「相続させる」と「遺贈する」はどう違う?──遺言の書き方ひとつで手続きが変わる

この記事の要点 「相続させる」は相続人だけに使える書き方、「遺贈する」は相続人以外にも財産を渡せる書き方 名義変更(登記)は「相続させる」なら受け取る人ひとりで申請できるが、「遺贈」は原則として他の相続人(または遺言執行者)との共同申請(相続人への遺贈は2023年からひとりで申請可) 遺言で不動産を受け取ったら、対抗要件(民法899条の2)の問題があるため早めに登記まで済ませる 遺言書を作るとき、財産を誰かに引き継がせる書き方には、大きく分けて二つの言い回しがあります。「長男に自宅を相続させる」と書く方法と、「長男に自宅を遺贈する」と書く方法です。 ...

2026年6月8日 · ひぐらしさとし

法定相続分とは?──配偶者・子・親・兄弟姉妹、それぞれの取り分をやさしく整理

この記事の要点 法定相続分は「遺言も話し合いもないとき」の目安であり、遺言や遺産分割協議があればそちらが優先される 配偶者は常に相続人になり、取り分は一緒に相続する相手が子・親・兄弟姉妹のどれかで1/2・2/3・3/4と変わる 兄弟姉妹が相続人になる場合、半血(父母の一方のみ共通)の兄弟姉妹の取り分は全血の半分になる 「法定相続分」という言葉を聞いたことはあっても、自分の場合はどれくらいの割合になるのか、正確にわかる方は意外と多くありません。配偶者と子がいる場合、配偶者と親の場合、配偶者と兄弟姉妹の場合では、それぞれ割合が変わります。 ...

2026年6月5日 · ひぐらしさとし

遺産の「分け方」には4つの型があります──現物・代償・換価・共有分割の違いと、登記・税金の注意点

この記事の要点 遺産分割には現物分割・代償分割・換価分割・共有分割の4つの型があり、財産ごとに組み合わせて使うこともできる どの方法を選ぶかで、相続登記の進め方や、譲渡所得税・相続税の扱いが変わる 共有分割は将来の合意形成や共有者の増殖リスクがあるため、最終的な分け方としては慎重に検討すべき 「実家の土地建物と、少しの預貯金。相続人は子ども3人」――こうした相続は珍しくありません。このとき悩むのが、「どうやって分けるか」です。 ...

2026年6月2日 · ひぐらしさとし

遺言執行者──選任から、銀行・登記・税務まで「何ができるのか」

この記事の要点 遺言執行者は「遺言の内容を実現する人」で、就任には承諾が必要、就任後は相続人への通知・財産目録の作成・執行・報告の義務を負う 認知や推定相続人の廃除は遺言執行者でなければできない手続き(遺贈の履行も、執行者がいる場合は執行者のみが行う) 遺留分の対応や訴訟は弁護士、相続税の申告は税理士と、専門領域が分かれる 遺言を書いた、あるいは書いてもらった。ところが、いざ亡くなったあとに「これ、誰がどう動かすの?」と立ち止まる方が少なくありません。預金を解約するのは誰か。不動産の名義を変えるのは誰か。相続人全員でいちいち印鑑をもらわなければいけないのか。 ...

2026年5月30日 · ひぐらしさとし

代襲相続──親より先に亡くなった子の権利は誰が引き継ぐのか

この記事の要点 代襲相続が起こる原因は「死亡・相続欠格・相続廃除」の3つだけで、相続放棄は含まれない 子の系統(直系卑属)は孫・ひ孫と再代襲が続くが、兄弟姉妹の系統は甥・姪までの一代限り 代襲相続人にも相続登記の申請義務があり、起算点は「自分が代襲相続人として不動産を取得したと知った日」 「父より先に兄が亡くなっていた。兄の子(つまり私の甥)は、父の遺産を相続できるのか?」「兄弟姉妹だけが相続人だったが、その兄弟姉妹も先に亡くなっていた。甥や姪は相続できる?その子(甥の子)は?」 ...

2026年5月27日 · ひぐらしさとし

遺産分割協議書の作り方と落とし穴──全員署名・印鑑証明書・複数原本のポイント

この記事の要点 遺産分割協議書は相続人「全員」の署名・実印・印鑑証明書がそろって初めて使える書類。1人でも欠けると無効 不動産は登記事項証明書のとおりの表記で書かないと相続登記に使えない 相続登記の申請義務(3年以内)と遺産分割の10年ルールという2つの期限が迫っているため、後回しにしない 被相続人(亡くなった方)の財産を相続人が話し合って分けるときに作る書面が「遺産分割協議書」です。法律で書式が決まった用紙があるわけではなく、相続人が自分たちで作る私文書ですが、これ1枚で不動産の名義変更も、預貯金の解約も、相続税の申告書類も動きます。それだけ大事な書面なのに、「全員の署名がそろわない」「印鑑証明書の有効期限を勘違いしていた」「後から財産が出てきて作り直すはめになった」──そんな落とし穴で、せっかく書いた協議書が使えなくなるケースが少なくありません。 ...

2026年5月24日 · ひぐらしさとし

相続させたくない相続人がいるとき──相続欠格と相続廃除のしくみ

この記事の要点 相続欠格は法律で定めた重大な行為があれば手続なしで当然に相続権を失う 相続廃除は虐待・重大な侮辱・著しい非行がある場合に家庭裁判所へ請求する必要がある どちらも代襲相続は起きる(子には相続権が移る)ため、相続放棄とは扱いが異なる 「長年、親に暴力をふるってきた子がいる」「介護を押しつけて寄りつかなかった相続人に財産を渡したくない」——相続の相談では、こうした「特定の相続人に相続させたくない」という声を聞くことがあります。 ...

2026年5月21日 · ひぐらしさとし

相続人がいない場合、財産はどうなる?──相続財産清算人と特別縁故者制度

この記事の要点 相続人が一人もいない場合、相続財産は「相続財産法人」となり、家庭裁判所が選ぶ相続財産清算人が管理・清算する 特別縁故者への財産分与は家庭裁判所の裁量判断で、認められるとは限らず、認められても一部にとどまることが多い 分与されなかった財産は最終的に国庫に帰属する(令和5年度は約1,015億円と過去最高) 少子化と高齢化、生涯未婚率の上昇を背景に、「亡くなった方に相続人が一人もいない」というケースが、近年じわじわと増えています。法務省の統計によれば、相続人がいない人の遺産が最終的に国に引き継がれる金額は、令和に入ってから年々過去最高を更新し続けており、社会問題として注目されつつあります。 ...

2026年5月18日 · ひぐらしさとし

限定承認とは?──「相続するか、放棄するか」で迷ったときの第三の選択肢

この記事の要点 限定承認は、プラスの財産の範囲内でだけマイナスの財産(借金)を引き継ぐ制度 相続人全員が共同で・3か月以内に・財産目録を添えて家庭裁判所に申述する必要がある みなし譲渡所得課税という独特の税負担が生じることがある 家族が亡くなって相続が始まったとき、相続人(財産を受け継ぐ立場の人)には、大きく分けて3つの道があります。「単純承認」「相続放棄」、そして今回取り上げる「限定承認(げんていしょうにん)」です。 ...

2026年5月15日 · ひぐらしさとし

相続放棄の『3ヶ月』はいつから?──知らなかった借金に気づける起算点ルール

この記事の要点 熟慮期間の「3ヶ月」は死亡日からではなく「自己のために相続の開始があったことを知った時」から数える 被相続人と疎遠で借金の存在を全く知らなかった場合、その借金を知った時から3ヶ月とされる余地がある(要件は厳格) 3ヶ月では判断できないときは、満了前に家庭裁判所へ「期間の伸長」を申し立てられる 「相続放棄は3ヶ月以内」──このフレーズだけが独り歩きしているように感じます。 ...

2026年5月12日 · ひぐらしさとし