登記が終わった後の書類は郵送してもらえる?──窓口受け取りと郵送での受け取り方

この記事の要点 登記が終わった後に返ってくる書類は、法務局の窓口で受け取るほかに、郵送で送ってもらうこともできる 郵送を希望するときは、申請の時点で申し出ておくのが条文の建て付け。登記識別情報の書面と登記完了証は「送付を求める旨」と「送付先」を申請情報の内容にしておく必要がある 登記識別情報を記載した書面は本人限定受取郵便など慎重な方法で送られ、郵送にかかる費用(郵便切手)は申請した人が負担する 不動産の登記が終わると、法務局から書類が返ってきます。遠方の法務局に申請したときなどに「受け取りのためにもう一度出向かないといけないのか」と気になる方は多いのですが、結論から言えば、郵送で送ってもらうことができます。ただし、そのためには申請のときにあらかじめ申し出ておく必要があります。 ...

2026年9月8日 · ひぐらしさとし

相続登記の「3年」はいつから数える?──起算日がずれるケースを整理

この記事の要点 相続登記の申請義務の「3年」は、死亡日からではなく「自己のために相続の開始があったことを知り、かつ、その所有権を取得したことを知った日」から数える(不動産登記法76条の2第1項) 遺言の存在を後から知った場合は、その遺言によって取得したと知った日が起算日になる 法定相続分どおりの相続登記をした後に、遺産分割協議で法定相続分を超える持分を取得した場合は、分割が成立した日から改めて3年のカウントが始まる(同条2項) 施行日(2024年4月1日)より前に開始していた相続にも義務は及び、この場合の起算日は「知った日」と施行日のいずれか遅い日になる(令和3年法律24号附則5条6項)。法務省は期限を令和9年(2027年)3月31日までと案内している 相続登記の申請義務化(2024年4月施行)については「3年以内に登記しないと過料の対象になる」という説明を目にする機会が増えました。ただ、この「3年」がいつから数え始まるのかは、実は一律ではありません。結論から言うと、起算日は死亡日ではなく「知った日」であり、しかも状況によって数え直しが生じる場合があります。 ...

2026年9月6日 · ひぐらしさとし

親子リレーローンと相続──親の代のローンを子が引き継ぐときの登記

この記事の要点 親子リレーローンは、親と子が段階的に返済を引き継いでいく住宅ローンの仕組みであること 親が返済途中で亡くなった場合、団体信用生命保険(団信)の加入状況によって、その後の対応が大きく分かれること 団信でカバーされない残債務は、法定相続分に応じて相続人に分割承継されるのが原則であること 債務者が変わるときは、抵当権の「債務者変更登記」が必要になること 親子リレーローンで親が返済の途中で亡くなった場合、住宅ローンの残債務と、それを担保する抵当権の登記は、まず「団体信用生命保険(団信)に親が加入していたかどうか」で道筋が分かれます。団信でローンが完済されるケースと、完済されず債務が相続の対象になるケースとでは、その後に必要な手続きがまったく異なります。この記事では、通常の相続によるローン承継の場面ではなく、親子リレーローンに特有の場面に絞って、一般的な考え方を整理します。 ...

2026年9月6日 · ひぐらしさとし

リバースモーゲージとは──自宅を担保に老後資金を借りるしくみ

この記事の要点 リバースモーゲージは、自宅を担保に入れて老後資金を借り入れ、存命中は利息のみを支払う仕組み 登記簿上は所有権を自分名義のまま維持し、担保として抵当権(または根抵当権)の設定登記が入る 借入金の元本は、死亡後に自宅を売却するか、相続人が一括返済するかたちで清算される 所有権が移転する「リースバック」とは、担保に入れるだけか売ってしまうかという根本的な違いがある 借入条件の有利不利や商品選びの相談は、取扱金融機関に確認する必要がある リバースモーゲージとは、自宅(主に持ち家)を担保に金融機関から老後資金を借り入れ、契約者が存命の間は利息だけを支払い、借入金の元本は契約者の死亡後にまとめて清算するしくみです。年金収入だけでは心もとない老後資金を、住み慣れた自宅に住み続けながら確保する手段の一つとして知られています。 ...

2026年9月5日 · ひぐらしさとし

登記の委任状に有効期限はある?──本人が亡くなっても代理権が消えないという特別なきまり

この記事の要点 登記の委任状そのものについて、有効期限を定めた規定は置かれていません。「3か月以内」という期限があるのは、委任状に添える印鑑証明書のほうです(不動産登記令18条3項) 登記の申請を委任した本人が亡くなっても、委任による代理人の権限は消滅しません(不動産登記法17条1号)。「本人の死亡で代理権は消滅する」という民法の原則に対する例外です ただし、代理権が残ることと、その登記をそのまま進められるかどうかは別の話です。相続がからむ場面の可否はお近くの司法書士にご確認ください 不動産の登記を司法書士に依頼すると、委任状に署名・押印を求められます。「いつまで有効なのか」「日付が古いと使えないのか」と気になるところですが、結論から言うと、委任状の有効期限を定めた規定は置かれていません。なお、この記事は執筆時点(2026年9月)の制度に基づく一般的な解説です。 ...

2026年9月4日 · ひぐらしさとし

リースバックとは──自宅を売っても住み続けるしくみと注意点

この記事の要点 リースバックは「自宅を売って現金を得る売買契約」と「売った家を借りて住み続ける賃貸借契約」の2つの契約を同時に結ぶ仕組み 登記簿の甲区は所有者が買主に書き換わり、自分は賃借人という扱いになる。賃借人であること自体は登記簿に載らないのが通常 住み続けられる期間は、賃貸借契約が定期借家か普通借家かで大きく変わる 買戻し特約の有無・賃料の見直しルールなど、契約書で確認すべき事項がある 個別の契約条件の有利不利や「契約すべきか」の判断は、この記事では扱わない リースバックとは、自宅などの不動産を売却して代金を受け取りながら、売却先から改めてその家を借りて住み続ける仕組みです。「売る」と「借りる」という性質の異なる2つの契約を組み合わせている点が特徴で、まとまった現金を得たいが住み続けたいというニーズに応える方法として知られています(国土交通省「住宅のリースバックに関するガイドブック」令和4年6月24日公表)。 ...

2026年9月4日 · ひぐらしさとし

親からの住宅資金援助と登記──持分をどう入れるかで贈与になる話(税額は税理士へ)

この記事の要点 親から住宅資金の援助を受けて家を買うとき、出資した金額と登記簿上の持分にずれがあると、その差額分について贈与を受けたものとみなされ得ます(相続税法9条・みなし贈与) 持分の決め方には主に3つの型があります。①出資額どおりの割合で持分を入れる ②親も共有者として登記に加わる ③親からの贈与として整理し、子の単独名義にする 共有名義にする場合、持分の割合は登記申請の時点で確定させる必要があります。あとから直すには別途の登記が必要で、当初の登記が実体と食い違っていたのか、その後に持分が動いたのかによって、更正の登記か持分の移転の登記かが分かれます。無償で持分を移す場合は、あらためて贈与の問題が生じ得ます 「住宅取得等資金の贈与税の非課税」という特例(租税特別措置法70条の2)もありますが、要件や非課税限度額の当てはめは税理士の判断が必要です 出資額と持分をどう合わせるか迷ったら、登記を申請する前に一度お近くの司法書士にご相談ください 親から住宅資金の援助を受けてマイホームを購入するとき、意外と見落とされやすいのが「出したお金の割合」と「登記簿に書く持分の割合」を一致させる、という点です。この2つがずれていると、ずれた分の金額について贈与を受けたとみなされ、贈与税の課税対象になり得ます。結論から言えば、出資額と持分は揃えるのが原則で、揃えられない・揃えたくない事情がある場合は、持分の決め方そのものを最初から設計しておく必要があります。本記事では、その仕組みと、持分の決め方の3つの型、それぞれの登記のかたちを整理します。税額の計算や特例の適用可否といった具体的な当てはめは、税理士の領域になるため触れません。 ...

2026年9月4日 · ひぐらしさとし

住宅用家屋証明書とは──登録免許税が軽くなる書類の基礎(誰が・どこで・いつ取る)

この記事の要点 住宅用家屋証明書は、マイホームの登記にかかる登録免許税を軽い税率にするために、登記申請書に添付する書類です 発行するのは税務署でも法務局でもなく、その家屋がある市区町村(役所の資産税課・税務課など)です 軽減は自動では受けられません。登記を申請する前に証明書を用意しておく必要があります マイホームを新築したり買ったりすると、所有権の登記や住宅ローンの抵当権の登記をすることになり、国に**登録免許税(とうろくめんきょぜい)を納めます。一定の要件を満たす「自分が住むための家」については、この税率が本来より軽くなる仕組みがあり、その軽減を受けるための入場券にあたるのが住宅用家屋証明書(じゅうたくようかおくしょうめいしょ)**です。 ...

2026年9月3日 · ひぐらしさとし

住宅ローンを滞納するとどうなる──競売までの時系列と任意売却の入口

この記事の要点 滞納から競売までは、督促・催告 → 期限の利益の喪失 → 保証会社の代位弁済 → 一括請求 → 競売の申立て、という順で段階を踏んで進むのが一般的です 競売の開始決定が出ると、登記簿の甲区(所有権の欄)に「差押」が入り、乙区の抵当権は代位弁済をした保証会社へ移ります。登記簿を見れば手続がどこまで進んだかが分かります 任意売却は競売より高く売れる可能性がある一方、債権者の同意が必要で、売っても残った借金(残債)が消えるわけではありません 返済の交渉や債務整理は弁護士、抵当権抹消や名義の登記は司法書士と、相談先が分かれます 住宅ローンを滞納すると、ある日突然家を失うわけではありません。滞納から競売による明渡しまでには、督促・催告、期限の利益の喪失、保証会社の代位弁済、一括請求、競売の申立て、差押えの登記、期間入札、売却許可、代金納付、明渡しという段階があり、それぞれに数週間から数か月の時間がかかります。そして、その進み具合の多くは登記簿(登記事項証明書)に記録されます。 ...

2026年9月3日 · ひぐらしさとし

実家を取り壊したら1か月以内に「建物滅失登記」──相続した家を解体するときの期限

この記事の要点 登記されている建物を取り壊したときは、取り壊した日(滅失した日)から1か月以内に建物滅失登記を申請する義務がある 期限内に申請しないと過料の対象になり得る 未登記の建物には建物滅失登記そのものが不要で、自治体への届出だけで足りる場合がある 本文 相続した実家が古くなり、住む人もいないまま取り壊しを決めるケースは珍しくありません。ここで見落とされやすいのが、建物を取り壊したあとの「建物滅失登記」という手続きです。取り壊し工事そのものは業者が進めてくれますが、その後の登記手続きは所有者側で対応する必要があり、しかも期限が定められています。 ...

2026年9月2日 · ひぐらしさとし