事業承継とは──会社を後継者に引き継ぐときに必要な手続きの全体像

この記事の要点 事業承継の法務手続きは、大きく「株式(経営権)の承継」と「代表者変更登記」の2本柱 株式の承継方法には、相続・生前贈与・売買の3パターンがあり、それぞれ手続きと必要な準備が異なる 税制優遇(事業承継税制)を使えるかどうかは税理士への確認が必須。制度の存在を知っておくだけでも準備の選択肢が広がる 事業承継とは、会社の経営権(株式)と経営者の地位(代表取締役等の役職)を、現経営者から後継者へ引き継ぐことです。結論から言うと、法務面で必要になるのは主に「株式をどう後継者に移すか」と「代表者変更の登記」の2つです。 ...

2026年7月10日 · ひぐらしさとし

家族信託(民事信託)とは──認知症に備えて財産の管理を家族に託すしくみ

この記事の要点 家族信託は、元気なうちに「財産の管理を任せる人(受託者)」を家族の中から決めておく契約 認知症などで判断能力が低下した後も、受託者が信託契約で決めた範囲内で財産を管理・処分できる 契約内容は自由度が高い分、設計を誤ると後々のトラブルにつながるため、契約書の作成は専門家の関与を得て進めるのが安全 家族信託(民事信託)とは、自分の財産の管理を、元気なうちに家族の誰かに託しておく契約の仕組みです。結論から言うと、「本人が認知症などで判断能力を失う前に、あらかじめ財産管理の担当者と管理方法を決めておく」ための制度です。 ...

2026年7月10日 · ひぐらしさとし

相続の話し合いを切り出すタイミングと伝え方──家族に『重い話』と思わせないために

この記事の要点 相続の話は「元気なうち」に切り出すほうが、選択肢が広く落ち着いて話し合える 「相続の話」ではなく「もしものときの備え」として持ち出すと、身構えられにくい 一度にすべてを決めようとせず、少しずつ共有していく姿勢が実際には受け入れられやすい 「うちはまだ早い」「縁起でもない」──相続や財産の話を家族に切り出そうとすると、こうした反応が返ってくることは珍しくありません。しかし、話し合いを先延ばしにするほど、選べる備え(遺言書の作成や、財産の整理など)の幅は狭くなっていきます。 ...

2026年7月9日 · ひぐらしさとし

固定資産税評価額・相続税評価額・実勢価格──不動産の『価格』が3つある理由

この記事の要点 不動産の「価格」には、固定資産税評価額・相続税評価額・実勢価格という3種類があり、それぞれ使われる場面が異なる 固定資産税評価額は毎年の固定資産税や登録免許税の基準、相続税評価額は相続税・贈与税の基準、実勢価格は実際の売買価格 どの「価格」の話をしているかを混同すると、税額や登記費用の見込みがずれる原因になる 「この土地、いくらなんですか?」という質問に、実は一つの答えでは足りないことがあります。不動産には**目的によって使い分けられる複数の「価格」**が存在するためです。 ...

2026年7月9日 · ひぐらしさとし

抵当権付きの不動産を相続したとき──団信で完済されない場合の「債務者変更登記」

この記事の要点 住宅ローンに団体信用生命保険(団信)が付いていれば、契約者が亡くなると保険金で完済され、抵当権の抹消登記だけで済む 団信に未加入だったり、事業性ローンなど団信の対象外の借入れが残っていたりすると、ローン(債務)は相続人に引き継がれ、抵当権もそのまま残る この場合、金融機関との調整を経て、抵当権の登記事項である「債務者」を書き換える変更登記が必要になる 親が亡くなり、実家の不動産を相続することになった。登記簿を確認したら、住宅ローンの「抵当権」がまだ残っていた──。こうしたとき、多くの方がまず思い浮かべるのは「団信で完済されているはず」という期待です。しかし、団信に入っていなかったり、事業用の借入れだったりすると、話が変わってきます。 ...

2026年7月9日 · ひぐらしさとし

自己株式の取得(金庫株)とは?──手続きの流れと発行済株式総数の変更登記

この記事の要点 会社が自社の株式を買い取ることを「自己株式の取得」(通称・金庫株)といい、株主総会の決議と一定の手続きが必要 取得できる金額には「分配可能額」という上限があり、これを超えると役員が責任を問われることがある 取得しただけでは発行済株式総数は変わらないが、取得した株式を「消却」して発行済株式総数が減った場合は、2週間以内に変更登記が必要(怠ると過料の対象) 事業承継の準備や、株式の譲渡制限を含めた株主構成の整理を考えるとき、「会社が株主から自社の株式を買い取れないか」という相談が出ることがあります。これが自己株式の取得(実務では「金庫株」とも呼ばれます)です。 ...

2026年7月9日 · ひぐらしさとし

共有名義の実家を単独名義に――持分放棄・持分売買・持分贈与の違いと登記手続き

この記事の要点 共有名義の不動産を単独名義にする方法は主に「持分放棄」「持分売買」「持分贈与」の3つで、登記原因と必要な合意が異なる どの方法でも共有者全員の協力(署名・押印・書類提出)が前提になる点は共通 持分放棄・持分贈与では、単独名義になる側に課税関係が生じ得るため、事前に税理士へ確認しておくと安心 相続をきっかけに兄弟姉妹の共有名義になった実家を、そろそろ誰か一人の名義に整理したい――そうした相談は少なくありません。共有名義を単独名義にする方法はいくつかありますが、代表的なのは「持分放棄」「持分売買」「持分贈与」の3つです。それぞれ登記原因や必要な合意、課税関係が異なるため、この記事で違いを整理します。 ...

2026年7月8日 · ひぐらしさとし

自分が亡くなった後の事務、誰に頼む?──死後事務委任契約とは

この記事の要点 死後事務委任契約は、葬儀・医療費精算・遺品整理など「自分が亡くなった後の事務」を、生前の契約で第三者に頼んでおく仕組み 遺産の分け方(遺産分割)を決めるものではなく、遺言とは役割が異なる おひとり様や、頼れる親族が近くにいない方の「亡くなった直後の空白期間」への備えとして活用されている 自分が亡くなった直後、葬儀の手配や病院・施設への支払い、遺品の整理などは誰がやってくれるのだろう――おひとり様や、頼れる親族が遠方にしかいない方から、そうした不安の声を聞くことがあります。これらの事務を生前のうちに第三者へ委任しておく仕組みが「死後事務委任契約」です。この記事では、死後事務委任契約とは何か、遺言や任意後見契約とはどう違うのかを整理します。 ...

2026年7月8日 · ひぐらしさとし

家を新築したときの「所有権保存登記」──表題登記との違い・費用・自分でできるかをやさしく解説

この記事の要点 新築した建物の登記は2段階。「どんな建物か」を記録する表題登記(土地家屋調査士の担当)と、「誰のものか」を記録する所有権保存登記(司法書士の担当)に分かれます。 表題登記は所有権を取得した日(通常は建物の完成日)から1か月以内に申請する義務があります(不動産登記法47条)。所有権保存登記は義務ではありませんが、住宅ローンの抵当権をつけるにも売るにも必要です。 所有権保存登記の登録免許税は原則0.4%。新築住宅は0.15%などに軽減される特例があります(期限つき。適用は最新の要件確認を)。 どこまで自分でできるか迷ったら、お近くの司法書士・土地家屋調査士にご相談ください。 念願の家を新築したら、避けて通れないのが「登記」です。ただ、新築建物の登記は2つの登記が組み合わさっているため、少しわかりにくいところがあります。 ...

2026年7月7日 · ひぐらしさとし

合同会社(LLC)をつくるときの登記──株式会社との違い・費用・必要書類の全体像

この記事の要点 合同会社(LLC)の設立にかかる登録免許税は「資本金の0.7%・最低6万円」。株式会社(最低15万円)より安く、定款の認証も不要なので初期費用を抑えやすい。 出資者(社員)がそのまま経営に加わる会社で、決算公告の義務もない。一方で「株式会社」という信用や、株式による資金調達には向かない。 設立の登記は本店所在地を管轄する法務局へ。登記が完了して初めて会社が成立する(会社法579条)。 迷ったら、株式会社と合同会社どちらが合うかも含めて、お近くの司法書士にご相談ください。 会社をつくると聞くと「株式会社」を思い浮かべる方が多いですが、近年は**合同会社(ごうどうがいしゃ、LLC)**を選ぶ起業家も増えています。合同会社は、株式会社にくらべて設立費用が安く、手続きもシンプルなのが特徴です。 ...

2026年7月7日 · ひぐらしさとし