問題: 配偶者短期居住権に関する次のアからオまでの記述のうち、正しいものはいくつあるか。
ア. 配偶者短期居住権は、被相続人の配偶者が相続開始時に被相続人所有の建物に無償で居住していた場合に発生する。
イ. 配偶者短期居住権は、登記をしなければ第三者に対抗することができない。
ウ. 配偶者が居住建物について配偶者居住権を取得したときは、配偶者短期居住権は別個独立して併存する。
エ. 遺産分割により居住建物の帰属が確定した場合、配偶者短期居住権はその確定の日と相続開始時から6か月を経過する日のいずれか遅い日まで存続する。
オ. 配偶者短期居住権は、配偶者が相続放棄をした場合には成立しない。
答え: 正しいものは、ア・エの2つである。
解説: ア(正しい)。配偶者短期居住権は、被相続人の配偶者が、相続開始の時に被相続人の所有する建物に無償で居住していた場合に、一定の期間その建物を無償で使用する権利として発生する(民法1037条1項)。
イ(誤り)。配偶者短期居住権は登記の対象とされておらず、対抗要件としての登記制度はない。配偶者居住権(1028条以下)が登記により第三者に対抗できるのとは異なる。
ウ(誤り)。配偶者が遺産分割等により配偶者居住権を取得した場合には、配偶者短期居住権は消滅する(1039条)。両権利が併存することはない。
エ(正しい)。居住建物について配偶者を含む共同相続人間で遺産分割をすべき場合、配偶者短期居住権は、遺産分割により居住建物の帰属が確定した日または相続開始の時から6か月を経過する日のいずれか遅い日まで存続する(1037条1項1号)。
オ(誤り)。配偶者短期居住権は、配偶者が相続放棄をした場合でも成立し得る。同権利の成立要件は「相続開始時に無償で居住していたこと」であり、相続人であることは要件とされていない。
問題: 所有権の登記名義人についての氏名または住所の変更登記の義務化に関する次のアからオまでの記述のうち、誤っているものはいくつあるか。
ア. 所有権の登記名義人は、その氏名もしくは名称または住所について変更があったときは、変更があった日から2年以内に、変更の登記を申請しなければならない。
イ. 正当な理由がないのに住所等変更登記の申請を怠ったときは、5万円以下の過料に処せられることがある。
ウ. 登記官が自然人である所有権の登記名義人の氏名・住所の変更情報を職権で取得して変更登記をする仕組みは、あらかじめ登記名義人本人からの検索用情報の提供等の申出があることを前提とする。
エ. 法人である所有権の登記名義人については、商業・法人登記システムが保有する情報に基づき、本人の申出を要件とせず登記官が職権的に変更登記をする仕組みが設けられている。
オ. 住所等変更登記の義務化は、施行日前に既に住所等の変更が生じていた場合には適用されない。
答え: 誤っているものは、オの1つである。
解説: ア(正しい)。所有権の登記名義人は、氏名・名称または住所について変更があった日から2年以内に変更登記を申請しなければならない(不動産登記法76条の5)。
イ(正しい)。正当な理由なく申請を怠った場合には、5万円以下の過料に処せられることがある(不動産登記法164条2項)。
ウ(正しい)。自然人については、登記官が住基ネット等から取得した情報に基づき職権で変更登記を行う仕組みが設けられているが、これは本人からの検索用情報の提供等の申出があることを前提とする(不動産登記法76条の6)。
エ(正しい)。法人については、商業・法人登記システムが保有する情報を用いて、本人の申出を要件とせずに登記官が職権的に変更登記をする仕組みが設けられている(不動産登記法76条の6)。
オ(誤り)。住所等変更登記の義務化は、施行日(令和8年4月1日)前に既に住所等の変更が生じていた場合にも適用され、その場合は施行日から起算して2年の猶予期間が設けられる(改正法附則の経過措置)。「適用されない」とする本肢は誤り。
問題: 株式会社の吸収合併による変更の登記および解散の登記に関する次のアからオまでの記述のうち、正しいものはいくつあるか。
ア. 吸収合併存続会社についてする変更の登記の申請と、吸収合併消滅会社についてする解散の登記の申請は、同時にしなければならない。
イ. 吸収合併による変更の登記の申請書には、株主リストを添付しなければならない場合がある。
ウ. 吸収合併存続会社についてする変更の登記は、存続会社の本店の所在地においては、効力発生日から2週間以内にしなければならない。
エ. 吸収合併により消滅する会社についてする解散の登記は、消滅会社が自ら申請する。
オ. 吸収合併存続会社が種類株式発行会社である場合において、合併契約について種類株主総会の決議を要するときは、その決議を経たことを証する書面の添付を要する。
答え: 正しいものは、ア・イ・ウ・オの4つである。
解説: ア(正しい)。吸収合併による存続会社の変更の登記と消滅会社の解散の登記は、同時に申請しなければならない(商業登記法82条3項)。
イ(正しい)。合併契約の承認決議が株主総会特別決議による場合等、株主総会の決議を要する登記の申請には株主リストの添付を要する(商業登記規則61条3項)。
ウ(正しい)。吸収合併による変更の登記は、効力発生日から2週間以内に、存続会社の本店の所在地においてしなければならない(会社法921条)。
エ(誤り)。消滅会社についてする解散の登記は、消滅会社自らではなく、存続会社が消滅会社を代表して申請する構造をとる(商業登記法82条1項・3項)。
オ(正しい)。種類株式発行会社において合併契約の承認に種類株主総会の決議を要する場合、その決議を経たことを証する書面の添付を要する。
問題: 支払督促に関する次のアからオまでの記述のうち、誤っているものはいくつあるか。
ア. 支払督促は、金銭その他の代替物または有価証券の一定の数量の給付を目的とする請求について発することができる。
イ. 支払督促の申立ては、債務者の普通裁判籍の所在地を管轄する簡易裁判所の裁判所書記官に対してする。
ウ. 債務者が適法な督促異議の申立てをしないときは、裁判所書記官は、債権者の申立てにより、仮執行の宣言をしなければならない。
エ. 仮執行の宣言を付した支払督促の送達を受けた日から2週間の不変期間内に督促異議の申立てがないときは、支払督促は確定判決と同一の効力を有する。
オ. 支払督促の手続には、公示送達によって督促を送達することができる。
答え: 誤っているものは、オの1つである。
解説: ア(正しい)。支払督促は、金銭その他の代替物または有価証券の一定の数量の給付を目的とする請求について、債権者の申立てにより発することができる(民事訴訟法382条)。
イ(正しい)。支払督促の申立ては、債務者の普通裁判籍の所在地を管轄する簡易裁判所の裁判所書記官に対してする(民事訴訟法383条1項)。
ウ(正しい)。督促異議の申立てがないときは、裁判所書記官は、債権者の申立てにより仮執行の宣言をしなければならない(民事訴訟法391条1項本文)。
エ(正しい)。仮執行の宣言を付した支払督促の送達を受けた日から2週間の不変期間内に督促異議の申立てがないときは、支払督促は確定判決と同一の効力を有する(民事訴訟法396条)。
オ(誤り)。支払督促の手続では、公示送達によって督促を送達することはできない(民事訴訟法382条ただし書)。債務者の所在が不明な場合には支払督促の制度を利用することができない。
問題: 供託物の還付と取戻しに関する次のアからオまでの記述のうち、正しいものはいくつあるか。
ア. 還付請求は、供託によって利益を受ける者(被供託者・債権者)が、供託物の交付を求める請求である。
イ. 取戻請求は、供託をした供託者が、供託原因の消滅や供託手続の錯誤等を理由に供託物の返還を求める請求である。
ウ. 弁済供託において、被供託者が還付請求権を行使するには、供託通知の到達が法律上の要件となる。
エ. 供託者が取戻請求権を行使するには、被供託者が還付請求権を行使したこと(供託の受諾等)を証する書面が提出されていないことが前提となる。
オ. 還付請求権・取戻請求権は、供託の時から一律10年の消滅時効にかかる。
答え: 正しいものは、ア・イ・エの3つである。
解説: ア(正しい)。還付請求は、供託によって利益を受ける者(被供託者・債権者)が供託物の交付を求める請求である。
イ(正しい)。取戻請求は、供託者が、供託の原因が消滅した場合や供託が錯誤に基づく場合等に、供託物の返還を求める請求である(供託法8条2項)。
ウ(誤り)。弁済供託における供託通知(民法495条3項)は被供託者への案内にとどまり、還付請求権行使の法律上の要件ではない。供託通知の有無にかかわらず被供託者は還付請求をすることができる。
エ(正しい)。供託者が取戻請求をするには、被供託者が供託を受諾する等、還付請求権を行使したことを証する書面が提出されていないことが前提となる。被供託者が供託を受諾すると、供託者は原則として取戻請求ができなくなる(民法496条1項参照)。
オ(誤り)。還付請求権・取戻請求権はいずれも消滅時効にかかるが、時効の起算点・期間は請求権の性質に従って個別に判断されるものであり、「供託の時から一律10年」と一律に断定することはできない。
出題分野の振り分け
| 問 | 分野 | 主な論点 |
|---|---|---|
| 1 | 民法 | 配偶者短期居住権 |
| 2 | 不動産登記法 | 住所等変更登記の義務化(令和8年4月1日施行予定) |
| 3 | 商業登記法・会社法 | 吸収合併による変更の登記・解散の登記 |
| 4 | 民事訴訟法 | 支払督促 |
| 5 | 供託法 | 供託物の還付と取戻し |