亡くなった方の預金、葬儀代だけでも引き出せる?──預貯金の仮払い制度

この記事の要点 遺産分割前でも、相続人ひとりで単独請求できる「預貯金の仮払い制度」(民法909条の2)がある 上限は「預金額×1/3×法定相続分」と、金融機関ごとに150万円のいずれか低い方 相続放棄を検討している場合は、仮払いの利用が「単純承認」とみなされるリスクがあるため要注意 「親の口座が凍結されて葬儀代も払えない」というご相談 身内が亡くなったあと、銀行に死亡の連絡を入れると、その方の口座は「凍結」され、原則として遺産分割協議が終わるまで引き出せなくなります。 ...

2026年4月30日 · ひぐらしさとし

法定相続情報証明制度をやさしく解説──戸籍の束を1枚の図にまとめる手続き

この記事の要点 法定相続情報証明制度を使うと、戸籍の束のかわりに法務局認証つきの一覧図の写し1枚で相続手続きが進められる 手数料は無料。何枚でも交付してもらえるので、不動産登記と金融機関の手続きを同時並行できる 数次相続では亡くなった方ごとに別々の申出が必要になるほか、相続人に外国籍の方がいる場合は利用できないなど、注意点もある 相続が起きたあと、銀行の口座を解約したり、不動産の名義を変えたり、証券口座を引き継いだり……どの窓口に行っても必ず求められるのが「亡くなった方の出生から死亡までの戸籍一式」と「相続人全員の戸籍」です。 ...

2026年4月29日 · ひぐらしさとし

自筆の遺言書を法務局に預けられる——遺言書保管制度とは

この記事の要点 自筆証書遺言を法務局に預けられる制度。家庭裁判所の検認が不要になる 費用は保管申請時に1通3,900円のみ。その後の保管料はかからない 法務局は形式面しか確認しない。内容が法的に有効かどうかは自分で(できれば専門家に)確認が必要 「遺言書を書いたはいいけれど、自分が亡くなった後に家族が見つけてくれるだろうか」「書き直したらどれが最新版かわからなくなりそう」——そんな不安を持つ方は少なくありません。 ...

2026年4月28日 · ひぐらしさとし

遺留分侵害額請求とは?──2019年改正で「現物返還」から「金銭請求」へ

この記事の要点 遺留分(最低限の取り分)があるのは配偶者・子・直系尊属のみ。兄弟姉妹にはない 割合は原則2分の1(直系尊属のみが相続人の場合は3分の1) 2019年7月1日以降の相続では「現物の返還」ではなく「金銭の支払い」を請求する権利になった(民法1046条)。時効は相続開始と遺留分侵害を知ったときから1年 遺留分って何ですか? 親が亡くなって遺言書を開けてみたら、「財産はすべて長男に」と書いてあった──。こんなとき、他のきょうだいや配偶者は黙って受け入れるしかないのでしょうか。 ...

2026年4月27日 · ひぐらしさとし

配偶者が「家に住み続ける権利」を守るために──配偶者居住権という選択肢

この記事の要点 配偶者居住権を使うと、自宅の「居住権」と「所有権」を分けて相続でき、配偶者は住み続けながら現金も受け取りやすくなる 取得には遺言または遺産分割協議が必要。第三者に対抗するには登記が必須(民法1031条2項) 配偶者が亡くなると自動的に消滅し、他人に譲渡することはできない 夫(または妻)を亡くしたあと、「これからもこの家に住み続けられるのだろうか」と不安に思う方は少なくありません。 ...

2026年4月26日 · ひぐらしさとし

「親の不動産、どこにあるかわからない」を解決する新制度──所有不動産記録証明制度が始まりました

この記事の要点 2026年2月2日開始の所有不動産記録証明制度で、全国の法務局を横断検索し特定の人名義の不動産を一覧にした証明書を取得できる 費用は証明書1通1,600円(オンライン申請はやや安い)で、相続人は戸籍謄本等を添えて請求できる 登記簿上の氏名・住所と請求時の氏名・住所が一致しないと検索にひっかからないため、旧住所・旧姓でも確認が必要 「父が亡くなって、不動産を相続することになったけれど、土地がどこにあるかよくわからない」 ...

2026年4月25日 · ひぐらしさとし

相続放棄しても管理義務が残ることがある──いつまで続く?改正民法940条で整理

この記事の要点 相続放棄をしても、放棄した時点で現に占有していた財産には保存(管理)義務が残ることがある(改正民法940条) 義務は他の相続人(同順位・後順位を含む)または相続財産清算人へ引き渡すまで続き、占有していなかった財産には義務は生じない 現在占有している財産があるか、放棄後の管理負担がどうなるかを早めに確認しておくと安心 「相続放棄したので、もう関係ない」──そう思っていたら、後から「管理してください」と言われた。そんなケースが現実に起きています。 ...

2026年4月24日 · ひぐらしさとし

相続で「いらない土地」が出てきたら──国に引き取ってもらう制度の基本

この記事の要点 相続や遺贈で取得した土地は、要件を満たせば国に引き取ってもらえる(相続土地国庫帰属制度) 審査手数料は土地1筆14,000円、承認後は10年分の管理費用相当額として原則20万円の負担金が必要 建物付き・担保権付き・境界不明の土地などは対象外になるため、まず売却や寄付など他の処分方法と比較するのがおすすめ 親から土地を相続したものの、遠方で使い道もなく、固定資産税や管理費だけがかかり続ける──そんなご相談が年々増えています。 ...

2026年4月20日 · ひぐらしさとし

デジタル遺品・暗号資産の相続──見えない財産をどう引き継ぐか

この記事の要点 ネット銀行・暗号資産などの「デジタル遺品」は相続財産として扱われるが、通帳のように目に見えないため家族が気づかず引き継げないリスクがある 自己管理していた暗号資産は秘密鍵がなければ相続人でも事実上取り出せないため、生前の一覧化が重要 財産の一覧やパスコードのメモを元気なうちに残しておくことが、家族が困らない最大の備えになる ネット証券の口座、スマホの中の写真、SNSアカウント、そして暗号資産(仮想通貨)。 **形のない「デジタル遺品」**は、今や相続の現場で避けて通れないテーマになっています。 ...

2026年4月19日 · ひぐらしさとし

遺産分割に「10年ルール」ができました──特別受益・寄与分の主張は早めに

この記事の要点 2023年4月に施行された民法改正で、相続開始から10年を過ぎると特別受益・寄与分は原則として主張できなくなり、法定相続分での分割が基本になる 10年が経過する前に家庭裁判所へ調停・審判を申し立てていれば、10年を過ぎても主張できる 長年介護をしてきた方、生前贈与に差がある家庭は、早めの話し合いか調停申立てを検討する 2023年4月に施行された民法改正で、遺産分割の話し合いに10年の期間制限が設けられました。令和6年(2024年)以降、最高裁・各地裁もこの新ルールを前提とした判断を積み重ねています。 ...

2026年4月19日 · ひぐらしさとし