地目変更登記の手続き──農地転用が絡むときの順番

この記事の要点 農地を農地でない用途に使うには「①農地法の許可・届出 → ②現況の変更 → ③地目変更登記」の順番で進める。登記は一番最後 農地転用の許可申請・届出の代理は行政書士の業務、地目変更登記の申請代理は土地家屋調査士の独占業務。担当がはっきり分かれている 地目に変更があった日から1か月以内に登記を申請する義務があり(不動産登記法37条1項)、正当な理由なく放置すると過料の対象になり得る(同法164条1項) まずは自分の土地がどの許可・届出の対象になるかを確認するところから始める 農地を宅地に変えて家を建てたい、駐車場にしたい――そんなとき、多くの方が迷うのは「何を先にやればいいのか」という順番です。結論から言うと、地目変更登記は一連の手続きの中で一番最後に来るものであり、農地法の許可・届出より先に登記だけを済ませることはできません。 ...

2026年9月21日 · ひぐらしさとし

相続登記義務化の経過措置、期限まであと半年──2027年3月31日までにやること

この記事の要点 相続登記義務化の経過措置は2027年3月31日が期限。残り半年でやることを順番に整理する ①登記簿で今の名義を確認する→②戸籍を集めて相続人を確定する→③協議がまとまれば相続登記へ→④まとまらない・間に合わないなら相続人申告登記で期限を守る 相続人申告登記は義務を履行したことにはなるが、権利の登記ではないため、その後の遺産分割で不動産を取得した場合は、改めて相続登記が必要になる 相続登記の義務化には、2024年4月より前に発生していた相続(過去の相続)を対象とする経過措置があり、その期限は2027年3月31日です。経過措置そのものの内容はこちらの記事で、3年の期限の数え方(起算日)はこちらの記事で解説していますので、この記事では繰り返しません。 ...

2026年9月21日 · ひぐらしさとし

「公布」と「施行」の違い──法律が『できた日』と『効き始める日』は別【相続登記の条文で解説】

この記事の要点 公布は「法律ができたことを国民に知らせる」こと、施行は「その法律が実際に効き始める」こと。二つの日付は一致しないのが普通です 施行日がいつかは、条文本体ではなく末尾の附則に書かれています。「政令で定める日」と書かれていれば、法律だけ読んでも日付は分かりません 相続登記の義務化は、公布が令和3年(2021年)4月28日、施行が令和6年(2024年)4月1日。3年近いずれがありました ※本記事は執筆時点(2026年9月)の制度に基づく一般的な解説です。 ...

2026年9月20日 · ひぐらしさとし

実印や権利証を盗まれたら──法務局の「不正登記防止申出」でできること・できないこと

この記事の要点 実印・印鑑証明書・登記識別情報(権利証)を盗まれたなど、自分の不動産に身に覚えのない登記をされそうなときは、法務局(登記所)に「不正登記防止申出(ふせいとうきぼうししんで)」をすることができる 申出をしても登記が自動的に止まるわけではない。申出の日から3か月以内にその不動産の登記の申請があったときに、法務局から申出人へ知らせが届き、登記官が申出を相当と認めていた場合には本人確認の調査の対象になる、という仕組み 申出は、原則として本人が法務局の窓口に出頭して行う。印鑑証明書などの添付に加えて、盗難届を出すなど「原因そのものへの手当て」をしているかも確認される 「実印と印鑑証明書が入ったケースごと盗まれた」「権利証の置き場所を他人に知られてしまった」——こうしたとき、真っ先に心配になるのが、知らない間に不動産の名義を書き換えられてしまわないか、ということです。 ...

2026年9月20日 · ひぐらしさとし

おひとりさまのお墓と死後事務──誰が納骨してくれるのか

この記事の要点 おひとりさまが亡くなった後の納骨を誰かに託すには、生前に永代供養墓・納骨堂を契約しておく方法と、死後事務委任契約で納骨を頼む相手を決めておく方法を組み合わせて備える考え方があります 死後事務委任契約は、葬儀や納骨などの死後の事務を第三者に頼んでおく契約で、こうした事務を委任する条項を入れておくことができる仕組みです 引き取る方がいないご遺体については、「墓地、埋葬等に関する法律」9条により、市区町村が火葬・埋葬を行う仕組みがあります(火葬後の遺骨の扱いは自治体の運用によります) 祭祀承継者(お墓や仏壇を引き継ぐ人)が決まっていない場合の備えについても、あわせて知っておくと安心です 次の一歩として、お近くの司法書士に相談してみましょう 「自分が亡くなったとき、誰が火葬や納骨の手続きをしてくれるのだろう」──配偶者や子どもがいない、頼れる親族が近くにいないという、いわゆるおひとりさまの方から、こうした不安の声を聞くことがあります。結論から言うと、この不安に備える方法は主に2つあります。ひとつは生前に永代供養墓・納骨堂を契約しておくこと、もうひとつは納骨を含む死後の事務を頼む相手を、死後事務委任契約で決めておくことです。この記事では、それぞれの制度の一般的な仕組みと、引き取り手のない遺骨がどう扱われるかを整理します。 ...

2026年9月20日 · ひぐらしさとし

未登記の増築部分があると売れない?──売却前に直す手順

この記事の要点 登記簿の床面積と現況の建物が食い違っていると、買主の住宅ローン審査や重要事項説明で問題になることがあります(一般論) 売却前に、増築部分を登記記録に反映させる表題部変更登記を済ませておくのが基本です。申請の依頼先は土地家屋調査士です 増築部分を建てたのが登記名義人本人でない(親名義の家に子が費用を出して増築した等)場合は、区分建物か附属建物かの整理が必要になることがあります 固定資産税の課税床面積と登記簿の床面積は別の記録です。食い違いに気づく手がかりにはなりますが、税額の計算は別の話です 気づいた時点で早めに土地家屋調査士へ相談し、権利関係が絡む場合はあわせて司法書士にも確認するのが安全です 古い実家や住み継いだ持ち家を売りに出そうとしたとき、「増築した部分が登記簿に載っていない」と分かって手が止まる、というケースがあります。**結論から言うと、増築部分が未登記のまま売却の話を進めるのはおすすめできません。**登記簿の記載と実際の建物の状態が違っていると、買主側の住宅ローン審査や重要事項説明の場面で問題になることがあるためです。この記事では、なぜ未登記の増築部分が売却の障害になるのか、売却前にどのような順番で直せばよいか、そして増築部分を建てた人が所有者本人でないときの整理の仕方を、一般的な流れとしてまとめます。 ...

2026年9月20日 · ひぐらしさとし

司法書士に依頼するとき「重要な事項の説明」で何を聞かれる?──受任前に確認しておきたいこと

この記事の要点 司法書士は依頼を引き受けるにあたり、報酬・費用の金額や算定方法、事件の処理の方法などを依頼者に説明することが職業上のルールで求められている 説明を聞くだけでなく、わからない専門用語やあいまいな点はその場で聞き返してよい 説明を受けた内容は口頭だけで終わらせず、書面(委任契約書など)で手元に残しておくと後で見返せて安心 相続や不動産の名義変更などで司法書士に依頼をすることが決まると、業務を引き受ける前の段階で、報酬や手続きの内容について説明を受ける場面があります。この記事では、この説明で何が伝えられるのか、依頼者としてどう受け止めればよいのかを整理します。 ...

2026年9月19日 · ひぐらしさとし

相続税は金銭一括納付が原則──延納・物納という2つの例外のしくみ

この記事の要点 相続税は、申告書を提出した人が申告期限までに金銭で一括して納めるのが原則(相続税法33条・国税通則法34条) 一括納付が難しい一定の事情があるときに限り、分割で納める「延納」が認められる(同法38条) 延納によっても金銭で納めることが難しいときに限り、不動産などの財産そのもので納める「物納」が認められる(同法41条) 本文 相続税と聞くと「現金で払うもの」というイメージを持たれる方が多いと思いますが、これは制度上の原則です。相続税法33条は、申告書を提出した人はその相続税を、申告期限(10か月)までに納付しなければならないと定めており、国税は金銭で一括して納めるのが原則とされています(国税通則法34条、国税庁タックスアンサーNo.4211)。 ...

2026年9月19日 · ひぐらしさとし

祭祀承継者を遺言で指定する──「お墓は長男に」と書けるのか

この記事の要点 「お墓は長男に」といった祭祀承継者の指定は、民法897条1項ただし書により、遺言に書けば法的な効力を持たせることができます ただし、単なる希望を書いただけの「付言事項」と、法的効力のある「指定」とは扱いが異なるため、指定だと分かる書き方をする必要があります 指定の方法は遺言に限られず生前の書面・口頭でも可能とされていますが、証拠として残す観点からは遺言での指定が実務上安心です 指定を受けた人が承継を辞退できるかどうかは、民法に規定がなく、この点を直接判断した判例も確認できていない論点です 遺産分割協議書に祭祀承継者を書く場合とは、法的な位置づけが異なります 結論から言うと、「お墓は長男に」という一文を遺言に書くこと自体は可能で、書き方次第で法的な効力を持たせることができます。根拠となるのは民法897条1項ただし書です。同項は、系譜(家系図など)・祭具(仏壇・位牌など)・墳墓(お墓)といった「祭祀財産(さいしざいさん)」について、慣習に従って祖先の祭祀を主宰すべき者が承継するのが原則としつつ、ただし書で「被相続人の指定に従って祖先の祭祀を主宰すべき者があるときは、その者が承継する」と定めています。つまり、慣習よりも被相続人本人の指定が優先されるという組み立てです。祭祀財産が相続財産とは別扱いで、誰がどう承継するかの決まり方については、お墓や仏壇は相続財産に入らない?祭祀財産の承継者の決まり方と引き継ぎの段取りで整理していますので、あわせてご覧ください。この記事では、そのうち「遺言で指定する」という場面に絞って、書き方と注意点を解説します。 ...

2026年9月19日 · ひぐらしさとし

増築したときの登記──床面積が変わったら表題部の変更登記

この記事の要点 増築で床面積・構造・種類が変わったら、変更があった日から1か月以内に建物の表題部の変更登記を申請する義務がある(不動産登記法51条1項) 申請には増築後の建物の形を反映した建物図面・各階平面図が必要で、測量・作図を伴うため依頼先は土地家屋調査士 正当な理由なく申請を怠ると過料の対象になり得る(不動産登記法164条1項) 固定資産税の家屋調査とは別の手続き。税額の計算や軽減の適用は市区町村の資産税担当・税理士の領域 登記記録と実際の建物の状態が食い違ったまま放置すると、将来の売却や相続登記でつまずく原因になる 増築の工事が終わっても、それで一区切りとはいきません。増築によって床面積や構造、建物の種類が変わったときは、その変更を登記記録に反映させる建物の表題部の変更登記を、変更があった日から1か月以内に申請しなければなりません。この記事では、増築でどんなときに登記が必要になるか、申請に必要なもの、期限と過料、固定資産税との関係、依頼先の順に整理します。 ...

2026年9月19日 · ひぐらしさとし