連帯保証人・連帯債務者から外れたい──離婚時にできること・できないこと

この記事の要点 離婚は夫婦間の話し合いにすぎず、金融機関との契約(連帯保証・連帯債務)を当然に変更する効力はない 連帯保証人と連帯債務者は法的な立場が異なるが、「離婚後も原則そのまま残る」という点は共通している 地位を外れるには、一般的に金融機関の承諾を得た契約変更・借り換え・代わりの保証人を立てる、といった手続きが必要になる(ローンが完済されれば、その時点で義務はなくなる) 放置すると、相手の返済が滞った場合に自分へ請求が及ぶリスクが残る 話し合いが難航する場合は弁護士、契約内容の確認や書類の整理は司法書士が窓口になる 離婚しても、住宅ローンの連帯保証人・連帯債務者という立場は、当然には外れません。これが最初に押さえておきたい結論です。離婚届を出しても、財産分与の話し合いがまとまっても、金融機関との契約はそのまま残ります。外れるためには、これから説明する一定の手続きが別途必要です。 ...

2026年9月2日 · ひぐらしさとし

二世帯住宅の登記──単独・共有・区分、どの形にするかで相続が変わる

この記事の要点 二世帯住宅の登記には「単独登記」「共有登記」「区分登記」の3方式があり、選び方で将来の相続の進み方が変わる 単独登記・共有登記は建物全体または持分が遺産分割の対象になり、共有登記は相続のたびに持分がさらに細かく分かれやすい 区分登記は各世帯の専有部分ごとに独立した登記になるため、片方の世帯の相続がもう一方の世帯に直接影響しにくい 区分登記にするには構造上・利用上の独立性など一定の要件を満たす必要がある 住宅ローンの組み方や税務上の取り扱いにも関わるため、建築・取得の段階で早めに検討しておくことが望ましい 二世帯住宅を建てる、あるいは購入するとき、建物の登記をどの形にするかは「今の暮らしやすさ」だけでなく「将来の相続の進み方」にも直結します。結論からいうと、登記の方式には大きく分けて「単独登記」「共有登記」「区分登記」の3つがあり、どれを選ぶかによって、親世代に相続が発生したときの手続きの進み方や、家族間で調整が必要になる範囲が変わってきます。 ...

2026年9月2日 · ひぐらしさとし

離婚後もローンが残る家に住み続けたい──名義と返済のねじれ問題

この記事の要点 夫(またはどちらか一方)の名義・その人がローンを返済している家に、離婚後は住まない側ではなく住み続ける側(多くは子と暮らす親)だけが住む、という「名義・返済者」と「居住者」がずれた状態が起こりうる このねじれは自然には解消されない。ローンの契約者変更には金融機関の審査・承諾が必要であり、名義変更(登記)のほうは、手続き自体は成り立つものの、住宅ローン契約上は金融機関の承諾を要するとされているのが一般的である 当事者だけで名義やローンの扱いを勝手に動かすと、住宅ローン契約の条項(期限の利益喪失条項など)に触れる可能性がある 前回はペアローンで購入した家を離婚時にどう整理するかを扱った。今回は「名義もローンも一方だけ」という、より単純に見えて実は動かしにくいケースを整理する 離婚にあたって、家を出る側が「ローンは自分名義のまま、家には元配偶者と子どもだけが住み続ける」という形で話がまとまることがあります。売却も名義変更もせず、とりあえず今のまま住まわせる、という選択です。一見シンプルに見えますが、名義・ローン・居住者の3つがバラバラになったこの状態は、時間が経つほど整理が難しくなりやすい構造を持っています。 ...

2026年9月1日 · ひぐらしさとし

親族間売買の「適正価格」──安すぎると贈与扱い?みなし贈与の入口(詳細は税理士へ)

この記事の要点 親族間(親子・きょうだいなど)で不動産を売買する場合も、価格の決め方には注意が必要とされている 時価に比べて著しく低い価格で売買すると、その差額部分が「贈与」とみなされる可能性がある(低額譲渡・みなし贈与と呼ばれる考え方) どの程度の価格差から「著しく低い」と判断されるかという具体的な基準額や、税額の計算方法はこの記事では扱わない 個別の価格設定や税額の判断は税理士に相談するのが基本 以前の記事「親子間売買はなぜ住宅ローンが通りにくい?」では、親子間売買における住宅ローン審査の傾向や、売買・贈与・相続それぞれの登記・税金の違いを整理し、「売買価格が時価より著しく低いと差額が贈与とみなされる可能性がある」という論点にも軽く触れました。今回は、この「みなし贈与」の入口部分をもう少し掘り下げてご紹介します。ただし、具体的にいくらなら安全かという基準額の算定や税額の試算には立ち入りません。 ...

2026年9月1日 · ひぐらしさとし

登録免許税は収入印紙で納める?──法律上は現金納付が原則というきまりと、印紙に消印をしない理由

この記事の要点 登録免許税の納め方には、現金納付・収入印紙・電子納付があり、法律にはこのほかに「納付受託者」に納付を委託する方法(クレジットカード納付など)も置かれている 法律上の原則は現金納付で、収入印紙による納付は税額が3万円以下の場合など一定の場合に認められた方法として定められている 申請書につづる収入印紙には、割印や消印をしないよう法務局の記載例が案内している 登記の名義変更をするときには、登録免許税という国の税金がかかります。窓口では収入印紙を貼って納める場面をよく見かけるため、「登録免許税は印紙で納めるもの」と思われがちですが、条文のつくりは逆です。結論から言うと、法律上の原則は現金で納めることで、収入印紙による納付は一定の場合に認められた方法として定められています。 ...

2026年8月31日 · ひぐらしさとし

ペアローンと離婚──家とローンをどう整理するか、よくある3パターン

この記事の要点 ペアローンの家は夫婦それぞれが別々の住宅ローン契約者になっているため、離婚時は「名義」だけでなく「ローン」も一緒に整理する必要がある 選択肢は大きく分けて①売却して清算②どちらかが住み続ける③共有のまま継続の3パターン 名義やローンを動かす方法は、金融機関の審査や同意が前提になるため、実際に選べるかどうかは個別の事情による 名義変更の登記手続きそのものは別記事で解説している 夫婦でペアローンを組んで購入した自宅は、離婚が決まっても「じゃあどちらかが住んで、名義もそちらに変えればいい」と単純には進みません。ペアローンは夫婦それぞれが別々に住宅ローンを契約している状態のため、家の名義(財産分与)だけでなく、ローンそのものの整理まで考える必要があるからです。 ...

2026年8月31日 · ひぐらしさとし

使用貸借と賃貸借はどう違う?──タダで借りている実家・土地の法律関係

この記事の要点 使用貸借(民法593条)は「無償」で借りる契約、賃貸借(民法601条)は「家賃」を払って借りる契約。この対価の有無が最大の違い 賃貸借(とくに借家)は借地借家法で借主が手厚く保護されるが、使用貸借にはこの保護がなく、貸主の都合で終了しやすい 借主が亡くなったとき、使用貸借は原則として契約が終了する(民法597条3項)が、賃貸借の借りる権利は相続人に引き継がれる 実家や親の土地を無償で使っている場合は、口約束のままにせず、期間や条件を書面で整理しておくことが将来のトラブル防止につながる 「家賃を払っていないから、この関係は法律上どうなっているのか分からない」——親の家や土地を無償で使っている方から、こうした声をよく耳にします。法律上、対価を払わずに物を借りる関係は「使用貸借(しようたいしゃく)」、家賃などの対価を払って借りる関係は「賃貸借(ちんたいしゃく)」と呼ばれ、民法上まったく別の契約として扱われています。見た目は同じ「借りている」状態でも、存続期間の保障や相続時の扱いは大きく異なります。この記事では、使用貸借と賃貸借の違いを、実家や土地を無償で借りているケースを中心に整理します。 ...

2026年8月31日 · ひぐらしさとし

親の土地に家を建てるとき──「使用貸借」のままだと相続で何が起きるか

この記事の要点 親の土地を無償で借りて家を建てる関係は「使用貸借(しようたいしゃく)」といい、貸主(親)が亡くなっても、それだけで契約が当然に終わるわけではないとされています ただし「終わらない」は「ずっと続く」ではなく、使い道に従って使用・収益をするのに足りる期間が経過すれば、貸主の側から契約を解除できるとされています(民法598条1項) また、貸主が亡くなれば土地そのものは相続財産となり、きょうだいなど他の相続人との遺産分割の対象になり得ます 自分の家が建っている土地を、自分以外の相続人が取得する事態も制度上はあり得るため、早い段階で家族間の話し合いを始めておくことが大切です 「親の土地に家を建てさせてもらっている。地代も家賃も払っていない」——こうした関係は、法律上は「使用貸借(しようたいしゃく)」と呼ばれる契約にあたります。契約書を交わしていなくても、口約束や暗黙の了解だけで成り立っている使用貸借は少なくありません。 ...

2026年8月30日 · ひぐらしさとし

親子間売買はなぜ住宅ローンが通りにくい?──売買・贈与・相続の分かれ道

この記事の要点 親子間の不動産売買は、金融機関の住宅ローン審査で慎重に扱われる傾向があるとされている 売買・贈与・相続は、登記の原因も必要書類も登録免許税の税率もそれぞれ異なる 時価に比べて著しく低い価格での売買は、その差額部分が「贈与」とみなされる可能性があるため、価格の決め方には注意が必要 税額の計算や個別の判断は税理士へ相談するのが基本 親から子へ、あるいは子から親へ不動産を譲るとき、「売買にするか、贈与にするか、それとも将来の相続まで待つか」で迷う方は少なくありません。とくに売買を選んだ場合、「住宅ローンを組もうとしたら金融機関から難色を示された」という声を聞くことがあります。この記事では、親子間売買で住宅ローンが通りにくいと言われる一般的な背景と、売買・贈与・相続で登記や税金の扱いがどう変わるのかを整理します。 ...

2026年8月29日 · ひぐらしさとし

境界標と塀の費用負担──「筆界」の話は土地家屋調査士へ

この記事の要点 境界標の設置・保存の費用は、隣どうしが等しい割合で負担する(=折半)のが民法の原則です(民法224条本文) ただし測量の費用だけは折半ではなく、土地の広さ(面積)に応じて分担します(民法224条ただし書) 境界の塀(囲障)も、所有者の異なる2棟の建物の間に空き地があるときは共同の費用で設置でき、協議がまとまらないときは「板塀・竹垣など、高さ2メートル」が基準になります(民法225条) もっと良い材料・もっと高い塀にしたい側は、その増加分の費用を自分で負担します(民法227条) 費用の話の前に「そもそも境界(筆界)がどこか分からない」ときは、まず筆界特定制度や土地家屋調査士への相談が先です お隣との境界に目印(境界標)を置くときや、境界に塀を作るときの費用は、原則としてお隣との折半──これが民法の答えです。ただし例外もあり、測量の費用は面積に応じた分担になりますし、立派な塀にしたい側はその分を余計に負担します。 ...

2026年8月28日 · ひぐらしさとし