問題: 土地の表題登記に関する次のアからオまでの記述のうち、正しいものはいくつあるか。
ア. 公有水面の埋立てなどにより新たに土地が生じたときは、その所有者は、所有権の取得の日から1か月以内に、土地の表題登記を申請しなければならない。
イ. 土地の表題登記の申請情報には、土地所在図及び地積測量図を添付情報として提供しなければならない。
ウ. 表題登記がない土地の所有権を取得した者は、自らを表題部所有者とする土地の表題登記を申請することができる。
エ. 国有地の払下げを受けて私人が所有権を取得した土地については、表題登記の申請義務はない。
オ. 登記官は、表題登記がない土地があることを職務上知った場合であっても、職権で表題登記をすることはできない。
答え: 正しいものは、ア・イ・ウの3つである(エ・オが誤り)。
解説: ア(正しい)。新たに生じた土地又は表題登記がない土地の所有権を取得した者は、その所有権の取得の日から1か月以内に、表題登記を申請しなければならない(不動産登記法36条)。
イ(正しい)。土地の表題登記の申請には、土地所在図及び地積測量図を添付情報として提供する(不動産登記令別表4の項)。
ウ(正しい)。表題登記がない土地の所有権を取得した者は、自らを表題部所有者として表題登記を申請することができる(不動産登記法36条)。
エ(誤り)。国有地の払下げにより新たに私人の所有となった土地も、表題登記の申請義務の対象となる。「申請義務がない」とする点が誤り。
オ(誤り)。登記官は、一定の場合には職権で表示に関する登記をすることができる(不動産登記法28条)。「職権ですることはできない」とする点が誤り。
問題: 土地家屋調査士の民間紛争解決手続代理関係業務(筆界に関するADR代理)に関する次のアからオまでの記述のうち、正しいものはいくつあるか。
ア. 民間紛争解決手続代理関係業務を行うことができるのは、法務大臣の認定を受けた土地家屋調査士に限られる。
イ. 対象となる紛争は、土地の筆界が現地において明らかでないことを原因とする民事に関する紛争である。
ウ. 認定を受けた土地家屋調査士は、弁護士が関与していなくても、単独であらゆる価額の事件について代理することができる。
エ. 認定を受けた土地家屋調査士は、その手続についての相談に応ずる業務を行うことができる。
オ. 認定を受けるには、法務大臣が指定する研修の課程を修了したと認められること等を経て、法務大臣の認定を受ける必要がある。
答え: 正しいものは、ア・イ・エ・オの4つである。
解説: 土地の筆界が現地で明らかでないことを原因とする紛争について、法務大臣が指定する団体が行う民間紛争解決手続(いわゆる筆界ADR)を代理する業務である。
ア(正しい)。この業務は、法務大臣の認定を受けた土地家屋調査士(認定調査士)に限り行うことができる(土地家屋調査士法3条2項)。
イ(正しい)。対象は、土地の筆界が現地において明らかでないことを原因とする民事に関する紛争である(土地家屋調査士法3条1項7号)。
ウ(誤り)。土地家屋調査士のADR代理は、弁護士が同一の依頼者から受任している事件に限り行うことができ(土地家屋調査士法3条2項)、弁護士の関与のない単独受任は認められない。「弁護士が関与していなくても単独で代理できる」とする点が誤り。
エ(正しい)。認定調査士は、上記手続についての相談に応ずる業務を行うことができる(土地家屋調査士法3条1項8号)。
オ(正しい)。認定を受けるには、法務大臣が指定する研修の課程を修了したと認められること等を要し、法務大臣の認定を受ける(土地家屋調査士法3条2項・3項)。
問題: 不動産の付合に関する次のアからオまでの記述のうち、正しいものはいくつあるか。
ア. 不動産の所有者は、その不動産に従として付合した物の所有権を取得する。
イ. 権原によってその物を附属させた他人があるときは、原則として、その附属させた物の所有権はその他人に留保される。
ウ. 既存の建物に増築された部分が、構造上・利用上の独立性を欠く場合には、その増築部分は既存建物に付合する。
エ. 借地人が、土地賃借権という権原に基づいて土地に植栽した樹木であっても、その樹木は常に土地に付合し、土地所有者の所有となる。
オ. 不動産に物が付合して所有権を失った者は、付合によって損失を受けたとしても、償金を請求することはできない。
答え: 正しいものは、ア・イ・ウの3つである(エ・オが誤り)。
解説: ア(正しい)。不動産の所有者は、その不動産に従として付合した物の所有権を取得する(民法242条本文)。
イ(正しい)。ただし、権原(地上権・賃借権等)によってその物を附属させた他人があるときは、その物の所有権は附属させた者に留保される(民法242条ただし書)。
ウ(正しい)。増築部分が構造上・利用上の独立性を欠くときは、区分所有権の対象とならず、既存建物に付合する。独立性を備える場合には付合せず、別個の所有権の対象となり得る(判例)。
エ(誤り)。権原に基づいて植栽された樹木は、土地に付合せず、植栽した者の所有に属する(民法242条ただし書)。「常に付合する」とする点が誤り。
オ(誤り)。付合により損失を受けた者は、民法703条・704条の規定に従い、償金を請求することができる(民法248条)。「請求できない」とする点が誤り。
問題: 閉合トラバース測量において、緯距及び経距の閉合差を各測線長に比例して配分する方法(コンパス法則)により調整する。
あるトラバースで、全測線長の合計が $\sum L = 400.000,\text{m}$、緯距の閉合差が $E_X = +0.040,\text{m}$、経距の閉合差が $E_Y = -0.060,\text{m}$ であった。測線長 $L_1 = 100.000,\text{m}$ の測線について、コンパス法則によって与えるべき緯距及び経距の補正量を求めよ。
答え: 緯距の補正量は $-0.010,\text{m}$、経距の補正量は $+0.015,\text{m}$ である。
解説: コンパス法則(ボウディッチ法)は、緯距・経距の閉合差を各測線の長さに比例して配分する方法である。補正は閉合差を打ち消す向きに与えるので、第 $i$ 測線に与える補正量は次の式で表される。
$$ \Delta x_i = -E_X \times \frac{L_i}{\sum L}, \qquad \Delta y_i = -E_Y \times \frac{L_i}{\sum L} $$
数値を代入すると、
$$ \Delta x_1 = -(+0.040) \times \frac{100.000}{400.000} = -0.010,\text{m} $$
$$ \Delta y_1 = -(-0.060) \times \frac{100.000}{400.000} = +0.015,\text{m} $$
となる。なお、緯距・経距の絶対値の大きさに比例して配分する方法はトランシット法則であり、配分の基準が異なる点に注意したい。土地家屋調査士試験では関数電卓(プログラム機能のないもの・2台まで)を使用できるので、こうした比例計算は正確かつ手早く処理したい。
問題: 分筆の登記の申請に添付する地積測量図に関する次のアからオまでの記述のうち、正しいものはいくつあるか。
ア. 地積測量図には、各筆界点間の距離を記載する。
イ. 基本三角点等に基づく測量の成果による筆界点の座標値があるときは、その座標値を地積測量図に記録する。
ウ. 地積測量図の縮尺は、原則として500分の1である。
エ. 分筆の登記では、分筆後の土地について求積し、その求積方法を記載するのが原則である。
オ. 地積測量図には、方位を記載することを要しない。
答え: 正しいものは、ア・イ・エの3つである。
解説: ア(正しい)。地積測量図には、各筆界点間の距離を記載する(不動産登記規則77条1項)。
イ(正しい)。基本三角点等に基づく測量の成果による筆界点の座標値は、地積測量図の記載事項である(不動産登記規則77条1項)。
ウ(誤り)。地積測量図の縮尺は、原則として250分の1である(不動産登記規則77条4項)。土地の状況等によりこれにより難いときは他の縮尺によることができる。なお500分の1は建物図面の縮尺であり、混同に注意したい。
エ(正しい)。分筆の登記では、分筆後の各土地について求積し、その求積の方法を記載するのが原則である。
オ(誤り)。地積測量図には、方位を記載する(不動産登記規則77条1項)。「記載することを要しない」とする点が誤り。
出題分野の振り分け
| 問 | 分野 | 主な論点 | 根拠条文等 |
|---|---|---|---|
| 第1問 | 不動産登記法(表示) | 土地の表題登記・申請義務・職権登記 | 不動産登記法36条・28条/不動産登記令別表4の項 |
| 第2問 | 土地家屋調査士法 | 民間紛争解決手続(筆界ADR)代理関係業務 | 土地家屋調査士法3条1項7号・8号・2項・3項 |
| 第3問 | 民法(物権) | 不動産の付合・権原による附属・償金 | 民法242条・248条 |
| 第4問 | 測量計算 | 閉合トラバースの調整(コンパス法則) | ― |
| 第5問 | 作図・書式 | 分筆の地積測量図の記載事項・縮尺 | 不動産登記規則77条 |