固定資産税の『精算金』は税金なのか──決済日に買主・売主で分け合うお金の正体

この記事の要点 固定資産税は「毎年1月1日時点の登記簿上の所有者」に対して1年分課税される 年の途中で売買しても納税義務者は変わらないため、決済時に日割りで精算するのは商慣習であり、法律上の税金の分割ではない 精算金の法的性質は「売買代金の一部」と理解されており、税額そのものを分けているわけではない 不動産の売買決済の場では、固定資産税・都市計画税を「所有していた期間に応じて」買主と売主で日割り計算し、買主が売主へ精算金を支払う商慣習があります。この精算金を、税金そのものが分割されていると誤解している方が少なくありません。 ...

2026年7月17日 · ひぐらしさとし

土地家屋調査士試験 試験対策 第85回──合筆の登記の制限/土地家屋調査士の登録の拒否/囲障の設置/三斜法による面積計算/地積測量図の記載事項

問題: 土地の合筆の登記の制限に関する次のアからオまでの記述のうち、正しいものはいくつあるか。 ア. 相互に接続していない土地の合筆の登記は、することができない。 ...

2026年7月17日 · ひぐらしさとし

生前贈与と遺言、どちらで渡す?──確実さ・費用・撤回のしやすさ比較

この記事の要点 「今すぐ確実に渡したい」なら生前贈与、「亡くなるまで気持ちが変わる可能性がある」なら遺言が入口の目安 生前贈与は原則やり直しがきかず、遺言は何度でも書き直せる(ただし公正証書遺言は作り直しのたびに費用がかかる) 具体的な税額の有利不利は制度の性質だけでは決まらないため、最終判断は税理士へ確認したうえで進める 「子どもに財産を渡したい」と考えたとき、多くの方が最初に迷うのが「生前贈与にするか、遺言にするか」という選択です。どちらも「自分の財産を特定の人に渡す」という点は同じですが、法律上の位置づけはまったく違います。この記事では、税額の有利不利には立ち入らず、確実さ・撤回のしやすさ・手続きの重さ・費用感という「制度の性質」だけを比較します。具体的な税額の有利不利は税理士にご確認ください。 ...

2026年7月17日 · ひぐらしさとし

見守り契約・財産管理委任・死後事務委任──「後見の手前」を支える3つの契約

この記事の要点 見守り契約は「定期的な連絡・訪問で本人の状況を確認する」契約、財産管理委任契約は「判断能力はあるが体が不自由なときに財産管理などの事務を代わってもらう」契約 どちらも判断能力が低下する前から使え、判断能力が低下した後に備える任意後見契約、死亡後に備える死後事務委任契約と組み合わせることで、生前から死後まで切れ目のない備えになる 4つの契約は役割が異なるため、まずは自分がどの時期・どの場面の備えを必要としているかを整理することが第一歩 「まだ判断能力はしっかりしているが、足腰が弱って銀行や役所に出向くのが難しくなってきた」「ひとり暮らしで、何かあったときにすぐ気づいてもらえるか不安」――こうした声から検討されることが多いのが、見守り契約と財産管理委任契約です。判断能力が低下した後の備えである任意後見契約や、死亡後の備えである死後事務委任契約とは対象となる時期が異なり、いわば「後見の手前」の期間を支える仕組みといえます。この記事では、見守り契約・財産管理委任契約を中心に、死後事務委任契約・任意後見契約との役割分担を整理します。 ...

2026年7月17日 · ひぐらしさとし

農地を相続したら登記だけでは終わらない?農業委員会への届出期限

この記事の要点 農地を相続すると、法務局への相続登記とは別に、農業委員会への届出という手続きが控えている 届出の期限は「農地の権利を取得したことを知った日からおおむね10か月以内」が目安とされている 登記と届出は別々の制度なので、どちらか一方をやれば足りるわけではなく、両方の期限を並行して管理する必要がある 本文 結論から言うと、相続した不動産に農地(田・畑など)が含まれる場合、法務局での相続登記だけでなく、その農地がある市区町村の農業委員会への届出も必要になります。この二つは根拠となる法律も窓口も別の手続きです。 ...

2026年7月16日 · ひぐらしさとし

改製原戸籍とは?相続登記で必要になる「コンピュータ化前の戸籍」の基礎知識

この記事の要点 改製原戸籍とは、戸籍の様式が変わる前の「古い戸籍」のこと 相続登記では、被相続人の出生から死亡までの戸籍をすべて集める必要があり、現在の戸籍だけでは足りないことが多い 改製の前後で戸籍に記載される人が変わるため、改製原戸籍を確認しないと相続人を見落とすおそれがある 本文 相続登記のために戸籍を集めていると、市区町村の窓口で「改製原戸籍もいりますか」と聞かれて戸惑う方が少なくありません。結論から言うと、相続登記では改製原戸籍もほぼ必ず必要になります。 ...

2026年7月16日 · ひぐらしさとし

土地家屋調査士試験 試験対策 第84回──共用部分である旨の登記/調査士のADR代理業務/境界線付近の建築の制限/内分点の座標計算/地図と地図に準ずる図面

問題: 共用部分である旨の登記及び団地共用部分である旨の登記に関する次のアからオまでの記述のうち、正しいものはいくつあるか。 ア. 共用部分である旨の登記又は団地共用部分である旨の登記は、当該登記をする建物の表題部所有者又は所有権の登記名義人以外の者は、申請することができない。 ...

2026年7月16日 · ひぐらしさとし

おしどり贈与──婚姻20年の夫婦の自宅贈与と持戻し免除・登記

この記事の要点 「おしどり贈与」は、婚姻20年以上の夫婦間で自宅などを贈与したときに贈与税を軽くできる制度の通称(贈与税の配偶者控除) 名前が似た民法の「持戻し免除の意思表示の推定」(民法903条4項)は、婚姻20年以上・居住用不動産という要件は共通するが、目的も効果もまったく別の制度 贈与税の具体的な軽減額や適用できるかどうかの判断は税理士の専門領域で、この記事では制度が存在することの紹介にとどめる 自宅を贈与する場合は、税務の検討とあわせて名義変更登記の準備も必要になる 「長年連れ添った夫婦の間で、自宅を贈与するとお得になる制度があるらしい」——そんな話を耳にしたことがある方は多いのではないでしょうか。俗に「おしどり贈与」と呼ばれるこの話、実は中身をよく聞くと2つの別々の制度が混ざって語られていることがよくあります。 ...

2026年7月16日 · ひぐらしさとし

家族信託と不動産登記──信託すると登記簿はどうなる?

この記事の要点 不動産を家族信託の対象にすると、名義を受託者に移す登記と、信託の内容を公示する「信託目録」の登記が同時に必要になる 登記事項証明書を見ると、権利部(甲区)に受託者の名義、信託目録に委託者・受託者・受益者や信託の目的が記載される 名義が受託者に移っても、信託目録によって「これは信託財産であり、受託者が自由に処分できる財産ではない」ことが公示される 信託が終了すると、信託登記の抹消と、あらためて所有権移転登記(帰属権利者への名義変更)が必要になる 家族信託で不動産を信託財産にすると、登記簿(登記事項証明書)にはどのような変化が生じるのでしょうか。結論から言うと、名義が委託者から受託者に移るとともに、「この不動産は信託財産である」ということを示す信託目録が新たに登記されます。単なる名義変更とは異なり、登記簿を見ただけで信託財産であることが分かる仕組みになっています。 ...

2026年7月16日 · ひぐらしさとし

成年後見人が『できないこと』とは──医療同意・身元保証・自宅の売却で知っておきたい限界

この記事の要点 成年後見人は本人の財産管理や契約を広く代理できるが、「何でもできる」わけではなく、法律上できないことがある 医療への同意、本人の身元保証、婚姻などの身分行為は、後見人が本人に代わって行うことはできない 本人が住む自宅の売却など、影響の大きい行為には家庭裁判所の許可が必要 「成年後見人になれば、本人のことは何でも代わりに決められる」——そう思われがちですが、実際には後見人にも「できないこと」があります。本記事は、執筆時点(2026年07月)の制度に基づく一般的な解説です。後見・保佐・補助の違いについては、法定後見の3類型『後見・保佐・補助』はどう違う?もあわせてご覧ください。 ...

2026年7月15日 · ひぐらしさとし