この記事の要点
- 本人が体調や距離の事情で同行できないときも、まず家族だけで状況や進め方を聞いてもらうこと自体は一般的にできる
- ただし正式に手続きを依頼する段階では、原則として本人の意思確認が必要になる
- 家族だけで相談に行くときは、本人が同行できない理由と、本人がこれまでどう考えているかを整理しておくとスムーズ
入院中や施設入所中、あるいは遠方に住んでいるなどの事情で、本人が相談の場に同行できないことは珍しくありません。結論から言うと、こうした場合でもまずは家族だけで相談に行き、状況や今後の進め方について話を聞いてもらうこと自体は、多くの事務所で一般的に対応してもらえます。相続や登記の相談は、その場で契約を結ぶ場に限らず、状況整理や見通しを聞く場でもあるためです(相談と依頼の違いについては相談したら必ず依頼しないといけない?もあわせてご覧ください)。
ただし、話を聞いてもらった先で実際に手続きを依頼する段階になると、事情が変わってきます。委任契約の締結や、手続きの内容・費用についての説明と同意の確認は、本人の意思に基づいて行われる必要があるため、最終的には本人への確認や、場合によっては本人との面談(訪問やオンラインでの実施を含む)が必要になります。家族が本人に代わってすべてを決め、進めてしまうことは、原則としてできません(すでに成年後見人などが選任されていて、法律上本人に代わる立場の方がいる場合は、取扱いが異なります)。この境目を先に知っておくと、家族だけで相談に行った際に「今日決まること」と「あとで本人の確認が要ること」の見分けがつきやすくなります。
家族だけで相談に行く際、あらかじめ整理しておくと当日の聞き取りがスムーズになる点は次のとおりです。
- 本人が同行できない理由(入院・施設入所・体力面・遠方など、事実として説明できる範囲でよい)
- 本人がこの件についてこれまでどう考えていたか(伝聞の範囲で構わない)
- 手続きに期限が迫っているかどうか
なお、家族から話を聞く中で「以前と受け答えの様子が違う」「本人の意向を確認すること自体が難しくなってきている」という気配が見えてくることもあります。その場合は通常の相談の枠を超えて、成年後見制度の要否を含めた検討が必要になる場面です。家族の側であらかじめ「認知症だから」などと決めつける必要はなく、気になる様子があれば、その旨をそのまま伝えれば十分です(相続の相談で、親の判断能力が気になるときも参考になります)。
まとめ
本人が体調や距離の事情で相談に同行できないときも、まず家族だけで状況を聞いてもらうことは一般的にできますが、正式に依頼する段階では原則として本人の意思確認が必要になります。対応できる範囲は事務所によって異なりますので、お近くの司法書士にご相談ください。
参考資料
この記事は、次の資料を参照して内容を確認しています(確認日:2026年8月)。
- 民法 第643条(委任)・第859条(成年後見人の財産の管理及び代表)(e-Gov法令検索): https://laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089