表題登記・表題部の変更は土地家屋調査士へ──権利の登記との分担マップ

この記事の要点 建物を新築した・増築した・取り壊した、土地の地目が変わった・土地を分けたなど、土地や建物の「物理的な状態」が変わる場面の登記(表示に関する登記)は、土地家屋調査士が申請代理を担う分野です 新築・増築・取壊し・地目変更などには、1か月以内に申請する義務があります(新築は所有権を取得した日から:不動産登記法47条1項。増築・取壊し・地目変更は変更や滅失があった日から:同法51条1項・57条・37条1項)。正当な理由なく怠ると10万円以下の過料の対象になり得ます(同法164条1項) 名義を記録する「権利の登記」(所有権保存・所有権移転・抵当権設定など)は司法書士の分野。新築や分筆のあとに権利の登記が続く場面では、両方の資格者が連携して進めることが多くあります 表示に関する登記も、所有者本人が自分で申請することはできます 下の一覧表で自分の場面を探し、詳しくはそれぞれの記事へ進んでください 家を建てた、古い家を壊した、畑を駐車場にした──こうした場面で「登記が必要らしいけれど、誰に頼めばいいのか」と迷ったときは、まず土地家屋調査士、名義の話が絡むところは司法書士と覚えておくと整理しやすくなります。 ...

2026年9月23日 · ひぐらしさとし

会社名義の不動産も対象──法人の住所・名称変更登記の義務化

この記事の要点 会社などの法人も、不動産の所有者(所有権の登記名義人)として登記されている住所(本店)や名称(商号)が変わったら、変更の日から2年以内に不動産の登記を変更する義務があります(2026年4月1日から) 商業登記(会社の登記)で本店移転・商号変更をしても、それとは別の登記簿である不動産の登記が当然に書き換わるわけではありません 不動産の登記に「会社法人等番号」が記録されていれば、法務局が職権で変更登記をする仕組み(スマート変更登記)が用意されています。番号が記録されていない場合は、申出や申請が必要です 2026年4月より前の変更で未登記のものも対象で、期限は2028年3月31日です まずは会社名義の不動産の登記事項証明書を取り、名義の住所・名称と会社法人等番号の記録を確かめましょう 結論からお伝えすると、会社名義の不動産も、住所・名称変更登記の義務化の対象です。本店を移した、商号を変えたという会社が不動産を持っている場合、会社の登記(商業登記)とは別に、不動産の登記に載っている会社の住所・名称も最新にしておく必要があります。 ...

2026年9月23日 · ひぐらしさとし

登記事項証明書交付申請書の書き方──窓口・郵送用の記載例と、よくある書き損じ

この記事の要点 窓口・郵送で使う申請書は、法務局の様式名では「登記事項証明書 登記簿謄本・抄本 交付請求書(不動産用)」。土地と建物は同じ1枚の用紙で請求できる 不動産は住所(住居表示)ではなく「地番」「家屋番号」で書く。いちばん注意したいのはここ 手数料は1通600円(50枚を超える場合は加算あり)。収入印紙を用紙の収入印紙欄に、割印をせずに貼る 郵送で請求するときは、返信用の切手と、返送先の宛先を書いた封筒(またはメモ)を同封する 登記事項証明書(いわゆる登記簿)を法務局の窓口や郵送で請求するときは、所定の用紙に必要事項を書いて提出します。結論から言うと、書く欄はおもに「請求する人」「不動産」「証明書の種類」「手数料(収入印紙)」の4つのまとまりで、つまずきやすいのは「不動産を地番・家屋番号で書く」ところです。 この記事では、法務局が公開している用紙に沿って、欄ごとの埋め方と書き損じやすい点を整理します。 ...

2026年9月22日 · ひぐらしさとし

住所変更登記義務化の「検索用情報の申出」とは──新築・購入時のひと手間と、10月5日から加わる「国籍等」

この記事の要点 検索用情報の申出は、法務局が住基ネットで住所・氏名の変更を確認し、登記を職権で(法務局の側で)書き換えてもらうための事前の届け出です。 家の新築(所有権保存登記)や購入(所有権移転登記)の際は、登記の申請書に検索用情報を書いて同時に申し出ることになっています。すでに名義人の方も、別途単独で申し出ることができ、その費用はかかりません。 2026年10月5日以降に申し出る場合は、氏名・振り仮名・住所・生年月日・メールアドレスに加えて、「国籍等」も申し出る必要があります。 申出を済ませた不動産については、法務省は「住所等変更登記の義務違反に問われることがなくなる」と案内しています(海外にお住まいの方は職権による変更の対象外です)。迷ったらお近くの司法書士にご相談ください。 結論から言うと、「検索用情報の申出」は、引っ越しや結婚で住所・氏名が変わったときの登記を、法務局に自動で追いかけてもらうための登録です。家を新築したり購入したりして登記を申請するときは、その申請書に一緒に書き込むのが基本になっています。 ...

2026年9月22日 · ひぐらしさとし

地目変更登記の手続き──農地転用が絡むときの順番

この記事の要点 農地を農地でない用途に使うには「①農地法の許可・届出 → ②現況の変更 → ③地目変更登記」の順番で進める。登記は一番最後 農地転用の許可申請・届出の代理は行政書士の業務、地目変更登記の申請代理は土地家屋調査士の独占業務。担当がはっきり分かれている 地目に変更があった日から1か月以内に登記を申請する義務があり(不動産登記法37条1項)、正当な理由なく放置すると過料の対象になり得る(同法164条1項) まずは自分の土地がどの許可・届出の対象になるかを確認するところから始める 農地を宅地に変えて家を建てたい、駐車場にしたい――そんなとき、多くの方が迷うのは「何を先にやればいいのか」という順番です。結論から言うと、地目変更登記は一連の手続きの中で一番最後に来るものであり、農地法の許可・届出より先に登記だけを済ませることはできません。 ...

2026年9月21日 · ひぐらしさとし

実印や権利証を盗まれたら──法務局の「不正登記防止申出」でできること・できないこと

この記事の要点 実印・印鑑証明書・登記識別情報(権利証)を盗まれたなど、自分の不動産に身に覚えのない登記をされそうなときは、法務局(登記所)に「不正登記防止申出(ふせいとうきぼうししんで)」をすることができる 申出をしても登記が自動的に止まるわけではない。申出の日から3か月以内にその不動産の登記の申請があったときに、法務局から申出人へ知らせが届き、登記官が申出を相当と認めていた場合には本人確認の調査の対象になる、という仕組み 申出は、原則として本人が法務局の窓口に出頭して行う。印鑑証明書などの添付に加えて、盗難届を出すなど「原因そのものへの手当て」をしているかも確認される 「実印と印鑑証明書が入ったケースごと盗まれた」「権利証の置き場所を他人に知られてしまった」——こうしたとき、真っ先に心配になるのが、知らない間に不動産の名義を書き換えられてしまわないか、ということです。 ...

2026年9月20日 · ひぐらしさとし

未登記の増築部分があると売れない?──売却前に直す手順

この記事の要点 登記簿の床面積と現況の建物が食い違っていると、買主の住宅ローン審査や重要事項説明で問題になることがあります(一般論) 売却前に、増築部分を登記記録に反映させる表題部変更登記を済ませておくのが基本です。申請の依頼先は土地家屋調査士です 増築部分を建てたのが登記名義人本人でない(親名義の家に子が費用を出して増築した等)場合は、区分建物か附属建物かの整理が必要になることがあります 固定資産税の課税床面積と登記簿の床面積は別の記録です。食い違いに気づく手がかりにはなりますが、税額の計算は別の話です 気づいた時点で早めに土地家屋調査士へ相談し、権利関係が絡む場合はあわせて司法書士にも確認するのが安全です 古い実家や住み継いだ持ち家を売りに出そうとしたとき、「増築した部分が登記簿に載っていない」と分かって手が止まる、というケースがあります。**結論から言うと、増築部分が未登記のまま売却の話を進めるのはおすすめできません。**登記簿の記載と実際の建物の状態が違っていると、買主側の住宅ローン審査や重要事項説明の場面で問題になることがあるためです。この記事では、なぜ未登記の増築部分が売却の障害になるのか、売却前にどのような順番で直せばよいか、そして増築部分を建てた人が所有者本人でないときの整理の仕方を、一般的な流れとしてまとめます。 ...

2026年9月20日 · ひぐらしさとし

増築したときの登記──床面積が変わったら表題部の変更登記

この記事の要点 増築で床面積・構造・種類が変わったら、変更があった日から1か月以内に建物の表題部の変更登記を申請する義務がある(不動産登記法51条1項) 申請には増築後の建物の形を反映した建物図面・各階平面図が必要で、測量・作図を伴うため依頼先は土地家屋調査士 正当な理由なく申請を怠ると過料の対象になり得る(不動産登記法164条1項) 固定資産税の家屋調査とは別の手続き。税額の計算や軽減の適用は市区町村の資産税担当・税理士の領域 登記記録と実際の建物の状態が食い違ったまま放置すると、将来の売却や相続登記でつまずく原因になる 増築の工事が終わっても、それで一区切りとはいきません。増築によって床面積や構造、建物の種類が変わったときは、その変更を登記記録に反映させる建物の表題部の変更登記を、変更があった日から1か月以内に申請しなければなりません。この記事では、増築でどんなときに登記が必要になるか、申請に必要なもの、期限と過料、固定資産税との関係、依頼先の順に整理します。 ...

2026年9月19日 · ひぐらしさとし

建物滅失登記を自分で申請する手順──申請書の書き方・添付書類・相続人が申請するとき

この記事の要点 建物滅失登記は、取り壊した建物の登記記録を閉じる「表示に関する登記」で、所有者本人が自分で申請することもできる 申請書には登記の目的「建物滅失」、添付情報、申請日と提出先の法務局、申請人の住所氏名と連絡先、建物の表示、取り壊した日を書く(法務局のサイトに様式と記載例がある) 中心になる添付書類は、解体業者が発行する建物滅失証明書とその業者の印鑑証明書など。建物図面は求められない 所有者が亡くなっている場合は、相続人その他の一般承継人から申請できる(不動産登記法30条)。相続登記を先に済ませる必要はない 建物滅失登記に登録免許税はかからない。ただし建物の特定が難しいときや一部だけを取り壊したときは、土地家屋調査士に相談したほうが早い 建物を取り壊したあとに必要な建物滅失登記は、土地家屋調査士に依頼するのが一般的ですが、制度上は所有者本人が自分で申請することもできます。実際、法務局は申請書の様式と記載例を公開しており、書き方の手がかりは公的なかたちで用意されています。この記事では、その記載例に沿って「自分で出す」ときの手順を、申請書の項目・添付書類・相続人が申請する場合・費用の順に整理します。 ...

2026年9月18日 · ひぐらしさとし

相続したマンションを売る・貸す・手放す──戸建てと違う判断ポイント

この記事の要点 マンション(区分所有建物)は、土地の権利(敷地権)と建物を切り離して売ったり分けたりすることができない 「貸す」場合も、管理規約による用途制限や管理組合への届出が絡み、戸建ての賃貸より制約が多い 名義を持っている限り、使っていなくても管理費・修繕積立金の負担は続く 売却の具体的な流れや、相続放棄・国庫帰属といった「手放す」ための制度そのものは、それぞれ別の記事で解説している 親から相続したマンションを「売るか、貸すか、それとも手放すか」を考えるとき、一戸建ての実家を相続した場合と同じ感覚で判断すると、思わぬところでつまずくことがあります。理由は単純で、マンションの一室(区分所有建物)は、一戸建てとは登記の仕組みそのものが違うためです。 ...

2026年9月17日 · ひぐらしさとし