権利証(登記識別情報)はまだ使える?──法務局に「有効証明」を請求して確かめる方法

この記事の要点 登記識別情報(いまの「権利証」にあたる12桁の符号)がまだ使える状態かどうかは、登記名義人やその相続人などが法務局に「有効証明」を請求して確かめることができる(不動産登記令22条) 手数料は1件300円。請求書を書面で出す方法のほか、法務省の「申請用総合ソフト」を使ったオンラインでも請求できる 証明されるのは「その符号がその登記のもので、失効していない」ことだけ。請求した人が本当の所有者であることや、取引の安全まで保証するものではない 「何年も前に届いた登記識別情報通知、今も使えるのだろうか」「家族が保管していた通知書が、この登記のものか自信がない」──不動産を売る、担保に入れるといった次の登記を控えて、手元の符号が本当に使えるのか気になることがあります。 ...

2026年10月6日 · ひぐらしさとし

付記登記と主登記の違いとは?──登記簿の『付記1号』の意味と順位への影響

この記事の要点 付記登記は、すでにある権利の登記に「ぶら下げて」記録する登記で、登記簿には「1番付記1号」のように、もとの登記(主登記)の順位番号に「付記何号」を付けた形で記録される 付記登記の順位は主登記の順位に従い、同じ主登記に付いた付記登記どうしはその前後で決まる(不動産登記法4条2項)。付記登記がされても、もとの権利の優先順位は動かない どの登記が付記登記になるかは、申請する人が選ぶものではなく、不動産登記規則3条の列挙と、不動産登記法66条(利害関係人の承諾の有無)などの条文で決まる 登記事項証明書(登記簿)を取り寄せると、「順位番号」の欄に「1」「2」という独立した番号のほか、「付記1号」のように「付記」の文字を含む記載が混じっていることがあります(不動産登記規則148条が定める記録の方法では、「1番付記1号」のように、もとの登記の順位番号に「付記何号」を付け加えた形になります)。結論から言うと、これは**もとの1番の登記に後から付け加えられた登記(付記登記)**であり、その順位は1番の登記の順位のまま扱われる、という意味です。登記簿全体の構造は「登記簿(登記事項証明書)の見方」で、抵当権の欄(乙区)の読み方は「登記簿の『乙区』を読み解く」で扱いました。ここでは、付記登記と主登記がそもそも何で、どの登記がどちらになるのかが条文上どう決まっているのかに絞って整理します。これは執筆時点(2026年10月)の制度に基づく一般的な解説です。 ...

2026年10月2日 · ひぐらしさとし

2026年に変わった・変わる制度の総まとめ──登記・相続まわりの改正一覧

この記事の要点 2026年は、2月に所有不動産記録証明制度、4月に住所・氏名の変更登記の義務化が始まるなど、登記・相続まわりの制度が相次いで変わった年です 10月にも2つの変更があります。10月1日から「登記受付帳」の記録事項が簡素化され、10月5日からは不動産の所有者として登記される個人が申し出る「検索用情報」に「国籍等」が加わります 住所変更登記の義務は2026年4月1日より前の変更も対象で、その期限は2028年3月31日。2024年4月1日より前の相続についての相続登記の期限は、原則として2027年3月31日です まず下の一覧表で自分に関係しそうな行を探し、リンク先の記事で詳しい内容を確認してください 2026年に登記・相続まわりで変わった制度、これから変わる制度を、施行日(ルールが効力をもち始める日)の順に一覧にしました。この記事は「どの改正が・いつから・誰に関係するか」を見渡すための道案内です。それぞれの制度の詳しい中身は、各行のリンク先の記事で解説しています。 ...

2026年9月30日 · ひぐらしさとし

不動産登記の全体マップ──場面別(買う・借りる・返し終わる・相続する・手放す)

この記事の要点 不動産の登記は、種類の名前から探すより「いまどんな場面か」から探すと迷いにくくなります。この記事では、買う・借りる・返し終わる・相続する・贈与や財産分与・手放す・住所や氏名が変わった、の場面別に並べています 建物の新築・取壊し、土地の地目変更・分筆など、土地や建物の形や使い方を記録する「表示に関する登記」は土地家屋調査士の業務です。名義や抵当権を記録する「権利に関する登記」は司法書士の分野です(どちらも、所有者本人が自分で申請することもできます) 申請の期限があるのは主に、相続登記(原則3年以内)、住所・氏名の変更登記(2年以内)、新築・取壊しなどの表示に関する登記(1か月以内)です 自分の場面を下の一覧で見つけたら、リンク先の詳しい記事へ進んでください 不動産の登記にはいくつもの種類がありますが、ふだんの暮らしで出てくる場面はある程度決まっています。この記事は、不動産登記に関する解説記事をまとめて案内する場面別の目次です。制度のしくみはそれぞれの記事にゆずり、ここでは「どの場面で、どの登記が出てきて、どの記事を読めばよいか」だけを並べます。本記事は、執筆時点(2026年09月)の法令に基づく一般的な解説です。 ...

2026年9月29日 · ひぐらしさとし

通路や水道管のための「地役権」は登記簿のどこに載る?──承役地・要役地の登記の見方

この記事の要点 地役権の登記は、負担を負う土地(承役地)の登記記録の乙区にされます。便益を受ける土地(要役地)の側にも、登記官が職権で記録します(不動産登記法80条4項)。 承役地の乙区には、要役地や地役権設定の目的・範囲などが載りますが、地役権者の氏名・住所は登記しなくてよいとされています(同条1項・2項)。 範囲が土地の一部のときは、登記の末尾に地役権図面番号が記録されます。地役権図面は、誰でも写しの交付を請求できる図面の一つです(不動産登記規則160条、不動産登記法121条1項)。 隣の土地を通路として通らせてもらう、水道管を通させてもらう。こうした関係を、当事者が「地役権」として設定し、登記していることがあります。地役権は、設定行為で定めた目的に従い、他人の土地を自分の土地の便益に使う権利です(民法280条)。結論から言うと、登記簿で探す場所は使われる側の土地の乙区で、使う側の土地にも対になる記録があります。 ...

2026年9月28日 · ひぐらしさとし

自分でできる登記・専門家に頼んだほうがいい登記──難易度マップ

この記事の要点 登記は、制度上は本人が自分で申請できます。難しさを分けるのは主に「書類が定型か」「相手方や関係者が多いか」「税金・測量・争いが絡むか」の3点です 自分でも取り組みやすい目安は、住宅ローン完済後の抵当権抹消、住所・氏名の変更登記、相続人申告登記など。専門家向きの目安は、売買の決済、住宅ローンの設定、財産分与、休眠担保権の抹消、家族信託など 建物の滅失・表題登記・分筆・地積更正などの「表示に関する登記」は土地家屋調査士の業務です。人に頼むときの依頼先は土地家屋調査士になります ここでの難易度はあくまで一般的な目安で、同じ種類の登記でも個別の事情で大きく変わります。まずは下の一覧で自分の登記の位置を確かめ、詳しい記事へ進んでください 「この登記、自分でできるだろうか」と迷ったときに、どの登記が比較的取り組みやすく、どの登記に専門知識や段取りが必要になりやすいのかを一覧にしたのがこの記事です。制度の説明はそれぞれの詳しい記事に任せ、ここでは「どの記事を読めばよいか」の目次に徹します。 ...

2026年9月28日 · ひぐらしさとし

登記事項証明書はどこで・誰が取れる?──管轄に関係なく全国の法務局で、本人以外でも取れる理由

この記事の要点 登記事項証明書(いわゆる登記簿謄本)は、不動産の所在地を管轄する法務局でなくても、全国どこの法務局でも請求できる(不動産登記法119条5項) 所有者本人でなくても、誰でも請求できる(同法119条1項「何人も」)。請求する人が自分の名前で請求するので、所有者からの委任状は要らない 手数料は窓口・郵送で1通600円、オンライン請求は490円(窓口受取)または520円(郵送受取)。いずれも1通50枚を超えると加算あり ただし、コンピュータ化される前の紙の閉鎖登記簿の謄本は119条5項の対象外で、法務局の案内では、保管している法務局への窓口・郵送請求となっている。登記の申請書などの附属書類の閲覧にも別の要件がある 取った証明書を手続きにどう使うか迷ったら、お近くの司法書士へ 「実家の土地は遠方にあるけれど、近くの法務局で登記簿を取れますか」「親の家の登記簿を、子どもの私が取っても大丈夫ですか」。どちらも、よくある疑問です。 ...

2026年9月25日 · ひぐらしさとし

登記の「住所証明情報」とは?──新しく名義人になる人の住民票・印鑑証明書と、住民票コードで省略できる場合

この記事の要点 住所証明情報とは、売買や相続などで新しく不動産の名義人になる人の住所を証明する書類です。個人なら住民票の写しや戸籍の附票の写しで、印鑑証明書に記載された住所を使うこともできると法務局は案内しています。 申請書に住民票コード(11桁の番号)を書くと、住民票の写しの提出を省略できます(不動産登記令9条・不動産登記規則36条4項)。住民票の写しを出す場合は、マイナンバー(個人番号)の記載がないものを使います。なお、不動産登記令・不動産登記規則は、住所証明情報に印鑑証明書のような「作成後3か月以内」の定めを置いていません(ただし、取った後に引っ越した場合、その書類では今の住所を証明できません)。 2026年10月5日以降に申請する所有権の保存・移転などの登記では、新しく名義人になる個人(その登記の申請人になる人)について、申請書に国籍等を書き、原則としてそれを証する書類も添付することになります(改正後の不動産登記規則158条の39)。日本国籍の方は、本籍地が記載された住民票の写しで住所証明情報と兼ねられると法務省は案内しています。 売買や相続で不動産の名義を変える手続きを調べると、必要書類の欄に「住所証明情報」という言葉が出てきます。結論から言えば、これは新しく名義人になる人の住所を証明する書類のことで、個人の場合は住民票の写しが代表例です。そして、申請書に住民票コードを書けば、その住民票の写しを出さずに済みます。 ...

2026年9月24日 · ひぐらしさとし

登記情報提供サービスの使い方──登記事項証明書との違い・料金・一時利用と登録利用

この記事の要点 登記情報提供サービスで取得できるのは、登記官の認証文や職印が付かない閲覧用のデータ(PDF)です。登記事項証明書(いわゆる登記簿謄本)の代わりに提出することはできません 料金は1件あたり、不動産の全部事項330円・所有者事項140円・地図や図面360円(2026年9月確認) 使い方は、登録せずにクレジットカードで使う「一時利用」(請求できるのは初回ログインの当日中のみ)と、事前に申し込む「登録利用」(個人は最初のログイン時に登録費用300円)の2通り 不動産は住所(住居表示)ではなく「地番」「家屋番号」で指定する。取得したPDFを表示・保存できる期間は短いので、取ったらすぐ保存する 提出用の証明書が必要なときは、窓口・郵送・オンライン申請で登記事項証明書を取る 登記情報提供サービスは、法務局(登記所)が持っている登記の情報を、インターネットを使って自宅のパソコンやスマートフォンの画面で確認できる有料サービスです。不動産の所有者や担保の登記を、法務局へ出向かずにその場で確かめられます。 ...

2026年9月24日 · ひぐらしさとし

固定資産税の課税明細書の見方──登記や相続の準備で使う欄はどこ?

この記事の要点 課税明細書には、土地なら所在・地番・地目・地積・価格、建物なら所在・家屋番号・種類・構造・床面積・価格が書かれている 「価格(評価額)」と「課税標準額」は別の数字。登記でかかる登録免許税の計算のもとになるのは「価格」のほう 登記されていない建物が載っていることがあり、相続の準備で見落としに気づく手がかりになる 毎年春ごろに市町村から届く固定資産税の納税通知書には、一般に「課税明細書」という一覧が同封されています。結論から言えば、登記や相続の準備では、この明細書のうち「所在・地番/家屋番号」と「価格(評価額)」の欄が特に役立ちます。以下は、執筆時点(2026年9月)の制度に基づく一般的な解説です。 ...

2026年9月23日 · ひぐらしさとし