少子化と高齢化、生涯未婚率の上昇を背景に、「亡くなった方に相続人が一人もいない」というケースが、近年じわじわと増えています。法務省の統計によれば、相続人がいない人の遺産が最終的に国に引き継がれる金額は、令和に入ってから年々過去最高を更新し続けており、社会問題として注目されつつあります。

「身寄りがない人の財産は、亡くなったらどうなるのか?」「長年お世話をしてきた親族でも姻族でもない人は、何かもらえる余地はあるのか?」「所有者不明の土地として放置されるのではないか?」──こうした疑問に答えるのが、民法951条以下に定められた相続人不存在(そうぞくにんふぞんざい)の制度と、相続財産清算人(そうぞくざいさんせいさんにん)、そして特別縁故者(とくべつえんこしゃ)への財産分与の仕組みです。

この記事では、それぞれの制度の役割と流れを整理します。なお、相続税の細かな計算や申告書の作成については税理士の業務領域になりますので、本記事では概要だけ触れます。

「相続人がいない」とはどういう状態か

民法951条は、「相続人のあることが明らかでないとき」、相続財産は法人になる、と定めています。これを通称「相続財産法人(そうぞくざいさんほうじん)」といいます。

ここでいう「相続人のあることが明らかでない」とは、次のような状態を指します。

  • そもそも法定相続人(配偶者・子・親・兄弟姉妹など、民法で定められた相続権を持つ親族)がいない
  • 全員が相続放棄をして、相続人として承継する者がいなくなった
  • 戸籍を調べても相続人の存否がはっきりしない

注意したいのは、「相続人がいない」と「相続人と連絡が取れない」は別の状態だということです。戸籍をたどれば相続人が判明する場合は、たとえ行方不明であっても「相続人不存在」にはあたりません。この場合は不在者財産管理人(民法25条)の選任など、別の手続きを使うことになります。

相続財産清算人とは──令和3年改正で「管理人」から「清算人」へ

相続財産が法人になっても、誰かが管理し清算しなければ、債権者への支払いも、遺産を最終的にどう処理するかも進みません。そこで、家庭裁判所が選任するのが相続財産清算人です(民法952条1項)。

名前が「管理人」から「清算人」に変わった

この制度の名称は、令和3年(2021年)の民法・不動産登記法等の改正で、「相続財産管理人」から「相続財産清算人」へと変更されました。施行日は令和5年(2023年)4月1日です。

名前が変わっただけのように見えますが、改正の趣旨は実質的なものでした。改正前の制度では、選任後に「相続財産管理人選任の公告(2か月)」「相続債権者・受遺者への請求申出の公告(2か月以上)」「相続人捜索の公告(6か月以上)」の3つの公告を順番に出す必要があり、最低でも10か月以上の時間がかかっていました。

改正後は、選任公告と相続人捜索公告を同時に行えるようになり(民法952条2項)、公告期間も合計で6か月以上に短縮されました。手続きの長期化が相続財産の処分を遅らせる一因とされていたため、改正で迅速化が図られたかたちです。

誰が選任を申し立てるのか

相続財産清算人の選任は、利害関係人または検察官が、被相続人(亡くなった方)の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に申し立てます(民法952条1項、家事事件手続法203条)。

ここでいう利害関係人には、次のような立場の人が含まれると一般に解されています。

  • 被相続人にお金を貸していた債権者
  • 被相続人から遺贈を受けた受遺者
  • 特別縁故者として財産分与を受けたい人
  • 被相続人と共有関係にあった共有者
  • その他、相続財産の処理について法律上の利益を有する人

申立てには、収入印紙800円、官報公告費用(数千円)、予納金(事案により数十万円〜100万円程度)などがかかります。予納金は、清算人の報酬や手続費用に充てるためのもので、財産から十分回収できない場合に申立人が負担する性質のものです。

清算手続きの流れ

相続財産清算人が選任されると、おおむね次のような流れで清算が進みます(民法957条・958条)。

① 選任公告と相続人捜索公告(同時に開始) 家庭裁判所が清算人の選任を公告し、同時に「相続人があれば6か月以内に申し出るように」という相続人捜索の公告を出します(民法952条2項、958条)。期間は6か月以上です。

② 債権者・受遺者への請求申出の公告 清算人は、相続債権者と受遺者に対して、「2か月以上の期間内に請求を申し出るように」と公告します(民法957条1項)。この期間は、①の6か月期間の満了日までに終わるように設定されます。

③ 弁済 申し出があった債権者・受遺者に対して、財産の範囲で公平に弁済します。

④ 期間満了 6か月の捜索公告期間内に相続人が現れなかった場合、相続人としての権利を主張できる者はいないものとして確定します(民法958条)。これを「権利失権効(けんりしっけんこう)」と呼びます。

⑤ 特別縁故者からの申立期間(3か月) 相続人不存在が確定したあと、3か月以内に特別縁故者から財産分与の申立てができます(民法958条の2第2項)。

⑥ 残余財産の処理 特別縁故者への分与がなされなかった財産、または分与後の残余財産は、最終的に国庫に帰属します(民法959条)。

特別縁故者制度──「親族ではないけれど縁が深かった人」への分与

民法958条の2は、相続人がいないことが確定したあと、家庭裁判所が特別縁故者に対して、相続財産の全部または一部を分与することが「できる」と定めています。

「特別縁故者」とは誰か

民法958条の2第1項は、次の3類型を示しています。

  1. 被相続人と生計を同じくしていた者(内縁の配偶者、事実上の養親子など)
  2. 被相続人の療養看護に努めた者(長期間献身的に介護した親族外の人など)
  3. その他被相続人と特別の縁故があった者(永年にわたり師弟関係にあった者、被相続人が世話を委ねていた施設・団体など)

家庭裁判所の裁量判断であり、認められない場合も多い

ここで重要なのは、特別縁故者にあたるかどうか、また分与額をいくらにするかは、すべて家庭裁判所の裁量判断だということです(民法958条の2第1項「分与することができる」)。

「内縁関係にあった」「介護をした」という事情があれば必ず認められるわけではなく、縁故の程度・期間・財産の規模・他の事情を総合的に考慮して判断されます。縁故の濃淡は事案ごとに大きく異なり、被相続人との関わりが浅いと評価された結果、申立てが認められなかった例も少なくないとされています。

また、分与が認められた場合でも、遺産全額が分与されるとは限らず、一部のみとされる例が多いとされています。

申立期間は、相続人不存在の確定から3か月以内と短く、これを過ぎると分与を受ける道は閉ざされます(民法958条の2第2項)。

相続税の扱い

特別縁故者として財産を取得した場合、相続税法上は遺贈により取得したものとして扱われ(相続税法4条1項)、相続人ではないため2割加算の対象になります(相続税法18条1項)。基礎控除も「3,000万円+600万円×法定相続人の数」で計算しますが、相続人がいないので法定相続人の数はゼロという扱いになり、基礎控除は3,000万円のみです。

具体的な税額計算や申告書の作成は税理士の業務範囲になりますので、特別縁故者として財産分与を受けた方は、必ずお近くの税理士にもご相談ください

国庫帰属──最後は国のものになる

相続人もおらず、特別縁故者への分与もない(または残余がある)場合、財産は最終的に国庫に帰属します(民法959条)。

国庫帰属の対象になるのは、現金・預金・有価証券・不動産・債権など、被相続人が有していた一切の財産です。不動産の場合は、清算人から国(財務省)に引き継ぐ手続きが必要になり、所有権移転登記が行われます。

冒頭で触れたように、近年は国庫帰属となる金額が増え続けており、令和5年度(2023年度)には初めて1,000億円を超え、約1,015億円に達したと報じられています(2025年1月・最高裁への取材に基づく日本経済新聞報道)。令和4年度(2022年度)の約768億円から1年で大幅に増加しており、過去10年で約3倍の水準です。背景には、未婚・少子化に加えて、相続人がいても全員が放棄するケースの増加があるとされています。

所有者不明土地問題との関連

相続人不存在の話は、ここ数年大きな社会問題になっている所有者不明土地問題とも深く関係しています。

所有者不明土地問題研究会(一般財団法人国土計画協会)の試算によれば、登記簿だけでは所有者が直ちに判明しない土地、または所有者が判明しても連絡がつかない土地は、全国で約410万ヘクタールに達するとされ、その面積は九州本島(約368万ヘクタール)より広いと指摘されています。

こうした問題への対応として、令和3年に相続土地国庫帰属法(正式名称:相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律)が成立し、令和5年4月27日に施行されました。これは「相続人がいない」ケースではなく、「相続したが要らない土地を国に引き取ってもらえる」制度で、別の枠組みですが、相続人不存在による国庫帰属とあわせて、所有者不明・管理不全土地の問題に対する制度的対応が進んでいます。

制度の使い方──どこまでが司法書士、どこからが弁護士・税理士か

最後に、業務範囲の整理をしておきます。

  • 相続財産清算人選任の申立書類の作成:家庭裁判所に提出する申立書類の作成は、司法書士の業務範囲(司法書士法3条1項4号)です。
  • 相続財産清算人としての就任:実際の清算事務の遂行は、家庭裁判所が事案ごとに弁護士または司法書士の中から選任します。司法書士が就任する例も実務上は多くあります。
  • 特別縁故者からの分与申立書類の作成:家裁提出書類として、司法書士が作成支援できます。
  • 代理交渉・訴訟代理:被相続人の債権者との示談交渉や訴訟は、原則として弁護士の業務範囲(弁護士法72条)です。
  • 不動産登記:国庫帰属時の所有権移転登記、清算人の権限による売却に伴う移転登記などは司法書士の業務範囲(司法書士法3条1項1号)です。
  • 相続税の申告・税額計算:特別縁故者として財産を取得した場合の相続税申告は、税理士の業務範囲(税理士法52条)です。

「相続人がいないかもしれない」「親しい関係だった方が亡くなり、特別縁故者として申立てを検討したい」というケースは、まずはお近くの司法書士にご相談ください。事案の性質によっては、弁護士や税理士と連携して対応することになります。


【さらに深掘り】相続財産清算人選任手続きと所有者不明土地問題の交錯

ご注意 以下は執筆時点(2026年5月)の法令・通達・実務運用に基づく一般的な解説です。個別事情により判断が分かれる論点を含みます。実務適用は最新情報と個別事情を踏まえ、お近くの司法書士にご相談ください。

不動産登記実務の観点

相続人不存在の事案では、不動産は被相続人名義のまま長期間放置されていることが少なくありません。固定資産税の納税通知書は被相続人宛のまま市町村が督促しているが宛先人不在で返戻されている、近隣の管理不全が問題化している、共有持分のみ被相続人名義で他の共有者から共有物分割を求められている──こうした入り口で清算人選任の申立てに至るのが典型的なパターンです。

1. 清算人選任後の登記実務

まず注意したいのは、相続財産清算人が選任されても、不動産の登記名義人は被相続人のままだという点です。相続財産は法人化されますが(民法951条)、登記簿上の所有権登記名義人欄が「相続財産法人」に書き換わるわけではありません。

清算人がいる場合に行われる主な登記は、おおむね次の3類型です。

(1) 所有権登記名義人氏名変更(不動産登記法64条1項関連) 被相続人名義のままでは権利関係が外部から見えにくいため、申立てがあれば「亡○○相続財産」と権利者を表示する変更登記を行う運用が知られています。登記原因は「相続人不存在」、原因日付は被相続人の死亡日(または家庭裁判所による選任審判の日とする運用例も)。実務的取扱いについては事案ごとに法務局の事前相談に乗ることが多い分野です。

(2) 売却に伴う所有権移転登記 清算人が裁判所の許可(民法953条・28条準用)を得て換価のために不動産を売却した場合、登記原因は「売買」、登記義務者は「亡○○相続財産」、清算人がその代表者として記名押印します。添付書類として、**家庭裁判所の選任審判書(謄本)と権限外行為許可の審判書(謄本)**が必要になります。登記権利者は買主です。

(3) 国庫帰属の登記 清算手続が終わり残余財産が国庫に帰属した場合、登記原因は**「民法第959条による国庫帰属」**、登記権利者は「国」(管轄は財務省財務局)、登記義務者は「亡○○相続財産」となります。実務上は、財務局からの要請を受けて司法書士が嘱託登記または通常の共同申請に準じた申請を行います。添付書類として、清算手続の終結を示す書類が必要となります。

2. 相続登記の義務化(不動産登記法76条の2)との関係

令和6年4月1日に施行された相続登記の申請義務(不動産登記法76条の2第1項)は、「相続人」に対して相続を知った日から3年以内の申請を求めるものです。

ここで重要なのは、相続人がいない事案は、76条の2の義務の直接の名宛人がいないという点です。法定相続人全員が放棄した場合も同様で、76条の3の相続人申告登記も同じ理由で利用余地がありません。

つまり、相続人不存在の不動産は、76条の2の義務の名宛人がいないため過料の制裁が及ぶ余地は基本的にないものの、その反面、清算人選任までの間は、登記上動かしようがない状態になります。共有持分のみが相続人不存在となっている場合、他の共有者にとっては自分の権利行使に支障が生じうるため、利害関係人として清算人選任を申し立てるという選択肢が現実味を帯びます。

3. 「相続土地国庫帰属」との混同に注意

民法959条の国庫帰属(清算後の残余財産の国庫帰属)と、相続土地国庫帰属法による国庫帰属は、まったく別の制度です。読者からの問い合わせでも混同されがちなので、整理しておきます。

項目 民法959条による国庫帰属 相続土地国庫帰属法による国庫帰属
対象 相続人不存在の場合の残余財産すべて(不動産だけでなく現金・債権等を含む) 相続または相続人への遺贈で取得した土地のみ
申立資格 清算人による清算手続の結果(個別の申立てではなく自動帰属) 相続人本人(共有の場合は共有者全員)
手続 家裁による清算人選任→公告→清算→残余の国庫帰属 法務大臣(管轄法務局)への承認申請
負担金 なし 10年分の標準的な管理費用相当額の負担金が必要
引取拒否事由 なし(残余はすべて国庫帰属) 法定の拒否事由あり(建物がある・担保権設定・境界未確定など)
施行日 民法959条は制定時から/令和3年改正による「清算人」名称変更は令和5年4月1日 令和5年4月27日施行

「相続したけれど要らない土地がある」「身寄りのない知人の財産整理を頼まれた」など、似たような相談でも、入口の事実関係によって使う制度がまったく異なります。

4. 司法書士の関与ポイント

不動産登記の観点から、司法書士が関与しうる場面を整理すると次のとおりです(いずれも事案により可否・分担が異なります)。

  • 相続財産清算人選任申立書類の作成(家庭裁判所提出書類として)
  • 清算人選任後の所有権登記名義人氏名変更登記の申請
  • 換価売却に伴う所有権移転登記の申請
  • 民法959条による国庫帰属登記の申請(実務上は嘱託登記となる場合あり)
  • 共有持分のみが相続人不存在となっているケースで、他の共有者から相談を受けた場合の整理

なお、被相続人の債権者との示談交渉や訴訟は弁護士の業務範囲(弁護士法72条)であり、相続税の計算・申告は税理士の業務範囲(税理士法52条)です。事案の性質に応じて、これら他士業との連携を前提とした対応になります。

不動産が絡む相続人不存在の事案は、清算人選任前にどこまで動けるか/動けないかの見極めが入り口の論点になります。固定資産税の納税義務者表記・登記簿の名義・現地の管理状況を切り分けて、まずはお近くの司法書士にご相談ください

税務上の観点

相続人不存在の事案では、被相続人段階・清算手続段階・分与または国庫帰属段階の3つのフェーズで税務論点が登場します。具体的な税額計算・申告書作成は税理士の業務範囲(税理士法52条)となりますので、ここでは制度の輪郭と、見落とされやすい論点を整理します。

1. 被相続人段階──準確定申告は誰がするのか

被相続人が亡くなった年に所得(事業所得・不動産所得・年金等)があった場合、本来は相続人が準確定申告を行います(所得税法125条1項)。期限は、原則として相続の開始があったことを知った日の翌日から4か月以内です。

ところが、相続人不存在の事案では、申告すべき主体が直ちには存在しません。国税庁の解釈では、相続財産法人は国税通則法5条1項(相続による国税の納付義務の承継)に基づき納税義務を承継し、所得税法125条の類推解釈により清算人が申告主体となるものとされています。期限は清算人が選任された日の翌日から4か月以内とする整理が一般的です(国税庁質疑応答事例「民法上の相続人が不存在の場合の準確定申告の手続」)。

2. 清算手続中の財産から生じる所得

清算手続中であっても、相続財産法人が所有する不動産からの賃料、預金の利息などの所得は発生し続けます。これらは相続財産法人を所得税法上の「人格のない社団等」に類似するものとして取り扱い、清算人が申告主体となるのが一般的な整理です。

長期化する清算事案では、各年分の所得税申告を清算人が継続的に行う必要が生じる場面があります。

3. 特別縁故者が取得した場合──申告期限の起算点に注意

特別縁故者が財産分与を受けた場合、相続税法上は**「遺贈により取得したもの」**とみなされます(相続税法4条1項)。

ここでもっとも実務的に注意したいのが、申告期限の起算点です。

  • 通常の相続税:相続の開始があったことを知った日の翌日から10か月以内(相続税法27条1項)
  • 特別縁故者の場合:「分与があったことを知った日の翌日から10か月以内」(相続税法29条1項)

相続発生から分与確定までに1年以上かかることも珍しくありません。「相続税の申告期限は被相続人の死亡から10か月」と覚えていると、特別縁故者の事案では起算点を取り違えてしまう恐れがあります。分与の審判書の謄本に記載された日付や、これを実際に受け取った日を起点として、改めて10か月の期限を確認する必要があります。

4. 税額の計算──2割加算と基礎控除

特別縁故者は被相続人の一親等の血族(その代襲相続人を含む)でも配偶者でもないため、相続税法18条1項により税額の2割加算の対象となります。

基礎控除額は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」で計算しますが(相続税法15条1項)、相続人不存在の事案では法定相続人がゼロですから、基礎控除は3,000万円のみです。さらに、配偶者の税額軽減(相続税法19条の2)や未成年者控除・障害者控除(同法19条の3・19条の4)といった相続人向けの軽減措置も適用余地がありません。

実額として、評価額が3,000万円を超える財産を取得した場合は申告が必要になる可能性が高く、想定よりも税負担が重くなりがちです。

5. 不動産で取得した場合の評価と小規模宅地等の特例

不動産を分与で取得した場合、評価は路線価方式(路線価地域)または倍率方式(倍率地域)が基本です(財産評価基本通達)。

論点になりやすいのが、小規模宅地等の特例(租税特別措置法69条の4)の適否です。同特例の適用対象者は基本的に「被相続人の親族」とされており、特別縁故者は内縁の配偶者・事実上の養子・第三者など多様な立場を含むため、適用の可否は個別事案ごとに被相続人との関係性・同居要件・生計同一要件などを慎重に検討する必要があります。

実務上、特別縁故者が同特例の適用を受けられるケースは限定的だと整理されていますが、結論は事案により分かれるため、取得した不動産がある場合は早期に税理士へ相談して、評価方法・特例の適否・申告期限の起算点を一体で確認することが重要です。

6. 国庫帰属となった場合の課税関係

特別縁故者への分与がなく、または分与後に残余があって国庫に帰属した場合(民法959条)、その国庫帰属自体に対しては課税は発生しません。清算過程で換価売却が行われた場合の譲渡所得課税は、相続財産法人(清算人)の段階で処理されます。

業務範囲の整理

ここまで述べた申告期限・基礎控除・特例の適否などは、制度の輪郭です。具体的な税額計算、申告書作成、財産評価の確定、節税策の検討、税務調査対応は**税理士の業務範囲(税理士法52条)**です。

司法書士は、清算人選任申立てや家裁提出書類、不動産登記といった部分で関与し、税務面は税理士との連携で進めるのが基本的な対応となります。特別縁故者として財産分与を受けた方、または分与申立てを検討している方は、お近くの税理士にご相談ください