公正証書遺言があるか調べる──遺言検索システムの使い方と誰が照会できるか

この記事の要点 亡くなった方が公正証書遺言を作っていたかどうかは、全国どこの公証役場でも「遺言検索」で調べられます(平成元年以降に作成されたものが対象) 申し出られるのは相続人などの利害関係人だけ。遺言者が生きている間は、遺言者本人に限られます 遺言検索の申出は無料。除籍謄本など死亡の事実がわかる書類、相続人であることがわかる戸籍謄本、本人確認書類を用意します 見つかったら、保管している公証役場に遺言公正証書の謄本(写し)を請求します。謄本の請求は郵送でもできます 法務局に預けた自筆の遺言は別の仕組みで調べます。手続きの細かな点は、事前に公証役場へ確認しておくと安心です 親が亡くなり、「公証役場で遺言を作ったと聞いたことがあるけれど、どこにあるのかわからない」と困ってしまうことがあります。結論からいうと、公正証書遺言があるかどうかは、最寄りの公証役場で「遺言検索」を申し出れば調べられます。この記事では、日本公証人連合会の案内にそって、遺言検索の仕組み・照会できる人・必要書類・見つかった後の流れを整理します。 ...

2026年10月20日 · ひぐらしさとし

相続手続きの全体マップ──「何から始めるか」をこの1本から辿れる総目次

この記事の要点 相続の手続きは「亡くなった直後/相続人を確かめる/財産を調べる/分け方を決める/名義を変える/税金/もめたとき/生前対策」の8つの段階に分けると、いま自分がどこにいるかが見えやすくなる 期限のある手続きがあるので、最初に確かめたいのは「相続放棄をするかどうか(原則3か月)」と「相続登記(原則3年)」の2つ 下の段階別の目次から、いまの自分に当てはまる段階の記事を読んでください 税額の計算は税理士、相続人どうしで争いになっているときは弁護士が相談先です 相続の手続きで「何から始めればいいのか」と迷ったときは、まず自分がいまどの段階にいるかを決め、その段階の記事から読むのが近道です。この記事は、相続に関する解説記事をまとめて案内する総目次です。制度のしくみは個別の記事にゆずり、ここでは「どの段階で、どの記事を読めばよいか」だけを並べます。本記事は、執筆時点(2026年09月)の法令に基づく一般的な解説です。 ...

2026年9月28日 · ひぐらしさとし

墓じまいの手続き──「改葬許可」の流れと必要書類

この記事の要点 墓じまい(改葬)をするときは、「墓地、埋葬等に関する法律」に基づき、市区町村長の許可(改葬許可)を受ける行政手続きが必要です 許可の申請先は、これから移す先ではなく「現在お墓がある市区町村」です 必要書類は「受入証明書」「埋蔵(埋葬)証明書」「改葬許可申請書」が基本的な組み合わせです 詳しい様式や必要な部数は市区町村ごとに異なるため、着手前に窓口へ確認しておくと手戻りを防げます 「墓じまい」をするとき、お墓の引っ越し先を決めるだけでは手続きは終わりません。今のお墓に納められているご遺骨を別の場所(新しいお墓や納骨堂、樹木葬など)に移すには、「墓地、埋葬等に関する法律」(以下「墓埋法」)に基づいて、市区町村長の許可(改葬許可)を受ける必要があります。これは家族や寺院・霊園との話し合いだけで完結するものではなく、公的な許可を要する行政手続きです。 ...

2026年9月14日 · ひぐらしさとし

司法書士と税理士の役割分担──相続で「登記の人」と「税金の人」

この記事の要点 相続の手続きでは、不動産の名義変更(相続登記)は司法書士、相続税の申告・税額相談は税理士と、法律で担当する業務が分かれている 相続の場面で司法書士が案内できる税金は、登記を受けるためにかかる「登録免許税」に限られるという例外がある 相続税がかかるかどうか、いくらになるかという個別の税務相談・申告代理は税理士の業務であり、司法書士は扱えない どちらに相談すればよいか迷ったときは、まず窓口となった専門家に聞けば、必要に応じてもう一方につないでもらえる 相続の手続きを進めていると、「この件は司法書士と税理士のどちらに聞けばよいのか」と迷う場面が出てきます。結論から言うと、相続の場面では大きく分けて「登記の人(司法書士)」と「税金の人(税理士)」に役割が分かれており、それぞれが法律で担当できる業務の範囲を定められています。この記事では、その役割分担の考え方を整理します。 ...

2026年9月9日 · ひぐらしさとし

司法書士と行政書士はどう違う?──相続手続きで頼めることの線引き

この記事の要点 不動産の相続登記(名義変更)を代理できるのは司法書士のみで、行政書士が代理することはできません。 遺産分割協議書の作成自体は、司法書士・行政書士のどちらに依頼しても行えます。ただし、はじめから相続登記に用いる目的で作成する場合の扱いには、専門家の間で見解の分かれる部分があります。 自動車の名義変更や農地の届出など、行政書士が窓口となる相続関連の手続きもあります。 依頼したい内容に「登記を伴うかどうか」を軸に考えると、相談先を選びやすくなります。 相続の手続きは、司法書士と行政書士のどちらに相談すればよいか迷う場面が少なくありません。結論から言うと、不動産の相続登記を代理できるのは司法書士だけです。一方で、遺産分割協議書の作成のように、両方の資格者が対応できる手続きもあります。手続きの中身によって頼める窓口が変わるため、まずは違いを押さえておくと迷いにくくなります。 ...

2026年9月7日 · ひぐらしさとし

自動車の相続手続き――普通車と軽自動車で違う名義変更

この記事の要点 亡くなった方名義の自動車は、名義変更(移転登録)をしないと、廃車も売却もできません 普通車は運輸支局、軽自動車は軽自動車検査協会と、手続きの窓口が異なります 遺産分割協議書のほか、価額100万円以下の自動車には「遺産分割協議成立申立書」という簡易な書式が使えることがあります 名義変更をしないまま放置すると、自動車税・軽自動車税の納税通知が亡くなった方宛てに届き続けるなど、後々の負担が増えます 次の一歩は、車検証で「普通車か軽自動車か」を確認し、それぞれの窓口(運輸支局・軽自動車検査協会)または行政書士に相談することです 自動車も相続財産の一つです。不動産の相続登記や預貯金の解約と並んで、「乗るにしても、売るにしても、廃車にするにしても、まずは名義変更が必要」という点は見落とされがちです。この記事では、亡くなった方名義の自動車の名義変更について、普通車と軽自動車で何が違うのかを整理します。 ...

2026年8月19日 · ひぐらしさとし

葬祭費・埋葬料はもらい忘れやすい──健康保険の死亡後手続きと請求できる人

この記事の要点 葬儀のあとに受け取れる公的なお金には、国民健康保険・後期高齢者医療の葬祭費と、会社員などが加入する健康保険の埋葬料があります。名称も窓口も請求できる人も別々です。 葬祭費は市区町村、埋葬料は協会けんぽまたは健康保険組合が窓口で、いずれもこちらから申請しないと支給されません。 葬祭費は葬儀を行った人(喪主)が、埋葬料は亡くなった方に生計を維持されていて埋葬を行った人が請求できるとされ、対象者の決まり方が制度ごとに異なります(葬祭費は条例・規約、埋葬料は法律の条文で定められています)。 亡くなった方が健康保険の被扶養者(家族として扶養に入っていた方)だった場合は、被保険者に対して家族埋葬料が支給されます(健康保険法113条)。「本人が加入者ではなかったから何もない」と思い込みやすいところです。 これらの給付は相続財産そのものではなく、請求できる人が固有に受け取るお金という位置づけです。葬儀費用と相続財産の関係も、あわせて整理しておくと安心です。 本記事は執筆時点(2026年8月)の制度に基づく一般的な解説です。個別の請求書作成や金額計算は、各窓口にご確認ください。 ...

2026年8月17日 · ひぐらしさとし

未支給年金とは?亡くなった月の年金は誰が受け取れる――遺族の範囲と相続財産との違い

この記事の要点 亡くなった月分などまだ支払われていない年金は「未支給年金」として、一定範囲の遺族が請求できます(国民年金法19条1項、厚生年金保険法37条1項)。 未支給年金は遺産分割の対象になる相続財産ではなく、条文上「自己の名で」請求する、受け取る遺族固有の権利とされています。 亡くなった後は、市区町村への死亡届とあわせて年金の手続きが必要です。日本年金機構にマイナンバーが収録されている場合、年金側の死亡届(報告書)は原則として提出不要ですが、未支給年金の請求は別に必要です。請求書の書き方や必要書類など具体的な手続きは、年金事務所・街角の年金相談センターが窓口です。 年金を受け取っていた方が亡くなると、「亡くなった月の年金はどうなるのか」という疑問が必ず出てきます。結論から言うと、年金は後払いの仕組みのため、亡くなった時点でまだ振り込まれていない分がほとんどの場合残ります。これが未支給年金です。相続財産に含めて遺産分割で分けるものではなく、一定範囲の遺族が請求すれば受け取れるお金として、法律上別枠で扱われています。 ...

2026年8月14日 · ひぐらしさとし

亡くなった方の銀行口座を解約するには──凍結から相続手続き完了までの流れ

この記事の要点 銀行は名義人の死亡を知った時点で口座を凍結し、以後は相続人であっても自由に出金できなくなる 解約・払い戻しには戸籍一式や遺産分割協議書など複数の書類が必要で、金融機関への連絡から完了まで数週間から数か月かかることが多い 口座数が多い場合は法定相続情報証明制度を使うと、戸籍の束を出し直す手間を減らせる 銀行口座の名義人が亡くなると、口座は解約や払い戻しの手続きを経て初めて相続人が受け取れる状態になります。それまでの間、口座は「凍結」され、家族であっても自由に引き出すことはできません。ここでは、凍結が始まるタイミングから解約完了までの一般的な流れを整理します。 ...

2026年8月13日 · ひぐらしさとし

準確定申告とは──誰が、どこの税務署へ出すのか(亡くなった方の所得税・詳細は税理士へ)

この記事の要点 準確定申告とは、亡くなった方(被相続人)のその年の所得税について、相続人が代わりに行う確定申告のことです 申告する義務を負うのは相続人で、包括受遺者(遺言で遺産の全部または割合で財産を受け取る人)も同じ立場に立ちます 相続人が2人以上いるときは、付表を添えて全員が連署した1通を出すのが原則で、他の相続人の氏名を付記して各別に出すこともできます 提出先は「被相続人の死亡当時の納税地」を所轄する税務署です。相続人自身の住所地の税務署ではありません 相続放棄をした人は、民法939条により初めから相続人でなかったものとみなされるため、相続人としての申告義務を負いません 申告が必要かどうかの判断・税額の計算・申告書の作成は税理士の専門分野です。具体的な内容は税理士にご相談ください 結論から言うと、準確定申告で最初につまずきやすいのは「4か月」という期限そのものよりも、誰が申告する立場なのかとどこの税務署に出すのかという2点です。とくに提出先は、相続人が住んでいる場所の税務署ではなく、亡くなった方が亡くなった当時の納税地を所轄する税務署になります。ここを取り違えると、期限を意識していても手続きが空回りしてしまいます。 ...

2026年8月12日 · ひぐらしさとし