「準用する」とは──条文でよく見る「準用」の意味と読み替えのしかた【相続の条文で解説】

この記事の要点 「準用する」は、ある事柄について定めた規定を、性質の似た別の事柄にあてはめて働かせる立法技術。同じ文章を何度も書かずに済ませるための工夫です 「適用する」は本来の対象にそのまま働かせること、「準用する」は別の対象に必要な読み替えをしたうえで働かせること 準用されるのは、条文で名指しされた条・項の範囲だけ。「〜とあるのは〜と読み替えるものとする」という一文があれば、その置き換えをしてから読みます 法律の条文を読んでいると、「〇〇の規定は、△△について準用する」という言い回しに何度も出会います。結論から言うと、準用とは、ある事柄について定めた規定を、性質の似た別の事柄にあてはめることです。同じ内容の条文をもう一度書き写す代わりに、「あちらの条文を借りてきます」と宣言する立法上の工夫だと考えると分かりやすくなります。 ...

2026年8月7日 · ひぐらしさとし

登記が完了するまでどれくらいかかる?──登記完了予定日と処理期間の見方

この記事の要点 申請から完了までの見込みは、各法務局がホームページで「登記完了予定日」として公表している 予定日はあくまで目安で、申請が集中したときや申請に不備(補正)があるときは、翌日以降にずれることがある 完了までの間は、登記識別情報通知や登記完了証はまだ手元に届かない 法務局に登記を申請すると、その場で登記簿が書き換わるわけではありません。申請を受け付けたあと、登記官が内容を審査して、はじめて登記が完了します。では、どれくらい待つのか。結論から言えば、その見込みは各法務局が「登記完了予定日」として公表しており、自分の管轄の法務局のホームページで確認できます。 ...

2026年8月7日 · ひぐらしさとし

『全財産を妻に』の遺言と二次相続──次の相続で誰が相続人になるか

この記事の要点 「全財産を妻に」という遺言は有効ですが、その財産は妻が亡くなったときの相続(二次相続)で、今度は妻の相続人へ引き継がれます 夫婦に子がいない場合、二次相続の相続人は妻の親、または妻の兄弟姉妹・甥姪になり、もともと夫の側にあった不動産がその系統へ移っていくことがあります 相続人の顔ぶれが変われば、遺産分割協議の相手も変わります。名義を放置すると数次相続になり、協議の相手はさらに増えます 相続登記は、自己のために相続の開始があったことを知り、かつ所有権を取得したことを知った日から3年以内に申請する義務があります(不動産登記法76条の2第1項) 二次相続まで見据えた選択肢には、予備的遺言、配偶者以外への配分、遺言の書き直しなどがあります。どれを選ぶかは家庭の事情によるため、お近くの司法書士にご相談ください 「財産は全部、妻に渡したい」。遺言のご相談で最もよく聞かれる希望のひとつです。 ...

2026年8月7日 · ひぐらしさとし

団信で住宅ローンが完済されたあとの手続き──遺族がする抵当権抹消登記

この記事の要点 団信(団体信用生命保険)でローンが完済されても、登記簿に記録された抵当権は自動では消えない。抹消登記の申請が別に必要 保険金の請求手続きは保険会社および金融機関の手続きであり、司法書士が関与するのは完済後の抵当権抹消登記に限られる 抹消登記に必要な書類は金融機関から届く。届くまでの期間は金融機関・保険会社や事案によって異なり、一律の目安はない 不動産の名義人が亡くなっている場合、抹消登記は相続人が申請人になる 手続きの進め方・必要書類は金融機関や保険会社によって異なるため、まずは借入先の金融機関に確認を 住宅ローンを組んでいた家族が亡くなり、「団信で完済されたので、もう何もしなくていい」と聞いた──。そう思って安心してしまう方は少なくありません。 ...

2026年8月7日 · ひぐらしさとし

相談したら必ず依頼しないといけない?──相談と依頼の違い、その場で決めないための準備

この記事の要点 相談と依頼は別のもので、相談したからといってその場で依頼を決めなければならないわけではない 一般には、相談で見通しと費用の説明を受け、納得したうえで委任契約(仕事をお願いする約束)を結んで初めて依頼になる 「持ち帰って考えます」と伝えてよい。そのために聞いておくとよいことがいくつかある 「一度相談に行ったら、そのまま頼まないといけない雰囲気になるのではないか」——相談をためらう理由として、これはとても多いものです。結論から言うと、相談と依頼は別のものです。相談しただけで手続きが始まるわけではなく、その場で結論を出さずに持ち帰ることもできます。 ...

2026年8月6日 · ひぐらしさとし

空き家を取り壊すと土地の固定資産税が上がるのはなぜ?──住宅用地の特例のしくみ

この記事の要点 建物が建っている土地は「住宅用地の特例」によって固定資産税の課税標準(税率をかける前の土台になる金額)が下げられている。建物を取り壊すとこの特例から外れるため、土地の固定資産税が上がることがある 軽減の割合は、200平方メートル以下の部分が価格の6分の1、それを超える部分が3分の1(地方税法349条の3の2第1項・第2項)。都市計画税にも同様の特例があるが割合は3分の1・3分の2で異なる(同法702条の3) 「更地にすると6倍になる」という言い方は正確とはいえない。負担調整措置があり、評価額も取扱いも土地ごと・市町村ごとに違うため、実際の金額はその不動産のある市町村の窓口で確かめる必要がある 結論から書きます。建物を取り壊すと土地の固定資産税が上がることがあるのは、「住宅用地の特例」という税負担を軽くする仕組みが、その土地が住宅の敷地として使われていることを前提にしているからです。建物がなくなれば前提が失われ、原則として特例の適用から外れます。 ...

2026年8月6日 · ひぐらしさとし

予備的遺言とは──「先に相手が亡くなったら」に備える条項

この記事の要点 予備的遺言(補充遺言)とは、「もし○○が私より先に亡くなっていたときは、△△に相続させる」というように、次の受け取り手をあらかじめ書いておく条項のこと 遺贈は、受け取る人が遺言者より先に亡くなると効力を生じない(民法994条1項)。その財産は原則として相続人に帰属する(民法995条) 「相続させる」と書いた場合も、その相続人が先に亡くなったときは、原則としてその子(代襲者)が代わりに受け取ることにはならない(最高裁平成23年2月22日第三小法廷判決) 予備的な条項がないと、その部分だけ遺言の効力がなくなり、結局その財産について遺産分割の話し合いが必要になる 予備的遺言は遺言書の作り直しではなく、最初から一文を足しておくだけで備えられる。作成を考えるときはお近くの司法書士にご相談ください 遺言で財産を渡すと決めた相手が、自分より先に亡くなることがあります。このとき、その部分の遺言は原則として効力を生じません。そして日本の民法には、「その人が先に亡くなっていたら、遺言者が次に望んだであろう人へ自動的に」という補充のルールは用意されていません。だからこそ、遺言のなかにあらかじめ「そのときは誰に渡すか」を書いておく必要があります。これが予備的遺言(補充遺言と呼ばれることもあります)です。 ...

2026年8月6日 · ひぐらしさとし

種類株式とは──「拒否権付株式(黄金株)」を事業承継で使うときの基本と注意点

この記事の要点 種類株式とは、剰余金の配当や議決権など「権利の内容が違う株式」を、1つの会社の中で複数のタイプ発行できるしくみです。 事業承継の場面では、重要事項に「待った」をかけられる拒否権付株式(通称・黄金株)や、議決権のない株式がよく話題になります。 導入するには定款を変更する必要があり、原則として株主総会の特別決議と、2週間以内の変更登記が必要です。 拒否権付株式には、持っている人の判断能力が下がったときや、相続で株式が分散したときに、会社の意思決定が止まってしまうという裏側のリスクがあります。 どの種類株式をどう組み合わせるかは会社ごとの事情で大きく変わります。検討する段階で、お近くの司法書士にご相談ください。 種類株式とは──「権利の中身が違う株式」を作れる制度 種類株式とは、権利の内容が異なる2つ以上のタイプの株式を発行できるしくみのことです。 ...

2026年8月6日 · ひぐらしさとし

相続放棄の「3か月」に間に合わないときは?──家庭裁判所への期間伸長の申立て

この記事の要点 相続放棄・限定承認を選ぶための3か月の熟慮期間は、家庭裁判所に申し立てれば伸ばせる場合があります(民法915条1項ただし書) 申立てができるのは利害関係人(相続人を含む)と検察官(民法915条1項ただし書)、申立先は被相続人の最後の住所地の家庭裁判所です(家事事件手続法201条1項) 「期間を伸ばす」ための申立ても、もとの3か月が満了する前に済ませておく必要があります 「3か月」は動かせない期限ではない 相続が始まると、相続人は単純承認・限定承認・相続放棄のいずれかを、自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内に選ばなければならないとされています(民法915条1項本文)。この3か月は「熟慮期間」と呼ばれ、いつから数えるかという起算点の考え方はこちらの記事で整理しています。 ...

2026年8月5日 · ひぐらしさとし

「除籍謄本」とは?──戸籍謄本との違いと、相続登記で必要になる理由

この記事の要点 除籍謄本とは、記載されていた人が全員その戸籍から抜けて閉鎖された戸籍の写し 「今も誰かが在籍している戸籍」の写しである戸籍謄本とは別の書類で、保存の仕方も呼び方も異なる 相続登記では、被相続人の死亡から出生までを切れ目なくたどる必要があり、その過程で除籍謄本や改製原戸籍が必要になる 本文 相続の手続きを進めていると、市区町村の窓口や案内文で「戸籍謄本」だけでなく「除籍謄本」という言葉に出会います。結論から言うと、除籍謄本とは、記載されていた人が全員その戸籍から抜けて、戸籍としての役目を終えたものの写しです。 ...

2026年8月5日 · ひぐらしさとし