第1問(基準点測量・観測誤差の3分類)
測量における観測誤差は、系統誤差・偶然誤差・過誤(錯誤)の3つに大別される。系統誤差は一定の原因により一定方向に発生し、観測者の経験・機械の調整・気象条件などにより制御・補正できる誤差をいう。
答:○
解説: 測量における観測誤差は次の3つに大別される。
| 種別 | 性質 | 対応方法 |
|---|---|---|
| 系統誤差 | 一定の原因により一定方向に発生(例:標尺の長さ誤差、温度補正、球差・気差) | 計算により補正できる |
| 偶然誤差 | 偶発的に発生し、大きさと方向が不規則(人為的読取誤差等) | 最小二乗法・平均処理で軽減 |
| 過誤(錯誤) | 観測者の不注意による誤り(読み違い・記録ミス等) | 再観測で発見・除去 |
直前期に押さえておきたい基本知識。試験では「系統誤差は平均すれば消える」(×:平均では消えない、補正が必要)、「偶然誤差は補正できる」(×:偶然誤差は確率的処理)といった引っかけが頻出。
第2問(基準点測量・偏心観測)
偏心観測とは、本来観測すべき三角点や基準点に直接器械を設置できない場合に、近傍の偏心点に器械を設置して観測し、後に偏心補正計算を行って本点としての観測値(方向角・距離)に補正する手法である。
答:○
解説:
- 基準点や三角点の上に直接器械を設置できない場合(樹木・建造物・地形上の障害等)に行う観測方法
- 偏心点に器械を据えて観測し、偏心点と本点の位置関係(偏心距離 e・偏心方向角 φ)を別途測定する
- 観測結果から、本点としての方向角・距離に偏心補正計算を行う
- 偏心補正は三角関数を用いた幾何計算で、観測値から偏心の影響を取り除く
試験では「偏心観測は本点の方向と距離を直接測定する」(×:偏心点で観測し補正計算)、「偏心補正は不要」(×:偏心距離・方向の測定と補正計算が必須)といった引っかけが頻出。
第3問(基準点測量・三角点の等級と密度)
日本の三角点は精度に応じて一等から四等までの等級があり、一等三角点が最も精度が高く、四等三角点が最も多数(密度が高い)設置されている。
答:○
解説: 三角点の等級と標準的な平均間隔(概数):
| 等級 | 平均間隔(本点) | 役割 |
|---|---|---|
| 一等三角点 | 約45km | 国家の骨格構造、最高精度 |
| 二等三角点 | 約8km | 一等の補強・地域基準 |
| 三等三角点 | 約4km | 地形図作成の基準 |
| 四等三角点 | 約2km | 公共測量・密度の確保 |
ポイント:等級が下がるほど密度が高くなる(多数設置される)。試験では「等級が上のものほど多数設置されている」(×:上位等級は少数、最高精度)といった引っかけに注意。
近年は電子基準点(GNSS連続観測点、全国約1,300点)が国家の基準点網の中心的役割を担っているが、伝統的な三角点も現在も基準点として運用されている。
第4問(水準測量・水準点の等級)
水準点は精度に応じて一等水準点から四等水準点までの等級があり、一等水準点は約2kmごとに国道沿いなどの一等水準路線に沿って設置されている。一等水準点と二等水準点は国土地理院が設置・管理する国家水準点である。
答:○
解説: 水準点の等級と標準的な配置(概数):
| 等級 | 配置間隔 | 設置主体 |
|---|---|---|
| 一等水準点 | 約2km(一等水準路線沿い) | 国土地理院 |
| 二等水準点 | 約8km | 国土地理院 |
| 三等水準点 | 必要に応じて | 公共測量 |
| 四等水準点 | より密度高く | 公共測量・自治体 |
一等水準点と二等水準点は国家水準点として国土地理院が設置・管理。三等以下は公共測量での補完。
水準測量の等級は「設置間隔」と「観測精度(許容誤差)」の両方が定められており、これらは作業規程の準則で規定されている。
第5問(水準測量・前視と後視の計算)
次の水準観測において、A点の標高が10.000mのとき、B点の標高を求めよ。
- A点(既知)とB点(未知)の中間に器械を据えて観測
- 後視(A点の標尺の読み):3.500 m
- 前視(B点の標尺の読み):2.800 m
**答:**B点の標高 = 10.700 m
解説: 水準測量の基本式:
$$ \text{比高} = \text{後視} - \text{前視} $$
- 後視(B.S., Back Sight):既知点(A点)の標尺の読み
- 前視(F.S., Fore Sight):未知点(B点)の標尺の読み
- 比高(B − A):B点が A点よりどれだけ高いか(正なら高い、負なら低い)
【計算】
$$ \text{比高} = 3.500 - 2.800 = +0.700\ \mathrm{m} $$
$$ \text{B点の標高} = 10.000 + 0.700 = 10.700\ \mathrm{m} $$
直感的理解:A点を基準に見て、器械の視準線はA点から3.500m上にある(視準線の標高 = 10.000 + 3.500 = 13.500m)。同じ視準線で見るB点の標尺の読みが2.800mなので、B点の標高 = 13.500 − 2.800 = 10.700m。
電卓不可の試験では、このような簡単な足し引きで解ける計算が頻出。前視・後視の意味を取り違えないことが最重要。
第6問(GNSS測量・誤差要因)
GNSS測量における主な誤差要因として、電離層遅延誤差・対流圏遅延誤差・マルチパス誤差などがある。電離層遅延誤差は、L1帯とL2帯の2周波観測によって補正することができる。
答:○
解説: GNSS測量の主な誤差要因:
| 誤差要因 | 内容 | 補正方法 |
|---|---|---|
| 電離層遅延誤差 | 電離層の自由電子による電波の遅延 | **2周波観測(L1・L2帯)**による補正 |
| 対流圏遅延誤差 | 対流圏の水蒸気・気温・気圧による遅延 | 気象モデル・補正式 |
| マルチパス誤差 | 建物・地面からの反射波による誤差 | 観測点選定・遮蔽物の回避 |
| 衛星時計・受信機時計誤差 | 時刻同期のずれ | 基線解析で除去 |
電離層遅延は周波数依存性(周波数の2乗に反比例)があるため、2周波観測の差分から補正できる。1周波受信機ではこの補正ができないため、長基線の解析では2周波受信機が必要。
第7問(写真測量・オーバーラップとサイドラップ)
航空写真測量における写真の重複度は、進行方向(同コース内)の隣接写真間の重なり(オーバーラップ)が60%以上、隣接コース間の重なり(サイドラップ)が30%以上を標準とする。
答:○
解説:
- オーバーラップ(重複度・進行方向):同一コース内で隣接する2枚の写真の重複部分。標準60%以上(実務では65〜70%が一般)
- サイドラップ(隣接コース間重複):隣接する2コース間の重複部分。標準30%以上
立体視(ステレオ視)には2枚の写真の重複部分が必要なため、オーバーラップは最低60%が確保されている。これにより、写真測量の標定や図化が可能となる。
サイドラップが小さすぎると、コース間でのつなぎ目に図化漏れが生じるため、最低30%が確保されている。
これらの数値は公共測量作業規程の準則で定められており、試験頻出。
第8問(写真測量・標定点とパスポイント・タイポイント)
写真測量における**標定点(地上基準点)**は地上座標が既知の点であり、パスポイントは同一コース内で隣接する2枚の写真をつなぐ点、タイポイントは隣接するコース間の写真をつなぐ点である。標定点・パスポイント・タイポイントは、いずれも写真上の同名点を結ぶ役割であり、用途は同一である。
答:×
解説: 3つの点は用途が異なる別概念。
| 点の種類 | 役割 | 地上座標 |
|---|---|---|
| 標定点(地上基準点) | 写真と地上座標系の対応付け(外部標定・絶対標定) | 既知 |
| パスポイント(接続点) | 同一コース内で隣接する2枚の写真をつなぐ | 未知(写真上で同名点を識別) |
| タイポイント(接続点) | 隣接するコース間で写真をつなぐ | 未知(写真上で同名点を識別) |
標定点は地上の既知点で、写真と地上座標系を対応付けるために使う。パスポイント・タイポイントは写真同士のつなぎに使う点であり、地上座標は未知のまま空中三角測量により決定される。
「いずれも用途は同一」は誤り。試験では「パスポイントは地上座標が既知」(×:未知)、「標定点はコース間の写真接続のため」(×:地上との対応付け)といった引っかけが頻出。
第9問(地図編集・平面直角座標系)
日本の地形図に用いられる平面直角座標系は、日本全土を19系の座標系(第1系〜第19系)に分割し、各系で独自の原点を設けたガウス・クリューゲル投影によるものである。各系内では、距離・面積の歪みが最小化されるよう設計されている。
答:○
解説: 平面直角座標系(日本では「公共測量における平面直角座標系」):
- 日本全土を19系に分割(第1系〜第19系)。各都道府県は1つまたは2つの系に対応
- 投影法:ガウス・クリューゲル投影(横メルカトル投影の一種)
- 各系の原点は緯度・経度で定義
- 原点での縮尺係数は0.9999(X軸方向の歪みを抑制)
各系内で歪みを最小化する設計により、距離・面積の測量精度を確保している。地球は球面なので、平面投影には必ず歪みが生じる。狭い範囲を細かく区切ることで、各系内の歪みを実用上問題ないレベルに抑えている。
X軸が北、Y軸が東である点に注意(数学のXY平面と逆)。
第10問(路線測量・単曲線の要素)
路線測量における単曲線で、半径R、交角I(中心角)が与えられたとき、接線長 TL は $TL = R\tan(I/2)$、曲線長 CL は $CL = R \cdot I$(I は弧度法で表した値、または度数法では $CL = \pi R I / 180°$)で求められる。
答:○
解説: 単曲線の主な要素:
| 要素 | 式 | 説明 |
|---|---|---|
| 半径 R | — | 曲線の半径 |
| 交角 I | — | 2つの接線が交わる角度(中心角に等しい) |
| 接線長 TL | $TL = R \tan(I/2)$ | 曲線の始点(BC)から交点(IP)までの距離 |
| 曲線長 CL | $CL = R \cdot I$(弧度法)= $\pi R I / 180°$(度数法) | 曲線そのものの長さ |
| 弦長 C | $C = 2R \sin(I/2)$ | BC〜EC を結ぶ直線距離 |
ポイント:
- 接線長 TL は半径と交角の半分の正接で求める
- 曲線長 CL は弧の長さなので、半径×中心角(弧度法)または $\pi R I/180°$ で求める
電卓不可の試験では、具体的な値の計算より、式の構造の理解が問われる。特に、接線長と弦長の式の混同($2R\sin(I/2)$ と $R\tan(I/2)$ の取り違え)に注意。
出題分野の振り分け
| 問 | 分野 | 論点 |
|---|---|---|
| 第1問 | 基準点測量 | 観測誤差の3分類(系統・偶然・過誤) |
| 第2問 | 基準点測量 | 偏心観測と偏心補正計算 |
| 第3問 | 基準点測量 | 三角点の等級(一等〜四等)と密度 |
| 第4問 | 水準測量 | 水準点の等級(一等〜四等)と設置主体 |
| 第5問 | 水準測量 | 後視・前視と比高計算(簡単な足し引き) |
| 第6問 | GNSS測量 | 電離層・対流圏・マルチパスの誤差要因と2周波補正 |
| 第7問 | 写真測量 | オーバーラップ60%以上・サイドラップ30%以上 |
| 第8問 | 写真測量 | 標定点・パスポイント・タイポイントの区別 |
| 第9問 | 地図編集 | 平面直角座標系(19系・ガウス・クリューゲル投影) |
| 第10問 | 路線測量 | 単曲線の要素(接線長 $TL=R\tan(I/2)$・曲線長 $CL=R \cdot I$) |
【直前期 改正注記】2026年度試験で押さえておきたい改正点
2026年度測量士補試験では、令和7年3月31日付国土交通省告示第240号による公共測量作業規程の準則の一部改正(令和7年4月施行)が出題範囲に影響する可能性があります。
直前期に概要だけでも押さえておきたい改正点:
| 改正点 | 内容 |
|---|---|
| 測地成果2024 | 全国の標高成果が改定(令和7年4月、衛星測位を基盤とする最新値へ) |
| GNSS標高測量の導入 | 3級水準測量で使用可能に。レベルによる水準測量と並ぶ標高決定手法として位置付け |
| 三次元点群データ規定 | 三次元点群データを使用した断面図の作成方法を追加 |
| 航空レーザ測量 | オリジナルデータの点密度規定追加、計算式(平面直角座標→経緯度座標)の改善 |
特に測地成果2024とGNSS標高測量は新規導入論点として注目度が高く、出題される可能性があります。出題の有無は別として、概念だけでも整理しておくと安心です。