電気・ガス・携帯・サブスク──亡くなった方の契約の解約と名義変更

この記事の要点 電気・ガス・水道は名義変更、携帯電話・サブスクは解約が基本的な流れです 解約は、相続放棄を予定している場合に法定単純承認の「処分」に当たり得るため注意が必要です サブスクは口座引き落としの明細やメールを確認しないと見つからないことが多く、デジタル遺品の整理とあわせて進めるのが次の一歩です 身内が亡くなると、公共料金や携帯電話、動画配信サービスなど、さまざまな契約の後始末が必要になります。しかし「そのまま使い続けられる契約」と「解約しないといけない契約」が混ざっているため、何から手をつければよいか迷う方は少なくありません。 ...

2026年8月18日 · ひぐらしさとし

相続回復請求権の期限――「知った時から5年」「相続開始から20年」で消える権利

この記事の要点 「相続回復請求権」は、本当は相続人でない人(表見相続人)が財産を持ち去っている状態を、真正な相続人が正すための権利 期限は侵害の事実を知った時から5年、知らなくても相続開始の時から20年で時効消滅する(民法884条) 遺留分侵害額請求の「1年・10年」とは別の期限であり、混同すると手遅れになりやすい 「知らないうちに時効」が起こりうる権利です 相続回復請求権とは、相続人でない人(表見相続人)に対して、真正な相続人が相続財産の返還を求める権利です(民法884条)。共同相続人の一人が本来の持分を超えて財産を握っている場面をこの権利の問題として扱うかどうかは、後述のとおり考え方が分かれています。たとえば、疎遠になっていた親族が独断で被相続人の財産を管理・処分していた、あるいは自分が相続人であることを知らされないまま長期間が過ぎていた、といった場面で問題になり得ます。 ...

2026年8月17日 · ひぐらしさとし

本籍地がわからないときの調べ方──相続の戸籍集めで最初につまずいたら

この記事の要点 本籍地がわからないときは、まず「本籍地の記載を希望した」住民票の写し(または除票)を取り寄せる 自分の本籍地は自分の住民票、亡くなった方の本籍地はその方の最後の住所地の住民票の除票からたどれる 除票の保存期間は延長されているが、古い除票はすでに廃棄されている場合もある 本文 戸籍を集めようとして最初につまずくのが、「そもそも本籍地がどこかわからない」という壁です。結論から言うと、本籍地を調べる最も確実な方法は、本籍地の記載を希望した住民票の写し(亡くなった方の場合は住民票の除票)を取り寄せることです。 ...

2026年8月17日 · ひぐらしさとし

上場株式・投資信託の相続手続き──証券口座の移管と「準共有」の注意点

この記事の要点 亡くなった方の証券口座にある上場株式・投資信託は、遺産分割が確定するまで相続人全員の準共有という状態になります。 証券会社での相続手続きは、原則として相続人名義の証券口座に株式や投資信託そのものを移す移管が基本で、証券会社が代わりに売却して現金で分けてくれるわけではありません。 移管を受けるには、相続人自身が同じ証券会社(または別の証券会社)に口座を新たに開設する必要がある場合が多くなります。 単元未満株・端株は通常の市場では売買できず、発行会社や特別口座の管理機関への買取請求など、別ルートでの現金化になります。 遺産分割協議書の作成や、預貯金口座の解約とあわせて進めると効率的です。 本記事は執筆時点(2026年8月)の制度に基づく一般的な解説です。実際の必要書類や手続き方法は証券会社ごとに異なるため、詳細は各証券会社にご確認ください。 ...

2026年8月17日 · ひぐらしさとし

葬祭費・埋葬料はもらい忘れやすい──健康保険の死亡後手続きと請求できる人

この記事の要点 葬儀のあとに受け取れる公的なお金には、国民健康保険・後期高齢者医療の葬祭費と、会社員などが加入する健康保険の埋葬料があります。名称も窓口も請求できる人も別々です。 葬祭費は市区町村、埋葬料は協会けんぽまたは健康保険組合が窓口で、いずれもこちらから申請しないと支給されません。 葬祭費は葬儀を行った人(喪主)が、埋葬料は亡くなった方に生計を維持されていて埋葬を行った人が請求できるとされ、対象者の決まり方が制度ごとに異なります(葬祭費は条例・規約、埋葬料は法律の条文で定められています)。 亡くなった方が健康保険の被扶養者(家族として扶養に入っていた方)だった場合は、被保険者に対して家族埋葬料が支給されます(健康保険法113条)。「本人が加入者ではなかったから何もない」と思い込みやすいところです。 これらの給付は相続財産そのものではなく、請求できる人が固有に受け取るお金という位置づけです。葬儀費用と相続財産の関係も、あわせて整理しておくと安心です。 本記事は執筆時点(2026年8月)の制度に基づく一般的な解説です。個別の請求書作成や金額計算は、各窓口にご確認ください。 ...

2026年8月17日 · ひぐらしさとし

ペットに財産は残せる?──負担付遺贈とペット信託の入口

この記事の要点 ペットは法律上「物」として扱われ、相続人にも受遺者(遺贈を受ける人)にもなれない ペットの世話をお願いしながら財産を渡す方法には、負担付遺贈・負担付死因贈与・ペット信託の3つがある どの方法も「元気なうちに」お世話をお願いする人・団体と話し合い、書面で内容を確定しておくことが前提になる 結論から言うと、ペットに直接財産を残すことはできません。ペットは法律上「物(動産)」として扱われ、財産を受け取る権利の主体にはなれないためです。もっとも、「自分が亡くなった後もペットの世話を続けてほしい」という希望をかなえる仕組み自体は複数用意されています。ここでは代表的な3つの方法を紹介します。 ...

2026年8月16日 · ひぐらしさとし

相次相続控除の入口──10年以内に相続が続いたとき(詳細は税理士へ)

この記事の要点 相次相続控除とは、10年以内に二回目の相続が起きたとき、二回目の相続税の負担を調整する制度(相続税法20条) 対象になるかどうか、実際にいくら軽くなるかは個々の事情で変わり、税理士でなければ正確に判断できない 相続登記の場面でよく出てくる「数次相続」とは視点が異なる、税務上の制度 司法書士が担うのは相続登記・戸籍収集などの手続き面。税額の計算・申告は税理士の領分 心当たりがあれば、早めに税理士やお近くの司法書士へ相談を 祖父が亡くなり、その相続の手続きが終わらないうちに父も亡くなった——このように、短い間隔で相続が二回続くと、相続税の負担が二重にのしかかるのではと心配になる方は少なくありません。 ...

2026年8月15日 · ひぐらしさとし

未支給年金とは?亡くなった月の年金は誰が受け取れる――遺族の範囲と相続財産との違い

この記事の要点 亡くなった月分などまだ支払われていない年金は「未支給年金」として、一定範囲の遺族が請求できます(国民年金法19条1項、厚生年金保険法37条1項)。 未支給年金は遺産分割の対象になる相続財産ではなく、条文上「自己の名で」請求する、受け取る遺族固有の権利とされています。 亡くなった後は、市区町村への死亡届とあわせて年金の手続きが必要です。日本年金機構にマイナンバーが収録されている場合、年金側の死亡届(報告書)は原則として提出不要ですが、未支給年金の請求は別に必要です。請求書の書き方や必要書類など具体的な手続きは、年金事務所・街角の年金相談センターが窓口です。 年金を受け取っていた方が亡くなると、「亡くなった月の年金はどうなるのか」という疑問が必ず出てきます。結論から言うと、年金は後払いの仕組みのため、亡くなった時点でまだ振り込まれていない分がほとんどの場合残ります。これが未支給年金です。相続財産に含めて遺産分割で分けるものではなく、一定範囲の遺族が請求すれば受け取れるお金として、法律上別枠で扱われています。 ...

2026年8月14日 · ひぐらしさとし

法定相続情報一覧図の保管期間は5年──写しの再交付が無料でできる期限を確認する

この記事の要点 法定相続情報一覧図は、保管の申出をした日の翌年から起算して5年間、登記所(法務局)に保管される 保管期間内であれば、当初の申出書に申出人として名前を記載した人が、無料で写しの再交付を受けられる 5年を過ぎると再交付ができなくなるため、複数の手続きにまたがって使う予定がある案件ほど、期限を意識した管理が必要になる 法定相続情報一覧図は、戸籍の束を1枚にまとめて法務局の認証を受ける書類で、相続登記や預貯金の解約など複数の手続きに使い回せる点が便利です。ただしこの一覧図、登記所に「ずっと」保管されているわけではありません。保管期間には期限があります。 ...

2026年8月13日 · ひぐらしさとし

養子縁組があると戸籍はどう動く?──相続で実方の戸籍までさかのぼる理由

この記事の要点 養子縁組をすると、養子は原則として養親の戸籍に入り(戸籍法18条3項)、それまでいた実父母の戸籍からは除籍される 被相続人の戸籍を死亡から出生までさかのぼる作業で「養子」の記載に行き当たったら、その戸籍だけでは足りず、縁組前に在籍していた実方の戸籍も別途取得する必要がある 普通養子縁組は実方との親族関係が続くため実方の血族も相続人になりうるが、特別養子縁組では原則として実方との親族関係が終了し、相続人の範囲が変わる(連れ子を特別養子とした場合の例外あり) 結論から言うと、養子縁組があると戸籍は「乗り換え」が起きます。養子は養親の戸籍に入るのが原則で(戸籍法18条3項「養子は、養親の戸籍に入る。」)、氏も養親の氏を称します(民法810条本文)。戸籍は一人につき一つの籍に在籍する仕組みですから、養親の戸籍に入るということは、それまで在籍していた実父母の戸籍からは除籍される、ということでもあります。なお、これには例外があり、婚姻によって氏を改めた人は、婚姻の際に定めた氏を称すべき間は養親の氏を称しません(民法810条ただし書)。戸籍はもともと、同じ氏を称する夫婦とその子を単位として編製される仕組みですから、縁組をしても氏が変わらないのであれば、養親の戸籍に入ることにもなりません。たとえば妻の氏を称して婚姻した夫が妻の父母の養子となる、いわゆる婿養子の縁組では、夫婦の戸籍に在籍したままとなり、縁組の事実はその戸籍の身分事項欄に記載されるだけで、戸籍の「乗り換え」は起きません。 ...

2026年8月13日 · ひぐらしさとし