問題: 建物の分割の登記、建物の区分の登記及び建物の合併の登記に関する次のア〜オのうち、誤っているものはいくつあるか。
ア. 建物の分割の登記は、表題部所有者又は所有権の登記名義人以外の者は、申請することができない。
イ. 建物の合併の登記は、所有権の登記名義人が相互に異なる建物については、することができない。
ウ. 建物の区分の登記は、表題部の記録を変更するものであるから、登記官が職権ですることができる。
エ. 抵当権の登記がある建物については、いかなる場合であっても、他の建物との合併の登記をすることができない。
オ. 建物の分割の登記及び建物の合併の登記には、建物の表題登記や建物の滅失の登記のような、1か月以内に申請しなければならない旨の申請義務はない。
答え: 誤っているものは、ウ・エの2つである。
解説: ア(正しい)。建物の分割・区分・合併の登記は、その建物の表題部所有者又は所有権の登記名義人が申請します(不動産登記法54条1項。申請適格者の限定)。
イ(正しい)。所有権の登記名義人が相互に異なる建物は、合併の登記をすることができません(不動産登記法56条2号)。合併は権利関係の単一性が前提となるためです。
ウ(誤り)。建物の区分の登記(1個の建物を区分して数個の建物とする登記)は、表題部所有者等の申請によってされるものであり、登記官が職権でするものではありません(不動産登記法54条1項2号)。物理的状況の変化を所有者の意思に基づいて公示する登記であって、職権登記ではない点が誤りです。
エ(誤り)。所有権等の登記以外の権利に関する登記がある建物は原則として合併できませんが(不動産登記法56条)、例外として、同一の債権を担保する抵当権の登記であって、登記の目的・申請の受付年月日・受付番号・登記原因及びその日付が同一であるものなどは、合併が認められます。したがって「いかなる場合であっても合併できない」と言い切る点が誤りです。
オ(正しい)。建物の表題登記(新築後1か月以内)や建物の滅失の登記(滅失後1か月以内)には申請義務がありますが、分割・区分・合併の登記は所有者の意思に基づく登記であり、期間内の申請義務はありません。
問題: 表題部所有者に関する登記について、次のア〜オのうち、誤っているものはいくつあるか。
ア. 表題部所有者とは、表示に関する登記のうち、所有権の登記がない不動産の登記記録の表題部に、所有者として記録されている者をいう。
イ. 表題部所有者の氏名若しくは名称又は住所についての変更の登記又は更正の登記は、表題部所有者以外の者は、申請することができない。
ウ. 表題部所有者が、その所有権を第三者に譲渡したときは、表題部所有者の変更の登記を申請して、その第三者を新たな表題部所有者として記録する。
エ. 不動産の所有者と表題部所有者とが異なる場合にする表題部所有者についての更正の登記は、その不動産の所有者以外の者は、申請することができない。
オ. 表題部所有者が2人以上であるときは、各表題部所有者の持分は、登記事項となる。
答え: 誤っているものは、ウの1つである。
解説: ア(正しい)。表題部所有者とは、所有権の登記がない不動産につき、表題部に所有者として記録される者をいいます(不動産登記法2条10号)。
イ(正しい)。表題部所有者の氏名・名称・住所の変更・更正の登記は、表題部所有者以外の者は申請できません(不動産登記法31条)。表示に関する登記として、表題部所有者本人が単独で申請します。
ウ(誤り)。表題部所有者が所有権を第三者に譲渡しても、「表題部所有者の変更の登記」で承継者を表題部に記録するのではありません。この場合は、まず所有権の保存の登記をして権利部(甲区)を起こし、その後の移転は権利部で公示します。表題部所有者の記録は、譲渡によって承継者へ書き換える仕組みにはなっていない点が誤りです。
エ(正しい)。不動産の真の所有者と、登記記録上の表題部所有者とが食い違っている場合にする表題部所有者の更正の登記は、その不動産の所有者以外の者は申請することができません(不動産登記法33条1項)。誤って記録された表題部所有者の側が自由に書き換えられるわけではない点に注意が必要です。
オ(正しい)。表題部所有者が複数あるときは、各人の持分が登記事項となります。
問題: 土地家屋調査士及びその業務に関する次のア〜オのうち、誤っているものはいくつあるか。
ア. 土地家屋調査士は、他人の依頼を受けて、不動産の表示に関する登記について必要な土地又は家屋に関する調査及び測量をすることを業とする。
イ. 土地家屋調査士は、正当な事由がある場合でなければ、依頼を拒むことができない。
ウ. 土地家屋調査士でない者は、原則として、他人の依頼を受けて報酬を得て、不動産の表示に関する登記の申請手続について代理することを業とすることができない。
エ. 法務大臣の認定を受けた土地家屋調査士は、筆界特定の手続の代理に加え、土地の境界の確定を求める訴訟についても、当事者の訴訟代理人となることができる。
オ. 土地家屋調査士でない者は、土地家屋調査士又はこれに紛らわしい名称を用いてはならない。
答え: 誤っているものは、エの1つである。
解説: ア(正しい)。土地家屋調査士の業務の中心は、不動産の表示に関する登記に必要な土地・家屋の調査及び測量であり、これを業とします(土地家屋調査士法3条1項1号)。
イ(正しい)。土地家屋調査士は、正当な事由がなければ依頼を拒むことができません(依頼に応ずる義務。土地家屋調査士法22条)。
ウ(正しい)。土地家屋調査士でない者は、その業務(表示に関する登記の調査・測量・申請手続の代理等)を業として行うことが制限されます(土地家屋調査士法68条。非調査士の業務制限)。
エ(誤り)。法務大臣の認定を受けた土地家屋調査士は、筆界に関する民間紛争解決手続(いわゆるADR)における代理など一定の業務を行うことができますが(土地家屋調査士法3条1項7号・8号、3条2項)、境界(筆界)の確定を求める訴訟の訴訟代理人となる権限まで認められているわけではありません。認定司法書士の簡裁訴訟代理と混同しやすい点で、誤りです。
オ(正しい)。土地家屋調査士でない者は、土地家屋調査士又はこれに紛らわしい名称を用いてはなりません(名称の使用制限)。
問題: 平面直角座標系において、既知点Aの座標を $(X_A,\ Y_A) = (1000.00,\ 1000.00)$(単位:m)とする。点Aから測線ABの方向角を $60^\circ00'00’’$、測線ABの距離を $200.00\ \mathrm{m}$ とし、点Bから測線BCの方向角を $150^\circ00'00’’$、測線BCの距離を $100.00\ \mathrm{m}$ として、放射法により点Cの座標を求めるとき、点Cの座標 $(X_C,\ Y_C)$ として最も近いものはどれか。
なお、$X$ 軸を北方向(縦座標)、$Y$ 軸を東方向(横座標)とし、方向角は北方向から右回りに測るものとする。また $\sin 60^\circ = 0.86603$、$\cos 60^\circ = 0.50000$ とする。
ア. $(1013.40,\ 1223.21)$
イ. $(1186.60,\ 1223.21)$
ウ. $(1013.40,\ 1123.21)$
エ. $(913.40,\ 1223.21)$
オ. $(1013.40,\ 1273.21)$
答え: 最も近いものは、アである。
解説: 各測線について、座標の増分は $\Delta X = S\cos T$、$\Delta Y = S\sin T$ で求めます($S$:距離、$T$:方向角)。
まず点Bの座標を求めます。
$$\Delta X_{AB} = 200.00 \times \cos 60^\circ = 200.00 \times 0.50000 = 100.00$$
$$\Delta Y_{AB} = 200.00 \times \sin 60^\circ = 200.00 \times 0.86603 = 173.21$$
$$X_B = 1000.00 + 100.00 = 1100.00,\quad Y_B = 1000.00 + 173.21 = 1173.21$$
次に点Cの座標を求めます。$\cos 150^\circ = -0.86603$、$\sin 150^\circ = 0.50000$ なので、
$$\Delta X_{BC} = 100.00 \times \cos 150^\circ = 100.00 \times (-0.86603) = -86.60$$
$$\Delta Y_{BC} = 100.00 \times \sin 150^\circ = 100.00 \times 0.50000 = 50.00$$
$$X_C = 1100.00 - 86.60 = 1013.40,\quad Y_C = 1173.21 + 50.00 = 1223.21$$
したがって点Cの座標は $(1013.40,\ 1223.21)$ となり、アが正解です。方向角が $90^\circ$ を超えると $\cos$ が負になり $\Delta X$ が南向き(マイナス)になる点に注意が必要です。土地家屋調査士試験では関数電卓(プログラム機能のないもの)を持ち込めるため、各測線の増分を順次積み上げて計算します。
問題: 相隣関係(囲障・境界線付近の工作物等)に関する次のア〜オのうち、誤っているものはいくつあるか。
ア. 2棟の建物がその所有者を異にし、かつ、その間に空地があるときは、各所有者は、他の所有者と共同の費用で、その境界に囲障を設けることができる。
イ. 囲障の設置及び保存の費用は、相隣者が等しい割合で負担する。
ウ. 囲障の材料及び高さについて当事者間に協議が調わないときは、その囲障は、板塀又は竹垣その他これらに類する材料のもので、かつ、高さ1メートルのものでなければならない。
エ. 建物を築造するには境界線から50センチメートル以上の距離を保たなければならず、これと異なる慣習があっても、その慣習に従う余地はない。
オ. 境界線から1メートル未満の距離において他人の宅地を見通すことのできる窓又は縁側を設ける者は、目隠しを付けなければならない。
答え: 誤っているものは、ウ・エの2つである。
解説: ア(正しい)。所有者を異にする2棟の建物の間に空地があるときは、各所有者は共同の費用で境界に囲障を設けることができます(民法225条1項)。
イ(正しい)。囲障の設置・保存の費用は、相隣者が等しい割合で負担します(民法226条)。
ウ(誤り)。協議が調わないときの囲障は、板塀又は竹垣その他これらに類する材料のもので、かつ「高さ2メートル」のものでなければなりません(民法225条2項)。「高さ1メートル」とする点が誤りです。
エ(誤り)。建物を築造するには境界線から50センチメートル以上の距離を保たなければなりませんが(民法234条1項)、これと異なる慣習があるときはその慣習に従うとされています(民法236条)。「慣習に従う余地はない」と言い切る点が誤りです。
オ(正しい)。境界線から1メートル未満の距離において他人の宅地を見通すことのできる窓又は縁側(ベランダを含む)を設ける者は、目隠しを付けなければなりません(民法235条1項)。
出題分野の振り分け
- 第1問:不動産登記法(建物の分割・区分・合併の登記、不動産登記法54条・56条)
- 第2問:不動産登記法(表題部所有者に関する登記、不動産登記法2条10号・31条・32条・33条)
- 第3問:土地家屋調査士法(業務と非調査士の制限、調査士法3条・22条・68条、名称使用制限)
- 第4問:測量計算(放射法による座標計算。関数電卓持込み可)
- 第5問:民法(相隣関係=囲障・境界線付近の建築・目隠し、民法225条・226条・234条・235条・236条)