第1問(多角測量)
問:多角測量の閉合差・閉合比について、各等級の基準点測量における閉合比の許容範囲はおおむねどのように設定されているか、概略を述べよ。
答:閉合比は閉合差を路線長で割った値で表され、級数が下がるほど許容範囲が緩くなる。一般に1級が最も厳しく(1/100,000程度)、2級・3級・4級と緩くなる構成である。具体的な数値は公共測量作業規程の準則別表で規定されている。
解説:閉合差は出発点と到着点(または既知点同士)の座標差から算出される距離で、△X・△Yの2乗和の平方根として計算される。閉合差を路線長で割った値が閉合比で、点検計算の重要な指標となる。**閉合差はmm単位、閉合比は分数(1/N形式)**で表現される。閉合比が許容範囲を超える場合は再観測が必要となる。各等級の許容範囲は準則別表に従い暗記が必要だが、数値は改正でしばしば変動するため、最新の準則を必ず確認すること。
第2問(多角測量)
問:トータルステーション(TS)による多角測量について、観測角度の精度を上げる対策を3つ挙げよ。
答:①対回観測(正反観測)により水平軸誤差・視準軸誤差を消去する、②倍角差・観測差を点検し許容範囲を超えるものは再観測する、③器械の整準・求心を厳密に行い、目標標識の中心を正確に視準する。
解説:TSの観測誤差は、器械的要因(水平軸誤差・視準軸誤差・指標差)、観測者要因(視準ミス・読定誤差)、自然要因(陽炎・温度差による屈折)に大別される。対回観測は望遠鏡を正位(左目盛り)と反位(右目盛り)で観測することで、水平軸誤差と視準軸誤差を平均化により消去する古典的技法。倍角差・観測差は同一方向の観測値の差で、対回ごとの一貫性を点検する指標。整準・求心の精度は、基準点測量では特に厳格に管理される。「対回観測・倍角差観測差点検・整準求心」の3点で押さえる。
第3問(多角測量)
問:日本における基準点の体系について、電子基準点・三角点・公共基準点(級点)の関係を述べよ。
答:電子基準点と三角点は国土地理院が設置・管理する基本基準点である。電子基準点はGNSS連続観測点で全国に約1,300点設置されている。三角点は1等から4等まで設置されている。公共基準点(1〜4級基準点)は公共測量機関が設置するもので、上位等級の基本基準点・既設公共基準点を既知点として設置される。
解説:日本の基準点体系は、国土地理院が設置・管理する基本基準点(電子基準点・三角点)と、公共測量機関(地方公共団体等)が設置する公共基準点(1〜4級基準点)から構成される。電子基準点は全国に約1,300点設置されており、GNSS連続観測網(GEONET)を構成する。三角点は1等(約45km間隔、補点約25km)・2等(約8km間隔)・3等(約4km間隔)・4等(約2km間隔)まで設置されており、長らく日本の基準点体系の根幹を成してきた。公共基準点は、新点設置時に上位等級の既知点(電子基準点・三角点・上位級点)に基づき設置される。電子基準点・三角点が国の基本基準点、公共基準点(1〜4級)が公共測量の基準点という階層構造で整理する。
第4問(水準測量)
問:水準測量で生じる主な誤差のうち、前後視距を等しくすることで消去できる誤差を2つ挙げ、それぞれの発生原因を述べよ。
答:①視準軸誤差(コリメーション誤差):レベルの視準線と気泡管軸(または自動補正視準線)が平行でないために生じる。②球差・気差(両差):地球曲率(球差)と大気密度差による光線の屈折(気差)により、視準線が水平から外れる誤差。
解説:水準測量の誤差のうち、前後視距を等しくすること(等視距法)で消去できるのが視準軸誤差と球差気差(両差)である。視準軸誤差は機器の調整不足が原因で発生し、前視・後視で同じ方向・同じ大きさのずれを生む。等視距にすると前視と後視のずれが相殺される。球差・気差も視準距離に応じて発生するため、等視距で打ち消し合う。**「等視距で視準軸誤差と両差を消去」**は水準測量の基本中の基本。標尺の傾きや標尺の伸縮は等視距では消去できない別系統の誤差である。
第5問(水準測量)
問:自動レベルと電子レベルの違いを、観測効率・読定方法・主な弱点の観点から述べよ。
答:自動レベルはコンペンセータ(自動補正機構)で視準線を水平に保ち、人が標尺の目盛りを読み取る方式。電子レベルはバーコード標尺と画像処理により標尺の読み値を自動取得する方式。観測効率と読定精度では電子レベルが優れるが、バーコード標尺の汚損・湿気・低照度に弱い点が弱点。
解説:自動レベル(オートレベル)はコンペンセータ機構により傾きを自動補正する機器で、1960年代以降普及した。電子レベル(デジタルレベル)はバーコード標尺の画像をデジタル処理して読み値を自動取得し、1990年代以降普及した。電子レベルでは読定の人為誤差(読み値の桁違い・記入ミスなど)が大幅に削減され、観測時間も短縮される。一方、バーコード標尺の汚れ・水滴・低照度(薄暮・暗所)に弱く、バッテリー切れにも注意が必要。1級水準測量では電子レベルが標準的で、近年は自動レベルから電子レベルへの置き換えが進んでいる。
第6問(GNSS測量)
問:GNSS測量におけるキネマティック法とRTK法(リアルタイムキネマティック法)の違いを述べよ。
答:キネマティック法は移動局の観測データを記録媒体に記録し、後処理で基準局のデータと統合・解析する方法。RTK法は基準局から移動局へ補正データを無線等でリアルタイムに送信し、現地で即座に座標を取得する方法。RTK法は現地での結果確認が可能な点でキネマティック法より作業効率が高い。
解説:GNSS測量にはスタティック法、短縮スタティック法、キネマティック法、RTK法、ネットワーク型RTK法などの観測方法がある。スタティック・短縮スタティックは静止観測(数十分から数時間)で高精度を確保する方法で、基準点測量の上位等級に用いられる。キネマティック・RTKは移動観測で効率を重視する方法で、地形測量・用地測量・路線測量で多用される。RTK法はネットワーク型RTKの普及により、電子基準点のリアルタイムデータを利用した即時測位が可能になり、現地での作業効率が大幅に向上した。RTK法は数秒〜数十秒の観測で数センチメートル精度を確保できる。
第7問(写真測量)
問:空中写真測量の地上画素寸法(GSD:Ground Sample Distance)について、撮影高度を2倍にした場合、GSDはどう変化するか述べよ。
答:地上画素寸法は撮影高度に比例するため、撮影高度を2倍にするとGSDも2倍になり、地上分解能は低下する(粗くなる)。
解説:地上画素寸法(GSD)は、デジタル空中写真測量における撮像素子の1画素が地上で表す距離である。GSDは次式で計算される:
$$\text{GSD} = \frac{H \times p}{f}$$
ここで、$H$は撮影高度(対地高度)、$p$は撮像素子の画素寸法、$f$はカメラの焦点距離である。撮影高度$H$を2倍にすると、GSDも2倍になる。撮影縮尺は$m = H/f$と表され、$H$が2倍になると縮尺分母も2倍(縮尺が小さくなる)。地上画素寸法・撮影縮尺・撮影高度は比例関係で覚える。GSDが小さいほど地上分解能が高く、地形・地物を詳細に判読できる。
第8問(地形測量)
問:1/25,000地形図における等高線について、主曲線・計曲線・補助曲線の間隔を述べよ。
答:主曲線:10m間隔(細実線)、計曲線:50m間隔(主曲線5本ごとの太実線)、補助曲線:5m間隔(破線。1/2補助曲線)または2.5m間隔(短破線。1/4補助曲線)。
解説:地形図の等高線は主曲線・計曲線・補助曲線に区分される。1/25,000地形図では主曲線10m、計曲線50m、補助曲線5mまたは2.5m。1/50,000地形図では主曲線20m、計曲線100m。主曲線間隔は、1/10,000:2m、1/25,000:10m、1/50,000:20mと覚える(縮尺分母×0.0004の関係)。計曲線は主曲線5本ごとに引かれ、太実線で表示することで等高線の読み取りを容易にする。補助曲線は緩斜面で主曲線では地形の凹凸を表現しきれない場合に使用される。等高線の読み取りは地形図の基本である。
第9問(河川測量)
問:河川測量の主要な作業内容を5つ挙げよ。
答:①距離標設置測量(河川の延長を表す杭の設置)、②水準基標測量(水位観測の基準点設置)、③定期縦横断測量(河川の縦断面・横断面の形状把握)、④深浅測量(河床の水深測定)、⑤法線測量(河川堤防・護岸の計画法線の現地表示)。
解説:河川測量は河川の維持管理・改修計画・治水対策のための基礎データを取得する公共測量である。距離標は河川の延長距離を表す杭で、河口・上流端を基点に下流から上流に向けて設置するのが原則。原則として200m間隔で設置されるとされる。水準基標は水位観測所の基準となる水準点で、近隣の1〜2級水準点に基づき設置する。定期縦横断測量は河川の縦断(流路方向)と横断(流れに直交する方向)の形状を測定し、河床変動や堆積状況を把握する。深浅測量は音響測深機(魚群探知機の原理)で河床の水深を測定し、水位データから河床高を算出する。河川測量は公共測量作業規程の準則において別途章立てされている。
第10問(地図編集)
問:地図編集における「転位」とは何か、述べよ。あわせて、転位の優先順位の考え方を簡潔に示せ。
答:転位とは、複数の地物が近接しすぎて重なる場合に、地物の位置を正確な位置からわずかにずらして表示する地図表現技法である。優先順位は一般に「自然物(海岸線・河川)が真位置を保持し、人工物(鉄道・道路)を転位させる」のが基本で、人工物の中では鉄道が道路より優先される。
解説:縮尺の小さい地図(1/50,000、1/100,000等)では、現実の地物(道路・鉄道・河川・建物等)を正確な位置に表示すると、隣接する地物同士が重なってしまうことがある。これを防ぐため、相対的に重要度の低い地物を「転位」させる。転位の優先順位は一般に「自然物(海岸線・河川)を真位置に残し、人工物(鉄道・道路)を相対的に転位させる」考え方が基本である。人工物の中では、鉄道は道路よりカーブの曲率が滑らかで自然な形状を保ちやすいため、鉄道を優先して真位置に残し、道路を転位させる扱いが標準的とされる。注記(地名・建物名等)も地物との重なりを避けて配置される。転位は地図の読みやすさと現実性のバランスを取る編集技法で、地図編集の基本概念。
※転位優先順位の細部は図式規程・解説によって整理が異なる場合があります。
出題分野の振り分け
| 問 | 分野 | 主要論点 |
|---|---|---|
| 1 | 多角測量 | 閉合差・閉合比、許容範囲、級別 |
| 2 | 多角測量 | TS観測角度精度向上策(対回・倍角差・整準求心) |
| 3 | 多角測量 | 基準点体系(電子基準点・三角点・公共基準点) |
| 4 | 水準測量 | 等視距で消去できる誤差(視準軸誤差・両差) |
| 5 | 水準測量 | 自動レベルと電子レベルの違い |
| 6 | GNSS測量 | キネマティック法とRTK法の違い |
| 7 | 写真測量 | 地上画素寸法(GSD)と撮影高度の比例関係 |
| 8 | 地形測量 | 1/25,000地形図の等高線間隔(主曲線10m・計曲線50m・補助曲線5m/2.5m) |
| 9 | 河川測量 | 河川測量の主要5作業(距離標・水準基標・定期縦横断・深浅・法線) |
| 10 | 地図編集 | 転位の概念と優先順位 |