相続の初回相談、どれくらい時間を見ておけばいい?──当日の時間の使い方

この記事の要点 初回相談にどれくらい時間がかかるかは事務所や相談内容によって幅があり、共通の決まった時間はない 聞きたいことや持参できる書類を事前に整理しておくと、限られた時間を有効に使える 時間内に話が終わらなくても、その場で無理に結論を出す必要はなく、日をあらためて相談することもできる 「相続の相談に行きたいが、どれくらい時間を空けておけばいいか分からない」と、予約の前に迷う方は少なくありません。結論から言うと、初回相談にかかる時間は事務所や相談内容によって幅があり、決まった標準時間があるわけではありません。移動時間も含めて、その日の予定に余裕を持たせておくと安心です。 ...

2026年8月14日 · ひぐらしさとし

登録免許税はなぜ『固定資産税評価額』で計算されるの?──条文上の原則は『時価』という話

この記事の要点 登録免許税法10条1項は、課税標準を「登記の時における不動産等の価額」と定めており、この価額は一般に時価(その時点の客観的な価値)を指すと理解されている 附則7条の「当分の間」の特例により、実務では原則として固定資産課税台帳に登録された価格(固定資産税評価額)が用いられている 相続税評価額や実勢価格とは基準が異なるため、混同すると見積りや税額の見込みがずれる 相続登記や不動産の売買登記を依頼すると、司法書士から「固定資産税評価額を教えてください」と聞かれることがあります。実際に売買した金額(実勢価格)を伝えているのに、なぜ別の評価額を使うのか、疑問に思われる方は少なくありません。 ...

2026年8月14日 · ひぐらしさとし

法定相続情報一覧図の保管期間は5年──写しの再交付が無料でできる期限を確認する

この記事の要点 法定相続情報一覧図は、保管の申出をした日の翌年から起算して5年間、登記所(法務局)に保管される 保管期間内であれば、当初の申出書に申出人として名前を記載した人が、無料で写しの再交付を受けられる 5年を過ぎると再交付ができなくなるため、複数の手続きにまたがって使う予定がある案件ほど、期限を意識した管理が必要になる 法定相続情報一覧図は、戸籍の束を1枚にまとめて法務局の認証を受ける書類で、相続登記や預貯金の解約など複数の手続きに使い回せる点が便利です。ただしこの一覧図、登記所に「ずっと」保管されているわけではありません。保管期間には期限があります。 ...

2026年8月13日 · ひぐらしさとし

養子縁組があると戸籍はどう動く?──相続で実方の戸籍までさかのぼる理由

この記事の要点 養子縁組をすると、養子は原則として養親の戸籍に入り(戸籍法18条3項)、それまでいた実父母の戸籍からは除籍される 被相続人の戸籍を死亡から出生までさかのぼる作業で「養子」の記載に行き当たったら、その戸籍だけでは足りず、縁組前に在籍していた実方の戸籍も別途取得する必要がある 普通養子縁組は実方との親族関係が続くため実方の血族も相続人になりうるが、特別養子縁組では原則として実方との親族関係が終了し、相続人の範囲が変わる(連れ子を特別養子とした場合の例外あり) 結論から言うと、養子縁組があると戸籍は「乗り換え」が起きます。養子は養親の戸籍に入るのが原則で(戸籍法18条3項「養子は、養親の戸籍に入る。」)、氏も養親の氏を称します(民法810条本文)。戸籍は一人につき一つの籍に在籍する仕組みですから、養親の戸籍に入るということは、それまで在籍していた実父母の戸籍からは除籍される、ということでもあります。なお、これには例外があり、婚姻によって氏を改めた人は、婚姻の際に定めた氏を称すべき間は養親の氏を称しません(民法810条ただし書)。戸籍はもともと、同じ氏を称する夫婦とその子を単位として編製される仕組みですから、縁組をしても氏が変わらないのであれば、養親の戸籍に入ることにもなりません。たとえば妻の氏を称して婚姻した夫が妻の父母の養子となる、いわゆる婿養子の縁組では、夫婦の戸籍に在籍したままとなり、縁組の事実はその戸籍の身分事項欄に記載されるだけで、戸籍の「乗り換え」は起きません。 ...

2026年8月13日 · ひぐらしさとし

本人情報シートは誰が書く?──成年後見の申立てで使う診断書とのちがい

この記事の要点 「本人情報シート」を作成するのは、ケアマネジャー(介護支援専門員)や相談支援専門員など、本人を職務上の立場から支援している福祉関係者。「親族や本人が作成することは想定していません」と裁判所の手引に明記されている 「診断書(成年後見制度用)」を作成するのは医師。本人情報シートは、その医師が診断するときの「補助資料」という位置づけ 後見・保佐・補助のどの類型になるかを判断するのは家庭裁判所。後見・保佐では原則として鑑定が必要とされ、その要否を判断するのも家庭裁判所。補助は鑑定ではなく医師その他適当な者の意見を聴く仕組みで、いずれも書類を出す側が選べるものではない 成年後見の申立てを調べていくと、「診断書」と「本人情報シート」という2つの書類が出てきます。どちらも本人の状態を伝える書類なので混同されがちですが、書く人も、果たす役割も別の書類です。診断書は医師が書き、本人情報シートは本人を支えている福祉関係者が書きます。 ...

2026年8月12日 · ひぐらしさとし

簡易裁判所はどこに申し立てる?|被告の住所地・義務履行地で決まる土地管轄の基本

この記事の要点 「どこの裁判所に出すか」は土地管轄の問題で、「いくらまでが簡易裁判所の担当か」という事物管轄とは別の物差しです 訴えの原則は、被告(訴えられる側)の住所などで決まる普通裁判籍の所在地を管轄する裁判所です(民事訴訟法4条) 財産権上の訴えは義務履行地に、不動産に関する訴えは不動産の所在地にも起こせます(同5条1号・12号)。管轄を誤って出しても、原則は却下ではなく管轄裁判所への移送です(同16条1項) 訴えを起こすとき、書類をどこに出すかは、2つの物差しの組み合わせで決まります。1つは「どの種類の裁判所か」(事物管轄)、もう1つは「全国のどの地の裁判所か」(土地管轄)です。この記事で扱うのは後者の土地管轄です。 ...

2026年8月12日 · ひぐらしさとし

「対抗することができない」とは──「登記がないと主張できない」の意味を条文で読む【不動産登記の条文で解説】

この記事の要点 条文の「対抗することができない」は、「無効になる」という意味ではない 「当事者の間では有効だが、当事者以外の一定の人(第三者)に向かっては権利を主張できない」という意味 不動産について定める民法177条では、登記が「第三者に対抗する」ための条件(対抗要件)とされている 法律の条文には、「第三者に対抗することができない」という言い回しがくり返し出てきます。日常語の「対抗」は、張り合う・対決するといったイメージですが、法律の世界では意味が違います。結論から言うと、「対抗する」は「権利や出来事を、相手に向かって主張して認めさせる」という意味で、「対抗することができない」は「当事者の間では有効だが、当事者以外の人(第三者)には主張できない」ことを表します。これを「無効」と読み違えると、条文の意味を大きく取り違えてしまいます。 ...

2026年8月11日 · ひぐらしさとし

登記の『連件申請』とは?──同じ不動産で複数の登記を続けて出すしくみ

この記事の要点 連件申請とは、同じ不動産について二つ以上の登記を、前後の順番がわかるようにして同時に申請する扱いの実務上の呼び名 前の登記で名義人になる人が後の登記で権利を渡す側になるときは、後の登記に必要な登記識別情報を「提供されたものとみなす」定め(不動産登記規則67条)があり、前の登記の完了を待たずに申請できる 前の申請が取下げ・却下になると、後の申請もそのままでは登記できなくなるため、書類は最初に一度でそろえておく必要がある 不動産の売買や相続の手続きで、司法書士から「この登記とこの登記を連件(れんけん)で出します」と言われることがあります。結論から言えば、「連件申請」とは、同じ不動産について複数の登記の申請を、どちらが先でどちらが後かをはっきりさせたうえで同時に法務局へ出す扱いのことです。なお、これは実務で使われている呼び名で、不動産登記法・不動産登記令・不動産登記規則の条文に「連件」という言葉が出てくるわけではありません。 ...

2026年8月11日 · ひぐらしさとし

相続の初回相談では何を聞かれる?──聞き取りの一般的な流れ

この記事の要点 初回相談では、家族構成・これまでの経緯・分かっている財産の状況・困りごとや希望、といった項目を順に聞かれるのが一般的な流れ 答えられない項目があっても相談は成立する。「分からない」とそのまま伝えてよい 聞く順番や項目は事務所や相談内容によって多少異なる。ここで紹介するのはあくまで一般的な目安 「相談に行ったら、いきなり難しいことを聞かれるのではないか」——初めて相談する方の不安として、これはよくあるものです。結論から言うと、初回相談は事実を一つずつ確認しながら状況を把握していく聞き取りが中心で、事前に完璧な答えを用意しておく必要はありません。一般的な流れの目安を知っておくだけで、当日の身構えはかなり軽くなります。 ...

2026年8月10日 · ひぐらしさとし

相続で共有名義にした不動産の固定資産税、誰が払う?──連帯納税義務と『代表者』のしくみ

この記事の要点 共有名義の不動産の固定資産税は、持分の割合にかかわらず共有者全員が全額について連帯して納める義務を負う(地方税法10条の2) 納税義務者は毎年1月1日(賦課期日)時点の所有者(同法343条1項・2項、359条)。登記簿や課税台帳上の所有者が賦課期日より前に亡くなっているときは、相続登記が済んでいなくても、その日に不動産を現に所有している相続人が納税義務者とされる(同法343条2項後段) 実務上は共有者の中から「代表者」が定められ、その代表者あてに納税通知書がまとめて送られるが、代表者だけが法的な納税義務を負うわけではない 相続で不動産を兄弟姉妹などと共有名義にすると、「持分に応じて、それぞれ別々に納税通知書が届いて、自分の持分の分だけ払えばいい」と考えている方が少なくありません。しかし、固定資産税に関する限り、この理解は正確ではありません。 ...

2026年8月10日 · ひぐらしさとし