問題: 連帯債務に関する次のア〜オの記述のうち、正しいものはいくつあるか(民法は令和2年4月1日施行の現行法による)。

ア.連帯債務者の一人が債権者に対して債務の全額を弁済したときは、他の連帯債務者の債務も消滅する。

イ.連帯債務者の一人について時効が完成したときは、他の連帯債務者の債務も当然に消滅する。

ウ.債権者が連帯債務者の一人に対して債務を免除したときは、他の連帯債務者に対してもその効力を生じ、債務の全額が消滅する。

エ.連帯債務者の一人が債権者に対して反対債権を有する場合において、その連帯債務者が相殺を援用したときは、債権は、すべての連帯債務者の利益のために消滅する。

オ.連帯債務者の一人と債権者との間に混同があったときは、その連帯債務者は弁済をしたものとみなされる。

答え: 正しいものは、ア・エ・オの3つである。

解説: 連帯債務では、弁済・代物弁済・供託(債権を満足させる事由)、相殺(民法439条1項)、更改(同438条)、混同(同440条)が絶対的効力事由とされ、これら以外は相対的効力が原則です(同441条)。

アは弁済による債権の満足であり、絶対的効力が生じます。正しい記述です。

イについて、令和2年4月1日施行の改正前は時効の完成に絶対的効力が認められていましたが、改正後は相対的効力にとどまります(民法441条)。「当然に消滅する」とはいえず、誤りです。

ウについても、改正前は免除に絶対的効力がありましたが、改正後は相対的効力が原則です(民法441条)。誤りです。

エは相殺の援用であり、民法439条1項により絶対的効力が生じます。正しい記述です。

オは混同であり、民法440条により、その連帯債務者は弁済をしたものとみなされます。正しい記述です。


問題: 判決による登記に関する次のア〜オの記述のうち、正しいものはいくつあるか。

ア.登記手続をすべきことを命ずる確定判決による登記は、登記権利者が単独で申請することができる。

イ.確定判決と同一の効力を有する裁判上の和解調書・調停調書・請求の認諾調書に基づく場合も、登記権利者は単独で登記を申請することができる。

ウ.判決による登記を登記権利者が単独で申請する場合には、登記義務者の登記識別情報を提供することを要しない。

エ.意思表示をすべきことを債務者に命ずる判決が確定したときは、原則としてその確定の時に意思表示をしたものとみなされ、執行文の付与を要しない。

オ.判決により所有権の移転の登記がされた場合、新たに登記名義人となる登記権利者には、登記識別情報は通知されない。

答え: 正しいものは、ア・イ・ウ・エの4つである。

解説: 共同申請の原則(不動産登記法60条)の例外として、登記手続をすべきことを命ずる確定判決があるときは、登記権利者が単独で申請できます(同法63条1項)。アは正しい記述です。

イについて、確定判決と同一の効力を有する裁判上の和解・調停・認諾の各調書も、登記手続をすべき旨が記載されていれば債務名義となり、単独申請が認められます。正しい記述です。

ウについて、判決による登記は登記権利者の単独申請であり、共同申請を前提とする登記識別情報の提供(同法22条)は要しません。正しい記述です。

エについて、意思表示を命ずる判決が確定したときは、原則として確定の時に意思表示をしたものとみなされ(民事執行法177条1項本文)、執行文の付与を要しません。ただし、反対給付との引換えに係る場合等は執行文の付与が必要です(同項ただし書)。原則を述べる記述として正しいといえます。

オについて、登記識別情報は、自らが登記名義人となる申請人に対して通知されます(不動産登記法21条本文)。判決による所有権移転登記でも、新たに名義人となる登記権利者には登記識別情報が通知されますので、誤りです。


問題: 株式会社が行う募集株式の発行に関する次のア〜オの記述のうち、正しいものはいくつあるか。

ア.募集株式の引受人は、払込期日又は払込期間内に、払込みを取り扱う場所において払込金額の全額を払い込まなければならず、これを怠ると当該募集株式の株主となる権利を失う。

イ.金銭以外の財産を出資の目的とする募集株式の引受人がある場合には、原則として裁判所に対し検査役の選任を申し立て、その調査を受けなければならない。

ウ.公開会社でない株式会社が募集株式を発行する場合の募集事項の決定は、定款に別段の定めがある場合を除き、株主総会の特別決議による。

エ.払込期間を定めた場合における募集株式の発行による変更の登記は、当該払込期間の末日から2週間以内にすれば足りる。

オ.募集株式の引受人は、出資の履行をする債務と株式会社に対する債権とを相殺することができる。

答え: 正しいものは、ア・イ・ウ・エの4つである。

解説: アについて、引受人は払込期日又は払込期間内に全額の払込みをしなければならず、出資の履行をしないときは株主となる権利を失います(会社法208条5項)。正しい記述です。

イについて、現物出資があるときは、原則として検査役の選任を申し立て、その調査を受ける必要があります(会社法207条1項)。少額・市場価格・専門家の証明など一定の場合の例外はありますが、原則を述べる記述として正しいといえます。

ウについて、募集事項の決定は株主総会の特別決議によるのが原則です(会社法199条2項、309条2項5号)。正しい記述です。

エについて、変更の登記は変更が生じた時から2週間以内が原則ですが(会社法915条1項)、払込期間を定めた場合の募集株式の発行による変更の登記は、その期間の末日から2週間以内にすれば足ります(同条2項)。正しい記述です。

オについて、募集株式の引受人は、出資の履行をする債務と株式会社に対する債権とを相殺することができません(会社法208条3項)。「相殺することができる」とする記述は誤りです。


問題: 裁判上の自白に関する次のア〜オの記述のうち、正しいものはいくつあるか。

ア.当事者が口頭弁論又は弁論準備手続において相手方の主張する自己に不利益な事実を認めたときは、その事実は証明することを要しない。

イ.裁判上の自白が成立した事実については、裁判所もこれに拘束され、これに反する事実認定をすることができない。

ウ.いったん成立した裁判上の自白は、自白をした当事者がいつでも自由に撤回することができる。

エ.主要事実についての自白は裁判所を拘束するが、間接事実についての自白は裁判所を拘束しない。

オ.当事者が口頭弁論において相手方の主張した事実を争うことを明らかにしないときは、原則としてその事実を自白したものとみなされる。

答え: 正しいものは、ア・イ・エ・オの4つである。

解説: アについて、裁判上の自白が成立した事実は証明することを要しません(民事訴訟法179条)。正しい記述です。

イについて、自白の成立により、弁論主義のもと裁判所はその事実に拘束され、これに反する認定はできません。正しい記述です。

ウについて、いったん成立した自白は自由には撤回できません。相手方の同意がある場合、自白が真実に反しかつ錯誤に基づく場合、刑事上罰すべき他人の行為による場合等に限り撤回が認められると解されています。「いつでも自由に撤回できる」とする記述は誤りです。

エについて、判例・通説は、裁判所を拘束する自白の対象を主要事実に限り、間接事実や補助事実についての自白には拘束力を認めていません。正しい記述です。

オについて、当事者が相手方の主張した事実を争うことを明らかにしないときは、原則として自白したものとみなされます(擬制自白、民事訴訟法159条1項)。正しい記述です。


問題: 司法書士の業務及び義務に関する次のア〜オの記述のうち、正しいものはいくつあるか。

ア.司法書士は、正当な事由がある場合でなければ、登記又は供託に関する手続の代理等(簡裁訴訟代理等関係業務を除く)の依頼を拒むことができない。

イ.法務大臣の認定を受けた司法書士は、訴訟の目的の価額が140万円を超えない請求に関する簡易裁判所における訴訟代理等の業務を行うことができる。

ウ.司法書士又は司法書士であった者は、正当な事由がなく、その業務上取り扱った事件について知ることのできた秘密を他に漏らしてはならない。

エ.司法書士でない者であっても、無報酬であれば、登記に関する手続の代理を業として行うことができる。

オ.司法書士は、その業務の補助をさせるため補助者を置くことができ、補助者を置いたときは、遅滞なくその旨を所属の司法書士会に届け出なければならない。

答え: 正しいものは、ア・イ・ウ・オの4つである。

解説: アについて、司法書士は、正当な事由がある場合でなければ、司法書士法3条1項1号から5号までの事務に関する依頼を拒むことができません(同法21条)。簡裁訴訟代理等関係業務(同項6号)はこの義務の対象外です。正しい記述です。

イについて、法務大臣の認定を受けた司法書士は、訴額140万円を超えない請求等について簡易裁判所における訴訟代理等の業務を行うことができます(司法書士法3条1項6号・2項)。正しい記述です。

ウについて、司法書士又は司法書士であった者の秘密保持義務は、業務を行わなくなった後も及びます(司法書士法24条)。正しい記述です。

エについて、司法書士でない者は、報酬の有無を問わず、登記又は供託に関する手続の代理等を業として行うことはできません(司法書士法73条1項)。「無報酬であれば行うことができる」とする記述は誤りです。

オについて、司法書士は補助者を置くことができ、置いたときは遅滞なく所属の司法書士会に届け出なければなりません(司法書士法施行規則25条)。正しい記述です。


出題分野の振り分け

分野 主な論点 根拠条文
第1問 民法(債権総論) 連帯債務の絶対的効力事由・相対的効力 民法438〜441条
第2問 不動産登記法 判決による登記の単独申請・意思表示の擬制 不登法60条・63条1項、民執法177条
第3問 会社法・商業登記法 募集株式の発行(払込み・検査役・登記期間・相殺禁止) 会社法199条・207条・208条・915条
第4問 民事訴訟法 裁判上の自白・擬制自白 民訴法179条・159条
第5問 司法書士法 業務範囲・依頼に応ずる義務・秘密保持・補助者 司書法3条・21条・24条・73条