自動車の相続手続き――普通車と軽自動車で違う名義変更

この記事の要点 亡くなった方名義の自動車は、名義変更(移転登録)をしないと、廃車も売却もできません 普通車は運輸支局、軽自動車は軽自動車検査協会と、手続きの窓口が異なります 遺産分割協議書のほか、価額100万円以下の自動車には「遺産分割協議成立申立書」という簡易な書式が使えることがあります 名義変更をしないまま放置すると、自動車税・軽自動車税の納税通知が亡くなった方宛てに届き続けるなど、後々の負担が増えます 次の一歩は、車検証で「普通車か軽自動車か」を確認し、それぞれの窓口(運輸支局・軽自動車検査協会)または行政書士に相談することです 自動車も相続財産の一つです。不動産の相続登記や預貯金の解約と並んで、「乗るにしても、売るにしても、廃車にするにしても、まずは名義変更が必要」という点は見落とされがちです。この記事では、亡くなった方名義の自動車の名義変更について、普通車と軽自動車で何が違うのかを整理します。 ...

2026年8月19日 · ひぐらしさとし

葬祭費・埋葬料はもらい忘れやすい──健康保険の死亡後手続きと請求できる人

この記事の要点 葬儀のあとに受け取れる公的なお金には、国民健康保険・後期高齢者医療の葬祭費と、会社員などが加入する健康保険の埋葬料があります。名称も窓口も請求できる人も別々です。 葬祭費は市区町村、埋葬料は協会けんぽまたは健康保険組合が窓口で、いずれもこちらから申請しないと支給されません。 葬祭費は葬儀を行った人(喪主)が、埋葬料は亡くなった方に生計を維持されていて埋葬を行った人が請求できるとされ、対象者の決まり方が制度ごとに異なります(葬祭費は条例・規約、埋葬料は法律の条文で定められています)。 亡くなった方が健康保険の被扶養者(家族として扶養に入っていた方)だった場合は、被保険者に対して家族埋葬料が支給されます(健康保険法113条)。「本人が加入者ではなかったから何もない」と思い込みやすいところです。 これらの給付は相続財産そのものではなく、請求できる人が固有に受け取るお金という位置づけです。葬儀費用と相続財産の関係も、あわせて整理しておくと安心です。 本記事は執筆時点(2026年8月)の制度に基づく一般的な解説です。個別の請求書作成や金額計算は、各窓口にご確認ください。 ...

2026年8月17日 · ひぐらしさとし

未支給年金とは?亡くなった月の年金は誰が受け取れる――遺族の範囲と相続財産との違い

この記事の要点 亡くなった月分などまだ支払われていない年金は「未支給年金」として、一定範囲の遺族が請求できます(国民年金法19条1項、厚生年金保険法37条1項)。 未支給年金は遺産分割の対象になる相続財産ではなく、条文上「自己の名で」請求する、受け取る遺族固有の権利とされています。 亡くなった後は、市区町村への死亡届とあわせて年金の手続きが必要です。日本年金機構にマイナンバーが収録されている場合、年金側の死亡届(報告書)は原則として提出不要ですが、未支給年金の請求は別に必要です。請求書の書き方や必要書類など具体的な手続きは、年金事務所・街角の年金相談センターが窓口です。 年金を受け取っていた方が亡くなると、「亡くなった月の年金はどうなるのか」という疑問が必ず出てきます。結論から言うと、年金は後払いの仕組みのため、亡くなった時点でまだ振り込まれていない分がほとんどの場合残ります。これが未支給年金です。相続財産に含めて遺産分割で分けるものではなく、一定範囲の遺族が請求すれば受け取れるお金として、法律上別枠で扱われています。 ...

2026年8月14日 · ひぐらしさとし

亡くなった方の銀行口座を解約するには──凍結から相続手続き完了までの流れ

この記事の要点 銀行は名義人の死亡を知った時点で口座を凍結し、以後は相続人であっても自由に出金できなくなる 解約・払い戻しには戸籍一式や遺産分割協議書など複数の書類が必要で、金融機関への連絡から完了まで数週間から数か月かかることが多い 口座数が多い場合は法定相続情報証明制度を使うと、戸籍の束を出し直す手間を減らせる 銀行口座の名義人が亡くなると、口座は解約や払い戻しの手続きを経て初めて相続人が受け取れる状態になります。それまでの間、口座は「凍結」され、家族であっても自由に引き出すことはできません。ここでは、凍結が始まるタイミングから解約完了までの一般的な流れを整理します。 ...

2026年8月13日 · ひぐらしさとし

準確定申告とは──誰が、どこの税務署へ出すのか(亡くなった方の所得税・詳細は税理士へ)

この記事の要点 準確定申告とは、亡くなった方(被相続人)のその年の所得税について、相続人が代わりに行う確定申告のことです 申告する義務を負うのは相続人で、包括受遺者(遺言で遺産の全部または割合で財産を受け取る人)も同じ立場に立ちます 相続人が2人以上いるときは、付表を添えて全員が連署した1通を出すのが原則で、他の相続人の氏名を付記して各別に出すこともできます 提出先は「被相続人の死亡当時の納税地」を所轄する税務署です。相続人自身の住所地の税務署ではありません 相続放棄をした人は、民法939条により初めから相続人でなかったものとみなされるため、相続人としての申告義務を負いません 申告が必要かどうかの判断・税額の計算・申告書の作成は税理士の専門分野です。具体的な内容は税理士にご相談ください 結論から言うと、準確定申告で最初につまずきやすいのは「4か月」という期限そのものよりも、誰が申告する立場なのかとどこの税務署に出すのかという2点です。とくに提出先は、相続人が住んでいる場所の税務署ではなく、亡くなった方が亡くなった当時の納税地を所轄する税務署になります。ここを取り違えると、期限を意識していても手続きが空回りしてしまいます。 ...

2026年8月12日 · ひぐらしさとし

死亡後の手続きスケジュール全体像──7日・14日・3か月・4か月・10か月で何をすべきか

この記事の要点 死亡後の手続きには、7日・14日・3か月・4か月・10か月と、期限が段階的にやってきます 準確定申告・相続税申告は税理士、年金関係の届出は年金事務所・社会保険労務士が窓口で、相続登記(3年以内・義務化)は司法書士の業務範囲です 「未支給年金」「葬祭費」など請求しないと受け取れないお金は、ここで挙げる期限とは別枠で動いています 何から手をつければよいか迷ったら、まず全体の時系列をつかみ、期限が近いものから順に確認するのが次の一歩です 身内が亡くなると、悲しみに向き合う間もなく、さまざまな届出や手続きに追われることになります。しかも、それぞれに「いつまでに」という期限がついており、その長さはバラバラです。短いものは死亡から7日、長いものは10か月、不動産があればさらに3年という期限まで存在します。 ...

2026年8月2日 · ひぐらしさとし

未支給年金・葬祭費・埋葬料の請求期限──亡くなった後に請求できるお金には時効がある

この記事の要点 亡くなった方について請求できる公的なお金のうち、未支給年金は条文上の時効が五年、葬祭費・埋葬料は二年です(国民年金法102条1項、厚生年金保険法92条1項、健康保険法193条1項、国民健康保険法110条1項、高齢者の医療の確保に関する法律160条1項)。 これらは遺産分割の結論を待って動くものではありません。請求しないまま期間が過ぎれば、その請求権は時効によって消滅すると条文に定められています。 給付ごとに根拠となる法律も窓口も違います。年金は年金事務所、国民健康保険・後期高齢者医療の葬祭費は市区町村、健康保険の埋葬料は協会けんぽ・健康保険組合です。 本記事は執筆時点(2026年8月)の制度に基づく一般的な解説です。 ...

2026年8月1日 · ひぐらしさとし

改製原戸籍の読み方──「はらこせき」で手が止まったら見るポイント

この記事の要点 改製原戸籍は「戸籍事項欄 → 筆頭者・戸主 → 各人の身分事項欄」の順に見ると読みやすくなります。最初に見るのは名前ではなく日付です。 線が引かれて消してある記載こそ読んでください。 その線は「この人はこの戸籍から抜けました」という印で、消された内容自体は有効な情報です。 改製のときに新しい戸籍へ書き写されるのは、決められた事項だけです。すでに終わった婚姻・養子縁組などは書き写されません(戸籍法施行規則39条1項)。だから改製原戸籍を見ないと相続人が漏れます。 手数料の標準額は改製原戸籍謄本1通750円(実際の額は各市区町村の条例によります)。 読めない、つながっているか分からない、と感じたらお近くの司法書士にご相談ください。 この記事は「読み方」の話です 結論から書きます。改製原戸籍(かいせいげんこせき)は、上から順に読もうとすると必ず迷子になります。見る順序を決めて、日付から入るのが早道です。 ...

2026年7月30日 · ひぐらしさとし

遺産分割協議書と遺産分割協議証明書──1通に全員が押すか、1人1通ずつ出すか

この記事の要点 中身の合意は同じ。違いは「1通の紙に全員が署名押印する(協議書)」か、「相続人が1人1通ずつ同じ内容を証明する(協議証明書)」かという書面の作り方だけ 相続登記では、相続人全員分がそろえば、どちらの方式でも使えるのが実務の扱い 相続人が多い・遠方に散っている・郵送で持ち回ると何か月もかかる、というときは協議証明書が向いている ただし全員分そろわないと使えない点は両方式で同じ。1人でも欠ければ、その分け方どおりの登記も預貯金の解約もできない 相続の手続きを進めていると、「遺産分割協議書」という言葉と並んで、「遺産分割協議証明書」という書類が出てくることがあります。名前がよく似ていて、司法書士から「今回は協議証明書の形で作りましょう」と言われても、何がどう違うのか分かりにくいものです。 ...

2026年7月29日 · ひぐらしさとし

戸籍の広域交付とは──本籍地に行かずに最寄りの窓口で戸籍をまとめて集める

この記事の要点 令和6年3月1日から、本籍地でない市区町村の窓口でも戸籍証明書を請求できる「広域交付」が始まりました(戸籍法120条の2)。 請求できるのは本人・配偶者・直系尊属(父母、祖父母など)・直系卑属(子、孫など)に限られ、兄弟姉妹の戸籍は広域交付では請求できません。 郵送での請求も、代理人による請求もできません。 請求できる方ご本人が市区町村の戸籍担当窓口に出向き、顔写真付きの本人確認書類を示す必要があります。 コンピュータ化されていない一部の戸籍・除籍は広域交付では出てきません。 「これで全部そろう」とは限らない点が最大の注意点です。 司法書士などが職務上請求で戸籍を集める場面では、広域交付は使えません。ご自身で集める場合と専門家に依頼する場合とで、たどる道筋が違います。 本籍地に行かなくても、戸籍がまとめて取れるようになりました 結論から書きます。令和6年3月1日から、本籍地が遠方でも、お住まいや勤務先の最寄りの市区町村の窓口で、戸籍証明書をまとめて請求できるようになりました。これを「広域交付」と呼びます。根拠は戸籍法120条の2で、令和元年法律第17号による改正が同日に施行されたものです(法務省民事局「戸籍法の一部を改正する法律について(令和6年3月1日施行)」)。 ...

2026年7月28日 · ひぐらしさとし