第1問(測量法・測量の基準)

問: 基本測量及び公共測量における位置は、原則として地理学的経緯度及び平均海面からの高さで表示し、その地理学的経緯度は世界測地系に従って測定する。

答:

解説: 測量法11条は、基本測量及び公共測量が従うべき「測量の基準」を定めている。

  • 位置の表示(11条1項1号):地理学的経緯度及び平均海面からの高さ(標高)で表示するのが原則。ただし、場合により、直角座標及び平均海面からの高さ、極座標及び平均海面からの高さ、または地心直交座標で表示することもできる。
  • 地理学的経緯度(11条2項):世界測地系に従って測定する。
  • 距離及び面積(11条1項2号):回転楕円体の表面上の値で表示する。

「世界測地系」とは、地球を回転楕円体(GRS80楕円体)でモデル化し、その中心を地球の重心に一致させた測地基準系である。かつての日本測地系(日本独自の基準)から、平成14年の測量法改正で世界測地系へ移行した。

直前期には、「位置=経緯度+標高」「経緯度=世界測地系」「平均海面(東京湾平均海面)が標高の基準」というつながりを、条文の構造とセットで押さえておきたい。

第2問(基準点測量・トータルステーションの器械誤差)

問: トータルステーションの視準軸誤差、水平軸誤差及び鉛直軸誤差は、いずれも望遠鏡の正・反両位置で観測してその平均をとることにより消去することができる。

答: ×

解説: トータルステーション(TS)の主な器械誤差と、その消去の可否は次のとおりである。

器械誤差 内容 正・反観測の平均で消去できるか
視準軸誤差 視準線が水平軸に直交しない できる
水平軸誤差 水平軸が鉛直軸に直交しない できる
鉛直軸誤差 鉛直軸が鉛直線に一致しない できない

視準軸誤差・水平軸誤差は、望遠鏡を正位置(正)と反位置(反)にして観測し、その平均をとることで消去できる。正・反の切替えで器械を鉛直軸まわりに180°回すと、視準軸・水平軸の誤差は向きが反転するため、正・反の観測値を平均すると相殺されるからである。一方、鉛直軸誤差は正・反観測の平均をとっても消去できない。正・反の切替えはあくまで鉛直軸まわりの回転であり、鉛直軸自体の傾きは反転しないため、平均をとっても誤差が残るからである。鉛直軸誤差は、観測前に器械を正確に整準すること(気泡を正しく中央に入れること)で小さく抑えるしかない。

本問は「いずれも……消去することができる」としている点が誤りである。「正反観測で消去できるもの/できないもの」の区別は測量士補試験の頻出論点であり、鉛直軸誤差が例外であることを必ず押さえておきたい。

第3問(基準点測量・閉合誤差と閉合比)

問: あるトラバース測量で、緯距の閉合差が +0.06 m、経距の閉合差が +0.08 m、測線長の総和が 500 m であった。閉合誤差と閉合比を求めよ。

答: 閉合誤差 = 0.10 m、閉合比 = 1/5,000

解説: 閉合誤差 $E$ は、緯距の閉合差 $\Delta L$ と経距の閉合差 $\Delta D$ から、次の式で求める。

$$ E = \sqrt{\Delta L^2 + \Delta D^2} $$

本問の値を代入する。

$$ E = \sqrt{(0.06)^2 + (0.08)^2} = \sqrt{0.0036 + 0.0064} = \sqrt{0.0100} = 0.10 \text{ m} $$

閉合比 $R$ は、閉合誤差を測線長の総和 $\sum L$ で割り、分子を1とする分数で表す。

$$ R = \frac{E}{\sum L} = \frac{0.10}{500} = \frac{1}{5{,}000} $$

閉合誤差は 0.10 m、閉合比は 1/5,000 となる。

閉合比は、トラバース測量全体の精度を表す指標であり、分母が大きいほど精度が高い。作業規程の準則では、測量の等級ごとに閉合比の許容範囲が定められており、これを満たさない場合は再観測等が必要となる。本問は $0.06 : 0.08 : 0.10 = 3 : 4 : 5$ の関係になっており、電卓を使わずに計算できるよう作られている。

第4問(水準測量・視準線誤差)

問: 水準測量において、レベルの視準線が水平でないことによる視準線誤差は、レベルから後視標尺までの距離と前視標尺までの距離を等しくして観測することにより消去することができる。

答:

解説: レベルの視準線が水平から傾いていると、標尺の読定値に誤差が生じる。この誤差は視準距離に比例して大きくなる。

ここで、後視の視準距離と前視の視準距離を等しくすれば、後視・前視それぞれに同じ大きさの読定誤差が生じ、比高(後視-前視)を計算する段階で誤差が相殺される。これが視準線誤差の消去原理である。

この「等距離法」は、視準線誤差だけでなく、地球の曲率による誤差(球差)や大気の屈折による誤差(気差)――あわせて「両差」――も同時に軽減できる。後視・前視の距離をそろえて据え付けることは、水準測量の基本動作として徹底すべきものである。

なお、視準距離が長くなりすぎると標尺の最小目盛が読み取りにくくなるため、作業規程の準則では等級ごとに視準距離の最大値も定められている。

第5問(水準測量・標尺の取扱い)

問: 水準測量で標尺を2本1組で用いる場合、レベルの据付け回数(測点数)を奇数とすることで、2本の標尺の零点目盛の差(零点誤差)を消去することができる。

答: ×

解説: 標尺の「零点誤差」とは、標尺の0目盛の位置が、摩耗や製造上の理由で2本の標尺間でわずかに異なることによる誤差である。

水準測量では標尺を2本1組で用い、出発点から到着点まで交互に立てていく。このとき、レベルの据付け回数(測点数)を偶数にすると、各標尺が後視に使われる回数と前視に使われる回数が等しくなり、2本の標尺の零点誤差が相殺されて消去される。

本問は「奇数とすることで……消去できる」としている点が誤りである。正しくは「偶数」である。

標尺に関しては、このほか、

  • 標尺は鉛直に立てる(前後にゆっくり傾けて最小読定値を読む方法で、傾きによる読定値の増大を避ける)
  • 標尺の温度変化による伸縮を補正する(標尺改正)

といった取扱い上の注意点もあわせて押さえておきたい。

第6問(GNSS測量・楕円体高と標高とジオイド高)

問: ある点について GNSS 観測を行ったところ、楕円体高が 45.000 m であった。この地点のジオイド高が 36.500 m であるとき、この点の標高を求めよ。

答: 8.500 m

解説: GNSS 測量で直接得られる高さは、回転楕円体(GRS80楕円体)の表面からの高さである「楕円体高($h$)」である。一方、私たちが通常用いる「標高($H$)」は、平均海面を延長した面である「ジオイド」からの高さである。

楕円体高・標高・ジオイド高($N$)の関係は、次の式で表される。

$$ h = H + N $$

したがって、標高 $H$ は次のように求められる。

$$ H = h - N = 45.000 - 36.500 = 8.500 \text{ m} $$

標高は 8.500 m となる。

GNSS 観測で標高を求めるには、観測で得た楕円体高からジオイド高を差し引く必要がある。このジオイド高は、国土地理院が提供するジオイド・モデル(日本のジオイド2024 など)から求める。令和7年3月31日付けの作業規程の準則改正(国土交通省告示第240号)で「GNSS標高測量」が正式に導入されたのも、この楕円体高とジオイド・モデルの組合せによるものである。

第7問(写真測量・正射投影画像)

問: 空中写真は中心投影であるため、地表の起伏により写真像にひずみ(変位)が生じる。このひずみを補正し、正射投影に変換した画像を正射投影画像(オルソ画像)という。

答:

解説: 通常のカメラで撮影した空中写真は「中心投影」である。中心投影では、レンズの中心を通る直線上に地表の点が投影されるため、地表に高低差(起伏)があると、写真上の像の位置が本来の真上から見た位置からずれる。これを「比高による変位(起伏変位)」という。高い建物や山地が、写真の中心から外側へ倒れこむように写るのはこのためである。

これに対して、地図は「正射投影」である。真上から平行に投影したもので、縮尺が一定であり、そのまま距離・面積の計測ができる。

空中写真の中心投影によるひずみを、標高データ(数値標高モデル)を用いて補正し、正射投影に変換した画像が「正射投影画像(オルソ画像、オルソフォト)」である。オルソ画像は地図と同じく縮尺が一定であるため、地図と重ね合わせて利用でき、地理情報システム(GIS)の基盤データとして広く使われている。

第8問(地形測量・航空レーザ測量)

問: 航空レーザ測量は、航空機から照射したレーザ光により地表の三次元座標を取得する測量であり、樹木の隙間を通過したレーザ光により植生の下の地盤データも取得できることから、数値標高モデル(DEM)の作成に適している。

答:

解説: 航空レーザ測量は、航空機に搭載したレーザ測距装置から地表へレーザ光を照射し、その往復時間から距離を測定して、地表の三次元座標を面的に取得する測量である。航空機の位置は GNSS で、姿勢は IMU(慣性計測装置)で求める。

航空レーザ測量の特徴として、

  • レーザ光の一部は樹木の枝葉の隙間を通過して地表面に到達するため、植生の下の地盤の標高データを取得できる
  • このため、地表面(地盤)の形状を表す**数値標高モデル(DEM)**の作成に適している
  • 一方、樹木や建物の表面を含む高さを表したものは数値表層モデル(DSM)と呼ばれ、両者は区別される

写真測量が「見えている表面」しか捉えられないのに対し、航空レーザ測量は植生下の地盤を捉えられる点が、地形把握において大きな利点となる。

第9問(地図編集・編集の原則)

問: 地図編集における「転位」とは、縮尺が小さくなることに伴い、複雑な地形・地物を簡略化・概括して表現することをいう。

答: ×

解説: 大縮尺の地図をもとに小縮尺の地図を作る「地図編集」では、限られた紙面・画面に情報を適切に表現するため、いくつかの基本原則に従う。

原則 内容
取捨選択 地図の縮尺・目的に応じて、表現する地物を選び、不要なものを省く
総合(総合描示) 複雑な地形・地物を、縮尺に応じて簡略化・概括して表現する
転位 地物どうしが近接して重なる場合に、重要度の低い地物を移動させて表現する

本問が説明している「複雑な地形・地物を簡略化・概括して表現する」のは「総合(総合描示)」であって、「転位」ではない。本問は用語の取り違えであり、誤りである。

「転位」を行う際には、一般に、骨格となる重要な地物(基準点・三角点・主要な道路・河川など)を優先して正しい位置に残し、重要度の低い地物を移動させる。転位の優先順位の考え方もあわせて整理しておきたい。

第10問(河川測量・深浅測量)

問: 深浅測量は、河川・湖沼・海域などの水底部の地形を明らかにするために、水深と位置を測定する測量であり、音響測深機などが用いられる。

答:

解説: 深浅測量(測深)は、河川・湖沼・港湾・海域などの水底の地形を明らかにするために、各点の水深平面位置を測定する測量である。

水深の測定には、

  • 音響測深機(発信した音波が水底で反射して戻るまでの時間から水深を求める。シングルビーム・マルチビームがある)
  • レッド(おもり)やロッド(さお)による直接測定(浅い水域)

などが用いられる。平面位置の測定には GNSS などが用いられる。

深浅測量で得られる「水深」は水面からの深さであるため、これを標高(基準面からの高さ)に換算するには、測定時の水位を同時に観測する必要がある。河川測量では、この水位の基準とするために、あらかじめ「水準基標測量」によって水準基標の標高を定めておく。

河川測量は、距離標の設置、水準基標測量、定期縦横断測量、深浅測量、法線測量などから構成され、深浅測量はそのうち水面下を担当する部分にあたる。

出題分野の振り分け

分野 中心論点 主な根拠
第1問 測量法 測量の基準(位置・経緯度・世界測地系) 測量法11条
第2問 基準点測量 TSの器械誤差と正反観測による消去の可否 視準軸・水平軸・鉛直軸誤差
第3問 基準点測量 閉合誤差と閉合比の計算 $E=\sqrt{\Delta L^2+\Delta D^2}$、閉合比
第4問 水準測量 視準線誤差と等距離法による消去 視準線誤差・両差
第5問 水準測量 標尺の零点誤差と測点数を偶数にする消去法 標尺の取扱い
第6問 GNSS測量 楕円体高・標高・ジオイド高の関係($h=H+N$) ジオイド高の計算
第7問 写真測量 中心投影と正射投影、オルソ画像 起伏変位・正射投影画像
第8問 地形測量 航空レーザ測量とDEM 航空レーザ測量・DEM/DSM
第9問 地図編集 編集の原則(取捨選択・総合・転位) 地図編集の3原則
第10問 河川測量 深浅測量の目的と方法 深浅測量・水準基標