『全財産を妻に』の遺言と二次相続──次の相続で誰が相続人になるか

この記事の要点 「全財産を妻に」という遺言は有効ですが、その財産は妻が亡くなったときの相続(二次相続)で、今度は妻の相続人へ引き継がれます 夫婦に子がいない場合、二次相続の相続人は妻の親、または妻の兄弟姉妹・甥姪になり、もともと夫の側にあった不動産がその系統へ移っていくことがあります 相続人の顔ぶれが変われば、遺産分割協議の相手も変わります。名義を放置すると数次相続になり、協議の相手はさらに増えます 相続登記は、自己のために相続の開始があったことを知り、かつ所有権を取得したことを知った日から3年以内に申請する義務があります(不動産登記法76条の2第1項) 二次相続まで見据えた選択肢には、予備的遺言、配偶者以外への配分、遺言の書き直しなどがあります。どれを選ぶかは家庭の事情によるため、お近くの司法書士にご相談ください 「財産は全部、妻に渡したい」。遺言のご相談で最もよく聞かれる希望のひとつです。 ...

2026年8月7日 · ひぐらしさとし

戸籍の附票の使いどころ──登記簿の住所がつながらないとき、行方のわからない相続人を探すとき

この記事の要点 戸籍の附票は「住所の履歴」を証明する書類で、市区町村をまたいだ転居も一枚で追えるのが強み 使いどころは大きく2つ。登記簿の住所と今の住所がつながらないときの住所変更登記と、行方のわからない相続人の住所をたどるとき 附票でも追えないときは、家庭裁判所の不在者財産管理人(民法25条)や失踪宣告(民法30条)が受け皿になる 戸籍の附票(こせきのふひょう)は、「住所の履歴をたどるための書類」です。使う場面はいろいろありますが、実際によく効くのは次の2つに絞られます。 ...

2026年7月29日 · ひぐらしさとし

再婚家庭の相続──前婚の子・連れ子・養子縁組で相続人の範囲はどう変わる?

この記事の要点 前婚の子(前の配偶者との間に生まれた子)は、同居の有無や交流の有無に関わらず、法律上当然に相続人になる 連れ子(再婚相手が前の関係で授かった子)は、養子縁組をしない限り、どれだけ長く同居していても相続人にはならない 養子縁組(普通養子縁組)をすると、連れ子は実子と同じ割合で相続人になる。ただし実親側の相続権も残る「二重の相続権」を持つ 前婚の子・現在の配偶者との間の子・養子縁組をした連れ子は、原則としてすべて頭割りで法定相続分を分け合う 相続人の範囲があいまいなまま放置せず、確定作業に不安があれば早めにお近くの司法書士にご相談ください 再婚をしている家庭の相続では、「誰が相続人になるのか」の見極めが、初婚同士の家庭よりも複雑になりがちです。結論から言うと、判断の基準は血のつながり、または法律上の親子関係の有無であり、一緒に暮らしていたかどうかではありません。この記事では、前婚の子・連れ子・養子縁組それぞれについて、相続人になるかどうかの制度上の違いを整理します。 ...

2026年7月22日 · ひぐらしさとし

甥・姪が相続人になったときの手続き──代襲相続で戸籍集めと遺産分割協議が大変な理由

この記事の要点 甥・姪が代襲相続人になると、被代襲者(先に亡くなった伯父・伯母の子である自分の親)の出生から死亡までの戸籍も必要になり、通常の相続より戸籍収集の通数が増えやすい 被相続人や他の相続人(いとこにあたる人など)と面識がないことが多く、連絡先の特定や協議への参加そのものにハードルがある 相続登記の申請義務は甥・姪にも及ぶ(3年以内・起算点は「自分が相続人として不動産を取得したことを知った日」) 相続財産に負債がある可能性が見える場合は、相続放棄の期限(3か月)にも注意が必要 手続きの負担が大きいと感じたら、早い段階でお近くの司法書士に相談するのが安全 「伯父(叔父)が亡くなったが、子どももおらず、両親もすでに他界していた。兄弟姉妹である自分の親(伯父の弟や妹)も先に亡くなっているため、自分(甥・姪)が代わりに相続人になった」──こうした連絡を受けて戸惑う方は少なくありません。 ...

2026年7月21日 · ひぐらしさとし

兄弟姉妹が相続人になるとき──戸籍集めが倍になる理由・遺留分がない話

この記事の要点 兄弟姉妹が相続人になるのは「子も親(祖父母等の直系尊属)もいない」場合に限られ、被相続人の父母の代から戸籍を集める必要があるため、戸籍集めの範囲が子や親が相続人の場合より大きく広がる 兄弟姉妹には遺留分(最低限保障された取り分)がないため、遺言があればその内容がそのまま実現しやすい 兄弟姉妹の代襲相続は甥・姪の代までで打ち切られ、それ以上は再代襲しない 亡くなった方に子も親(祖父母等の直系尊属)もいない場合、相続人になるのは兄弟姉妹です。この「家族構成が兄弟姉妹相続人になるケース」には、子や親が相続人になる場合とは異なる特有の注意点が2つあります。戸籍を集める範囲が大きく広がること、そして兄弟姉妹には遺留分がないことです。 ...

2026年7月20日 · ひぐらしさとし

孫に財産を渡す方法──贈与・遺贈・養子縁組の違いと注意点

この記事の要点 孫は、親(祖父母から見た子)が先に亡くなっている場合の代襲相続を除き、そもそも法定相続人ではない 孫に財産を渡す方法は主に「生前贈与」「遺言による遺贈」「養子縁組(相続人化)」の3つで、渡すタイミングや確実性、家族関係への影響がそれぞれ異なる とくに養子縁組は他の相続人の取り分にも影響する重い制度で、税務上も孫養子には固有の取り扱いがある 制度の違いはこの記事で押さえつつ、具体的な税額や「どれが得か」の判断は税理士に、手続きの進め方はお近くの司法書士にご相談ください 「かわいい孫に、生きているうちから何か残してやりたい」「子だけでなく孫にも財産を分けたい」。相続の相談では、こうした声をよく耳にします。ただ、孫は多くの場合、法律上の相続人ではありません。子が健在であれば、祖父母の相続が発生しても、孫は自動的には財産を受け取れないのです。 ...

2026年7月19日 · ひぐらしさとし

相続人の一人が行方不明──遺産分割はどう進める?|不在者財産管理人と失踪宣告の使い分け

「父が亡くなったが、相続人の一人である弟が何十年も音信不通で、どこにいるかわからない」——このようなとき、行方不明の相続人を外して勝手に遺産分割を進めることはできません。とれる道は大きく2つで、生存はしていそうだが連絡がつかない場合は「不在者財産管理人」、**生死が長い間まったくわからない場合は「失踪宣告」**を、家庭裁判所への申立てによって使い分けます。 ...

2026年7月2日 · ひぐらしさとし

生前にもらった人がいる相続──特別受益と「持戻し」のきほん

この記事の要点 特別受益は、生前贈与や遺贈を「相続分の前渡し」とみなし、遺産に足し戻して計算する調整のしくみ(民法903条) 婚姻20年以上の配偶者への自宅の贈与は、持戻し免除の意思があったと推定される(民法903条4項) 何が特別受益にあたるかは総合判断でケースにより結論が分かれるため、判断に迷うときは早めに専門家へ 「兄は家を建てるとき、親からまとまったお金を出してもらっていた」「妹だけ結婚のときに援助を受けていた」——いざ相続が始まると、こうした生前の贈与をめぐって、きょうだいの間で「不公平ではないか」という思いが表に出てくることがあります。 ...

2026年6月14日 · ひぐらしさとし

法定相続分とは?──配偶者・子・親・兄弟姉妹、それぞれの取り分をやさしく整理

この記事の要点 法定相続分は「遺言も話し合いもないとき」の目安であり、遺言や遺産分割協議があればそちらが優先される 配偶者は常に相続人になり、取り分は一緒に相続する相手が子・親・兄弟姉妹のどれかで1/2・2/3・3/4と変わる 兄弟姉妹が相続人になる場合、半血(父母の一方のみ共通)の兄弟姉妹の取り分は全血の半分になる 「法定相続分」という言葉を聞いたことはあっても、自分の場合はどれくらいの割合になるのか、正確にわかる方は意外と多くありません。配偶者と子がいる場合、配偶者と親の場合、配偶者と兄弟姉妹の場合では、それぞれ割合が変わります。 ...

2026年6月5日 · ひぐらしさとし

代襲相続──親より先に亡くなった子の権利は誰が引き継ぐのか

この記事の要点 代襲相続が起こる原因は「死亡・相続欠格・相続廃除」の3つだけで、相続放棄は含まれない 子の系統(直系卑属)は孫・ひ孫と再代襲が続くが、兄弟姉妹の系統は甥・姪までの一代限り 代襲相続人にも相続登記の申請義務があり、起算点は「自分が代襲相続人として不動産を取得したと知った日」 「父より先に兄が亡くなっていた。兄の子(つまり私の甥)は、父の遺産を相続できるのか?」「兄弟姉妹だけが相続人だったが、その兄弟姉妹も先に亡くなっていた。甥や姪は相続できる?その子(甥の子)は?」 ...

2026年5月27日 · ひぐらしさとし