義変更をしないまま放置すると、自動車税・軽自動車税の納税通知が亡くなった方宛てに届き続けるなど、後々の負担が増えます 次の一歩は、車検証で「普通車か軽自動車か」を確認し、それぞれの窓口(運輸支局・軽自動車検査協会)または行政書士に相談することです 自動車も相続財産の一つです。不動産の相続登記や預貯金の解約と並んで、「乗るにしても、売るにしても、廃車にするにしても、まずは名義変更が必要」という点は見落とされがちです。この記事では、亡くなった方名義の自動車の名義変更について、普通車と軽自動車で何が違うのかを整理します。 ...

2026年8月19日 · ひぐらしさとし

世帯主変更届と住民票の手続き――死亡後14日以内にすること

この記事の要点 世帯主変更届は、亡くなった方が世帯主で、残る世帯員が2人以上いる場合に必要になるのが一般的です。残る世帯員が1人だけになる場合は、住民基本台帳法施行令25条によって届出を要しないものとされています 届出の期限は死亡日から14日以内とされています(住民基本台帳法25条) 国民健康保険・介護保険の資格喪失届、印鑑登録の廃止(死亡により自動的に失効する市区町村も多い)など、同じタイミングで窓口に行く手続きがまとまっています 手続きは亡くなった方が住んでいた市区町村の窓口で、届出人本人(同一世帯の方など)が行うのが基本です 死亡後の手続き全体の流れは死亡後の手続き全体像で時系列に整理していますので、あわせてご確認ください 身内が亡くなったとき、葬儀の手配や関係者への連絡で慌ただしいなかにも、住民票の「世帯主」を書き換える届出には期限があります。亡くなった方が世帯主だった場合、死亡日から14日以内に世帯主変更届(住民異動届の一種で、「世帯主変更届」「世帯変更届」などと呼ばれます)を市区町村の窓口に出す必要があるとされています。 ...

2026年8月19日 · ひぐらしさとし

非上場株式を相続したら──取引相場のない株の名義書換と少数株主の現実

この記事の要点 非上場株式を相続しても会社の承認は不要だが、会社が定款で定めていれば「売渡請求」を受けることがある 株主としての権利を会社に主張するには、株主名簿の名義書換(めいぎかきかえ)が必要 配当も売却先もないまま少数株主になるケースは珍しくなく、対応は早めの整理が肝心 「親が中小企業の株を少し持っていた。相続財産の一覧に出てきたが、上場株のように証券会社に問い合わせれば済む話ではないらしい」──非上場株式(取引相場のない株式)の相続で、こうした戸惑いを抱える方は少なくありません。 ...

2026年8月18日 · ひぐらしさとし