登記申請の『取下げ』と『却下』はどう違う?──不備が直せないときの二つの道

この記事の要点 登記の名義変更などで不備が見つかり、補正でも直せないときは、手続きが「取下げ」か「却下」に分かれる 取下げは申請した人が自分から引っ込めること、却下は法務局が「この申請は受け付けられない」と判断すること どちらになるかで、納めた登録免許税の扱いなどが変わることがある 不動産や会社の登記を申請したあと、書類の不備が見つかることがあります。多くはその場での訂正(補正)で直せますが、なかには補正では直しきれない不備もあります。そのときに登場するのが「取下げ(とりさげ)」と「却下(きゃっか)」です。結論から言うと、取下げは申請した側から引っ込めること、却下は法務局が受け付けを認めないと判断することで、同じ「登記できなかった」でも中身が違います。 ...

2026年7月22日 · ひぐらしさとし

登録免許税は誰に相談する税金?──税理士ではなく司法書士が案内できる理由

この記事の要点 登録免許税は登記を受けるために納める国税で、司法書士が登記手続きの一環として計算・案内できる税金 所得税や相続税のような「申告」を前提とする税金とは仕組みが異なる ただし相続税・贈与税・不動産取得税など、他の税金の具体的な税額計算は税理士の業務範囲 不動産の名義変更や抵当権設定の登記を依頼した際、司法書士から登録免許税の金額を案内されて「なぜ税理士ではなく司法書士が税金の話をするのか」と疑問に思われる方がいます。結論から言うと、登録免許税は登記を受けるために納める国税であり、その計算・案内は登記手続きの一環として司法書士が行うことができる税金です。 ...

2026年7月21日 · ひぐらしさとし

固定資産税の『精算金』は税金なのか──決済日に買主・売主で分け合うお金の正体

この記事の要点 固定資産税は「毎年1月1日時点の登記簿上の所有者」に対して1年分課税される 年の途中で売買しても納税義務者は変わらないため、決済時に日割りで精算するのは商慣習であり、法律上の税金の分割ではない 精算金の法的性質は「売買代金の一部」と理解されており、税額そのものを分けているわけではない 不動産の売買決済の場では、固定資産税・都市計画税を「所有していた期間に応じて」買主と売主で日割り計算し、買主が売主へ精算金を支払う商慣習があります。この精算金を、税金そのものが分割されていると誤解している方が少なくありません。 ...

2026年7月17日 · ひぐらしさとし

家族信託と不動産登記──信託すると登記簿はどうなる?

この記事の要点 不動産を家族信託の対象にすると、名義を受託者に移す登記と、信託の内容を公示する「信託目録」の登記が同時に必要になる 登記事項証明書を見ると、権利部(甲区)に受託者の名義、信託目録に委託者・受託者・受益者や信託の目的が記載される 名義が受託者に移っても、信託目録によって「これは信託財産であり、受託者が自由に処分できる財産ではない」ことが公示される 信託が終了すると、信託登記の抹消と、あらためて所有権移転登記(帰属権利者への名義変更)が必要になる 家族信託で不動産を信託財産にすると、登記簿(登記事項証明書)にはどのような変化が生じるのでしょうか。結論から言うと、名義が委託者から受託者に移るとともに、「この不動産は信託財産である」ということを示す信託目録が新たに登記されます。単なる名義変更とは異なり、登記簿を見ただけで信託財産であることが分かる仕組みになっています。 ...

2026年7月16日 · ひぐらしさとし

『登記識別情報』と『登記完了証』はどう違う?──登記後に届く書類の見分け方

この記事の要点 登記が終わると複数の書類が返ってくるが、なかでも「登記識別情報通知」と「登記完了証」は役割がまったく違う 登記識別情報通知は昔の「権利証」にあたるもので、新しく名義人になった人だけに通知される12桁の符号 登記完了証は「登記が終わりました」というお知らせで、権利を証明する書類ではない 不動産の登記(名義の書き換えなど)が完了すると、法務局からいくつかの書類が返ってきます。このとき混同されやすいのが「登記識別情報通知(とうきしきべつじょうほうつうち)」と「登記完了証(とうきかんりょうしょう)」です。結論から言えば、大切に保管すべきは登記識別情報通知のほうで、登記完了証は手続きが終わったことのお知らせにあたります。 ...

2026年7月14日 · ひぐらしさとし

不動産取得税とは──売買・贈与の登記後に届く『納税通知書』の正体

この記事の要点 不動産取得税は売買・贈与・新築などで不動産を取得したときにかかる都道府県税 相続で取得した場合は原則として課税されない(遺産分割協議による取得も含む) 登記の際にその場で徴収されるものではなく、数か月後に納税通知書が届く 不動産の名義変更登記をしたあと、しばらくしてから都道府県の税事務所から「不動産取得税」の納税通知書が届き、驚く方がいます。結論から言うと、これは登記の手続きとは別に、不動産を取得した事実そのものに対して課される都道府県税です。登記が終わったからといって完了するものではなく、法務局から都道府県への通知を経て、後日あらためて課税されるという流れになっています。 ...

2026年7月13日 · ひぐらしさとし

所有不動産記録証明制度とは|亡くなった方名義の不動産を一覧で調べる方法

「親が亡くなったが、どこにどれだけ不動産を持っていたのか分からない」——相続の場面でよくあるお悩みです。2026年(令和8年)2月2日から始まった所有不動産記録証明制度は、こうした「見落とし」を防ぐための新しいしくみです。この記事では、制度の中身と使い方、そして注意点をやさしく整理します。 ...

2026年7月11日 · ひぐらしさとし

登記申請の『補正』とは?──なぜ起きる?窓口でよくある指摘のパターン

この記事の要点 補正(ほせい)とは、登記申請に直せる不備があるとき、法務局(登記官)の指示に従って、決められた期間内に訂正すること。不備があっても、すべてがそのまま却下になるわけではない よくある指摘は、大きく「添付書類の不足・不一致」「不動産や当事者の表示のずれ」「登録免許税の計算違い」の3系統に分かれる 申請書と添付書類、登記記録の3つを事前に突き合わせておくと、補正の多くは未然に防げる 「登記を申請したのに、法務局から『補正してください』と連絡が来た」——これは決して珍しいことではありません。補正とは、申請書類に直せる不備があったときに、法務局の指示に従ってそれを訂正する手続きのことです。 ...

2026年7月10日 · ひぐらしさとし

固定資産税評価額・相続税評価額・実勢価格──不動産の『価格』が3つある理由

この記事の要点 不動産の「価格」には、固定資産税評価額・相続税評価額・実勢価格という3種類があり、それぞれ使われる場面が異なる 固定資産税評価額は毎年の固定資産税や登録免許税の基準、相続税評価額は相続税・贈与税の基準、実勢価格は実際の売買価格 どの「価格」の話をしているかを混同すると、税額や登記費用の見込みがずれる原因になる 「この土地、いくらなんですか?」という質問に、実は一つの答えでは足りないことがあります。不動産には**目的によって使い分けられる複数の「価格」**が存在するためです。 ...

2026年7月9日 · ひぐらしさとし

抵当権付きの不動産を相続したとき──団信で完済されない場合の「債務者変更登記」

この記事の要点 住宅ローンに団体信用生命保険(団信)が付いていれば、契約者が亡くなると保険金で完済され、抵当権の抹消登記だけで済む 団信に未加入だったり、事業性ローンなど団信の対象外の借入れが残っていたりすると、ローン(債務)は相続人に引き継がれ、抵当権もそのまま残る この場合、金融機関との調整を経て、抵当権の登記事項である「債務者」を書き換える変更登記が必要になる 親が亡くなり、実家の不動産を相続することになった。登記簿を確認したら、住宅ローンの「抵当権」がまだ残っていた──。こうしたとき、多くの方がまず思い浮かべるのは「団信で完済されているはず」という期待です。しかし、団信に入っていなかったり、事業用の借入れだったりすると、話が変わってきます。 ...

2026年7月9日 · ひぐらしさとし