第1問(測量法総論) — 測量業の登録制度
問: 測量業を営もうとする者は、誰の登録を受けなければならないか。また、登録を受けずに測量業を営んだ者に対する罰則と、各営業所への配置義務がある資格者を答えよ。
答: 測量業を営もうとする者は国土交通大臣の登録を受けなければならない(測量法55条)。無登録で測量業を営んだ者は1年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金(測量法57条)。各営業所には測量士を1人以上置かなければならない(測量法55条の13第1項)。
解説: 測量業は許可制ではなく登録制。登録の有効期間は5年で、引き続き測量業を営もうとする場合は更新登録が必要(測量法55条の2)。
ここで頻出の引っかけは「営業所に置くべき資格者」。条文上は**「測量士」を1人以上**と規定されており、測量士補ではない点に注意。
なお、罰則の刑種は令和7年6月1日施行の刑法等改正(令和4年法律第67号)により、従来の「懲役」「禁錮」が「拘禁刑」に一本化された。古い受験テキストでは「1年以下の懲役又は100万円以下の罰金」と記載されている場合があるが、内容実質は同じ(現行は拘禁刑表記)。
第2問(基準点測量) — 偏心観測
問: 偏心観測を行う必要が生じる典型的な場面を述べ、偏心要素として観測すべき2つの要素を答えよ。
答: 既知点や新点の点上(測点)で観測ができない場合(例:既知点が構造物上にあり視通が得られない、新点直上に障害物がある等)に偏心観測を行う。偏心要素は偏心距離と偏心角の2つ。
解説: 偏心観測の手順:測点ではなく近傍の偏心点で観測し、別途偏心距離と偏心角を測定して、後で偏心補正計算により本来の測点での値に補正する。
補正計算上の誤差伝播の観点では、偏心距離が短いほど補正計算による誤差影響が小さくなるため、偏心観測の本来の目的(視通確保や物理的観測条件の改善)を損なわない範囲で、必要最小限の距離に留めるのが原則とされる。
第3問(水準測量) — 誤差消去のための観測法
問: 水準測量で前視と後視の視準距離を等しくすることで消去できる(またはほぼ消去できる)誤差を3つ挙げよ。また、標尺の零点誤差を消去するための工夫を述べよ。
答: ①レベルの視準線誤差(気泡管軸と視準線が平行でないことに起因する誤差) ②地球曲率による誤差(球差) ③大気差(気差)(光の屈折による誤差)。標尺の零点誤差は、区間内の据替回数を偶数回にすることで消去できる。
解説:
- 視準線誤差:気泡管軸と視準線が平行でないことに起因する誤差。前後視距離を等しくすれば完全に消去できる
- 球差:地球曲率による幾何学的誤差。前後視距離を等しくすれば完全に消去できる
- 気差:光線屈折に起因する誤差。屈折率は大気の温度・密度に依存するため、前後視で大気状態が完全に等しい保証はなく、原則として完全には消去されない(実務上は近似的に消去されると扱う)
標尺の零点誤差は、ペアで使用する2本の標尺の零点位置のわずかなずれに起因する。区間(既知点間)内で据替回数を偶数回にすると、出発標尺と到着標尺が同一の標尺になり、零点ずれが相殺されて消去できる。
公共測量作業規程の準則では、水準測量の等級ごとに標尺視準距離の上限および前視・後視の視準距離の差が定められており、原則として前後視距離を等しく取る運用となっている。
第4問(GNSS測量) — 観測方法の使い分け
問: GNSS測量の観測方法のうち、①スタティック法 ②短縮スタティック法 ③キネマティック法 ④RTK法について、それぞれの主な用途・特徴を簡潔に述べよ。
答:
- ①スタティック法:長基線・高精度。1〜2級基準点測量で主に使用
- ②短縮スタティック法:短基線・観測時間を短縮。3〜4級基準点測量で使用
- ③キネマティック法:移動局を移動させながら観測。地形・細部測量に用いる
- ④RTK法:リアルタイムキネマティック。基準局からの補正情報を移動局に通信で送り、現地で即時に座標を得る。地形・細部測量・杭打ち等
解説: GNSS観測の精度は衛星配置(DOP値)・観測時間・基線長に左右される。スタティック法系は事後解析、キネマティック法系は移動測位が特徴。観測時間は等級・基線長・受信機の周波数帯(1周波/2周波)等により決められ、長基線・高等級ほど長時間の観測を要する。
なお、公共測量作業規程の準則では、上記4類型に加えネットワーク型RTK法(電子基準点網等の固定局網から配信される補正情報を用いるRTKの拡張方式)も正式採用されており、現場では広く使用されている。
サイクルスリップ(衛星電波の連続受信が途切れる現象)を防ぐため、上空視界の良い場所を選ぶ、樹冠下や高架下を避ける等の配慮が必要。
第5問(TS観測) — 正反観測の意義
問: トータルステーション(TS)による水平角観測で、**望遠鏡正位・反位の両方で観測(対回観測)**を行う理由を2つ挙げよ。
答: ①視準軸誤差(視準線と水平軸の直交誤差)、水平軸誤差(水平軸と鉛直軸の直交誤差)等の機器の定誤差を正反平均することで消去できるため。 ②観測値の信頼性を高めるため(2回観測により誤読・記録ミスを検出可能)。
解説: 正位観測値と反位観測値は機器誤差に対し符号が逆になるので、平均すれば誤差は相殺される。一方、鉛直軸誤差(鉛直軸が真の鉛直線と一致しない誤差)は正反観測でも消去されない(整準により減らすしかない)。
水平角の対回観測では倍角差(各対回の倍角の差)・観測差(各対回の較差の差)で観測精度を点検する。
(用語の混同注意) TS水平角観測における「視準軸誤差」「水平軸誤差」は機器の軸間直交関係の誤差であり、第3問で扱った水準測量の「視準線誤差」(気泡管軸と視準線の不平行)とは別の概念。試験では用語の使い分けに注意。
第6問(写真測量) — 撮影基準
問: 空中写真測量における**同一コース内の写真の重複率(オーバーラップ)および隣接コース間の重複率(サイドラップ)**は、公共測量作業規程の準則上、それぞれ標準で何%程度か答えよ。
答: オーバーラップは60%(標準)、サイドラップは30%(標準)。
解説:
- オーバーラップ(進行方向の重複):60%とすることで、隣接2枚の写真で**ステレオ視(立体視)**ができ、地形の高さ計測が可能になる
- サイドラップ(コース直交方向の重複):30%とすることで、隣接コース間に空白(撮影漏れ)が生じないようにする
- 山岳地など起伏が大きい区域では、写真の死角・撮影漏れを防ぐためオーバーラップ・サイドラップを大きく取る(オーバーラップ80%等)
撮影は原則として晴天・雲量が少ない条件で行い、影が長くなりすぎないよう太陽高度がある程度以上の時間帯に実施する(試験対策テキストでは「太陽高度30度以上」を目安として記載することが多い。具体的な数値基準は公共測量作業規程の準則の関連条項に従う)。
第7問(地形測量) — 等高線の種類と間隔
問: 地形図における主曲線・計曲線・補助曲線(間曲線・助曲線)の意味と、縮尺1/25,000地形図における主曲線・計曲線の標準間隔を答えよ。
答:
- 主曲線:基本となる等高線(細い実線)
- 計曲線:主曲線5本ごとに引かれる太い実線(数値記入用)
- 間曲線(補助曲線):主曲線間隔の1/2の補助曲線(長破線、規定上の標準値)。傾斜が緩やかで主曲線だけでは地形が表現しきれない場合に用いる
- 助曲線(特殊補助曲線):主曲線間隔の1/4の補助曲線(短破線、規定上の標準値)
縮尺1/25,000:主曲線10m、計曲線50m。
解説: 等高線の標準的な間隔は、概ね**「縮尺1/Sに対し地形図上0.4S mm」**で算出される(国土地理院の標準値)。これに従うと:
- 1/2,500:主曲線2m、計曲線10m
- 1/5,000:主曲線5m、計曲線25m(国土基本図では地形条件により2〜5mと幅あり)
- 1/25,000:主曲線10m、計曲線50m(明文標準)
- 1/50,000:主曲線20m、計曲線100m(明文標準)
縮尺ごとの正確な数値は、公共測量作業規程の準則および国土地理院の図式(2万5千分1地形図図式等)に従う。
第8問(路線測量) — 中心線測量と用語
問: 路線測量におけるIP点・BC点・EC点の用語の意味をそれぞれ述べ、路線測量の標準的な工程の順序を答えよ。
答:
- IP(Intersection Point):交点。直線部分(接線)同士の交わる点
- BC(Beginning of Curve):曲線始点。直線部分から曲線部分へ移る点
- EC(End of Curve):曲線終点。曲線部分から直線部分へ戻る点
標準的な工程の順:作業計画→踏査・選点→線形決定→中心線測量→縦断測量→横断測量→詳細測量→用地測量。
解説:
- 線形決定で IP・曲線要素(曲線半径R等)を決定
- 中心線測量で BC・EC・IP 等の主要点を現地に設置
- 縦断測量は中心線上の標高を観測
- 横断測量は中心線に直交する地形断面を観測
なお、曲線の中点は教科書により**CP(Center Point)/MC(Middle of Curve)等の表記があり、用語に揺れがある。クロソイド曲線ではKA(緩和曲線始点)/KE(緩和曲線終点)**が用いられる。
第9問(河川測量) — 距離標・水準基標・量水標
問: 河川測量で設置する距離標・水準基標・量水標それぞれの目的と設置間隔を簡潔に述べよ。
答:
- 距離標:河口又は幹川合流点を起点とした河川の流路距離を示すために、河心に沿って概ね200mを標準として、左右両岸に設置
- 水準基標:河川縦断測量・横断測量の標高基準となる水準点。5km〜20km間隔を標準とし、水位標に近接した位置に設置する。標高は2級水準測量により決定するのが一般的
- 量水標:河川の水位を観測するための目盛付きの標(水位計と併用または独立して設置)
解説:
- 距離標は河川管理(維持・改修)の基準として重要。両岸に設置するのは横断測線の基準にもなるため
- 水準基標は河川縦断・横断測量の標高基準
- 量水標による水位観測は、洪水時の流量解析・治水計画の基礎データになる
河川測量は「河心(河川の中心線)」ではなく「距離標を結ぶ線(距離標線)」を基準に縦断・横断を行う点に注意。
第10問(地図編集・地図投影) — 平面直角座標系
問: 日本国内の公共測量・地籍測量で広く用いられる平面直角座標系について、①投影法 ②座標原点の数(系統数) ③X軸・Y軸の正方向 ④縮尺係数 を答えよ。また、この平面直角座標系を規定する告示の名称を答えよ。
答:
- ①投影法:ガウス・クリューゲル図法(楕円体面に対応した横メルカトル系の図法)
- ②座標原点の数:**19系統(第I系〜第XIX系)**で全国を分割
- ③X軸:座標系原点における子午線に一致、真北方向が正(+) Y軸:原点でX軸に直交、真東方向が正(+)
- ④X軸上の縮尺係数:0.9999
規定する告示:平面直角座標系(平成14年国土交通省告示第9号)。
解説:
- 中央経線(=X軸)上の縮尺係数を0.9999としている。中央経線から離れるほど縮尺係数は大きくなり、中央経線から東西約90kmで縮尺係数が1.0000になるよう設計されている(これにより1座標系内で縮尺誤差を概ね1/10,000以内に抑える)
- 19系統に分割されているのは、日本列島の南北東西の広がりに対し、1つの座標系で投影歪みを許容範囲に収めるため
- X軸が真北方向であることに注意(数学のXY座標と直感的に逆。地積測量図作成・路線測量等で頻出)
なお、根拠は告示第9号であり、測量法施行令第2条ではない。条文番号を問う問題で混同しないこと。
出題分野の振り分け
| 問 | 分野 |
|---|---|
| 1 | 測量法総論(登録制度) |
| 2 | 基準点測量(偏心観測) |
| 3 | 水準測量(誤差消去) |
| 4 | GNSS測量(観測方法) |
| 5 | TS観測(対回観測) |
| 6 | 写真測量(撮影基準) |
| 7 | 地形測量(等高線) |
| 8 | 路線測量(用語と工程) |
| 9 | 河川測量(基準標) |
| 10 | 地図編集・地図投影(平面直角座標系) |
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