土地を先に買って家を建てる──土地の決済・つなぎ融資・建物完成後の登記の流れ(表題登記は調査士へ)

この記事の要点 土地を買ってから家を建てる場合、登記は時期が2つに分かれます。土地の決済のときの「所有権移転登記」と、建物が完成したあとの「表題登記→所有権保存登記→抵当権設定登記」です。 建物の表題登記は、建物の所有権を取得した日から1か月以内に申請する義務があります(不動産登記法47条1項)。この登記の申請代理は土地家屋調査士の業務で、司法書士は扱えません。 土地の売買による所有権移転登記の登録免許税は原則2%ですが、2029年(令和11年)3月31日までは1.5%に軽減されています(租税特別措置法72条1項)。 つなぎ融資は、住宅ローンが実行されるまでの支払いに備える借入れです。金利・手数料・審査などの商品の内容は金融機関に確認してください。 土地の決済の前に、建物完成までの段取り(融資の実行時期と登記の順番)を金融機関・司法書士・土地家屋調査士と共有しておくと安心です。 土地を探して購入し、そこに注文住宅を建てる──いわゆる「土地から家づくり」では、土地を買う日と家が完成する日のあいだに時間があきます。そのため登記も1回では終わらず、時期を分けて行うことになります。 ...

2026年10月20日 · ひぐらしさとし

家を買ったあとに手元に残る書類──売買契約書・重要事項説明書・領収書は、いつまで保管するか

この記事の要点 家の引渡しを受けると、売買契約書・重要事項説明書・代金や諸費用の領収書・住宅ローンの契約書類・建築確認の書類などが手元に残ります マイホームを買った個人について、これらの書類の保存年数を一律に定めた法律の規定は見当たりません。法律で保存が義務づけられている例としては、認定長期優良住宅の記録などがあります それでも、少なくともその家を売るまで残しておくのが基本です。売るときの税金(譲渡所得)の計算や、次の買主への説明で使うことがあるためです 登記識別情報通知(いまの「権利証」)は、ほかの書類とは分けて保管します 書類は一つのファイルにまとめ、保管場所を家族にも伝えておくと、相続のときにも役立ちます 家の引渡しが終わると、たくさんの書類が手元に残ります。結論から言うと、購入のときの書類は、少なくともその家を売るまで、ひとまとめにして保管しておくのが基本です。法律で「何年保管しなさい」と決められている書類は多くありませんが、売るときの税金の手続きや、次の買主への説明の場面で、何年もたってから必要になることがあるからです。 ...

2026年10月19日 · ひぐらしさとし

公図・地積測量図・建物図面の違いは?──法務局でもらえる3つの図面と取り方

この記事の要点 公図は「土地の並び方」、地積測量図は「1筆の土地を測った結果」、建物図面は「建物が敷地のどこに建っているか」を示す図面で、法律上の根拠もそれぞれ別です 3つとも、所有者でなくても請求でき、電子化された図面なら窓口(管轄外の最寄りの法務局を含む)・郵送・オンラインで取れます。手数料は窓口・郵送で500円、オンラインで440円または470円です 図面は登記の資料で、図面だけで現地の境界が決まるわけではありません。境界の確認や測量は土地家屋調査士の分野です 土地や建物の登記簿(登記事項証明書)は文字の記録なので、「隣はどの土地か」「建物は敷地のどこにあるか」といった位置関係は分かりません。それを補うのが法務局の図面です。結論から言うと、よく使われるのは公図・地積測量図・建物図面の3つで、取り方はほぼ共通ですが、何のための図面かはまったく違います。 ...

2026年10月18日 · ひぐらしさとし

夫婦で家を買うときの持分の決め方──資金の割合と登記の持分が違うと贈与として扱われ得る話(税額は税理士へ)

この記事の要点 夫婦の共有名義で家を買うときは、登記簿に「夫○分の○・妻○分の○」という持分の割合が必ず記録されます。この割合は、夫婦それぞれが購入資金をいくら負担したかに合わせて決めるのが基本です 資金の負担割合と登記の持分が食い違うと、差額の分について夫婦の間で贈与があったものとして扱われ得ます。「夫婦だから半分ずつ」は、負担の実態と合っていなければ注意が必要です 持分は登記を申請する時点で決めて書き込みます。あとから直すには別の登記(当初から誤っていた場合の更正の登記など)が必要で、手間も費用もかかります 贈与税の配偶者控除などの特例もありますが、使えるかどうか・税額・申告が要るかどうかの判断は税理士にご相談ください 持分の割合を決める前に、誰がいくら出すのかを書き出しておきましょう。登記の進め方は、お近くの司法書士にご相談ください 夫婦で家を買うとき、「名義は2人で半分ずつにしておけば公平だろう」と考える方は少なくありません。結論から言うと、共有名義の持分(その不動産に対してそれぞれが持つ権利の割合)は、夫婦それぞれが実際に負担した購入資金の割合に合わせて決めるのが基本です。夫婦であっても、資金の負担と持分がずれていると、そのずれた分について贈与があったものとして扱われ得るからです。 ...

2026年10月18日 · ひぐらしさとし

なぜ司法書士は免許証を見るのか──本人確認・意思確認と「地面師」対策

この記事の要点 司法書士が運転免許証などを確認し、本人と会って話を聞くのは、「書類の上の名義人」と「目の前の依頼者」が同じ人か、そしてその人が本当にその登記を望んでいるかを、登記の申請より前の段階で確かめるためです 司法書士は、犯罪収益移転防止法で本人確認(取引時確認)を求められる「特定事業者」の一つです。宅地や建物の売買に関する手続の代理を引き受ける契約などが、確認の対象として定められています 不動産登記法にも、権利証(登記識別情報)を出せないときの事前通知や、司法書士などが作る「本人確認情報」、登記官による本人確認の調査といった、なりすましに備える仕組みがあります 本人確認は、他人になりすまして土地を売るいわゆる「地面師」の被害を防ぐための大切な関門ですが、それだけで被害を完全に防げるわけではありません。確認に協力しつつ、心配な点は早めにお近くの司法書士にご相談ください 不動産の売買や贈与の登記を司法書士に頼むと、運転免許証やマイナンバーカードを見せてほしい、本人と直接会って話を聞きたい、と言われるのが一般的です。「家族が代わりに行けばいいのでは」「印鑑証明書もそろえたのに、なぜ」と感じる方もいるかもしれません。 ...

2026年10月17日 · ひぐらしさとし

不動産の決済で司法書士は誰が選ぶ?──売主側・買主側・銀行指定の実際と費用負担の慣行

この記事の要点 不動産の売買で司法書士を誰が選ぶかは、法律で決まっているわけではありません。一般には、買主側(不動産会社の紹介や、住宅ローンを組む金融機関の手配を含む)で決まることが多いとされています 住宅ローンを使う場合、金融機関も抵当権の登記の当事者になるため、金融機関の手続きの都合が司法書士選びに関わります 登記費用を誰が負担するかは「誰が選んだか」ではなく、売買契約書の取り決めで決まります。名義変更は買主、売主の抵当権の抹消は売主が負担する形が一般的とされています 買主が自分で司法書士を選びたいときは、決済日が決まる前に、不動産会社と金融機関へ早めに伝えて相談しましょう 不動産を売り買いするとき、「司法書士は誰が頼むものなのか」「不動産会社に紹介された人に決まっているのか」と迷う方は少なくありません。 ...

2026年10月16日 · ひぐらしさとし

中古住宅を買う前に登記簿でチェックする5項目──所有者・抵当権・差押え・仮登記・共有

この記事の要点 中古住宅を買う前は、土地と建物の登記簿(登記事項証明書)で5項目を確認する──①売主と所有者(登記名義人)は一致しているか ②抵当権が残っていないか ③差押え・仮差押えが入っていないか ④仮登記がないか ⑤共有になっていないか 登記された権利の内容と登記名義人は、不動産会社(宅地建物取引業者)の重要事項説明でも説明される事項です(宅地建物取引業法35条1項1号)。説明に代わるものではなく、説明とあわせて自分の目でも確かめるためのチェックです 登記事項証明書は1通600円、オンラインで請求すれば窓口受取490円・郵送520円(登記手数料令2条1項・3条1項) 気になる登記を見つけたら、それが何を意味するかを確かめ、決済(代金の支払いと引き渡し)までに抹消されるのか、どういう段取りなのかを契約前に確認します 中古住宅を買う前に、登記簿で確認しておきたいのは「所有者」「抵当権」「差押え」「仮登記」「共有」の5項目です。どれも登記事項証明書(いわゆる登記簿謄本)の甲区(こうく=所有権に関する欄)と乙区(おつく=所有権以外の権利に関する欄)を見れば分かります。 ...

2026年10月15日 · ひぐらしさとし

自分で申請していない登記が載っているのはなぜ?──裁判所や役所が法務局に頼む『嘱託登記』のしくみ

この記事の要点 登記は、当事者の「申請」のほか、裁判所や役所などの官庁・公署の「嘱託(しょくたく)」によってもされます(不動産登記法16条1項)。 差押えの登記は、差押えをした側(裁判所書記官や税務署長など)が嘱託します。差押えが取り下げられたり解除されたりしたときの抹消も、同じ側が嘱託するしくみです。 国や地方公共団体に土地を売るときの登記も、役所の側が売主の承諾を得て嘱託します(同法116条1項)。 登記簿を取ってみたら、自分が頼んだ覚えのない登記が載っていた──そうした登記には、「嘱託登記」によるものがあります。結論からいうと、登記は本人が法務局に申請するものばかりではなく、裁判所や役所が法務局に頼んでするものがあります。 ...

2026年10月14日 · ひぐらしさとし

家を買うときの登記費用の内訳──登録免許税の軽減・住宅用家屋証明書・実費と報酬の考え方

この記事の要点 家を買うときの登記費用は、大きく「登録免許税(国に納める税金)」「証明書の取得などの実費」「司法書士の報酬」の3つに分かれます 登録免許税は登記の種類ごとに別々にかかります。土地の名義変更・建物の名義の登記・住宅ローンの抵当権設定で、それぞれ税率が違います 自分が住む家で一定の要件を満たせば、建物と住宅ローンの登記の税率が軽くなる措置があり、その入場券が住宅用家屋証明書です。土地の売買にも別の軽減措置があります 軽減措置には適用期限があり、税制改正で変わることがあります。登記の時点の条文で確認するのが基本です 報酬は事務所ごとに決めるものなので、見積書で「何が含まれているか」を確かめましょう 家を買うときの登記費用は、「登記1件いくら」という決まった料金があるわけではありません。どんな登記をいくつするかによって積み上がる、足し算の費用です。 ...

2026年10月12日 · ひぐらしさとし

書面で登記を申請したら『受領証』はもらえる?──申請書を出した証拠を手元に残すしくみ

この記事の要点 書面で登記を申請した人は、登記が完了するまでの間、申請書と添付書面の「受領証」の交付を請求できる 受領証は、法務局が申請書類を受け付けたことを示すもので、登記が終わったことや、申請どおりに権利を取得したことを証明するものではない オンライン申請では受領証は交付されず、受付を含む処理状況は申請用総合ソフト上に掲示されると案内されている 登記の申請書を法務局に出すと、書類一式は法務局の手元に残ります。「出した証拠が何も残らないのでは」と心配になる方もいるかもしれません。結論から言えば、書面で申請した場合は、申請書と添付書面を受け付けたことの証明として「受領証」を請求できます。ただし、受領証が示すのは「受け付けた」ことまでで、「登記が終わった」ことではありません。 ...

2026年10月10日 · ひぐらしさとし