家庭裁判所の審判はいつ「確定」する?──即時抗告の2週間と、登記で使う確定証明書

この記事の要点 家庭裁判所の審判は、審判書を受け取った日にすぐ確定するわけではありません。即時抗告ができる審判は、確定しなければ効力を生じないとされています(家事事件手続法74条2項ただし書) 即時抗告は「2週間の不変期間」内にしなければならず、その期間は、即時抗告をする人が審判の告知を受ける者であるときは、その人が告知を受けた日から進行します(同法86条1項・2項)。告知を受けた日が相続人ごとに違えば、期間が終わる日も人ごとにずれます 遺産分割の審判で不動産を取得した相続人が単独で相続登記を申請するときは、審判書に家庭裁判所の確定証明書を添えて使います なお、この記事は執筆時点(2026年9月)の制度に基づく一般的な解説です。 ...

2026年9月18日 · ひぐらしさとし

戸籍の「再製」とは?──作り直された戸籍に、前の記載が載らないことがある理由

この記事の要点 戸籍の「再製」には、滅失したとき・滅失のおそれがあるときの再製(戸籍法11条)と、本人の申出による再製(同法11条の2)の2種類がある 申出による再製では、訂正された事項の記載のない戸籍が作られるため、再製後の戸籍を見ても、そこに何が記載され、どう訂正されたのかは読み取れない 相続人を確定するときは、戸籍事項欄の再製の記載(戸籍法施行規則34条6号)を確認し、その戸籍だけで完結しない前提で出生まで遡る 「再製」は戸籍を作り直す手続き──2つの種類がある 戸籍の「再製」とは、すでにある戸籍を作り直す手続きのことです。戸籍法は、次の2つの場面を定めています。 ...

2026年9月18日 · ひぐらしさとし

成年後見制度の「中核機関」「地域連携ネットワーク」とは?──利用促進法が目指す地域の支え合い

この記事の要点 2016年に施行された成年後見制度利用促進法をきっかけに、市区町村が中心となって「中核機関」の整備と「地域連携ネットワーク」の構築を進めています 中核機関は、制度の相談対応や後見人候補者の調整、就任後の後見人への支援などを担う地域の窓口です 地域連携ネットワークは、家庭裁判所や専門職団体、福祉関係機関などが連携し、申立て前から就任後まで継続的に本人を支える体制です 2026年6月には成年後見制度そのものを見直す民法改正が成立しましたが、施行日は公布から2年6月以内に政令で定める日とされており、2026年9月時点ではまだ施行されていません 結論から言うと、「中核機関」と「地域連携ネットワーク」は、個々の後見の申立てそのものを扱う機関ではなく、成年後見制度を「使いたい人が使える制度」にするために、国が市区町村に整備を促している地域の支援体制です。申立て前の相談から、後見人になった後のフォローまでを地域全体で支える仕組みと考えると分かりやすいです。 ...

2026年9月17日 · ひぐらしさとし

フリマアプリ・ネットオークションの代金未払い|少額訴訟や支払督促を使うための準備

この記事の要点 フリマアプリやネットオークションでの代金未払いも、金額次第で少額訴訟や支払督促といった簡易裁判所の手続きを使える場合がある ただしこれらの手続きは相手方の氏名・住所を申立書に記載する必要があり、ハンドルネームだけでは手続きを始められない 取引メッセージや振込明細などの証拠を早めに保存しておくことが、後の手続きを進めるうえで重要になる 2026年5月21日からは少額訴訟もオンラインで申し立てられるようになり、支払督促も従来の督促手続オンラインシステムに加えてmintsが使えるようになったが、相手の氏名・住所を記載する必要がある点は書面と変わらない フリマアプリやネットオークションで個人間取引をした際に、商品を発送したのに代金が振り込まれない、あるいは代金を払ったのに商品が届かないといったトラブルは珍しくありません。請求額が140万円以下であれば、手続きの相談や書類作成について司法書士が関われる範囲に入ることもありますが、その前提として押さえておきたいのが「相手を裁判上どう特定するか」という実務上の壁です。この記事では、少額訴訟や支払督促といった簡易裁判所の手続きを使うために必要な準備を整理します。 ...

2026年9月17日 · ひぐらしさとし

「前項」「同条」「当該」の読み方──条文の中の指し示す言葉をたどる【相続登記の条文で解説】

この記事の要点 条文は同じ語句の繰り返しを避けるため、「前項」「前条」「同条」「当該」といった指し示す言葉を多く使う 直前の項は「前項」、離れた項は「第二項」のように番号で呼ぶ。一度名前を出した条をもう一度指すときは「同条」 「当該」はすでに出てきた特定のものを受けて「いま述べた、その」と限定する言葉 条文を読んでいて、「前項の規定は……」「同条第一項に規定する……」「当該遺産の分割の日から……」といった表現で迷子になった経験はないでしょうか。法律の条文は、同じ語句を何度も書くと長くなるため、一度出てきたものを指し示す言葉で受けます。逆に言えば、この指し示す言葉の読み方さえ分かれば、条文はぐっと追いやすくなります。 ...

2026年9月16日 · ひぐらしさとし

登記の委任状が2枚以上になったら?──「契印」をめぐる実務の傾向

この記事の要点 契印(けいいん)とは、2枚以上に分かれた書類を一体のものとして扱うため、ページのつなぎ目にまたがるように押す印のことで、委任状や登記原因証明情報が複数枚にわたる場面などで求められることがある 「契印」という語は不動産登記規則46条(契印等)にあり、申請書が2枚以上のときの契印は同条が明文で義務づけている。もっとも同条が対象としているのは申請書(と信託目録に記録すべき情報を記載した書面)で、委任状の契印を直接義務づける規定は見当たらない 誰の印を使うか、代理人がまとめて押してよいかといった扱いには幅があり、求められた際は用途を確認しておくと安心 登記の委任状が2枚、3枚になったとき、「ここに契印をお願いします」と言われた経験がある方もいらっしゃると思います。契印とは、2枚以上にわたる書類が一続きのものであることを示すため、ページのつなぎ目にまたがるように押す印のことです。1枚に収まらない委任状や、契約書の形式で作られた登記原因証明情報などで登場します。 ...

2026年9月16日 · ひぐらしさとし

相談中にメモを取っても録音してもいい?──面談を記録するときの心得

この記事の要点 相談中にメモを取ること自体は基本的に問題なく、「メモを取らせていただいてよいですか」と一言添えれば失礼にはあたりません 録音・録画は、無断で行わず事前に確認するのが一般的なマナーとされています 司法書士には秘密保持義務がありますが、これは司法書士側が負う義務であり、相談者自身が記録した内容の管理にも気を配ると安心です 初回相談では、「言われたことを覚えていられるだろうか」「あとで家族にきちんと説明できるだろうか」という不安から、メモを取っておきたい、あるいは録音しておきたいと考える方が少なくありません。ただ、面談の場でどこまでしてよいのか迷う声もよく聞きます。この記事では、相談を記録するときの一般的な心得を整理します。 ...

2026年9月15日 · ひぐらしさとし

相続税の『連帯納付義務』とは──自分の分を払っても、他の相続人の分の責任が残ることがある仕組み

この記事の要点 同じ被相続人から相続・遺贈で財産を取得した人は全員、自分が受け取った財産の価額を限度に、互いに他の相続人の相続税を連帯して納付する責任を負う(相続税法34条1項) 自分の申告・納税を済ませても、他の相続人が滞納すれば、この連帯納付義務にもとづいて税務署から納付を求められることがある ただし無期限の責任ではなく、申告期限から5年を経過する日までに税務署長から納付通知書による通知が発せられていなければ、その相続税については連帯納付義務が及ばなくなる(平成24年度税制改正) 相続人が複数いる相続では、「自分に割り当てられた相続税を、自分の申告期限までに納めれば、それで自分の責任は終わり」と考えている方が少なくありません。しかし相続税法には、これとは別に「連帯納付義務」という仕組みがあります。 ...

2026年9月15日 · ひぐらしさとし

相続税の申告期限『10か月』──何を、いつまでに済ませておく必要があるか

この記事の要点 相続税の申告が必要になる場合、その申告・納付期限は「相続の開始があったことを知った日の翌日から10か月以内」(申告期限は相続税法27条1項、納付期限は同法33条) 10か月は申告書を作成するための期間ではなく、財産調査・遺産分割協議・申告書作成という性質の異なる工程を配分すべき期間 相続放棄(3か月)・準確定申告(4か月)と時期が重なるため、単独の期限として捉えず全体の時系列の中に位置づける必要がある 本文 相続税の申告が必要になる場合、その申告・納付期限は「相続の開始があったことを知った日の翌日から10か月以内」と定められています(申告期限は相続税法27条1項、納付期限は同法33条)。起算点が死亡日そのものではなく「相続の開始があったことを知った日」を基準にしている点は、相続放棄の3か月や準確定申告の4か月と共通する考え方です。 ...

2026年9月14日 · ひぐらしさとし

数次相続が起きると戸籍はどこまで増える?──亡くなった相続人にも『出生から死亡まで』が必要になる理由

この記事の要点 数次相続とは、一次相続の遺産分割が終わらないうちに相続人の一人が亡くなり、二次相続が発生している状態 亡くなったその相続人についても、本来の被相続人と同じく「出生から死亡まで」の戸籍一式を追加で集める必要がある 理由は、その人自身の相続人(二次相続人)が誰であるかを確定するため。亡くなった人数が増えるほど、収集範囲は大きく膨らむ 令和6年3月1日から始まった戸籍証明書等の「広域交付」は、直系にあたらない方の戸籍・コンピュータ化されていない戸籍・代理人による請求には使えないため、数次相続では負担の軽減が限定的 本文 相続登記や遺産分割協議のために戸籍を集めるとき、子が相続人になる一般的なケースであれば、亡くなった方(被相続人)の「出生から死亡まで」の戸籍一式をひとそろい集めるのが基本の範囲になります(相続人が兄弟姉妹になる場合など、被相続人の分だけでは足りないケースもあります)。ところが数次相続が絡むと、この「ひとそろい」が何セットにも増えていきます。今回は、その増え方の仕組みを戸籍収集の実務という切り口から整理します。 ...

2026年9月14日 · ひぐらしさとし