問題: 保証債務に関する次のアからオまでの記述のうち、誤っているものはいくつあるか。
ア. 保証契約は、書面(又は電磁的記録)でしなければ、その効力を生じない。
イ. 連帯保証人は、債権者から請求を受けても、まず主たる債務者に催告すべき旨を請求すること(催告の抗弁)ができない。
ウ. 個人が保証人となる根保証契約(個人根保証契約)は、極度額を定めなければ、その効力を生じない。
エ. 主たる債務者の委託を受けないで保証をした者は、債務を弁済しても、主たる債務者に対して求償することは一切できない。
オ. 主たる債務者が時効の利益を放棄したときは、その効力は保証人にも及び、保証人は主たる債務の消滅時効を援用することができなくなる。
答え: 誤っているものは、エ・オの2つである。
解説: ア(正しい)。保証契約は、書面でしなければその効力を生じない(民法446条2項)。保証契約がその内容を記録した電磁的記録によってされたときも、書面によってされたものとみなされる(同条3項)。
イ(正しい)。連帯保証人は、催告の抗弁権(民法452条)及び検索の抗弁権(同453条)を有しない(同454条)。通常の保証との大きな違いである。
ウ(正しい)。個人根保証契約は、極度額を定めなければその効力を生じない(民法465条の2第2項)。平成29年改正(令和2年4月1日施行)により、貸金等に限らず個人根保証契約一般に極度額の定めが要求されることになった。
エ(誤り)。委託を受けない保証人も、弁済等をすれば主たる債務者に求償することができる(民法462条)。ただし範囲は制限され、主たる債務者の意思に反しない保証であれば弁済当時に現に利益を受けた限度(462条1項・459条の2第1項)、意思に反する保証であれば求償の当時に利益を受けている限度(462条2項)にとどまる。「一切できない」とする点が誤り。
オ(誤り)。時効の利益の放棄は相対的効力にとどまり、主たる債務者がした放棄の効力は保証人に及ばない。保証人は、なお主たる債務の消滅時効を援用することができる(民法145条の括弧書きは、保証人を時効の援用権者として明示している)。「援用できなくなる」とする点が誤り。
問題: 買戻特約の登記に関する次のアからオまでの記述のうち、正しいものはいくつあるか。
ア. 買戻特約の登記は、売買による所有権の移転の登記と同時に申請しなければならない。
イ. 買戻特約の登記は、売買による所有権の移転の登記に付記してされる。
ウ. 買戻しの期間は10年を超えることができず、これより長い期間を定めても10年に短縮されるが、当事者の合意によって後から伸長することができる。
エ. 買戻特約の登記をしておけば、買主から目的不動産を取得した第三者に対しても、売主は買戻権を対抗することができる。
オ. 売主が代金及び契約費用を返還して買戻権を行使したことによる所有権の移転の登記は、「買戻」を登記原因としてされる。
答え: 正しいものは、ア・イ・エ・オの4つである(ウが誤り)。
解説: 買戻しとは、不動産の売買契約と同時にする特約により、売主が一定期間内に代金及び契約費用(令和2年4月施行の改正により、当事者が別段の合意をしたときはその合意で定めた額)を返還して目的物を取り戻すことができる制度である(民法579条)。
ア(正しい)。買戻特約は売買契約と同時にしなければならず(民法579条)、その登記も所有権移転登記と同時に申請する。
イ(正しい)。買戻特約の登記は、売買による所有権移転登記に付記してされる(不動産登記規則3条9号)。
ウ(誤り)。買戻しの期間は10年を超えることができず、これより長い期間を定めたときは10年に短縮される(民法580条1項)。そして、買戻しの期間は後から伸長することができない(同条2項)。「伸長することができる」とする点が誤り。
エ(正しい)。登記をした買戻特約は、第三者に対抗することができる(民法581条1項)。
オ(正しい)。買戻権の行使による所有権移転登記の登記原因は「買戻」である。
問題: 株式会社の解散及び清算に関する次のアからオまでの記述のうち、誤っているものはいくつあるか。
ア. 株式会社は、株主総会の特別決議によって解散することができる。
イ. 定款で清算人を定めず、株主総会でも清算人を選任しなかったときは、原則として取締役が清算人となる。
ウ. 解散した株式会社は、清算の目的の範囲内において、清算が結了するまではなお存続するものとみなされる。
エ. 清算株式会社は、清算結了の登記をすることによって法人格が消滅する。
オ. 解散した株式会社は、いかなる場合も事業を再開して会社を継続することはできない。
答え: 誤っているものは、エ・オの2つである。
解説: ア(正しい)。株主総会の特別決議による解散は、株式会社の解散事由の一つである(会社法471条3号、309条2項11号)。
イ(正しい)。清算人は、①定款で定める者、②株主総会の決議によって選任された者の順で定まり、これらの者がないときは取締役が清算人となる(会社法478条1項各号)。
ウ(正しい)。解散した株式会社は、清算の目的の範囲内において、清算が結了するまでなお存続するものとみなされる(会社法476条)。
エ(誤り)。法人格は、清算事務が終了して清算が結了したことによって消滅し、清算結了の登記(会社法929条)は、その事実を公示する確認的なものと解されている。現に清算すべき事務が残っていれば、形式的に清算結了の登記がされても法人格は消滅しない。したがって「登記によって法人格が消滅する」という表現は正確でない。
オ(誤り)。解散した株式会社は、清算が結了するまでの間、株主総会の特別決議によって会社を継続することができる(会社法473条)。「いかなる場合も継続できない」とする点が誤り。
問題: 訴えの変更、反訴及び中間確認の訴えに関する次のアからオまでの記述のうち、誤っているものはいくつあるか。
ア. 原告は、請求の基礎に変更がない限り、口頭弁論の終結に至るまで、請求又は請求の原因を変更することができる。
イ. 請求の趣旨を変更する訴えの変更は、書面でしなければならない。
ウ. 反訴は、本訴の目的である請求又は防御の方法と関連する請求を目的とする場合に、提起することができる。
エ. 控訴審においては、相手方の同意の有無にかかわらず、反訴を提起することができる。
オ. 中間確認の訴えは、訴訟の進行中に、その訴訟の先決関係となる法律関係の成立又は不成立について確認を求めるものである。
答え: 誤っているものは、エの1つである。
解説: ア(正しい)。訴えの変更は、請求の基礎に変更がない限り、事実審の口頭弁論の終結に至るまですることができる(民事訴訟法143条1項)。
イ(正しい)。請求の趣旨の変更を伴う訴えの変更は、書面でしなければならない(民事訴訟法143条2項)。
ウ(正しい)。反訴は、本訴の目的である請求又は防御の方法と関連する請求を目的とする場合に提起することができる(民事訴訟法146条1項)。
エ(誤り)。控訴審において反訴を提起するには、相手方の同意を得なければならない(民事訴訟法300条1項)。なお、相手方が異議を述べないで反訴の本案について弁論をしたときは、反訴の提起に同意したものとみなされる(同条2項)。「同意の有無にかかわらず」とする点が誤り。
オ(正しい)。中間確認の訴えは、訴訟の係属中に、その訴訟の先決問題となる法律関係の成立又は不成立について、確認を求めて提起するものである(民事訴訟法145条1項)。
問題: 保証供託に関する次のアからオまでの記述のうち、正しいものはいくつあるか。
ア. 裁判上の保証供託は、訴訟費用や仮差押え・仮処分などの担保として、裁判所の担保提供命令に基づいてされる。
イ. 営業保証供託は、宅地建物取引業者の営業保証金のように、その営業による取引の相手方を保護するためにされる。
ウ. 裁判上の保証供託の供託物は、金銭のほか、裁判所が相当と認める有価証券をもってすることができる。
エ. 裁判上の保証供託において、担保権利者は、供託物について質権者と同一の権利を有する。
オ. 保証供託の供託者は、供託原因の消滅等の要件を問わず、いつでも自由に供託物を取り戻すことができる。
答え: 正しいものは、ア・イ・ウ・エの4つである(オが誤り)。
解説: 保証供託は、特定の相手方が将来被るかもしれない損害をあらかじめ担保するためにされる供託で、損害担保供託ともいう。債務を消滅させるためにする弁済供託とは目的が異なる。
ア(正しい)。裁判上の保証供託は、訴訟費用の担保(民事訴訟法75条以下)、仮執行・仮執行免脱の担保、民事保全の担保(民事保全法4条・14条等)として、裁判所の担保提供命令に基づいてされる。
イ(正しい)。営業保証供託は、宅地建物取引業者の営業保証金(宅地建物取引業法25条)など、その営業の相手方を保護するためにされる。
ウ(正しい)。裁判上の担保は、金銭又は裁判所が相当と認める有価証券をもってすることができる(民事訴訟法76条)。
エ(正しい)。担保提供者の債権者(担保権利者)は、供託物について質権者と同一の権利を有する(民事訴訟法77条)。
オ(誤り)。保証供託の供託物の取戻しは、弁済供託のように自由にはできず、担保の事由が消滅したことや担保取消しの決定(民事訴訟法79条)など、所定の手続を経る必要がある。「いつでも自由に取り戻せる」とする点が誤り。
出題分野の振り分け
| 問 | 分野 | 主な論点 | 根拠条文等 |
|---|---|---|---|
| 第1問 | 民法(債権) | 保証債務・連帯保証・個人根保証・委託なき保証の求償・時効援用 | 民法446条・452〜454条・462条・465条の2・145条 |
| 第2問 | 不動産登記法 | 買戻特約の登記 | 民法579〜581条/不動産登記規則3条9号 |
| 第3問 | 会社法・商業登記法 | 株式会社の解散・清算・清算人・清算結了 | 会社法471条・473条・476条・478条・929条 |
| 第4問 | 民事訴訟法 | 訴えの変更・反訴・中間確認の訴え | 民事訴訟法143条・145条・146条・300条 |
| 第5問 | 供託法 | 保証供託(裁判上・営業)の特徴 | 民事訴訟法75〜77条・79条/宅地建物取引業法25条 |