遺産分割協議書の作り方と落とし穴──全員署名・印鑑証明書・複数原本のポイント

この記事の要点 遺産分割協議書は相続人「全員」の署名・実印・印鑑証明書がそろって初めて使える書類。1人でも欠けると無効 不動産は登記事項証明書のとおりの表記で書かないと相続登記に使えない 相続登記の申請義務(3年以内)と遺産分割の10年ルールという2つの期限が迫っているため、後回しにしない 被相続人(亡くなった方)の財産を相続人が話し合って分けるときに作る書面が「遺産分割協議書」です。法律で書式が決まった用紙があるわけではなく、相続人が自分たちで作る私文書ですが、これ1枚で不動産の名義変更も、預貯金の解約も、相続税の申告書類も動きます。それだけ大事な書面なのに、「全員の署名がそろわない」「印鑑証明書の有効期限を勘違いしていた」「後から財産が出てきて作り直すはめになった」──そんな落とし穴で、せっかく書いた協議書が使えなくなるケースが少なくありません。 ...

2026年5月24日 · ひぐらしさとし

相続させたくない相続人がいるとき──相続欠格と相続廃除のしくみ

この記事の要点 相続欠格は法律で定めた重大な行為があれば手続なしで当然に相続権を失う 相続廃除は虐待・重大な侮辱・著しい非行がある場合に家庭裁判所へ請求する必要がある どちらも代襲相続は起きる(子には相続権が移る)ため、相続放棄とは扱いが異なる 「長年、親に暴力をふるってきた子がいる」「介護を押しつけて寄りつかなかった相続人に財産を渡したくない」——相続の相談では、こうした「特定の相続人に相続させたくない」という声を聞くことがあります。 ...

2026年5月21日 · ひぐらしさとし

相続人がいない場合、財産はどうなる?──相続財産清算人と特別縁故者制度

この記事の要点 相続人が一人もいない場合、相続財産は「相続財産法人」となり、家庭裁判所が選ぶ相続財産清算人が管理・清算する 特別縁故者への財産分与は家庭裁判所の裁量判断で、認められるとは限らず、認められても一部にとどまることが多い 分与されなかった財産は最終的に国庫に帰属する(令和5年度は約1,015億円と過去最高) 少子化と高齢化、生涯未婚率の上昇を背景に、「亡くなった方に相続人が一人もいない」というケースが、近年じわじわと増えています。法務省の統計によれば、相続人がいない人の遺産が最終的に国に引き継がれる金額は、令和に入ってから年々過去最高を更新し続けており、社会問題として注目されつつあります。 ...

2026年5月18日 · ひぐらしさとし

限定承認とは?──「相続するか、放棄するか」で迷ったときの第三の選択肢

この記事の要点 限定承認は、プラスの財産の範囲内でだけマイナスの財産(借金)を引き継ぐ制度 相続人全員が共同で・3か月以内に・財産目録を添えて家庭裁判所に申述する必要がある みなし譲渡所得課税という独特の税負担が生じることがある 家族が亡くなって相続が始まったとき、相続人(財産を受け継ぐ立場の人)には、大きく分けて3つの道があります。「単純承認」「相続放棄」、そして今回取り上げる「限定承認(げんていしょうにん)」です。 ...

2026年5月15日 · ひぐらしさとし

相続放棄の『3ヶ月』はいつから?──知らなかった借金に気づける起算点ルール

この記事の要点 熟慮期間の「3ヶ月」は死亡日からではなく「自己のために相続の開始があったことを知った時」から数える 被相続人と疎遠で借金の存在を全く知らなかった場合、その借金を知った時から3ヶ月とされる余地がある(要件は厳格) 3ヶ月では判断できないときは、満了前に家庭裁判所へ「期間の伸長」を申し立てられる 「相続放棄は3ヶ月以内」──このフレーズだけが独り歩きしているように感じます。 ...

2026年5月12日 · ひぐらしさとし

遺言執行者って何をする人?──遺言を確実に実現する「実行係」の決め方

この記事の要点 遺言執行者は、遺言の内容を実際に実現する「実行係」。未成年者・破産者以外なら誰でもなれる 遺贈・認知・推定相続人の廃除がある場合、遺言執行者の指定は事実上必須 誰を選ぶか・報酬の決め方などは、お近くの司法書士にご相談ください 「遺言を書いた」だけで安心していませんか?実は、書かれた内容を実際に動かす人——遺言執行者(いごんしっこうしゃ)——を決めておくかどうかで、相続手続きの進みやすさは大きく変わります。 ...

2026年5月9日 · ひぐらしさとし

養子縁組と相続──「普通」と「特別」で何が違う?

この記事の要点 普通養子は実親・養親の両方の相続権を持つ「二重の相続権」。特別養子は実親との縁が切れ、養親側のみ相続権を持つ 相続税の基礎控除では、普通養子は実子がいれば1人まで・いなければ2人までしかカウントされない(特別養子・連れ子養子は制限対象外) 再婚や事業承継で養子縁組を検討する際は、相続全体への影響を踏まえお近くの司法書士にご相談ください 養子縁組と聞くと、テレビドラマの世界の話のように感じるかもしれません。しかし実際には、「再婚相手の連れ子と養子縁組する」「孫を養子にして相続人を増やす」「子のいない夫婦が親族の子を引き取る」といった場面で、いまも珍しくない手続きです。 ...

2026年5月6日 · ひぐらしさとし

数次相続(すうじそうぞく)の落とし穴──親の相続を放っておくと、なぜ厄介になるのか

この記事の要点 数次相続(すうじそうぞく)とは、相続を放置している間に次の相続が連鎖して発生した状態 相続人がねずみ算式に増え、戸籍収集も遺産分割協議もハードルが上がる 相続登記義務化の経過措置期限は2027年3月31日まで。気になる不動産があればお近くの司法書士にご相談ください 「父が亡くなったとき、田舎の土地は誰も使わないからそのままにしておこう」──そう先延ばしにしているうちに、母も祖父母も亡くなってしまった。気づけば、相続人がいとこやその子どもまで広がっていた。 ...

2026年5月5日 · ひぐらしさとし

義理の親を介護したのに相続では何ももらえない?──特別寄与料制度の基本

この記事の要点 相続人でない嫁や甥姪でも、無償で被相続人を介護し「特別の寄与」をしていれば、特別寄与料(民法1050条)を相続人に請求できる 家庭裁判所への申立期限は相続の開始・相続人を知った時から6か月、または相続開始から1年と短い 介護の事実を裏付ける記録が重要。早めにお近くの司法書士にご相談ください 「義理の父(夫の父)を10年以上介護してきたのに、相続では一切財産をもらえない」──こうした相談は、相続の現場でしばしば聞かれます。なぜなら、嫁や婿は法律上の「相続人」ではないため、原則として相続財産を受け取る権利がないからです。 ...

2026年5月4日 · ひぐらしさとし

戸籍の収集が大変で、途中で止まっている人へ ― 詰まりポイントと突破口

この記事の要点 戸籍収集は専門家でも大変な作業。止まって当然、まずは焦らないこと 本籍が転々としている場合は、2024年3月開始の広域交付制度でお近くの窓口にまとめて請求できる 読めない戸籍・廃棄証明書が出てきたら、無理せずお近くの司法書士にご相談ください 「親が亡くなって、相続手続きのために戸籍を集め始めた。でも、途中で本籍が転々としていて遡れない」「役所から届いた古い戸籍が手書きで、何が書いてあるのか読めない」「『廃棄済証明書』というものが出てきて、その先が分からなくなった」――。 ...

2026年5月3日 · ひぐらしさとし