問題:
不動産の表示に関する登記の登記事項に関する次のアからオまでの記述のうち、正しいものはいくつあるか。
ア. 登記原因及びその日付並びに登記の年月日は、不動産の表示に関する登記に共通する登記事項である。
イ. 建物の所在する市、区、郡、町、村、字及び土地の地番は、建物の表示に関する登記の登記事項である。
ウ. 附属建物があるときは、その所在する市、区、郡、町、村、字及び土地の地番並びに種類、構造及び床面積は、建物の表示に関する登記の登記事項である。
エ. 建物に名称が付されているかどうかにかかわらず、建物の名称は、常に建物の表示に関する登記の登記事項となる。
オ. 所有権の登記がない不動産についてする表示に関する登記の登記事項には、当該不動産の所有者の氏名又は名称及び住所が含まれる。
答え:
正しいものは、ア・イ・ウ・オの4つである。
解説:
アは正しい。不動産の表示に関する登記の登記事項は、登記原因及びその日付(不動産登記法27条1号)、登記の年月日(同条2号)等とされている。これらは土地・建物を問わず表示に関する登記に共通する登記事項である。
イは正しい。建物の表示に関する登記の登記事項は不動産登記法44条1項に列挙されており、建物の所在する市、区、郡、町、村、字及び土地の地番(地番を有しない土地にあっては、その所在地)は、その1号に掲げられている(不動産登記法44条1項1号)。
ウは正しい。附属建物があるときは、その所在する市、区、郡、町、村、字及び土地の地番並びに種類、構造及び床面積が、建物の表示に関する登記の登記事項となる(不動産登記法44条1項5号)。主である建物だけでなく、附属建物についても所在・構造等が公示される。
エは誤りである。建物の名称は、「建物の名称があるときは、その名称」が登記事項とされているのであって(不動産登記法44条1項4号)、建物に名称が付されていない場合にまで登記事項として存在するわけではない。「名称が付されているかどうかにかかわらず、常に登記事項となる」とする点が誤りである。
オは正しい。所有権の登記がない不動産についてする表示に関する登記の登記事項には、当該不動産の所有者の氏名又は名称及び住所(当該所有者が二人以上であるときは、各所有者の持分を含む。)が含まれる(不動産登記法27条3号)。表題部所有者に関する情報は、権利に関する登記ではなく、表示に関する登記の登記事項として公示される点に注意を要する。
以上より、正しいものはア・イ・ウ・オの4つである。土地・建物に共通する登記事項(27条)と、建物に固有の登記事項(44条1項)とを区別して整理しておくことが、この分野の理解の基礎になる。
問題:
土地家屋調査士の登録の取消しに関する次のアからオまでの記述のうち、正しいものはいくつあるか。
ア. 調査士会連合会は、調査士がその業務を廃止したときは、その登録を取り消さなければならない。
イ. 調査士会連合会は、調査士が引き続き二年以上その業務を行わないときは、その登録を取り消さなければならない。
ウ. 調査士が死亡したときは、本人又はその法定代理人若しくは相続人は、遅滞なく、その旨を、調査士会を経由して、調査士会連合会に届け出なければならない。
エ. 調査士会連合会は、調査士が心身の故障により業務を行うことができないときは、登録審査会の議決を経ることなく、その登録を取り消すことができる。
オ. 調査士会連合会は、調査士が第五条各号(第二号を除く。)のいずれかに該当するに至ったときは、その登録を取り消さなければならない。
答え:
正しいものは、ア・ウ・オの3つである。
解説:
土地家屋調査士法は、登録の取消しについて、連合会が取り消さなければならない「必要的取消し」(15条)と、連合会が取り消すことができる「裁量的取消し」(16条)とを区別して規定している。
アは正しい。調査士会連合会は、調査士が①その業務を廃止したとき、②死亡したとき、③調査士となる資格を有しないことが判明したとき、④第5条各号(未成年者であることを定める第2号を除く。)のいずれかに該当するに至ったとき、のいずれかに該当する場合には、その登録を取り消さなければならない(土地家屋調査士法15条1項)。業務の廃止(同項1号)は必要的取消し事由である。
イは誤りである。調査士が引き続き二年以上その業務を行わないとき、又は心身の故障により業務を行うことができないときは、調査士会連合会は、その登録を「取り消すことができる」のであって(土地家屋調査士法16条1項)、必要的取消し(「取り消さなければならない」)ではなく裁量的取消しにとどまる。「取り消さなければならない」とする点が誤りである。
ウは正しい。調査士が15条1項各号のいずれかに該当することとなったときは、当該調査士本人又はその法定代理人若しくは相続人は、遅滞なく、その旨を、当該調査士が所属し、又は所属していた調査士会を経由して、調査士会連合会に届け出なければならない(土地家屋調査士法15条2項)。死亡の場合には相続人が届出義務を負う。
エは誤りである。16条1項の規定による登録の取消し(引き続き二年以上業務を行わないとき、又は心身の故障により業務を行うことができないとき)をしようとするときは、10条1項後段の規定(登録審査会の議決に基づいてしなければならない旨)が準用される(土地家屋調査士法16条4項)。心身の故障による裁量的取消しも登録審査会の議決を要するのであって、「議決を経ることなく」取り消すことができるとする点が誤りである。
オは正しい。調査士が第5条各号(未成年者であることを定める第2号を除く。)のいずれかに該当するに至ったときは、調査士会連合会は、その登録を取り消さなければならない(土地家屋調査士法15条1項4号)。登録後に拘禁刑以上の刑に処せられる等、欠格事由に該当する事態が生じた場合の取消しである。
以上より、正しいものはア・ウ・オの3つである。必要的取消し(15条)と裁量的取消し(16条)とで、議決の要否・届出義務の有無が異なる点を対比して押さえておく必要がある。
問題:
隣地の竹木の枝の切除及び根の切取りに関する次のアからオまでの記述のうち、誤っているものはいくつあるか。
ア. 土地の所有者は、隣地の竹木の枝が境界線を越えるときは、その竹木の所有者に、その枝を切除させることができる。
イ. 隣地の竹木の枝が境界線を越える場合において、当該竹木が数人の共有に属するときは、各共有者は、その枝を切り取ることができる。
ウ. 土地の所有者が竹木の所有者に対し枝を切除するよう催告したにもかかわらず、竹木の所有者が相当の期間内に切除しないときであっても、土地の所有者は、竹木の所有者の承諾を得なければ、自らその枝を切り取ることはできない。
エ. 急迫の事情があるときであっても、土地の所有者は、あらかじめ竹木の所有者に対しその枝を切除するよう催告しなければ、自らその枝を切り取ることはできない。
オ. 隣地の竹木の根が境界線を越えるときは、土地の所有者は、竹木の所有者の承諾を得ることなく、自らその根を切り取ることができる。
答え:
誤っているものは、ウ・エの2つである。
解説:
民法233条は、令和3年法律第24号による相隣関係規定の見直しにより、令和5年4月1日から現在の内容に改正されている。
アは正しい。土地の所有者は、隣地の竹木の枝が境界線を越えるときは、その竹木の所有者に、その枝を切除させることができる(民法233条1項)。枝の切除は、原則として竹木の所有者自身にさせるという建前が維持されている。
イは正しい。前項の場合において、竹木が数人の共有に属するときは、各共有者は、その枝を切り取ることができる(民法233条2項)。共有者の一人が単独で枝を切り取ることができる旨を明文化したものであり、共有物の変更・管理に関する原則(民法251条・252条)の特則にあたる。
ウは誤りである。土地の所有者は、次に掲げるときは、自らその枝を切り取ることができる。①竹木の所有者に枝を切除するよう催告したにもかかわらず、竹木の所有者が相当の期間内に切除しないとき(民法233条3項1号)、②竹木の所有者を知ることができず、又はその所在を知ることができないとき(同項2号)、③急迫の事情があるとき(同項3号)。ウの事例は①(催告後の不履行)に該当し、この場合には竹木の所有者の承諾を得ることなく、土地の所有者が自ら枝を切り取ることができる。「承諾を得なければ切り取ることができない」とする点が誤りである。
エは誤りである。前記のとおり、急迫の事情があるときは、それ自体で独立した自力切除の事由(民法233条3項3号)とされており、あらかじめ催告することは要件とされていない。催告を要するのは同項1号の場合であって、急迫の事情がある場合にまで催告を前置させると、急迫の事情に対応する趣旨が没却される。「あらかじめ催告しなければ切り取ることができない」とする点が誤りである。
オは正しい。隣地の竹木の根が境界線を越えるときは、その根を切り取ることができる(民法233条4項)。枝とは異なり、根については、境界線を越えている限り、竹木の所有者の承諾はもとより、催告等の手続を経ることなく、土地の所有者が当然に自ら切り取ることができる。枝(原則として竹木の所有者が切除し、一定の場合に限り自力切除が認められる)と根(常に自ら切り取ることができる)とで規律が非対称になっている点が、この分野の理解の分かれ目になる。
以上より、誤っているものはウ・エの2つである。
問題:
三角形の土地ABCについて、辺AB=52.000m、辺AC=68.000m、その挟む角∠A=30°00′00″であるとき、二辺夾角法(二辺の長さとその挟角から面積を求める方法)によりこの土地の面積(三角形ABCの面積)を求めた場合、その値として最も近いものはどれか。
ア. 442.00 ㎡
イ. 884.00 ㎡
ウ. 1531.00 ㎡
エ. 1768.00 ㎡
オ. 3536.00 ㎡
答え:
イ(884.00 ㎡)
解説:
三角形の二辺の長さ $a,\ b$ とその挟角 $\theta$ が判明しているときは、次の公式(二辺夾角法)により面積を求めることができる。
$$ S = \frac{1}{2}, a, b, \sin\theta $$
本問では $a=$ 辺AB $=52.000$ m、$b=$ 辺AC $=68.000$ m、$\theta = \angle A = 30^{\circ}$ であるから、$\sin 30^{\circ} = 0.500000$ を用いて計算する。
$$ S = \frac{1}{2} \times 52.000 \times 68.000 \times 0.500000 = \frac{1}{2} \times 3536.000 \times 0.500000 = 884.00\ \text{㎡} $$
したがって面積は884.00㎡であり、正解はイである。
エの1768.00㎡は、$\dfrac{1}{2}$ を乗じるのを忘れ、$a\times b\times\sin\theta$($52.000\times68.000\times0.500000$)をそのまま面積としてしまった誤りである。二辺夾角法では、三角形の面積が平行四辺形($ab\sin\theta$)のちょうど半分にあたることを踏まえ、必ず2で除する必要がある。
ウの1531.00㎡は、挟角の正弦($\sin30^{\circ}=0.500000$)ではなく余弦($\cos30^{\circ}=0.866025$)を用いて計算してしまった誤りである($0.5\times52.000\times68.000\times0.866025\approx1531.13$)。二辺夾角法は正弦を用いる公式であり、余弦を用いるのは別の場面(余弦定理による第三辺の長さの計算等)であるから、両者を混同しないよう注意を要する。
オの3536.00㎡は、$\sin\theta$ を乗じることを忘れ、かつ $\dfrac{1}{2}$ も乗じずに、単に二辺の長さの積($52.000\times68.000$)をそのまま面積としてしまった誤りである。
アの442.00㎡は、正しい面積884.00㎡をさらに2で除してしまった誤りである。三斜法(第85回で確認済み)と同様、二辺夾角法でも「どの段階で $\dfrac{1}{2}$ を乗じるか」を一度だけ正確に行う必要があり、重複して2で除すと本来の半分の値になってしまう。
三辺の長さのみが判明している場合にはヘロンの公式(第82回)、座標が判明している場合には座標法(第83回)、対角線とそれぞれの垂線の長さが判明している場合には三斜法(第85回)が用いられるのに対し、本問のように二辺の長さとその挟角が測定されている場合には二辺夾角法が有効な手段となる。土地家屋調査士試験では関数電卓(プログラム機能のないもの・2台まで)の持込みが認められており、sin・cosの各キーを用いて正確に計算できるが、挟角に対して正しく正弦を適用しているかを図に描いて確認する習慣をつけておきたい。
問題:
建物図面に関する次のアからオまでの記述のうち、正しいものはいくつあるか。
ア. 建物図面は、建物の敷地並びにその一階(区分建物にあっては、その地上の最低階)の位置及び形状を明確にするものでなければならない。
イ. 建物図面には、方位、縮尺、敷地の地番及びその形状並びに隣接地の地番を記録しなければならない。
ウ. 建物に附属建物があるときは、建物図面には、主である建物又は附属建物の別及び附属建物の符号を記録しなければならない。
エ. 建物図面は、二百五十分の一の縮尺により作成しなければならないが、建物の状況その他の事情により当該縮尺によることが適当でないときは、この限りでない。
オ. 建物図面は、いかなる場合であっても、五百分の一の縮尺により作成しなければならず、これと異なる縮尺による作成は認められていない。
答え:
正しいものは、ア・イ・ウの3つである。
解説:
アは正しい。建物図面は、建物の敷地並びにその一階(区分建物にあっては、その地上の最低階)の位置及び形状を明確にするものでなければならない(不動産登記規則82条1項)。地積測量図が「土地の筆界」を明確にするものであるのに対し、建物図面は「建物の敷地上の位置」を明確にするものである点に着目しておきたい。
イは正しい。建物図面には、方位、縮尺、敷地の地番及びその形状、隣接地の地番並びに附属建物があるときは主である建物又は附属建物の別及び附属建物の符号を記録しなければならない(不動産登記規則82条2項)。
ウは正しい。前記のとおり、附属建物があるときは、主である建物又は附属建物の別及び附属建物の符号も、建物図面の記録事項である(不動産登記規則82条2項)。
エは誤りである。建物図面は「五百分の一」の縮尺により作成しなければならない。ただし、建物の状況その他の事情により当該縮尺によることが適当でないときは、この限りでない(不動産登記規則82条3項)。「二百五十分の一」は、地積測量図(不動産登記規則77条4項)及び各階平面図(同規則83条2項)の原則的な縮尺であって、建物図面の縮尺ではない。地積測量図・各階平面図(250分の1)と建物図面(500分の1)の縮尺は取り違えやすいので、対比して覚えておく必要がある。
オは誤りである。前記のとおり、建物図面の縮尺は五百分の一が原則であるが、建物の状況その他の事情により当該縮尺によることが適当でないときは、この限りでないとされており(不動産登記規則82条3項ただし書)、例外が明文で認められている。「いかなる場合であっても」「これと異なる縮尺による作成は認められていない」とする点が誤りである。
以上より、正しいものはア・イ・ウの3つである。建物図面(500分の1)・地積測量図(250分の1)・各階平面図(250分の1)という三種類の図面の縮尺と、それぞれの例外規定(いずれも「事情により適当でないときは、この限りでない」とされる点)をセットで整理しておきたい。
出題分野の振り分け
| 問 | 分野 | 主な論点 | 根拠条文 |
|---|---|---|---|
| 第1問 | 不動産登記法(表示) | 表示に関する登記の共通登記事項・建物の登記事項 | 不動産登記法27条1号〜3号、44条1項1号・4号・5号 |
| 第2問 | 土地家屋調査士法 | 登録の取消し(必要的取消しと裁量的取消しの区別・議決の要否・届出義務) | 土地家屋調査士法15条1項・2項、16条1項・4項 |
| 第3問 | 民法(相隣関係) | 竹木の枝の切除及び根の切取り(令和5年4月1日施行) | 民法233条1項〜4項 |
| 第4問 | 測量計算 | 二辺夾角法($S=\frac{1}{2}ab\sin\theta$)による三角形の面積計算 | ― |
| 第5問 | 作図・書式 | 建物図面の記載事項・縮尺 | 不動産登記規則82条1項〜3項 |