夫婦で家を買うときの持分の決め方──資金の割合と登記の持分が違うと贈与として扱われ得る話(税額は税理士へ)

この記事の要点 夫婦の共有名義で家を買うときは、登記簿に「夫○分の○・妻○分の○」という持分の割合が必ず記録されます。この割合は、夫婦それぞれが購入資金をいくら負担したかに合わせて決めるのが基本です 資金の負担割合と登記の持分が食い違うと、差額の分について夫婦の間で贈与があったものとして扱われ得ます。「夫婦だから半分ずつ」は、負担の実態と合っていなければ注意が必要です 持分は登記を申請する時点で決めて書き込みます。あとから直すには別の登記(当初から誤っていた場合の更正の登記など)が必要で、手間も費用もかかります 贈与税の配偶者控除などの特例もありますが、使えるかどうか・税額・申告が要るかどうかの判断は税理士にご相談ください 持分の割合を決める前に、誰がいくら出すのかを書き出しておきましょう。登記の進め方は、お近くの司法書士にご相談ください 夫婦で家を買うとき、「名義は2人で半分ずつにしておけば公平だろう」と考える方は少なくありません。結論から言うと、共有名義の持分(その不動産に対してそれぞれが持つ権利の割合)は、夫婦それぞれが実際に負担した購入資金の割合に合わせて決めるのが基本です。夫婦であっても、資金の負担と持分がずれていると、そのずれた分について贈与があったものとして扱われ得るからです。 ...

2026年10月18日 · ひぐらしさとし

自己破産すると持ち家はどうなる──登記簿から見た破産手続きの流れ

この記事の要点 自己破産をしても、持ち家の名義はすぐには変わらない。所有権移転登記が入るのは、破産管財人による任意売却または競売が実際に成立した時点 財産がほとんどない「同時廃止」では破産管財人が選任されず、不動産を売却する手続き自体が生じないことが多い(管財事件になるかどうかは個別事情による) 住宅ローンの残高が不動産の評価額を上回る「オーバーローン」の場合、破産財団としての価値がないと判断され、破産管財人の手を離れて抵当権者による競売に委ねられることがある 破産法258条1項2号にもとづき、裁判所書記官が破産財団に属する不動産の登記があることを知ったときは「破産手続開始」の登記が嘱託されるが、これは所有権移転そのものではなく処分に注意を促す公示にとどまる 破産手続の代理は弁護士の業務であり、司法書士が関われるのは裁判所提出書類の作成援助まで 自己破産をすると、持ち家は必ずすぐに人手に渡ってしまう──そう思われがちですが、結論から言うと、破産手続開始の決定が出た時点で登記簿の名義がただちに書き換わるわけではありません。破産手続開始の決定によって生じるのは、破産者の財産を管理し処分する権限が破産管財人の手に移ることであって、所有権そのものが破産管財人や債権者に移るわけではないからです。名義(所有権)が移転する登記が入るのは、破産管財人による任意売却、または競売によって、その不動産が実際に買主・買受人へ売却された段階です。この記事では、自己破産の手続きが登記簿の上でどのように現れるのかを、一般的な流れとして整理します。 ...

2026年9月8日 · ひぐらしさとし

住宅ローンを滞納するとどうなる──競売までの時系列と任意売却の入口

この記事の要点 滞納から競売までは、督促・催告 → 期限の利益の喪失 → 保証会社の代位弁済 → 一括請求 → 競売の申立て、という順で段階を踏んで進むのが一般的です 競売の開始決定が出ると、登記簿の甲区(所有権の欄)に「差押」が入り、乙区の抵当権は代位弁済をした保証会社へ移ります。登記簿を見れば手続がどこまで進んだかが分かります 任意売却は競売より高く売れる可能性がある一方、債権者の同意が必要で、売っても残った借金(残債)が消えるわけではありません 返済の交渉や債務整理は弁護士、抵当権抹消や名義の登記は司法書士と、相談先が分かれます 住宅ローンを滞納すると、ある日突然家を失うわけではありません。滞納から競売による明渡しまでには、督促・催告、期限の利益の喪失、保証会社の代位弁済、一括請求、競売の申立て、差押えの登記、期間入札、売却許可、代金納付、明渡しという段階があり、それぞれに数週間から数か月の時間がかかります。そして、その進み具合の多くは登記簿(登記事項証明書)に記録されます。 ...

2026年9月3日 · ひぐらしさとし

連帯保証人・連帯債務者から外れたい──離婚時にできること・できないこと

この記事の要点 離婚は夫婦間の話し合いにすぎず、金融機関との契約(連帯保証・連帯債務)を当然に変更する効力はない 連帯保証人と連帯債務者は法的な立場が異なるが、「離婚後も原則そのまま残る」という点は共通している 地位を外れるには、一般的に金融機関の承諾を得た契約変更・借り換え・代わりの保証人を立てる、といった手続きが必要になる(ローンが完済されれば、その時点で義務はなくなる) 放置すると、相手の返済が滞った場合に自分へ請求が及ぶリスクが残る 話し合いが難航する場合は弁護士、契約内容の確認や書類の整理は司法書士が窓口になる 離婚しても、住宅ローンの連帯保証人・連帯債務者という立場は、当然には外れません。これが最初に押さえておきたい結論です。離婚届を出しても、財産分与の話し合いがまとまっても、金融機関との契約はそのまま残ります。外れるためには、これから説明する一定の手続きが別途必要です。 ...

2026年9月2日 · ひぐらしさとし

離婚後もローンが残る家に住み続けたい──名義と返済のねじれ問題

この記事の要点 夫(またはどちらか一方)の名義・その人がローンを返済している家に、離婚後は住まない側ではなく住み続ける側(多くは子と暮らす親)だけが住む、という「名義・返済者」と「居住者」がずれた状態が起こりうる このねじれは自然には解消されない。ローンの契約者変更には金融機関の審査・承諾が必要であり、名義変更(登記)のほうは、手続き自体は成り立つものの、住宅ローン契約上は金融機関の承諾を要するとされているのが一般的である 当事者だけで名義やローンの扱いを勝手に動かすと、住宅ローン契約の条項(期限の利益喪失条項など)に触れる可能性がある 前回はペアローンで購入した家を離婚時にどう整理するかを扱った。今回は「名義もローンも一方だけ」という、より単純に見えて実は動かしにくいケースを整理する 離婚にあたって、家を出る側が「ローンは自分名義のまま、家には元配偶者と子どもだけが住み続ける」という形で話がまとまることがあります。売却も名義変更もせず、とりあえず今のまま住まわせる、という選択です。一見シンプルに見えますが、名義・ローン・居住者の3つがバラバラになったこの状態は、時間が経つほど整理が難しくなりやすい構造を持っています。 ...

2026年9月1日 · ひぐらしさとし

ペアローンと離婚──家とローンをどう整理するか、よくある3パターン

この記事の要点 ペアローンの家は夫婦それぞれが別々の住宅ローン契約者になっているため、離婚時は「名義」だけでなく「ローン」も一緒に整理する必要がある 選択肢は大きく分けて①売却して清算②どちらかが住み続ける③共有のまま継続の3パターン 名義やローンを動かす方法は、金融機関の審査や同意が前提になるため、実際に選べるかどうかは個別の事情による 名義変更の登記手続きそのものは別記事で解説している 夫婦でペアローンを組んで購入した自宅は、離婚が決まっても「じゃあどちらかが住んで、名義もそちらに変えればいい」と単純には進みません。ペアローンは夫婦それぞれが別々に住宅ローンを契約している状態のため、家の名義(財産分与)だけでなく、ローンそのものの整理まで考える必要があるからです。 ...

2026年8月31日 · ひぐらしさとし

親子間売買はなぜ住宅ローンが通りにくい?──売買・贈与・相続の分かれ道

この記事の要点 親子間の不動産売買は、金融機関の住宅ローン審査で慎重に扱われる傾向があるとされている 売買・贈与・相続は、登記の原因も必要書類も登録免許税の税率もそれぞれ異なる 時価に比べて著しく低い価格での売買は、その差額部分が「贈与」とみなされる可能性があるため、価格の決め方には注意が必要 税額の計算や個別の判断は税理士へ相談するのが基本 親から子へ、あるいは子から親へ不動産を譲るとき、「売買にするか、贈与にするか、それとも将来の相続まで待つか」で迷う方は少なくありません。とくに売買を選んだ場合、「住宅ローンを組もうとしたら金融機関から難色を示された」という声を聞くことがあります。この記事では、親子間売買で住宅ローンが通りにくいと言われる一般的な背景と、売買・贈与・相続で登記や税金の扱いがどう変わるのかを整理します。 ...

2026年8月29日 · ひぐらしさとし

団信で住宅ローンが完済されたあとの手続き──遺族がする抵当権抹消登記

この記事の要点 団信(団体信用生命保険)でローンが完済されても、登記簿に記録された抵当権は自動では消えない。抹消登記の申請が別に必要 保険金の請求手続きは保険会社および金融機関の手続きであり、司法書士が関与するのは完済後の抵当権抹消登記に限られる 抹消登記に必要な書類は金融機関から届く。届くまでの期間は金融機関・保険会社や事案によって異なり、一律の目安はない 不動産の名義人が亡くなっている場合、抹消登記は相続人が申請人になる 手続きの進め方・必要書類は金融機関や保険会社によって異なるため、まずは借入先の金融機関に確認を 住宅ローンを組んでいた家族が亡くなり、「団信で完済されたので、もう何もしなくていい」と聞いた──。そう思って安心してしまう方は少なくありません。 ...

2026年8月7日 · ひぐらしさとし

抵当権付きの不動産を相続したとき──団信で完済されない場合の「債務者変更登記」

この記事の要点 住宅ローンに団体信用生命保険(団信)が付いていれば、契約者が亡くなると保険金で完済され、抵当権の抹消登記だけで済む 団信に未加入だったり、事業性ローンなど団信の対象外の借入れが残っていたりすると、ローン(債務)は相続人に引き継がれ、抵当権もそのまま残る この場合、金融機関との調整を経て、抵当権の登記事項である「債務者」を書き換える変更登記が必要になる 親が亡くなり、実家の不動産を相続することになった。登記簿を確認したら、住宅ローンの「抵当権」がまだ残っていた──。こうしたとき、多くの方がまず思い浮かべるのは「団信で完済されているはず」という期待です。しかし、団信に入っていなかったり、事業用の借入れだったりすると、話が変わってきます。 ...

2026年7月9日 · ひぐらしさとし

抵当権は「先に登記した者勝ち」?──複数の抵当権の順位と順位変更登記

結論から言うと、同じ不動産に複数の抵当権が設定されている場合、優先順位は「登記をした順番」で決まります。あとから登記した抵当権者は、先に登記した抵当権者よりも後回しになるのが原則です。ただし、抵当権者どうしが合意すれば、この順位を入れ替える「順位変更登記」という手続きがあります。主なポイントは次のとおりです。 ...

2026年7月5日 · ひぐらしさとし