亡くなった方の銀行口座を解約するには──凍結から相続手続き完了までの流れ

この記事の要点 銀行は名義人の死亡を知った時点で口座を凍結し、以後は相続人であっても自由に出金できなくなる 解約・払い戻しには戸籍一式や遺産分割協議書など複数の書類が必要で、金融機関への連絡から完了まで数週間から数か月かかることが多い 口座数が多い場合は法定相続情報証明制度を使うと、戸籍の束を出し直す手間を減らせる 銀行口座の名義人が亡くなると、口座は解約や払い戻しの手続きを経て初めて相続人が受け取れる状態になります。それまでの間、口座は「凍結」され、家族であっても自由に引き出すことはできません。ここでは、凍結が始まるタイミングから解約完了までの一般的な流れを整理します。 ...

2026年8月13日 · ひぐらしさとし

準確定申告とは──誰が、どこの税務署へ出すのか(亡くなった方の所得税・詳細は税理士へ)

この記事の要点 準確定申告とは、亡くなった方(被相続人)のその年の所得税について、相続人が代わりに行う確定申告のことです 申告する義務を負うのは相続人で、包括受遺者(遺言で遺産の全部または割合で財産を受け取る人)も同じ立場に立ちます 相続人が2人以上いるときは、付表を添えて全員が連署した1通を出すのが原則で、他の相続人の氏名を付記して各別に出すこともできます 提出先は「被相続人の死亡当時の納税地」を所轄する税務署です。相続人自身の住所地の税務署ではありません 相続放棄をした人は、民法939条により初めから相続人でなかったものとみなされるため、相続人としての申告義務を負いません 申告が必要かどうかの判断・税額の計算・申告書の作成は税理士の専門分野です。具体的な内容は税理士にご相談ください 結論から言うと、準確定申告で最初につまずきやすいのは「4か月」という期限そのものよりも、誰が申告する立場なのかとどこの税務署に出すのかという2点です。とくに提出先は、相続人が住んでいる場所の税務署ではなく、亡くなった方が亡くなった当時の納税地を所轄する税務署になります。ここを取り違えると、期限を意識していても手続きが空回りしてしまいます。 ...

2026年8月12日 · ひぐらしさとし

遺言書保管制度の「通知」を使いこなす──関係遺言書保管通知と指定者通知のちがい

この記事の要点 法務局に預けた遺言書についての通知は2種類。「関係遺言書保管通知」と「指定者通知(遺言者が指定した方への通知)」で、届くきっかけがまったく違う 関係遺言書保管通知は、相続人などの誰か1人が閲覧や証明書の取得をしたときに、ほかの関係者へ届く。特別な申込みは不要 指定者通知は、遺言者が生前にあらかじめ指定した人へ届く。執筆時点(2026年8月)で3名まで指定でき、遺言者が希望した場合にだけ実施される どちらの通知にも、遺言書の「中身」は書かれていない。届いたら遺言書保管所で閲覧か遺言書情報証明書の請求をする 誰も動かなければ関係遺言書保管通知は届かない。だからこそ、保管申請のときに指定者通知を申し込んでおく意味がある 法務局に遺言書を預けたあと、その遺言書の存在は家族にどうやって伝わるのでしょうか。答えは「2種類の通知」です。ひとつは相続人などの誰かが動いたときに届くもの、もうひとつは遺言者が生前に指名した人へ届くもの。この2つは、届くきっかけも、事前の手続の要否もまったく違います。 ...

2026年8月11日 · ひぐらしさとし

相続した実家が借地権だった──慌てないための手続きと地主への対応

この記事の要点 借地権(土地を借りて建物を建てる権利)は相続財産として当然に引き継がれ、地主の承諾は不要。承諾料(名義書換料)を支払う法律上の義務もない 土地の名義変更は不要だが、建物の相続登記は必要。相続で取得を知った日から3年以内の申請が義務(怠ると10万円以下の過料の対象) 地代の支払いはそのまま相続人が引き継ぐ。滞納すると契約解除のリスクがあるので、支払方法の確認を最優先に 借地契約書を探して、契約の種類(普通借地権か定期借地権か)と特約を確認する 売却や建て替えなど「次の一手」には地主の承諾が必要になる場面がある。もめたときの交渉・紛争対応は弁護士の分野 親が亡くなり、実家の登記簿(登記事項証明書)を取ってみたら、土地の所有者欄に知らない人の名前が載っていた——。実は、実家は「借地」の上に建っていた、というケースは珍しくありません。 ...

2026年8月10日 · ひぐらしさとし

相続で共有名義にした不動産の固定資産税、誰が払う?──連帯納税義務と『代表者』のしくみ

この記事の要点 共有名義の不動産の固定資産税は、持分の割合にかかわらず共有者全員が全額について連帯して納める義務を負う(地方税法10条の2) 納税義務者は毎年1月1日(賦課期日)時点の所有者(同法343条1項・2項、359条)。登記簿や課税台帳上の所有者が賦課期日より前に亡くなっているときは、相続登記が済んでいなくても、その日に不動産を現に所有している相続人が納税義務者とされる(同法343条2項後段) 実務上は共有者の中から「代表者」が定められ、その代表者あてに納税通知書がまとめて送られるが、代表者だけが法的な納税義務を負うわけではない 相続で不動産を兄弟姉妹などと共有名義にすると、「持分に応じて、それぞれ別々に納税通知書が届いて、自分の持分の分だけ払えばいい」と考えている方が少なくありません。しかし、固定資産税に関する限り、この理解は正確ではありません。 ...

2026年8月10日 · ひぐらしさとし

財産目録の作り方──パソコン作成OKになったルールと記載例

この記事の要点 自筆証書遺言に添付する財産目録は、2019年1月13日以降、パソコン作成や通帳のコピー添付が可能になった ただし目録の各ページ(両面に記載があれば両面とも)に遺言者本人の署名と押印が必要 財産目録に書き間違いがあった場合の訂正方法にも、本文と同じ厳格なルールがある 不動産・預貯金・株式の記載例と、記載時に気をつけたいポイントを紹介 「遺言書は手書きじゃないといけないから、財産が多いと大変」——そう思っている方は少なくありません。しかし、遺言に添付する財産目録については、2019年(平成31年)1月13日から自書(手書き)が不要になりました。パソコンで一覧表を作ったり、不動産の登記事項証明書や預金通帳のコピーをそのまま添付したりできるようになっています。 ...

2026年8月10日 · ひぐらしさとし

帰省したら親と話したい「実家の話」──相続の話し合いの始め方

この記事の要点 お盆で家族が顔をそろえるこの時期は、実家の将来を話し合う数少ない機会 いきなり「相続」と切り出さなくてよい。「実家、この先どうする?」くらいの軽い一言で十分 話し合いを先延ばしにすると、判断能力の低下や急な入院で身動きが取れなくなることがある 今回のゴールは結論を出すことではなく、「家族で話す場を持てたこと」でよい お盆で実家に帰省し、親やきょうだいと顔を合わせる機会があるなら、それは実家の将来や相続について話し合いを始める貴重なタイミングです。とはいえ「相続の話」と聞くと身構えてしまう方も多いはず。結論から言えば、最初から結論を出す必要はありません。まずは「実家、この先どうする?」というくらいの軽い一言から始めれば十分です。 ...

2026年8月10日 · ひぐらしさとし

再転相続の熟慮期間はいつから?──相続放棄を決める前に相続人が亡くなったときの特別ルール

この記事の要点 相続放棄をするか承認するかを決める「3か月」の期間中に相続人本人が亡くなると、その選ぶ権利は亡くなった人の相続人へ引き継がれます(再転相続) 引き継いだ人の3か月は、最初の相続が起きたことを知った時からではなく、自分がその選ぶ権利を引き継いだ事実を知った時から数え直します(最高裁令和元年8月9日判決) 遺産分割が終わらないまま相続が重なる「数次相続」とは異なる、より限定された場面を指す言葉です 「再転相続」とは何か 相続人は、自己のために相続の開始があったことを知った時から原則3か月以内に、相続を承認するか放棄するかを決めなければなりません(民法915条1項、熟慮期間)。ところが、この3か月の途中で、相続人本人が承認も放棄もしないまま亡くなってしまうことがあります。 ...

2026年8月9日 · ひぐらしさとし

分籍とは?──自分の意思で戸籍を分けると、相続の戸籍集めはどう変わるか

この記事の要点 分籍とは、成年に達した人が自分の意思で届け出て、それまでの戸籍から抜けて新しい戸籍を単独で作ること 分籍をすると、転籍や改製のときと同じく「戸籍が区切られる」。新しい戸籍に、それ以前の戸籍の記載がそのまま引き継がれるわけではない 被相続人が生前に分籍していた場合、死亡時の戸籍だけでは兄弟姉妹の有無が分からず、分籍前の戸籍まで遡って集める必要がある 本文 分籍をしたことがある方が亡くなった場合、相続の戸籍集めでは死亡時の戸籍だけでは足りません。分籍する前の戸籍まで、さらに遡って取り寄せる必要があります。 ...

2026年8月9日 · ひぐらしさとし

エンディングノートと遺言はどう違う?──法的効力の線引き

この記事の要点 エンディングノートには法的な効力がなく、遺言だけが民法で定められた方式に従うことで法的効力を持つ 遺言でなければ実現できないこと(相続分の指定・遺贈など)をエンディングノートに書いても、法律上の効果は生まれない 財産の分け方を法的に確定させたいなら遺言、情報や気持ちを書き残したいならエンディングノートが向いている どちらを使うか迷ったら、お近くの司法書士にご相談ください 結論から言うと、エンディングノートには法的な効力がありません。法的な効力を持つのは、民法で定められた方式に従って作成された遺言だけです。どちらも「将来に備えて書いておくもの」という点では似ていますが、法律上の扱いはまったく別のものです。 ...

2026年8月9日 · ひぐらしさとし