問題: 時効の完成猶予及び更新に関する次のアからオまでの記述のうち、誤っているものはいくつあるか。
ア. 債権は、債権者が権利を行使することができることを知った時から5年間行使しないとき、又は権利を行使することができる時から10年間行使しないときは、時効によって消滅する。
イ. 催告があったときは、その時から6か月を経過するまでの間は時効は完成せず、かつ、催告によって時効が更新され、新たにその進行を始める。
ウ. 権利についての協議を行う旨の合意が書面でされたときは、合意があった時から1年を経過した時など一定の時のいずれか早い時までの間は、時効は完成しない。
エ. 裁判上の請求がある場合には、その事由が終了するまでの間は時効の完成が猶予され、確定判決によって権利が確定したときは、その事由が終了した時から新たに時効が進行する。
オ. 時効の更新事由である承認をするには、相手方の権利についての処分につき行為能力の制限を受けていないこと又は権限があることを要する。
答え: 誤っているものは、イ・オ の2つである。
解説: 債権の消滅時効期間は、主観的起算点(権利を行使できることを知った時)から5年、客観的起算点(権利を行使できる時)から10年で、いずれか早い方の経過によって完成します(民法166条1項。令和2年4月1日施行の債権法改正後)。アは正しい記述です。
イは誤りです。催告は、その時から6か月を経過するまでの間、時効の「完成猶予」の効力を生じるにとどまり、時効を「更新」する効力はありません(民法150条1項)。また、催告によって完成が猶予されている間にされた再度の催告は、完成猶予の効力を有しません(同条2項)。
ウは正しい記述です。協議を行う旨の合意が書面(電磁的記録を含む)でされたときは、合意から1年、合意で定めた協議期間(1年未満)、又は協議続行拒絶の書面通知から6か月のいずれか早い時まで完成が猶予されます(民法151条1項)。
エは正しい記述です。裁判上の請求は、その事由が終了するまで完成猶予となり、確定判決等により権利が確定したときは、その終了時から時効が更新されて新たに進行します(民法147条1項・2項)。
オは誤りです。承認による時効の更新(民法152条1項)について、152条2項は「前項の承認をするには、相手方の権利についての処分につき行為能力の制限を受けていないこと又は権限があることを要しない」と定めます。つまり、承認をするのに処分の能力や権限は不要で、管理能力・権限があれば足ります。
問題: 不動産の権利に関する登記の申請における登記識別情報及び事前通知に関する次のアからオまでの記述のうち、誤っているものはいくつあるか。
ア. 登記官は、その登記をすることによって申請人自らが登記名義人となる場合において、当該登記を完了したときは、原則として、当該申請人に対し、登記識別情報を通知する。
イ. 登記権利者及び登記義務者が共同して権利に関する登記を申請する場合には、申請人は、原則として、登記義務者の登記識別情報を提供しなければならない。
ウ. 登記識別情報を提供することができない正当な理由があるときは、登記官は、登記義務者に対し、当該申請があった旨及び申請の内容が真実であると思料するときは一定の期間内にその旨の申出をすべき旨を通知する。
エ. 司法書士その他の資格者代理人が作成した本人確認情報の提供があり、登記官がその内容を相当と認めた場合であっても、登記官は、事前通知を省略することはできない。
オ. 事前通知に対する登記義務者の申出は、登記官が事前通知を発送した日から3週間以内(登記義務者が外国に住所を有する場合を除く。)にしなければならない。
答え: 誤っているものは、エ・オ の2つである。
解説: アは正しい記述です。登記官は、登記を完了したときに、申請人が登記名義人となる場合には、原則として登記識別情報を通知します(不動産登記法21条本文)。なお、申請人があらかじめ通知を希望しない旨の申出をしたときなどは通知されません(同条ただし書)。
イは正しい記述です。共同申請の場合、申請人は原則として登記義務者の登記識別情報を提供しなければなりません(不動産登記法22条本文)。
ウは正しい記述です。登記識別情報を提供できない正当な理由があるときは、登記官は登記義務者に対し、申請があった旨等を通知し、一定期間内に間違いない旨の申出を求めます(不動産登記法23条1項。事前通知)。
エは誤りです。資格者代理人が作成した本人確認情報の提供があり、登記官がこれを相当と認めるとき、又は申請情報・委任状について公証人の認証があるときは、事前通知をすることを要しません(不動産登記法23条4項1号・2号)。
オは誤りです。事前通知に対する申出の期間は、登記官が通知を発した日から2週間以内(登記義務者が外国に住所を有する場合は4週間以内)です(不動産登記規則70条8項)。「3週間」ではありません。
問題: 募集株式の発行による変更の登記に関する次のアからオまでの記述のうち、誤っているものはいくつあるか。
ア. 公開会社が募集株式を発行するときは、募集事項の決定は、原則として取締役会の決議による。
イ. 公開会社でない株式会社が募集株式を発行するときは、募集事項の決定は、原則として株主総会の特別決議による。
ウ. 募集株式の発行により発行済株式の総数及び資本金の額に変更が生じたときは、その変更が生じた日から3週間以内に、本店の所在地において変更の登記をしなければならない。
エ. 募集株式の発行による変更の登記の申請書には、払込みがあったことを証する書面を添付しなければならない。
オ. 募集株式の発行による変更の登記の登録免許税は、申請1件につき金3万円の定額である。
答え: 誤っているものは、ウ・オ の2つである。
解説: アは正しい記述です。公開会社では、募集事項の決定は原則として取締役会の決議によります(会社法201条1項)。
イは正しい記述です。公開会社でない株式会社(非公開会社)では、募集事項の決定は原則として株主総会の特別決議によります(会社法199条2項、309条2項5号)。
ウは誤りです。会社の登記すべき事項に変更が生じたときは、原則として2週間以内に本店の所在地において変更の登記をしなければなりません(会社法915条1項)。「3週間」ではありません。
エは正しい記述です。募集株式の発行による変更の登記の申請書には、払込みがあったことを証する書面(払込取扱機関の証明書など)を添付しなければなりません(商業登記法56条2号)。
オは誤りです。募集株式の発行による変更の登記の登録免許税は、増加した資本金の額に1000分の7を乗じた額(その額が3万円に満たないときは3万円)であり、定率課税です(登録免許税法別表第一24号(1)ニ)。定額ではありません。
問題: 民事訴訟における当事者能力及び訴訟能力に関する次のアからオまでの記述のうち、誤っているものはいくつあるか。
ア. 当事者能力及び訴訟能力は、民事訴訟法に特別の定めがある場合を除き、民法その他の法令に従う。
イ. 法人でない社団であっても、代表者の定めがあるものは、その名において訴え、又は訴えられることができる。
ウ. 成年被後見人は、法定代理人によらなければ、訴訟行為をすることができない。
エ. 被保佐人が相手方の提起した訴えについて応訴するには、保佐人の同意その他の授権を要する。
オ. 訴訟能力を欠く者がした訴訟行為は無効であって、後に能力を取得した本人又は法定代理人が追認しても、その効力を生じることはない。
答え: 誤っているものは、エ・オ の2つである。
解説: アは正しい記述です。当事者能力・訴訟能力等は、特別の定めがある場合を除き、民法その他の法令に従います(民事訴訟法28条)。
イは正しい記述です。法人でない社団又は財団で代表者又は管理人の定めがあるものは、その名において訴え、又は訴えられることができます(民事訴訟法29条)。
ウは正しい記述です。未成年者及び成年被後見人は、法定代理人によらなければ訴訟行為をすることができません(民事訴訟法31条本文)。
エは誤りです。被保佐人・被補助人又は法定代理人が、相手方の提起した訴え又は上訴について訴訟行為(応訴)をするには、保佐人等の同意その他の授権を要しません(民事訴訟法32条1項)。自ら訴えを提起する場合とは異なる点に注意が必要です。
オは誤りです。訴訟能力等を欠く者がした訴訟行為は、これらを有するに至った当事者又は法定代理人の追認により、行為の時にさかのぼってその効力を生じます(民事訴訟法34条2項)。
問題: 保証供託(担保保証供託)に関する次のアからオまでの記述のうち、誤っているものはいくつあるか。
ア. 保証供託は、将来生ずるかもしれない損害の賠償を担保するためにあらかじめする供託であり、債務の弁済を目的とする弁済供託とは目的を異にする。
イ. 民事保全において、裁判所が保全命令を発するに当たり、債務者が受けるべき損害を担保するためにする供託は、保証供託に当たる。
ウ. 宅地建物取引業者がする営業保証金の供託は、金銭でしなければならず、国債証券その他の有価証券をもってこれに充てることはできない。
エ. 裁判上の保証供託において、担保権利者は、供託物について、他の債権者に先立って弁済を受ける権利を有する。
オ. 保証供託をした者は、担保の事由が消滅したときは、供託物の取戻しを請求することができる。
答え: 誤っているものは、ウ の1つである。
解説: アは正しい記述です。保証供託は、将来の損害賠償等を担保するためにあらかじめする供託で、債務消滅を目的とする弁済供託とは性質が異なります。
イは正しい記述です。保全命令の担保(民事保全法14条1項)は、裁判上の保証供託の典型例です。
ウは誤りです。宅地建物取引業者の営業保証金は、金銭のほか、国債証券その他一定の有価証券をもって供託することができます(宅地建物取引業法25条3項)。
エは正しい記述です。裁判上の保証供託において、担保権利者は、供託物について他の債権者に先立って弁済を受ける権利を有します(民事訴訟法77条)。
オは正しい記述です。担保の事由が消滅したときは、供託者は供託物の取戻しを請求することができます。
出題分野の振り分け
| 問 | 科目 | 主な論点 |
|---|---|---|
| 第1問 | 民法(総則) | 消滅時効の完成猶予と更新(催告・協議の合意・承認) |
| 第2問 | 不動産登記法 | 登記識別情報・事前通知・本人確認情報 |
| 第3問 | 商業登記法・会社法 | 募集株式の発行による変更の登記 |
| 第4問 | 民事訴訟法 | 当事者能力・訴訟能力 |
| 第5問 | 供託法 | 保証供託(担保保証供託) |