第1問(測量法・総論)

問: 基本測量とは、すべての測量の基礎となる測量で国土地理院が行うものをいい、公共測量とは、基本測量以外の測量であって、その実施に要する費用の全部または一部を国または公共団体が負担し、または補助して実施する測量、および基本測量・公共測量の結果に基づいて実施する測量で国土交通省令で定めるものをいう。

答:

解説: 測量法4条は基本測量を、同法5条1項は公共測量を定義する。

  • 基本測量(4条):すべての測量の基礎となる測量で、国土地理院が行うもの
  • 公共測量(5条1項):基本測量以外の測量であって、次のいずれかに該当するもの
    • 1号:実施費用の全部または一部を国または公共団体が負担・補助する測量
    • 2号:基本測量または1号の測量の結果に基づいて実施する測量で、国土交通省令で定めるもの

公共測量は、作業規程の準則(国土地理院が定める標準。直接の根拠は測量法34条)に従って実施することが原則とされ、令和7年3月31日付け国土交通省告示第240号により大幅改正された。改正の主な内容は、

  • 測地成果2024に基づく標高成果の整備
  • GNSS標高測量の正式導入
  • 三次元点群データに関する規定の追加

など、近年の技術進展を踏まえた整理である。

なお、計画機関が独自の作業規程を定める場合は、国土地理院の長の承認を得る必要がある(測量法33条1項)点も押さえておきたい。

第2問(基準点測量・多角測量の閉合差)

問: 5点からなる閉合トラバース測量を行い、各測点の水平角を観測したところ、観測角の総和が540°00'30"であった。多角形の内角の総和の理論値からの水平角閉合差はいくらか。

答: 30"(30秒)

解説: $n$ 角形の内角の総和の理論値は、

$$ (n - 2) \times 180° $$

である。本問では $n = 5$ なので、

$$ (5 - 2) \times 180° = 540° $$

観測角の総和は 540°00'30" であるから、水平角閉合差は、

$$ 540°00'30" - 540°00'00" = 30" $$

水平角閉合差の許容範囲は、測量等級と測点数 $n$ に応じて作業規程の準則で定められる。一般に閉合差は測点数の関数(例:許容差 = 係数 $\times \sqrt{n}$ の形式)で規定され、観測誤差の伝播を考慮した値が設定されている点を理解しておきたい。

なお、観測角の総和が理論値より大きいときの閉合差は正、小さいときは負の符号で扱い、各測点に等分配して観測値を補正するのが調整計算の基本である。

第3問(水準測量・往復較差)

問: 3級水準測量で観測距離 $S = 4$ km の路線について、往復観測を行った場合の往復較差の許容範囲はいくらか。なお、3級水準測量の往復較差許容範囲は $10\text{mm} \times \sqrt{S}$($S$ は km 単位)とする。

答: 20 mm

解説: 公式に代入する。

$$ 10\text{mm} \times \sqrt{4} = 10\text{mm} \times 2 = 20\text{mm} $$

水準測量の往復較差の許容範囲は、作業規程の準則で次のように規定されている(おおむねの値、改正で見直されることがあるため最新版で要確認)。

等級 往復較差の許容範囲($S$ は km)
1級水準測量 $2.5\text{mm} \times \sqrt{S}$
2級水準測量 $5\text{mm} \times \sqrt{S}$
3級水準測量 $10\text{mm} \times \sqrt{S}$
4級水準測量 $20\text{mm} \times \sqrt{S}$
簡易水準測量 $40\text{mm} \times \sqrt{S}$

往復較差は、観測における系統誤差・偶然誤差の累積を判定する指標である。許容範囲を超えた場合は、観測を再度行うか、原因を究明して補正する必要がある。

なお、観測距離 $S$ は片道距離である点に注意。両端点を結ぶ路線の片道距離を km 単位で代入する。

第4問(GNSS測量・観測方式)

問: GNSS測量における観測方式のうち、複数の受信機を一定時間以上固定して観測し、高精度な基線解析を行う方式を「スタティック観測」という。この方式は1級・2級基準点測量で広く用いられる。

答:

解説: GNSS測量の主な観測方式と用途は次のとおり。

観測方式 観測時間の目安 主な用途
スタティック観測 60分以上 1級・2級基準点測量
短縮スタティック観測 20分前後 3級・4級基準点測量
キネマティック観測 移動中・連続 地形測量・路線測量
RTK観測(リアルタイムキネマティック) リアルタイム 地形測量・路線測量・施工測量
ネットワーク型RTK観測 リアルタイム 電子基準点ベースのRTK

スタティック観測は、複数の受信機を観測点に固定して同時刻に長時間観測し、後処理で基線ベクトルを高精度に求める方式である。一般に最高精度を確保できる方式とされ、上位等級の基準点測量で採用される。

令和7年3月31日付け国土交通省告示第240号による作業規程の準則改正では、GNSS標高測量が正式導入された。これにより、従来は水準測量で求めていた標高値を、GNSS観測とジオイド・モデル(日本のジオイド2024)の組み合わせで求められるようになった点も押さえておきたい。

第5問(GNSS測量・マルチパスとサイクルスリップ)

問: GNSS測量において、衛星からの信号が建物・水面・地表面等で反射した後に受信機に到達することにより観測精度が低下する現象を「マルチパス」という。一方、観測中に搬送波の位相観測値の連続性が途切れる現象を「サイクルスリップ」という。

答:

解説: GNSS観測における代表的な誤差・障害要因。

  • マルチパス:衛星からの直接波と、反射波が混在することで観測精度が低下する。建物・金属面・水面等の近くで発生しやすい。観測点の選定で、周囲に反射源がない開けた場所を選ぶことで軽減できる。
  • サイクルスリップ:搬送波位相観測値の連続性が、観測中に遮蔽(建物・樹木)や受信機の不具合等により途切れる現象。後処理で検出・修復できる場合もあるが、修復不能な場合は再観測が必要となる。

その他の主要な誤差要因として、

  • 電離層遅延(電離層中の電子密度による信号遅延)
  • 対流圏遅延(対流圏中の水蒸気等による信号遅延)
  • 衛星時計誤差・受信機時計誤差
  • 衛星軌道情報の誤差

があり、これらの誤差を低減する技術として二周波観測・ネットワーク型RTKなどが活用される。

第6問(写真測量・縦視差と横視差)

問: 航空写真の実体視(ステレオ視)を成立させるためには、左右の写真上での同一点の上下方向のずれ(縦視差)を除去する必要がある。

答:

解説: 実体視は、左右の写真をそれぞれ左右の目で見ることで、立体感を再現する技術である。

  • 横視差(x方向のずれ):左右の写真上での同一点の左右方向のずれ。実体視を成立させ、地物の高さ情報の源となる。視差差 $\Delta p$ から比高 $\Delta h$ を求められる。
  • 縦視差(y方向のずれ):左右の写真上での同一点の上下方向のずれ。実体視を阻害する要因であり、除去すべきものである。

縦視差は、撮影時のカメラの傾き・写真の標定誤差等により発生する。図化作業(標定)の段階で、各標定要素を調整して縦視差を最小化する。

実体視で得られる立体感は、左右の眼から見る対象物の視差の差に基づくものであり、写真測量では「視差差」と「対地高度」「焦点距離」「撮影基線長」の関係式から比高を計算する。

第7問(写真測量・写真縮尺と対地高度)

問: 焦点距離 $f = 0.15$ m のカメラで、対地高度 $H - h = 1,500$ m から地表を撮影した。航空写真の写真縮尺はいくらか。

答: 1/10,000

解説: 航空写真の写真縮尺 $m$ は、焦点距離 $f$ と対地高度(撮影高度 $H$ から地表高度 $h$ を引いた値)の比で表される。

$$ m = \frac{f}{H - h} $$

本問では、

$$ m = \frac{0.15}{1{,}500} = \frac{1}{10{,}000} $$

写真縮尺は 1/10,000 となる。

この式は写真測量の基本式の一つで、撮影計画(対地高度の設定)や地表での精度評価で頻繁に使われる。

たとえば、写真縮尺 1/10,000 で撮影された写真上で 1 cm の長さは、地表で 100 m($1\text{cm} \times 10{,}000 = 100\text{m}$)に相当する。

なお、撮影基線長 $B$ と対地高度 $H - h$、視差差 $\Delta p$ と比高 $\Delta h$ の関係も併せて整理しておきたい。

$$ \Delta h = \frac{(H - h) \cdot \Delta p}{b - \Delta p} $$

ここで $b$ は主点基線長。近似式として $\Delta h \approx \frac{(H-h) \cdot \Delta p}{b}$ も用いられる。

第8問(地形測量・等高線)

問: 縮尺1/25,000の地形図において、主曲線は標高10mごとに描かれ、計曲線は5本ごとに太い実線で表現される。すなわち、計曲線は標高50mごとに描かれる。

答:

解説: 地形図の等高線は4種類に分類される。

等高線 表現 縮尺1/25,000 縮尺1/50,000
主曲線 細実線 10m間隔 20m間隔
計曲線 太実線(主曲線5本ごと) 50m間隔 100m間隔
補助曲線(第一次) 長破線 主曲線の1/2間隔(5m) 主曲線の1/2間隔(10m)
補助曲線(第二次) 短破線 主曲線の1/4間隔(2.5m) 主曲線の1/4間隔(5m)

主曲線は地形の基本表現、計曲線は標高の読み取りを容易にするための表示、補助曲線は緩傾斜地で地形をより詳細に表現するために用いられる。

「等高線の間隔と地形の傾斜」の関係は試験頻出で、

  • 等高線が密に描かれている → 急傾斜
  • 等高線が疎に描かれている → 緩傾斜

という基本を押さえておく。閉じた等高線で内側に小さい円があるとき、高低の判別は「ケバ(短い斜線)」で示されることがある(くぼ地表現)。

第9問(地図編集・数値地形図データ)

問: 作業規程の準則において、数値地形図データは「地図情報レベル」で精度区分される。地図情報レベル2500は、おおむね縮尺1/2,500の地形図に相当する精度を持つ。

答:

解説: 数値地形図データは、従来の紙の地形図に対応する精度区分として「地図情報レベル」が定められている。

地図情報レベル 相当縮尺
L500 1/500
L1000 1/1,000
L2500 1/2,500
L5000 1/5,000
L10000 1/10,000

地図情報レベルは、平面位置の標準偏差(精度)と整備区分(縮尺相当)を対応させた指標である。

令和7年3月31日付け国土交通省告示第240号による作業規程の準則改正では、三次元点群データに関する規定が新設され、レーザスキャナや写真測量から得られる点群データの整備・精度管理の方法が体系化された。これにより、従来の数値地形図(2次元)に加え、3次元データの整備が公共測量の枠組みで明確化されている。

第10問(路線測量・クロソイド曲線)

問: 道路の路線測量で用いられるクロソイド曲線は、曲線長 $L$ と曲率半径 $R$ の積が一定となる緩和曲線である。クロソイドパラメータ $A$ との関係は $L \cdot R = A^2$ で表される。

答:

解説: クロソイド曲線は、曲率($1/R$)が曲線長 $L$ に比例して増加する曲線として定義される。直線部から円曲線部へ滑らかに移行するための緩和曲線として、道路・鉄道の設計に用いられる。

クロソイドの基本式:

$$ L \cdot R = A^2 $$

ここで $A$ はクロソイドパラメータで、距離の次元を持つ(単位:m)。

緩和曲線が必要な理由は、直線部から円曲線部へ直接接続すると、車両の旋回時に急激な遠心力変化が発生して走行が不安定になるためである。クロソイドを挟むことで、運転者の操舵角を一定速度で増減させながら円曲線部へ移行できる。

路線測量における中間線形の用語:

  • IP(Intersection Point):交点(直線部の延長線が交わる点)
  • BC(Beginning of Curve):曲線の始点
  • EC(End of Curve):曲線の終点
  • SP(Secant Point):副交点
  • CL(Curve Length):曲線長

クロソイドの計算問題では、$L \cdot R = A^2$ の関係式から $A$、$L$、$R$ のいずれかを求めるパターンが頻出である。たとえば、$R = 200$ m、$A = 100$ m のクロソイドの曲線長は、

$$ L = \frac{A^2}{R} = \frac{100^2}{200} = 50 \text{ m} $$

となる。

出題分野の振り分け

分野 中心論点 主な根拠
第1問 測量法・総論 基本測量・公共測量の定義、準則の改正 測量法4条・5条、令和7年国土交通省告示第240号
第2問 多角測量 閉合トラバースの水平角閉合差 作業規程の準則・閉合差
第3問 水準測量 往復較差の許容範囲(3級・4km) 作業規程の準則・水準較差
第4問 GNSS測量 スタティック観測の特徴 作業規程の準則・GNSS観測方式
第5問 GNSS測量 マルチパスとサイクルスリップ GNSS観測の誤差・障害要因
第6問 写真測量 縦視差の除去と実体視 写真測量の標定
第7問 写真測量 写真縮尺の計算($m = f/(H-h)$) 写真測量の基本式
第8問 地形測量 等高線の種類と間隔(1/25,000) 地形図記号・等高線
第9問 地図編集 地図情報レベルと数値地形図 作業規程の準則・三次元点群データ
第10問 路線測量 クロソイド曲線の基本式 $L \cdot R = A^2$